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原子力規制委員会のパブコメへの意見は2,016件、提出意見への回答=「考え方」は無責任極まりない!

原子力規制委員会のパブコメへの意見は2,016件、提出意見への回答=「考え方」は無責任極まりない!

原子力規制委員会のパブコメへの意見は2,016件でした。これに対する回答=「考え方」は次のように無責任極まりないものでした。

 第1に、現行法は、国会で「科学的技術的見地だけではなく、幅広い観点から議論が行われた上で、立法されたものと認識しています。」としながら、「40年ルールの改変」を科学的技術的見地からのみ正当化しようとしています。2030年代に原発ゼロを目指す「幅広い観点から議論が行われた上で、立法された」経緯を無視し、三条委員会として、原子力規制委員会に課せられた責務を自ら進んで放棄しようとしている姿勢が改めて明らかになりました。

 第2に、運転開始後40年を超えて運転しようとする際、「初めて長期施設管理計画の認可を受けようとする場合」には、「原則として同40年を経過する日までに、現行の『特別点検』と同等の点検を実施する」ことは明記されましたが、長期施設管理計画の認可が「初めて」ではなく、30年を超えて運転しようとする際に長期施設管理計画の認可を受けていた場合の「特別点検の実施」については曖昧なままです。また、特別点検の実施は「原則として同40年を経過する日までに」とされていて、「40年経過後」でもよく、「特別点検を実施しない特例」もあるかのような書きぶりです。「初めて」と「原則として」は特別点検の実施を緩和する巧みな言い回しのように思われ、依然として、40年目の点検が現行の「特別点検」と同等になるかどうかは定かではありません。

 第3に、すでに運転30年超の原発について、40年を超えて運転しようとする際には、「30年を超えて運転する際に必要な長期施設管理計画」の認可を受けている必要がないこと、40年を超えて運転しようとする「10年以内の期間」の「長期施設管理計画」の認可を新たに受ければよいこと、が明らかになりました。この論理に従えば、運転40年超の原発で初めて50年を超えて運転しようとする際には、「40年を超えて運転する際に必要な長期施設管理計画」の認可を受けている必要はないことになります。また、現行では、40年を超えて運転しようとする原発は「40年を経過する前に特別点検を実施して認可を受ける必要がある」のですが、新制度では、40年経過前の特別点検は「原則として」であり、認可が得られないまま40年を過ぎても廃炉にする必要はなくなるのです。

 原子力規制委員会は、国会から託された三条委員会としての責務を自ら放棄することによって、また、「劣化評価という科学的技術的見地」に自らの権限を狭めることによって、「40年で原則廃炉」を定めた「法の精神」を自ら踏みにじり、「40年という節目を気にせず、老朽原発の寿命を延長できる」道を行政と一緒になって切り開いたと言えるのです。

詳しくは、下記の「高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の概要(案)に対する意見及び考え方(案)」をご覧ください。

第71回原子力規制委員会(2023年2月8日)
資料1 高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の検討(第8回)
別紙1:高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の概要(案)に対する意見及び考え方(案)
<意見の概要>—————————————
1-8(提出意見の後半の〔 〕部分が削除された
前文と1および2の項目意見 原子力規制委員会が設置された経緯と原子力規制委員会設置法の原点に戻り、「40年で原則廃炉、延長は例外中の例外」であることを再確認すべきです。2020年7月29日の声明を撤回すべきです。
理由 「40年ルール(運転40年で原則廃炉、20年延長は例外中の例外)」は、そもそも、福島事故を教訓として、原発の再稼働に反対する圧倒的多数の国民世論をバックに、与野党の合意で、原子力規制委員会を三条委員会として行政から独立させ、原子力規制委員会設置法の附則の中に「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(炉基法)」を取り込み、そこに導入されたルールです。つまり、「40年ルール」は、原子力規制委員会設置法によって規制委に委嘱された、規制委の出発点となる根本原則であり、規制委が国民からその遵守を委託されたのであって、2020年7月29日の声明で「発電用原子炉施設の利用をどのくらいの期間認めることとするかは、原子力の利用の在り方に関する政策判断にほかならず、原子力規制委員会が意見を述べるべき事柄ではない」としたのは、法成立の経緯を無視し、法解釈を誤った見解に過ぎず、原点に立ち返って、同見解を撤回し、現行の法規定を遵守すべきです。
パブコメ案の項目1および2は、30年以降は10年ごとの審査で延々と運転期間を延ばすことが前提になっていますが、これは「40年ルール」の改変であり、撤回すべきです。
削除された箇所:これまで、10年ごとの高経年化技術評価で審査してこなかった添付書類のデータを使って「10年後も技術基準に適合しているか」を審査し、データの測定方法も審査するとしても、「より厳格になる」とは言えません。山中委員長は特別点検は「40年目で実施する予定」だと言いますが、パブコメ案には明記されていません。「40 年目で行われている試験というのは、かなり特殊な、例えば圧力容器の胴回り 100%超音波試験をしなさいとか、あるいはコンクリートのコア抜きをして破壊強度等の試験をしなさいとか、非常に特殊なものが追加されています。むしろ50年に追加して、それぞれの炉で特徴のあるところを私は試験をしたほうがいい。特別点検と比べて劣るかどうかというのは、これはそれぞれ見解を持たれるところだと思うのですけど、私はそれぞれの炉に対して必要なところを50年目に対してプラスアルファで60年見るべきだ。」とも言っています。40年目の特別点検はむしろ強化し、廃炉を前提に、厳格に審査し、20年の延長限度も遵守すべきです。

<考え方>
○今回お示しした「高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の概要(案)」は、令和4年12月16日に、利用政策の観点から現行の運転期間制度を改正する方針が明らかにされたことを受け、その改正内容にかかわらず、高経年化した発電用原子炉施設に関する必要な安全規制を引き続き厳格に実施できるようにするため、原子炉等規制法に定める必要のある法的な枠組みの考え方を示したものです。
○現行法の運転期間延長認可制度が導入された際の国会審議(平成24年第180回国会)では、科学的技術的見地だけではなく、幅広い観点から議論が行われた上で、立法されたものと認識しています。
○発電用原子炉施設の経年劣化の程度はその使用履歴や保守管理の状況などにより個々に異なるため、基準適合性が維持できなくなる時期をあらかじめ一律に定めることはできません。高経年化した発電用原子炉については、適切な時期にその劣化の状況を具体的に把握し、その結果に基づいて、基準適合性が維持されているか、適切な保守管理が行われているかを科学的技術的見地から個々に確認する必要があります。
○利用政策の観点から運転期間が現行制度よりも延長されたとしても、今回お示しした規制制度により基準適合性が確認できない発電用原子炉を運転することはできません。原子力規制委員会は、「原子力利用における安全の確保」を図るため、原子力利用に当たって必要な水準の安全性が確保されるよう、最新の科学的・技術的知見も取り入れながら規制基準を定め、それへの適合性について、原子力規制委員会が行う審査・検査等を通じて厳正な確認を実施していきます。
○なお、設置許可申請書添付資料等において、原子炉圧力容器又は原子炉容器に対する中性子照射量を推定する際の期間として「四十定格負荷相当年時点」等と記載されていますが、これは設計する上での中性子照射量を設定したものであり、個々の原子炉の基準適合性が維持できなくなる時期を示すものではありません。
○よって、原案のとおりとします。

<意見提出者コメント>
現行法は、国会で「科学的技術的見地だけではなく、幅広い観点から議論が行われた上で、立法されたものと認識しています。」としながら、「40年ルールの改変」を科学的技術的見地からのみ正当化しようとしている。そのことによって、2030年代に原発ゼロを目指す「幅広い観点から議論が行われた上で、立法された」経緯を無視し、三条委員会として、原子力規制委員会に課せられた責務を自ら進んで放棄しようとしている。

<意見の概要>—————————————
6-2(提出意見の全文が引用されている)
「40年ルール(運転40年で原則廃炉、20年延長は例外中の例外)」を堅持し、40年の特別点検の抜本的強化を求めます。また、40年時点の特別点検がどのように改変されるのか、その具体的内容を明示した上でパブリックコメントをやり直すべきです。
理由 項目6では、「長期施設管理計画の認可の基準は、劣化評価が適確に実施されていること、発電用原子炉施設の劣化を管理するための措置が災害の防止上支障がないものであること及び計画の期間において生じる劣化を考慮しても技術基準に適合することのいずれにも適合していることとする。」としていますが、「災害の防止上支障がない」との基準は「高経年化技術評価」であり、「劣化を考慮しても技術基準に適合すること」との基準は「運転期間延長認可」です。ところが、その前提となる項目1と2に基づけば、30年時点での認可後、「運転開始後40年を超えて発電用原子炉を運転しようとするときは、10年を超えない期間における発電用原子炉施設の劣化を管理するための計画(長期施設管理計画(仮称))を策定し、原子力規制委員会の認可を受けなければならない」ことになり、10年先の「50年運転時点」までの技術基準適合性評価になります。これは、現在の運転40年までに20年先の「60年運転時点」までの技術基準適合性評価とは明らかに異なります。また、「実用発電用原子炉の運転期間延長認可申請に係る運用ガイド」に定められた「申請に至るまでの間の運転に伴い生じた原子炉その他の設備の劣化の状況の把握のための点検」(以下「特別点検」という。)が、項目6の「劣化評価」とも異なり、「特別点検」の中身が弱められるのではないかと危惧されます。「40年ルール(運転40年で原則廃炉、20年延長は例外中の例外)」は福島事故を踏まえた国民の意思を反映させた原則であり、これを堅持し、延長する場合には例外中の例外とするにふさわしい「40年時点での特別点検」の抜本的強化を求めます。また、現在の案には、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」第四十三条の三の三十二(運転の期間等)の変更に伴い、「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」第百十三条および第百十四条が変更され、さらには、「実用発電用原子炉の運転期間延長認可申請に係る運用ガイド」も変更されるにもかかわらず、それらには一切言及されていません。法律が変更されることに伴う40年時点での特別点検がどのように変えられるのかについて国民への説明が一切ないままに、このような法律の変更だけに留めたパブリックコメントを行うのは、重大な変更内容を隠蔽するに等しいのではないでしょうか。法律変更後に規則以下を検討するというのは、国民だましもいいところではないでしょうか。40年ルールをどのように変更しようとしているのかについて、明確にした上で、パブリックコメントをやり直すべきです。

<考え方>
○御指摘の「特別点検」は、現行制度において、運転開始後40年を経過する日までに行う高経年化技術評価(40年目)のために実施する必要がある点検に加えて、同40年目の運転期間延長認可申請の際に実施する必要がある点検であり、両者はいずれも、劣化評価を行う際の前提となる劣化状況把握のために必要となるものです。
○新たな制度はこれら現行の2制度を統合するものであり、劣化評価の方法などの技術的内容は、同60年を超えない範囲については変更する必要はないと判断しています。したがって、新たな制度においても、従来実施してきた「特別点検」の技術的な意義や目的が変わることはありません。
○すなわち、新たな制度では、運転開始後40年を超えて運転しようとする発電用原子炉について初めて長期施設管理計画の認可を受けようとする場合には、原則として同40年を経過する日までに、現行の「特別点検」と同等の点検を実施することになります。
○なお、同60年を超えて運転しようとする発電用原子炉に関する劣化評価の方法等については、今後、原子力規制委員会において議論していくこととしています

<意見提出者コメント>
運転開始後40年を超えて運転しようとする際、「初めて長期施設管理計画の認可を受けようとする場合」には、「原則として同40年を経過する日までに、現行の『特別点検』と同等の点検を実施する」ことは明らかにされたが、長期施設管理計画の認可が「初めて」ではなく、30年を超えて運転しようとする際に長期施設管理計画の認可を受けていた場合の特別点検の実施については何も言及していない。また、特別点検の実施は「原則として同40年を経過する日までに」ではあるが、「40年経過後」でもよく、「特別点検を実施しない特例」もあるかのような書きぶりである。「初めて」と「原則として」は特別点検の実施を緩和する巧みな言い回しのように思われ、依然として、40年目の点検が現行の「特別点検」と同等になるかどうかは定かではない。

<意見の概要>—————————————
12-2(提出意見の前後の〔 〕部分が削除された
削除された箇所:原子力規制委員会記者会見録(2023.1.11)によれば、泊1号機と2号機は現在、運転33年と31年ですが、黒川総務課長は「30年を超えていますけれども、運転をするときまでに認可を受ければよい」とし、また、柏崎刈羽1号機と2号機は運転37年と32年ですが、黒川総務課長は「経済産業省が恐らく法改正をしまして、運転期間40年というところから止まっていた期間を除くという改正をされますので、40年でもう一切運転できないというくびきはなくなる」とも答えています。ところが、原子力規制委員会の運転期間は暦年によるのであって、休止期間も含むはずです。また、「今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)」(2022.12.23原子力関係閣僚会議)でも、「延長を認める運転期間については、20年を目安とした上で、以下の事由による運転停止期間についてはカウントに含めないこととする」とし、「運転期間40年というところから止まっていた期間を除くという改正」ではありません。国民を混乱させるような記者会見での上記発言を撤回し、正確に説明し直すべきです。
1および2によれば、40年を超えて運転しようとする場合は、(1)30年を超えて運転するための「10年を超えない期間における長期施設管理計画」の認可を受けていなければならず、さらに、(2)40年を超えて運転するための「10年を超えない期間における長期施設管理計画」の認可を受けなければならず、これらが満たされない限り40年を超えては運転できないことになるはずです。たとえば、柏崎刈羽1号機が(1)の認可を受ける期限は2025年9月18日(運転開始40年後)であり、これを過ぎても(1)が認可されていなければ、40年を超えての運転はできないというのが、「高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の概要(案)」の1および2の趣旨のはずです。ところが、黒川総務課長の発言によれば、(1)の認可を受けていなくても40年を超えた段階でも申請があれば、(1)と(2)の認可を段階的に、または、同時に受けて、40年を超えての運転が可能であるかのように見えます。
削除された箇所:さらに、同11では「新たな制度への円滑な移行を図るため、次のような準備行為その他所要の経過措置を設ける」とし、「新制度施行までの一定の期間中、あらかじめ長期施設管理計画の申請及び認可ができ」、「新制度の施行前に認可を受けたときは、新制度が施行された日に、新制度下での認可を受けたものとみな」し、「新制度の施行前に認可を受けていないときは、新制度が施行された日に、新制度下の申請とみなす」ともされています。これは、40年を超えていても「新制度施行までの一定の期間」内に(1)の認可を受ければ、(1)の条件は満たされたものとし、(2)の認可は50年を超えるまでに受ければよいということになります。つまり、「新制度施行」日を(1)の長期施設管理計画の策定と認可に必要な経過措置期間後に設定することで、1と2の規制が事実上効かないようにできることを意味しています。「新制度施行」日を明示した上で、その妥当性についてもパブリックコメントで問い直すべきです。

<考え方>
○御指摘の「1および2の趣旨」については、今回お示しした概要案の2.に「1.の認可を受けた長期施設管理計画の期間を超えて」と記載しているように、2.は1.により最初に認可を受けた長期施設管理計画の期間を超えて運転しようとするときについて定めたものであることは明らかです。
○したがって、御指摘のような例では、運転開始後40年を超えて運転しようとするときに受ける認可が最初のものとなる場合には、御指摘の「(1)と(2)の認可を段階的に、または、同時に受けて」いる必要はありません。この場合、40年を超えて最初に認可を申請する際に、30年目までに生じた劣化を含めた最新の劣化状況を把握した上で、40年を超えて運転しようとする期間(10年以内に限る。)についての劣化予測を行うこととなりますので、新たな制度において「(1)と(2)の認可」両方を求めることは合理的でなく、その必要性もありません。
○よって、原案のとおりとします。

<意見提出者コメント>
 すでに運転30年超の原発について、40年を超えて運転しようとする際には、「30年を超えて運転する際に必要な長期施設管理計画」の認可を受けている必要がないこと、40年を超えて運転しようとする10年以内の期間の「長期施設管理計画」の認可を受ければよいこと、以上が明らかになった。この論理に従えば、運転40年超の原発で初めて50年を超えて運転しようとする際には、「40年を超えて運転する際に必要な長期施設管理計画」の認可を受けている必要はないことになる。
 また、現行では、40年を超えて運転しようとする原発は40年を経過する前に特別点検を実施して認可を受ける必要があるが、新制度では、40年経過前の特別点検は「原則として」であり、認可が得られないまま40年を過ぎても廃炉にする必要はなくなる。

 

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