2023.8.7追加質問への原子力規制委員会(2023.10.17)と東京電力(2023.10.18)の回答について
長沢啓行(若狭ネット資料室長、大阪府立大学名誉教授)
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(まえがき)トリチウム汚染水(ALPS処理水)の海洋放出が2023年8月24日から始まりました。それは政府と東京電力の強さと正しさを表わすものでは断じてなく、漁民、労働者、市民の反対運動の敗北でもありません。「関係者の理解なしに海洋放出が一方的に強行された」のであり、「廃炉作業を進めるためには避けて通れない」という政府の主張が根本的に誤っていることは、早晩、名実ともに明らかにされ、「何のための放出だったのか」が改めて問われ、「放出中止に追い込まれる」ことは必至です。数年にわたる10団体※による政府・東京電力の追及の結果がそれを示しています。10月17、18日に得た原子力規制庁と東京電力からの「8.7追加質問への回答」(7~10ページ参照)は、私たちの主張が正しかったことを極めて鮮明に裏付けてくれました。一連の交渉の司会進行役の一角を務め、追及の矢面に立ち、全力で交渉を成功に導こうと尽力してきた者の一人として、その責任を果たすため、以下にそれを整理しておきます。それは、私たちの主張に断固たる確信を与え、1日も早く海洋放出中止を勝ち取るための一助になると確信します。(2023年10月28日記)
※交渉呼びかけ10団体:脱原発福島県民会議、双葉地方原発反対同盟、福島原発事故被害から健康と暮しを守る会、フクシマ原発労働者相談センター、原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、全国被爆2世団体連絡協議会、原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、ヒバク反対キャンペーン
項目1.実施計画違反の地下水ドレン中継タンクからウェルタンクを介した2号機タービン建屋への移送について
項目2.実施計画にない「集水タンク満水時に1,500Bq/Lを超えた場合の移送先および移送ライン」について
項目3.集水タンク満水時に1,500Bq/Lを超えた場合の移送先タンク等と移送ラインの仕様不記載について
項目4.IAEAの国際安全基準、正当化、最適化、線量限度について
(参考資料)政府交渉呼びかけ10団体の追加質問への回答
2023年10月17日原子力規制庁
2023年10月18日東京電力