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福井と関西を結び脱原発をめざす市民ネットワーク

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9月定例会に向け福井県議へ陳情書を提出

9月定例会に向け福井県議へ陳情書を提出

9月定例会向けて福井県議へ陳情書を提出しました。(pdf版はこちら)

2025年9月1日

陳情書 乾式貯蔵設置事前了解の前に議論すべきこと

福井県議会議長 宮本 俊 様

私たちは、県議会において次の二点を真摯に議論していたただけるようお願い申し上げます。

① 関電の提示した「地域振興のための新たな資金拠出の仕組み」は原発稼働率が下がれば供出資金が減る仕組みであり、「乾式貯蔵による原発再稼働」を容認するよう仕向ける圧力となります。これではプール満杯時に、「乾式貯蔵を設置しても貯蔵容量を増やさない」、「乾式貯蔵へ使用済燃料を移して空いたスペースは使わない」という関電の約束が反故にされる可能性が出てきます。それでもよいと県は考えているのか、と知事を質してください。

高浜乾式貯蔵第1期工事(528体、241tU)は、2025年5月28日に原子力規制委員会で認可され、6月13日には原子力規制庁が福井県原子力安全専門委員会で認可内容を説明し、福井県と立地町の乾式貯蔵設置事前了解が焦点となっています。そんな中、関西電力は8月25日、事前了解のための一つの条件にもなっていた「地域振興のための新たな資金拠出の仕組み」を福井県に提示しましたが、この資金供出の仕組みは実に巧妙で、2023年度の76.6%を基準に原発稼働率が下がれば供出資金が減る仕組みであり、原発停止時にはゼロになります。プール満杯で原発が止まれば自動的に資金が供出されなくなるため、このままでは、「乾式貯蔵を設置しても貯蔵容量を増やさない」、「乾式貯蔵へ使用済燃料を移して空いたスペースは使わない」という約束を反故にして「乾式貯蔵による原発再稼働」を容認するよう仕向ける圧力となります。このような立地県・町に原発稼働率アップへの圧力をかけるような卑劣な仕組みは拒否すべきです。

② 「関西電力の約束を遵守させるため、発電所ごとの『原子炉施設保安規定』に、『乾式貯蔵を設置しても貯蔵容量を増やさない』、『乾式貯蔵へ使用済燃料を移して空いたスペースは使わない』という約束を遵守させるための文言を明記させ、原子力規制委員会・規制庁に随時検査させる仕組みを導入すべき」と、知事に求めてください。

関西電力による「乾式貯蔵を設置しても貯蔵容量を増やさない」、「乾式貯蔵へ使用済燃料を移して空いたスペースは使わない」という約束を単なる口約束にさせないためには、高浜・大飯・美浜の発電所ごとの「原子炉施設保安規定」に、その担保を保障する文言を明記させ、原子力規制委員会・規制庁に随時検査させる仕組みを導入すべきです。
具体的に言えば、高浜発電所原子炉施設保安規定(2025 年 6 月関西電力)には現在「原子炉に全ての燃料が装荷されている状態で、使用済燃料ピットに1炉心以上の使用済燃料ラックの空き容量を確保することを(1ヶ月に1回以上の)巡視点検時に確認すること」(第98条1項(9)号)が原子燃料課長に義務付けられていますが、この「1炉心以上」を「1炉心および構内乾式貯蔵分を合算した体数以上」に書き替えさせるのです。これだけで、関西電力の上記約束を遵守させることができ、これに違反すれば、運転停止を含めた厳しい行政処分の対象になります。少なくとも、こうした担保がなければ、乾式貯蔵が存在するために、福井県内に使用済燃料が野放図に積み上げられる事態が生じてしまうでしょう。その責任は、関西電力だけでなく、福井県知事および福井県議会にも跳ね返ってくるでしょう。

<参考>原子炉施設保安規定は下記の関西電力のサイトで公開されています:
https://www.kepco.co.jp/energy_supply/energy/nuclear_power/info/knic/library/kyonin/kitei.html
美浜発電所原子炉施設保安規定(2025年6月(6月26日改正))
高浜発電所原子炉施設保安規定(2025年6月)
大飯発電所原子炉施設保安規定(2025年6月(6月26日改正))

私たちは、90年代中頃より「行先のない使用済み燃料」問題を憂慮し、県民への啓発活動を進めてきた関西と県内の市民・研究者のボランティア・ネットワークです。
さて、たとえ再処理工場が稼働を開始できても、余剰プルトニウム問題が足かせとなり、再処理工場のフル操業は事実上困難な状況です。このままでは、まさに、福井県が核の墓場になるのは火を見るより明らかです。
そんな中、関電は苦し紛れに、年50億円という資金供与を県に提示し、知事周辺からもそれを「地域振興策」として期待するかのような声が聞こえてきます。
しかし、1985年に山本順一県議(自民党)は「知事は十五基もの原発を受け入れてきたが、住民の所得増大には結びつかなかった。立地市町の財政も膨らみすぎ、この先どうなるかわからない」と中川知事を追及しました。知事は「嶺南地方が他の地域から取り残され、発展が遅れているのは政策選択に誤りがあった」と認め、「原発は地域発展のために役立たなかった」ことをあらためて強調しています。また1994年に福井県は「原発15基を誘致したが、恒久的福祉の実現にはほど遠い」「一時的な財政面の恩恵より、新たな恒久的な地域活性化のあり方が求められている」と総括しているではないですか。
関電は、使用済み核燃料の中間貯蔵施設の候補地探しで、これまで管内の210自治体に理解活動を続けてきました。しかし、名乗りを挙げる自治体はなく、それどころか京都府宮津市は「ふるさと宮津を守り育てる条例」を施行し、地域の自然や生活環境の保護をうたう条例の理念にそぐわぬものとして「原子力関連施設」を明記しました。その宮津市は、 2019年度の<将来負担比率>は243.0となり、 夕張市に次ぐ全国ワースト2位にランクされています。2021年度には財政再建団体に指定される可能性もありましたが、この深刻な財政危機の中でも、電源三法交付金の誘惑などには惑わされず、中間貯蔵を頑として拒んだのです。

一時の金に目がくらみ、未来の子孫たちへの迷惑を省みない政治は、もう他県では通用しません。廃炉時代を迎え、過去を反省すべき今、福井県でも通用しないでしょう。

陳情者:サヨナラ原発福井ネットワーク・若狭連帯行動ネットワーク
連絡先住所:越前市不老町2-24 山崎隆敏
電話 090-6271-8771

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