○該当箇所:第3章第2節1(1)①E(b)「原子力は、燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく、数年にわたって国内保有燃料だけで発電が維持できる準国産エネルギー源として、優れた安定供給性と技術自給率を有する自律性が高い電源であり、他電源と遜色ないコスト水準で変動も少ない。」(p.60)
○意見の概要:2024年12月発電コスト検証WG試算では原子力は太陽光・風力より高い。AP1000やEPRなど革新軽水炉の建設費は1兆~2兆円に上がっていて、原発新設の経済性はすでにない。「他電源と遜色ないコスト水準」は撤回すべきである。
○意見:2024年12月の発電コスト検証WGの試算によれば、2040年新設では、太陽光(事業用)7.0~8.9円/kWh、太陽光(住宅用)7.8~10.7円/kWhに対し、原子力は12.5円/kWh以上と高い。しかも、新設電源の比較であるにもかかわらず、原子力の資本費は、旧型原発の建設費5,496億円+追加的安全対策費1,707億円=7,203億円と設定している。ところが、新設原発の建設費はAP1000やEPRなど革新軽水炉では1兆数千億円~2兆数千億円に上がっているにもかかわらず、それが反映されていない。三菱重工業のSRZ-1200は基本設計段階のため建設費を見積もることすらできない。原発新設の経済性はすでに失われているのであり、「他電源と遜色ないコスト水準」というのは撤回すべきである。
○理由:2024年12月の発電コスト検証WGの試算によると、2023年新設の太陽光(事業用)が10.9円/kWhに対し原子力は12.6円/kWh以上と高い。火力は、LNG火力19.1円/kWh、石炭火力24.8円/kWhで、もっと高い。2040年新設では、太陽光(事業用)7.0~8.9円/kWh、太陽光(住宅用)7.8~10.7円/kWh、原子力12.5円/kWh以上で太陽光の優位が高まる。原子力だけ「以上」となっているのは重大事故による損害賠償・廃炉費に事故発生確率をかけたコストによって変わるからであり、事故発生確率には恣意性が残る。しかも、新設原発を対象にしながら、その資本費を旧型原発の建設費5,496億円+追加的安全対策費1,707億円=7,203億円と設定している。これは「旧型原発を建てて福島事故後の平均的な追加的安全対策費を加える」ものであり、今後新設対象となるAP1000やEPRなど革新軽水炉とは異なる。AP1000やEPRなど革新軽水炉の建設費は1兆数千億円~2兆数千億円へ跳ね上がっている。三菱重工業のSRZ-1200は基本設計段階のため建設費を見積もることすらできない。原発新設の経済性はすでに失われているのであり、「他電源と遜色ないコスト水準」と断言するのは根拠がない。
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