旧ソ連のチェルノブイリ原発で核暴走爆発事故が起きたのは1986年4月26日、今から36年前です。4月23日にはチェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西が大阪市内で「チェルノブイリ原発事故36年の集い ~海に流すな!放射能汚染水~」を開催し、関西電力宛の集会決議を採択し、4月26日に関西電力本社へ提出する行動を提起していました。
若狭連帯行動ネットワークもこれに賛同し、申入行動を一緒に行うことにしました。
関西電力の原子力広報課は、2015年2月以降、私たち市民からの公開質問状への回答も面談も拒否し続けていますが、今回も「対応できる者がいない」と主張してFAX送信を指示してきました。私たちは直接受け取るよう求め、いつも通り午後2時に関西電力本社へ出向きました。警備員が関西電力と市民グループとの間を取り持つ形の異常な「交渉」の結果、結局、いつも通りに庶務係の社員が出てきて、「申入者5名、5分」の条件で受け取るという形になりました。申入行動に参加した市民15名が、この関西電力による異様な対応に、しかも、元幹部による贈収賄事件で検察審査会が開かれている最中なのに、全く反省のない関西電力の姿勢を目の当たりにして、皆あきれかえっていました。
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2022年4月26日
関西電力株式会社取締役 代表執行役社長 森本 孝 様
チェルノブイリ事故36年を迎えて、関西電力への申し入れ
若狭連帯行動ネットワーク
本日4月26日は、旧ソ連のチェルノブイリ原発重大事故から36年に当たり、福島第一原発炉心溶融事故発生から11年になります。これを機に、原発依存経営と老朽原発延命路線を見直すよう申し入れます。
ウクライナにある原子力発電所が、ロシアの侵略で危機にさらされています。ミサイルが原発を直撃すれば大惨事を招き、制御ケーブルや外部送電網が破壊されても大惨事に至ります。チェルノブイリ原発周辺30キロ圏内は今も立ち入り禁止ですが、ここに塹壕を掘ったロシア軍兵士が放射能傷害になったり、進軍や火災で放射能汚染が広がったりした可能性があると報道されています。原発は戦争に脆弱であり、危険な存在に転嫁することが改めて明らかになりました。原発は速やかに廃止すべきです。
戦争による化石燃料不足を理由に、原発再稼働を求める声が財界や与党内から出ていますが、それは老朽原発の長期連続運転・40年超運転・ひび割れ放置運転等の強行を招き、福島事故を繰り返す危険性を高めるだけでなく、一層大量の使用済核燃料を生み出し、次世代に重い負の遺産を残します。
貴社は1997年に栗田福井県知事(当時)に「2010年までに中間貯蔵施設を建設する」と約束しながら守れず、県外設置期限はその後、2018年末、2020年末、2023年末と延びています。2020年末の約束を破った森本関電社長(当時)は2021年2月12日、杉本現知事に「2023年末の期限までに計画地点を確定できない場合には、その後確定できるまでの間、美浜3号機、高浜1、2号機の運転は実施しないという不退転の覚悟で臨みたいと考えております」と発言しています。青森県むつ市の中間貯蔵施設を共同利用する案を考えているようですが、貴社の余りにも身勝手で自己中心的な要求には、むつ市も青森県も強く反発しています。5月21日には市民グループが福井市で鹿内博元青森市長を招き、「原発のゴミの責任を果たすのは誰かを問う県民の集い」を開催しますが、貴職もパネリストとして参加し、福井・青森両県民に丁寧に説明し、議論すべきです。
貴社は、使用済核燃料の県外搬出を約束する一方、高浜3・4号でプルサーマルを進めていますが、すでに12体の使用済MOX燃料が生み出されています。その再処理計画はなく、乾式貯蔵するにもプールで90年冷やさなければなりません。問題を先送りにせず、原発再稼働をやめ、プルサーマルを中止すべきです。
貴社が「森山案件」と呼んでいた「関電元幹部による贈収賄事件」について、大阪地検は2021年11月9日、不起訴にしましたが、現在、検察審査会で審査が行われています。その最中の4月20日には残土工事(受注会社が下請けに安値丸投げして利益を得る高値発注)、土地貸借(資材置き場、年1600万円賃貸料を5千万で高値契約)など、贈賄原資を生み出した3点の不正が新たに発覚しています。「原子力災害の危険を伴い、使用済燃料と核廃棄物を生み出す原発」を推進するためには、地元利権集団との癒着と利権構造の形成は避けられません。年原発依存経営から脱却し、原発利権構造を一掃し、再エネ推進のクリーンな経営に転換すべきです。
原発廃炉や取替蒸気発生器等保管の問題では、大型放射性廃棄物をアメリカへで溶解してクリアランス未満にして再利用、または、輸出=最終処分にする計画が経産省と電力会社の共同で進められています。放射性廃棄物の輸出やクリアランスによる放射能汚染拡大は許せません。
福島事故に関する東京電力の責任が最高裁決定で法的に認められ、原発事故時には電力会社の責任が厳しく問われ、長期にわたり巨額の賠償責任が生じることが法的に明らかにされました。原子力は夢のある産業ではなく、若者が将来を夢見ることのできない産業へ転落しています。脱炭素・脱原発の社会に寄与する産業こそ若者に夢を与える産業です。にもかかわらず、貴社は、原発再稼働を最優先させ、目指すべき社会の実現を遠ざけているのです。
以上を踏まえ、次のことを強く申し入れます。公益事業者として真摯に対応してください。
1.特定重大事故等対処施設の竣工遅れで停止中の美浜3号と高浜1・2号について、今年10月と来年6・7月の再稼働=40年超運転を断念し、廃炉にしてください。
2.配管のひび割れや蒸気発生器細管の減肉など老劣化の進む高浜3・4号と大飯3・4号を廃炉にしてください。
3.むつ市への使用済燃料の中間貯蔵押しつけを断念し、使用済燃料をこれ以上生み出さないでください。
5月21日に福井市で開かれる福井県民の集いにパネリストとして出席し、県民との対話に応じてください。
4.高浜3・4号でのプルサーマルを即刻中止し、大飯原発にプルサーマルを広げないでください。
プルトニウム利用を断念し、MOX燃料の発注・輸入を中止してください。
六ヶ所再処理工場の閉鎖を日本原燃に求めてください。
5.貴社送配電網の今年度託送料金に加算予定の「福島損害賠償費・原発関連費約288億円(一般負担金「過去分」156億円/年と廃炉円滑化負担金132億円/年)」を撤回し、貴社の利益で賄ってください。
6.取替や廃炉による美浜・大飯・高浜原発の蒸気発生器33基をはじめ給水加熱器や核燃料輸送・貯蔵用キャスクなど大型放射性廃棄物の輸出、海外での溶解・再利用の計画を断念し、密閉管理し続けてください。
7.東京電力の事故責任を認定した最高裁決定を受け、原発依存の経営方針を「脱原発・脱石炭」へ大転換してください。
以上
(pdfはこちら)
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2022年4月26日
関西電力株式会社取締役・代表執行役社長 森本 孝 様
4・26 チェルノブイリ原発重大事故から36年、フクシマ原発重大事故から11年
関西電力への申し入れ
本日4月26日は、チェルノブイリ原発重大事故から36年に当たります。また、東京電力福島第一原発重大事故から11年が経ちました。二つの原発重大事故は、広範囲の放射能汚染をもたらし、多くの人々を被ばくさせました。そして、健康権、生存権などの様々な基本的人権を侵害しています。生業を奪われ、故郷を追われ、コミュニティを破壊され、「普通の生活」が奪われました。「原発事故さえなければ」は、被害者の共通の想いです。放射能汚染は長期にわたり、事故炉の安全管理と廃炉には100余年も要します。
チェルノブイリ被災地では36年経った今も放射能汚染が続き、人々は放射能と隣り合わせの生活を強いられています。福島では、大量の被ばく労働の犠牲の上に進められている事故の収束・廃炉作業も、高線量に阻まれたデブリの取り出しなど、困難を極め、見通しさえ立っていません。国と東電は、重大事故を起こし大量の汚染水を発生させた責任を取ろうとしないばかりか、来春にはトリチウム等を含む放射能汚染水の海洋放出を始めるとして、準備を進めています。このような方針は、さらなる放射能汚染と被ばく被害を事故被害者に押し付ける「故意の加害行為」であり、決して受け入れることはできません。放射能汚染水を海洋放出しなければならない理由は何一つありません。全国と福島県漁連は「断固反対」を改めて表明しています。
2月24日、ロシア軍はチェルノブイリの「立ち入り禁止ゾーン」を通ってクライナに軍事侵攻し、チェルノブリ原発、さらには稼働中の欧州最大規模であるザポリージャ原発も攻撃・占拠しました。原発への攻撃は、チェルノブイリ・フクシマのような原発重大事故をも引き起こしかねず、危険です。「核の平和利用」と言われる原発も戦争に対しては脆く、「軍事利用」と同じ危険な存在となることは明らかです。
貴社は使用済み核燃料中間貯蔵施設を県外へ移設する約束を守れず、4回も先延ばししてきました。県外移設に全力を注ぐのではなく、まずは全ての原発の運転を停止し、処理処分のできない使用済み核燃料を今以上に増やさないことが先決です。これ以上、子々孫々に重大な負の遺産を押し付けないで下さい。また、高浜3・4号機では、プルサーマルによりすでに12体の使用済MOX燃料が生み出されています。しかし、その処理・処分も決まっていません。原発再稼働を止め、プルサーマルを中止すべきです。「関電元幹部による贈収賄事件」について、大阪地検は2021年11月、不起訴としましたが、現在、検察審査会で審査が行われています。
福島事故に関する東京電力の責任が最高裁決定で認められ、原発事故時には電力会社の責任が厳しく問われ、長期にわたり巨額の賠償責任が生じることが法的に明らかにされました。貴社のやるべきことは、老朽原発の再稼働に必死なるのではなく、「利益優先」「安全軽視」の体質から脱却し、「脱原発」「脱石炭」へ大転換し、再生可能エネルギーを推進することです。原発依存経営を抜本的に見直すよう、以下の通り、強く申し入れます。
1.特定重大事故等対処施設の竣工遅れで停止中の美浜3号機と高浜1・2号機について、今年10月と来年6・7月の再稼働=40年超運転を断念し、廃炉にして下さい。
2.老朽化の進む高浜3・4号機、大飯3・4号機を廃炉にして下さい。
3.むつ市への使用済燃料の中間貯蔵押しつけを断念し、使用済燃料をこれ以上生み出さないで下さい。
5月21日に福井市で開かれる福井県民の集いにパネリストとして出席し、県民との対話に応じて下さい。
4.高浜3・4号機でのプルサーマルを即刻中止し、大飯原発にプルサーマルを広げないで下さい。
プルトニウム利用を断念し、MOX燃料の発注・輸入を中止して下さい。
5.貴社送配電網の今年度託送料金に加算予定の「福島損害賠償費・原発関連費(約288億円)」を撤回し、貴社の利益で賄って下さい。
6.取替や廃炉による蒸気発生器、給水加熱器や核燃料輸送・貯蔵用キャスク等大型放射性廃棄物の輸出、海外での溶解・再利用の計画を断念し、密閉管理し続けて下さい。
7. 東京電力の事故責任を認定した最高裁決定を受け、原発依存の経営方針を「脱原発・脱石炭」へ大転換して下い。
以上
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