若狭ネット

福井と関西を結び脱原発をめざす市民ネットワーク

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大津地裁決定を受け、高浜原発全基廃炉・全原発再稼働阻止へ!

大津地裁決定を受け、高浜原発全基廃炉・全原発再稼働阻止へ!

若狭ネットは2016年3月9日の大津地裁決定を受け、下記の緊急アピールを発し、本日、関西電力本社へ下記の申し入れを行いました。
リーフレットはこちら

大津地裁決定を受け、高浜原発全基廃炉・全原発再稼働阻止へ!

大津地裁は3月9日、高浜3・4号について運転差止の仮処分決定を出しました。これは福井地裁による大飯3・4号運転差止判決(2014.5.21)と高浜3・4号運転差止仮処分決定(2015.4.14)に続くものであり、運転中の原発に即時停止を命じた国内初の画期的な仮処分決定です。しかも、福井地裁での高浜3・4号運転差止仮処分決定が別の裁判官によって覆されてからわずか2ヶ月半後に再び運転差止命令を出したものであり、原告弁護団による不屈の裁判闘争に畏敬の念を抱くと共に、さまざまな圧力をはねのけた裁判官の勇気ある決定に敬意を表します。
大津地裁決定は、「万が一にも人格権が侵害される危険性」を直接審理の対象とはせず、原子力規制委員会による規制基準の不合理性や調査審議・判断過程の過誤・欠落を具体的に示したものでもありません。たとえ高浜3・4号に再稼働認可(設置変更許可)が出されていても、その合理性について関西電力が「主張及び疎明を尽くさなければ、その不合理性が事実上推認される」としたものです。とくに、仮処分では速やかに主張・資料提供が行われるべきところ、1年の審理期間にもかかわらず、終了直前まで資料が出されず、「提出資料によっても不明であるといわざるを得ない」状態だったとし、関西電力のずさんな「主張及び疎明」に憤慨しています。
では、関西電力が「主張及び疎明」を尽くせば、今回の決定を覆せるのでしょうか。そうとも言えません。「主張及び疎明」を尽くそうにもできない内容が含まれているからです。

十二分に余裕をもった規制基準の策定が不可欠

たとえば、「過酷事故対策」では、福島第一原発事故の主原因を津波だとして良いかは不明であり、徹底した原因究明を行って安全確保対策を講じるという姿勢がないとすれば、「そもそも新規制基準策定に向かう姿勢に非常に不安を覚える」と批判し、十二分な余裕を持たせることの重要性を次のように指摘しています。「災害が起こる度に『想定を超える』災害であったと繰り返されてきた過ちに真摯に向き合うならば,十二分の余裕をもった基準とすることを念頭に置き,常に,他に考慮しなければならない要素ないし危険性を見落としている可能性があるとの立場に立ち,対策の見落としにより過酷事故が生じたとしても,致命的な状態に陥らないようにすることができるとの思想に立って,新規制基準を策定すべきものと考える。債務者の保全段階における主張及び疎明の程度では,新規制基準及び本件各原発に係る設置変更許可が,直ちに公共の安寧の基礎となると考えることをためらわざるを得ない。」事故原因の徹底究明や十二分に余裕のある規制基準の策定は、関西電力が「主張及び疎明」を尽くそうとしてもできない要求なのです。

十二分に余裕をもった基準地震動の策定が必要

また、「耐震性能」では、現段階の科学技術力で最大限の調査をやっても「断層の連動」を否定することも「断層の末端」を確定することもできなかったのだから、断層の連動や長めの想定をしたからといって安全余裕をとったとは言えないとし、また、耐専スペクトルと実際の観測記録との間に乖離があることから、耐専スペクトルが「起こりうる地震動の応答スペクトルの最大値」に近いものであるかどうか疑問が残るとしています。つまり、十二分に余裕をもった基準地震動を策定し直す必要があるとしているのです。

フクシマ事故の「結果(現状)」も徹底究明すべき

決定は、国家主導の避難計画とそれを視野に入れた幅広い規制基準を求め、電力会社にも避難計画を含めた安全確保対策に意を払うよう求めていますが、福島第一原発事故の原因だけでなく結果(現状)についても徹底究明する姿勢が不可欠です。福島では5年後の今なお9.7万人が避難生活を余儀なくされ、震災関連死は2031人に達し、直接死を超えて増え続けています。5年間の事故処理作業に動員された労働者と累積被曝線量は緊急事態10ヶ月間の2.4倍になり、増え続けています。被災者や労働者の人格権を侵害しない避難計画や安全確保対策などありえません。フクシマを繰り返さないことを担保できないのであれば運転を差し止めるべきです。
私たちは、関西電力に対し、大津地裁決定を受け入れ、高浜3・4号を廃炉にすること、高浜1・2号を含め高浜・美浜・大飯の全原発を廃炉にすることを求めます。全国の闘う仲間と連帯して、大津地裁決定を踏まえ、川内原発の運転停止と全原発の再稼働中止を求め、脱原発へ前進したいと思います。

2016年3月11日
関西電力株式会社 取締役社長 八木 誠 様

フクシマ事故から5年、フクシマをくり返さないため
大津地裁決定を受け入れ、高浜3・4号を即刻廃炉にしてください

若狭連帯行動ネットワーク

大津地方裁判所は3月9日、高浜原発3・4号の運転差し止めを決定しました。貴社は運転中の高浜3号を停止し、高浜4号の再稼働作業を中止せざるを得なくなりました。くしくも、本日はフクシマ事故発生から5年目に当り、フクシマをくり返さないことが改めて問われています。この際、高浜3・4号を廃炉にし、高浜1・2号の40年超運転申請を撤回し、高浜発電所を閉鎖するよう求めます。
フクシマ事故は5年後の今なお収束せず、10万人近くが今なお厳しい避難生活を余儀なくされ、その大半が仮設住宅や借上住宅で不安な毎日を送っています。震災関連死は3月10日現在2031人に達し、直接死1604人をはるかに超え、悲しいことに今なお増え続けています。事故直後の緊急事態に動員された労働者は約2万人、累積ヒバク線量は240人Svに上りますが、5年間の事故収束・汚染水対策で労働者数も累積ヒバク線量も2.4倍に増えています。その中から白血病で労災認定を受けた労働者がすでに出ています。
被災者と事故処理労働者の基本的人権が様々な形で侵害されています。「フクシマをくり返さないため、もう原発は止めるべきだ」という教訓を改めて確認すべきです。
大津地裁決定は、フクシマ事故の原因究明は不十分であり、これを意に介さない貴社と原子力規制委員会の「姿勢に非常に不安を覚える」と指弾し、「災害が起こる度に『想定を超える』災害であったと繰り返されてきた過ちに真摯に向き合う」ことを強く求めています。その上で、貴社の「主張及び疎明の程度では新規制基準及び設置変更許可が直ちに公共の安寧の基礎となると考えることをためらわざるを得ない」と断じています。1年間の十分な審議期間があったにもかかわらず、原子力規制委員会による設置変更許可を御旗に掲げ、裁判所に十分な資料を提供せず、説明も尽くさない貴社の不遜な態度についても、厳しく批判しています。
貴社の想定では安全を担保するには不十分とした上で、事故が起きれば、滋賀県の住民もヒバクし、琵琶湖が汚染され近畿地方の飲み水に影響が出るとする主張が正しく受け止められたのです。
貴社は、1年以上私たちとの面談を拒否し続けていることを謝罪し、私たちが昨年2月12日に提出した「関西電力の電気料金値上げと原発再稼働に関する公開質問状」に改めて真摯に回答すべきです。
私たちは、大津地裁決定を受け、フクシマ5年を期して、改めて申し入れます。
1.「フクシマ事故をくり返してはならない」という国民過半数の熱い思いを代弁した大津地裁決定を受け入れ、高浜3・4号の再稼働を断念し、廃炉にしてください。
2.高浜1・2号の40年超運転申請を撤回し、高浜発電所を閉鎖してください。
3.美浜3号の40年超運転申請を撤回し、美浜発電所を閉鎖してください。
4.電力自由化を機に、原発依存経営から脱皮し、再生可能エネルギーを軸とした経営に転換してください。

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