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脱原発福島県民会議など8団体による4月19日対政府交渉の報告とそれに基づくトリチウム汚染水(ALPS処理水)海洋放出審査書案パブリックコメントへの意見提出の呼びかけ

脱原発福島県民会議など8団体による4月19日対政府交渉の報告とそれに基づくトリチウム汚染水(ALPS処理水)海洋放出審査書案パブリックコメントへの意見提出の呼びかけ

(若狭ネット編集局の責任で8団体による対政府交渉報告とパブコメ意見提出の呼びかけを転載します)

政府交渉呼びかけ8団体:脱原発福島県民会議、双葉地方原発反対同盟、原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、全国被爆2世団体連絡協議会、原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、ヒバク反対キャンペーン

4月19日の8団体対政府交渉の報告
(その1)避難指示解除に伴う医療・介護保険料及び医療費の減免措置見直しの撤回
     (議事録はこちら
(その2)トリチウム汚染水(ALPS処理水)の海洋放出方針決定の撤回
     (議事録はこちら)(交渉資料はこちら

2022年4月19日・トリチウム汚染水(ALPS処理水)海洋放出方針決定に関する8団体主催・政府交渉報告

経産省、原子力規制庁、外務省は、私たちの追及に明確に反論できず
政府と東京電力は根拠のない大ウソで強引に「理解」を得ようとしていることが露呈
交渉の成果を広く知らせ、署名を拡大し、トリチウム汚染水海洋放出を止めよう!

私たち、脱原発福島県民会議をはじめ8団体は、「避難指示解除に伴う医療・介護保険料及び医療費の減免措置見直しの撤回」および「トリチウム汚染水(ALPS処理水)の海洋放出方針決定の撤回」を求め、4月19日に対政府交渉をもちました。後半の方針決定は、昨年4月、全国と福島県漁連等が「断固反対」し続ける中で、漁連をはじめ「関係者の理解」を得ないまま、当時の菅政権が強引に決定したものです。このように方針決定した後に「理解」をゴリ押ししようとしても無理があり、1年経っても全く「理解」は進んでいません。4月19日の対政府交渉では、海洋放出方針に法的・技術的根拠がないことを徹底追及し、政府や東京電力が根拠のない大ウソをついてまで強引に「理解」を得ようとしていることを暴き出し、私たちの主張が正しいことを認めさせました。

1.政府は、ALPS処理水海洋放出「方針決定」は、漁連等との「約束を破るものではない」と強弁

2015年に、福島県漁連がサブドレン及び地下水ドレンに同意した大前提には、政府と東京電力による「ALPS処理水を海洋放出しない」との文書回答があり、「同意」はこれと一体のものです。そして、現に地下水ドレン水6.5万トンがタンクへ移送されて「ALPS処理水」となっています。しかし経産省は、サブドレン等の運用方針は「トリチウム濃度が1,500Bq/Lを超える場合には、排出しない、希釈しない、タンクへ移送する」という「移送に関する規定」であり、「ALPS処理水の扱いはこれとは異なる」との詭弁を弄して私たちの追及を突っぱねました。また、昨年4月の政府によるALPS処理水海洋放出の「方針決定」も、文書回答による約束を破るものではなく、「ご理解を得られるように努力する」と開き直りました。
来春からのALPS処理水の海洋放出は、今発生している汚染水をALPS処理した水から優先的に排出するものです。今後サブドレン及び地下水ドレンで(1500Bq/Lを超えた場合に)タンクへ移送されれば、それもALPS処理後、優先的に海洋に排出されることになります。そうなれば、「タンクへ移送する」との運用方針が「タンクへ移送し、ALPS処理して排出する」という内容に、事実上書き換えられることになるとの私たちの指摘に対して、タンク移送後は異なる扱いになり、運用方針の書き換えではないと経産省は言い張ったのです。

2.ALPS処理水を来春から海洋放出する「3つの理由」は全て根拠なしの大ウソだった

ALPS処理水を来春から海洋放出する理由として挙げられた「3つの理由」、①タンクは来春満水になる、②廃炉作業のために敷地を空ける必要がある、③汚染水は今後も発生し続ける、のいずれも大ウソだったことが明らかになりました。

①満水になるタンク以外に、フランジタンク解体によるタンク増設可能エリアが約9万トン分あります。さらに、空けた状態の予備タンクが2.5万トン、計12万トン程度あります。「切羽詰まっている」のであれば、これらを転用すれば数年は大丈夫です。

②東電が示した廃炉作業に伴う敷地利用計画は、「2030年度頃までに共用プールを空けるための乾式キャスク仮保管施設、将来的に燃料デブリ一時保管施設等」というものです。しかし、これらは全く緊急性がありません。現在ある乾式キャスク仮保管施設と共用プールを合わせると、使用済燃料貯蔵容量には2,071体の余裕がありますので、1・2号の使用済燃料879体を取出して貯蔵しても十分余裕があります。ですから、共用プールは満杯でも、十分冷えた使用済み燃料から、現在ある乾式キャスク仮保管施設に移動すれば、「共用プールを空ける」必要などありません。また、燃料デブリ取出しも、シールドプラグに事故時放出量の数倍ものセシウムが検出されていて、極めて困難になり、見通しが立たない状況です。急いで敷地を空けなければならない理由など存在しないのです。

③建屋内滞留水のALPS処理とサブドレンによる系統的な周辺地下水水位低減で、すでにタービン建屋と廃棄物処理建屋は床面露出しています。さらに今、原子炉建屋の床面露出へと進んでいて、汚染水発生ゼロが可能な段階に来ています。現在は2週間に10cmのペースで滞留水の水位を下げており、2022年度末には1号炉で水深0.5m、2・3号炉で水深2.0mになり、このペースを順次続ければ90週、2年以内に原子炉建屋の床面露出は可能になります。屋根からの雨水侵入も1号機だけとなり、屋根の設置をあと1~2年で終えれば、汚染水発生ゼロは可能です。

経産省は、①~③に関するこれらの具体的な指摘に、まともに反論できませんでした。つまり、①タンク増設余地も空きタンクも十分ある、②急ぎの敷地利用計画など存在しない、③汚染水発生ゼロが実現可能な段階に来ている、のです。

3.「福島第一原発は敷地境界で1mSv/年を守れない違法状態にある」ことを規制庁は認めた
—緊急性のないさらなる放射能放出は一切認められない

福島第一原発は事故後、特定原子力施設に指定されていますが、現行法令を遵守する義務は原則として変らず、一般公衆の被ばく線量限度1mSv/年を担保するための敷地境界での1mSv/年の線量告示を守るべき義務があります。しかし、現状は守れない違法状態にあるのです。「措置を講ずべき事項」にいう「発災以降発生した瓦礫や汚染水等による敷地境界における実効線量を2013年3月末までに1mSv/年未満とすること」という管理基準を満たしても、違法状態にあります。今回の交渉の中で、以上のすべてを原子力規制庁は認めました。つまり、現状のように、敷地境界線量が1mSv/をかなり超える違法状態にある限り、液体・気体のさらなる放射性物質の放出は告示違反であること、地下水バイパスやサブドレン及び地下水ドレンの海洋放出を「苦渋の選択」で漁連が承諾した2015年の時のように、「汚染水の大量発生を阻止するため」など、よほど緊急避難的な理由がない限り、放射能汚染水の放出は認められないことが改めて明らかになりました。2.に記したように、ALPS処理水の海洋放出には、このような緊急避難的な理由など全く存在しません。

4.「ALPS処理水海洋放出は投棄に該当しないとの外務省決定」は、外務大臣を含めた会議や議事録の残る形の決定ではなかった

東電は、ALPS処理水を放出立坑と海底トンネル(パイプライン)を介して海洋放出する計画です。これは、ロンドン条約/議定書で禁止された「その他の人工海洋構築物からの故意の海洋処分」に該当する可能性があるため、私たちは、その観点からも禁止するよう求めていました。今回の交渉で、外務省は「ALPS処理水の海洋放出は投棄に該当しないと外務省決定した」と言いながら、いつ、どこで決定したのか追及されても明確に答えられず、挙げ句の果てに、「昨年4月の方針決定には外務省も入っているからそこで決定された」と主張したのです。つまり、こんな大事なことを外務官僚の内輪だけで判断し、外務大臣を含めた会議や議事録に残る形では決定していなかったのです。

議事録はこちら)(交渉資料はこちら

交渉の成果を広く知らせ、方針撤回署名をさらに拡大し、トリチウム汚染水海洋放出を止めよう!

今回の対政府交渉は、脱原発福島県民会議をはじめ、8団体で呼びかけて取り組んできた、度重なる政府交渉の上に行われたものです。その交渉の場で、経産省、原子力規制庁、外務省が、そろって私たちの主張に明確に反論できず、うろたえていた事実は極めて重要です。福島県漁連も全国漁連も「断固反対」の姿勢を堅持し、福島県でのアンケートでも8割で「ご理解」が進んでいません。トリチウム汚染水(ALPS処理水)の海洋放出は止められるし、止めねばなりません。そのために今回の交渉の成果と内容を広く知らせ、最大限に活用し、運動をさらに強めてゆきましょう。

規制委員会は5月18日、トリチウム汚染水(ALPS処理水)の海洋放出認可に関する審査書(案)を承認し、5月19日から6月18日(午前0時締切)まで、審査書(案)へのパブコメが行われています。トリチウム汚染(ALPS処理水)の政府方針決定(2021.4.13)を撤回させ、放出を阻止するため、パブコメに意見を出しましょう!

東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の実施計画変更認可申請(ALPS処理水の海洋放出関連設備の設置等)に係る審査書案 意見募集

福島県の漁業者をはじめ生産者とともに「原発のない福島を!県民大集会」が呼びかけている「海洋放出方針の再検討を求める署名」(方針撤回署名)をさらに広げ、福島県、全国、全世界から多くの声を集め、「トリチウム汚染水海洋放出」の方針を撤回させましょう!
オンライン署名、及び署名用紙のダウンロードもできます。

(前半の「避難指示解除に伴う医療・介護保険料及び医療費の減免措置見直しの撤回」の交渉内容は別紙 その議事録はこちら

政府交渉呼びかけ8団体:脱原発福島県民会議、双葉地方原発反対同盟、原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、全国被爆2世団体連絡協議会、原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、ヒバク反対キャンペーン

連絡先:原子力資料情報室(担当:高野聡)Tel:03-6821-3211<takano@cnic.jp>
チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西(担当:振津かつみ)Tel:090-3941-6612<cherno-kansai@titan.ocn.ne.jp>

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