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原子力規制委員会のパブリックコメントへ意見を3つ提出しました

原子力規制委員会のパブリックコメントへ意見を3つ提出しました

原子力規制委員会による「原子力発電所敷地内での使用済燃料の貯蔵に用いられる兼用キャスクに係る関係規則等の整備及びこれらに対する意見募集」(2018.12.6~2019.1.4)へ提出した意見は以下の通りです。

<意見その1>
原子力発電所敷地内での輸送・貯蔵兼用乾式キャスクによる使用済燃料の貯蔵に関する審査ガイド(案)p.20の「4.7 設計貯蔵期間」には「【審査における確認事項】設計貯蔵期間は、設置(変更)許可申請書で明確にされていること。【確認内容】設計貯蔵期間は、当該設計貯蔵期間中の兼用キャスクの安全機能を評価するに当たり、材料及び構造の経年変化の考慮を行うための前提条件となるため、設置(変更)許可申請書で明確にされていること。」とあるが、「中間貯蔵」とは名ばかりで、電力会社の「想定」している50年を超える貯蔵が避けられない可能性もある。ところが、設計貯蔵期間を超える貯蔵が必要になった場合の措置が明記されていない。設計貯蔵期間を超える可能性がある以上、設計貯蔵期間に至る何年前に再申請するとかの措置を明記すべきではないか。
また、乾式キャスクやそこに収納された使用済燃料の健全性はシミュレーション計算や加速実験によるものにとどまり、様々な照射・運転履歴をもつ、個々の使用済燃料についての50年以上の長期間に及ぶ実験データは存在しない。したがって、乾式キャスクの取替が必要になった時点で、収納された使用済燃料の実状がキャスク取替に耐えうる状態にあるという具体的な保証や実物検証をどのように行うのかについても明記すべきである。
さらに、設計貯蔵期間が50年以上の超長期に及ぶ場合、それを維持管理すべき電力会社等が経営体として存続しない場合も考えられる。超長期に及び乾式貯蔵能力をどのように評価するのか、明記すべきであろう。
原子力発電所敷地外での貯蔵については、審査ガイド案が提示されていないが、敷地内外で、どのような点が異なるのか。

<意見その2>
原子力発電所敷地内での輸送・貯蔵兼用乾式キャスクによる使用済燃料の貯蔵に関する審査ガイド(案)p.12の「4.2.4 その他の外部事象」の「火山立地評価」において、「新規制基準(平成25年7月及び同年12月の改正原子炉等規制法の施行に伴い改正された規則等をいう。以下同じ。)への適合性審査を経ていない発電用原子炉施設において、新規制基準の施行時に既に存在していた使用済燃料を使用済燃料貯蔵槽から兼用キャスクに移し替えることは、施設の維持・管理上の安全性を高めるものであり、当該移替えのための兼用キャスク設置に係る設置変更許可に当たっては、火山の立地評価は不要とする。」とあるが、乾式キャスクの自然冷却が火山灰で長時間阻害された場合には、プール貯蔵の場合とは異なり、キャスク内外の温度が制限値を超える場合もあるから、その対策を審査すべきではないか。

<意見その3>
実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則の解釈(原規技発第1306193号(平成25年6月19日原子力規制委員会決定)の第16条第5項に「また、上記第1項から第4項までの基準を満足するため、兼用キャスクは、当該兼用キャスクを構成する部材及び使用済燃料の経年変化を考慮した上で、使用済燃料の健全性を確保する設計とすること。ここで、「兼用キャスクを構成する部材及び使用済燃料の経年変化を考慮した上で、使用済燃料の健全性を確保する設計」とは、以下を満たす設計をいう。
・設計貯蔵期間を明確にしていること。
・設計貯蔵期間中の温度、放射線等の環境条件下での経年変化を考慮した材料及び構造であること。」
とあるが、設計貯蔵期間を超えた場合には、乾式貯蔵の操業停止命令を出すことになるが、監視作業が主体の乾式貯蔵では、安全対策上、監視をやめるわけにはいかないから、具体的には乾式貯蔵からプール貯蔵へ戻す命令、もしくは、変更申請による設計貯蔵期間の延長または再申請による新たな乾式キャスクへの収納物入替えが必要になるが、いずれも規定されていない。
 プール貯蔵へ戻す場合には、設計貯蔵期間にわたってプール貯蔵へ戻せる状態を保持することが必要であり、その性能要求の規定が不可欠である。
 設計貯蔵期間を延長する場合には、当初の設計貯蔵期間終了時点での現物のキャスクの健全性を確認できることが前提だが、上蓋やシールは交換できても、キャスク本体の補修は不可能であり、非破壊検査だけでは、その健全性を確認できないのではないか。
 また、新たな乾式キャスクへの収納物入替えに際しては、プール貯蔵へ戻す場合と同様に、当初の設計貯蔵期間にわたって新たな乾式キャスクへの入れ替えが可能な状態を保持することが必要であり、その性能要求の規定が不可欠である。

第5次エネルギー基本計画策定に向けた意見募集に意見を出しました

第5次エネルギー基本計画策定に向けた意見募集に本日、下記の意見を出しました。

経済産業省の第5次エネルギー基本計画(案)は、現在のエネルギー基本計画をほぼそのまま踏襲するという間違った前提から出発しており、欧米で現に着実にダイナミックに進んでいる脱原発・再生可能エネルギー普及という現実から目を閉ざし、国民の原発再稼働反対の過半数の声を踏みにじり、日本の再エネ普及を妨害し続けるものであり、結果として、日本を世界から孤立化させ、技術的な退廃と産業の深刻な立ち遅れを招く危険性が高い。
閣内においても、環境省や外務省は、国際的な動きを直視して、経済産業省とは異なる方針を掲げ、それぞれの政策を独自に展開しようとしており、経産省はこれらを見習って大胆に方針転換すべきである。
たとえば、環境省は6月15日、業務消費電力の100%を再生可能エネルギーで賄う「国際的企業連合RE100」に公的機関として世界で初参加することを認められ、今後は自ら自然エネ100%をめざし、「RE100大使」として日本企業の参加を現7社から2020年度までに50社へ増やす計画を打ち出した(2018年6月16日付け朝日新聞)。
また、外務省は2月19日、「気候変動対策で世界を先導する新しいエネルギー外交の推進を」と題する「外務省気候変動に関する有識者会合エネルギーに関する提言」を公表し、「もっぱら化石燃料資源の確保を目指してきた従来のエネルギー外交は、これからは、諸外国とともに、持続可能な未来の実現を希求する再生可能エネルギー外交を柱とするべきである。」と呼びかけている。
にもかかわらず、経済産業省は、相変わらず、原発と石炭火力を重要なベースロード電源として推進し、再生可能エネルギーについては「2030年のエネルギーミックスにおける電源構成比率の確実な実現を目指し、主力電源化への布石を打つ」というに留まり、(1)電力需給面からの接続可能量の制約(これを超える接続には無制限・無補償の出力制限をかける)、(2)送電容量面からの接続拒否、(3)接続可能な変電所までの配線工事・管理費負担など、再エネ普及を現に妨げている「原発と石炭火力優先による再エネ推進妨害策」を是正しようとしていない。
(1)の再エネ接続可能量は、運転停止中の原発が福島事故以前の平均設備利用率で稼働することを前提として算出されるなど原発優遇策そのものであり、(2)は長期運転停止・建設中の原発等が送電容量の多くを占有する方針がとられていて、「日本版コネクト&マネージ」で数十万kWの空容量確保策も焼け石に水であり、欧米における再エネの優先接続・優先給電の原則とはかなり異なる。(3)の接続工事・管理費は送電網管理者が全体として最適な接続管理を行うことで解決できるはずである。(2)と(3)を欧米並みに行うには、電力会社の支配を形式的に法的分離しただけの送電事業子会社に送電網管理を行わせるのではなく、公平で中立的な公的管理者に送電網管理権を譲渡させるべきである。現在の「電力広域的運営推進機関」の議決権は事実上、9電力会社が握っていて、送配電網の所有権はもとよりその管理権も手放そうとはしていない。このような状況では、欧米のような送配電網の公平な運用はありえない。
さらに、経済産業省は「再生可能エネルギーは火力に依存しており、脱炭素化電源ではない。蓄電・水素と組み合わせれば脱炭素化電源となりうるが、高コストで開発途上である。」としているが、このような偏った評価は欧米では通じない。欧米では「蓄電池・水素と組み合わせて再エネを普及させている」わけではない。再エネによる電力を送電網に優先接続・優先給電させ、送電網全体で変動を吸収しており、「火力に依存している」というのは著しい事実誤認であり、そこには意図的な悪意すら感じられる。再エネが50~100%になれば蓄電池も必要になるかも知れないが、それは、欧米でもまだ先の話であり、ましてや日本では論外である。太陽光発電は昼間のピーク電力を吸収することに役立ち、太陽光・風力の変動は日本全国の統一した送電網管理を行えば十分吸収できる。
経済産業省は、現在の原発・石炭火力優遇のエネルギー基本計画に捕らわれる余り、国際的なエネルギー状況を真っ直ぐに見つめられず、歪んで誤った理解を正当化しようとしている。国民がそれに気付かないとでも思っているのであろうか。余りにも国民を馬鹿にした第5次エネルギー基本計画(案)は即刻撤回し、国際情勢を素直に反映させた外務省や環境省の考えに沿って、全面的に書き直すべきである。

3月30日にようやく意見募集の結果が公表されました

3月3日のパブコメ締切から4週間後の3月30日にようやく意見募集の結果が公表されました。「『電気事業法に基づく経済産業大臣の処分に係る審査基準等の一部を改正する訓令案』に対する御意見の概要と考え方」がそれですが、これまで通りの説明に留まっています。他方では、廃炉等積立金制度が2017年度から始まり、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が3月30日付けで、2017年度の廃炉等積立金の額を3,913億1,588万円と決めました。東京電力パワーグリッドは、2018年度から託送料金で1,200~2,000億円の「廃炉等負担金」を捻出し、東電全体で毎年2,000億円を積立てねばならないことになります。東電管内での託送料金高止まりと送配電網更新・修繕の先送りによる事故・停電が危惧されます。

これまでと変わらない内容ですが、経産省による意見概要とそれへの回答をご覧下さい。あきれてものが言えません。

<御意見の概要>———————-
今回の訓令改定案は、「東電管内での託送料金高止まり」の可能性を是正するものだとされるが、そもそも託送料金が高止まりにならなければ巨額の超過利潤は捻出できないのであり、問題点を解消するどころか、実質的な「託送料金高止まり状態」を生み出す一方、送配電網の更新・修繕の阻害という新たな問題点を生み出すことになる。
 仮に、訓令改定案が施行されて託送料金が値下げされれば、その原価には「廃炉等負担金」が含まれないため、何らかの形で超過利潤が生まれる仕組みを他に求めることになる。たとえば、老朽化した送配電網の更新はすでに法定耐用年数を大幅に超えており、今の更新水準の5倍にも引上げる必要があるが、この設備更新費や修繕費などを託送料金変更時の原価に算入して託送料金の値下げ幅を抑制したり、実質的に値上げしたりする一方、実際には設備更新や修繕を先送りして超過利潤を捻出するなどの「対策」がとられる恐れがある。
 このような事態は、これまで実際に行われてきた経緯があり、「東京電力に関する経営・財務調査委員会報告」(2011.10.3)でもその問題点が指摘されてきたところである。
 今回の訓令改定案は、この電気事業会計規則改定のかかえる根本的な問題点を解決するどころか、実質的に託送料金高止まりを助長する一方、送配電網の更新や修繕を遅らせて大停電の危険をたぐり寄せるものであり、撤回すべきである。
 そもそも、福島原発廃炉費は、事故を起こした東電の責任を明確にして東電の破産処理を行い、東電を支えてきた株主や金融機関に債権放棄させて賄うべきであり、その不足分は、原発を推進してきた国の責任を明確にした上で、脱原発へ転換し、電気料金ではなく累進課税で賄うべきである。電力消費者に福島原発事故の責任はない。にもかかわらず、東電を救済し、東電GPにだけ超過利潤隠しを公然と認めて、優遇するのは本末転倒である。

<御意見に対する考え方>————————
東京電力グループは、福島第一原発の廃炉・汚染水対策のほか、賠償や除染に必要な資金を捻出するため、非連続な経営改革に取り組むこととしております。こうした中で、廃炉を確実に実施するため、必要な資金の捻出に支障を来すことのないよう、東電PGの送配電事業の合理化分を廃炉資金へ充当することが認められています。
今回の改正案は、これにより託送料金の値下げ機会が不当に損なわれ、東電PGの託送料金が高止まりすることのないよう、その託送収支の事後評価に当たって、現行の料金値下げ命令の判断基準を踏まえ、新たな評価基準を策定したものです。
なお、事故炉の廃炉については、今後、東京電力グループ全体での総力を挙げた合理化等により必要な資金を確保することとするとしており、当該資金の全てを送配電部門の合理化によって賄うものではございません。
また、仮に東電を破綻させ、法的整理を行った場合、破綻処理により資産を売却しても多額の売却益を見込めない上、東電が将来の収益をもって責任を果たすべき廃炉・汚染水対策や賠償の費用相当が国民負担となります。また、国が出資した東電株も無価値化するため、結果的に国民負担が増加することとなります。したがって、国民負担の最小化のためにも、東電を破綻させるのではなく、東電が経営改革により収益と企業価値を上げながら、福島に対する責任をしっかり果たしていくことが適切であると考えています。

<御意見の概要>————————
 「2016年度託送供給等収支」報告書によれば、当期超過利潤額561億円、当期超過利潤累積額は301億円になる。仮に、当期超過利潤額を全額「廃炉等負担金」に振り替えれば、当期超過利潤額はゼロになり、当期超過利潤累積額はマイナスのまま推移し、一定水準額が3/5に下げられても、これを超えることはなくなる。
 他方、託送単価の想定単価との乖離率は2.5%増となっている。仮に、当期超過利潤額を全額「廃炉等負担金」に振り替えれば、費用減少幅は2.5%に下がり、託送単価の乖離率は3.9%増となり、乖離率はプラスのまま推移し、「乖離率マイナス3%」へ引き下げられても、この基準より下がることはなくなる。
 電力他社の1/3以上が託送料金値下げを実施し、または5社以上で乖離率がマイナス5%を超過し、それが構造的要因だと判断されれば、東電PGも託送料金値下げを命令されることになる。ところが、この際には、「廃炉等負担金」は「託送原価」には入らないため、「廃炉等負担金」が値下げされた託送料金から回収できる保証がないだけでなく、それまで確保されていた超過利潤の源泉がなくなってしまう。この悪循環が断たれるためには、託送電力量が増加へ転じる以外にないが、省エネ、自家発電住宅、人口減の下では、それもありえない。つまり、託送料金から超過利潤を捻出して「廃炉等負担金」に振り替えるという仕組みが成り立たないのである。
 にもかかわらず、無理に「廃炉等負担金」を託送料金で賄おうとすれば、送電費用の3~4割を占める設備更新費・修繕費にしわ寄せが行くのは明らかである。託送料金による1,200~2,000億円もの「廃炉当負担金」の捻出は撤回すべきである。

<御意見に対する考え方>————————
福島第一原発の廃炉については、その所要資金が増大する中、円滑な廃炉の実施を担保するためには、中長期にわたり、着実に資金を確保できる仕組みを構築することが必要となっています。これを踏まえ、消費者への負担をできる限り抑制する観点から、消費者に直接負担を求める料金の値上げで対応するのではなく、発電事業、小売事業のみならず、送配電事業も含めた東電グループ全体の総力を挙げた経営の合理化を求め、その合理化分について、福島第一原発の廃炉のための資金確保に活用できることとしております。このため、すべての資金を送配電部門の合理化によって賄うものではございません。

「電気事業法に基づく経済産業大臣の処分に係る審査基準等の一部を改正する訓令案」 への2つ目の意見提出

「電気事業法に基づく経済産業大臣の処分に係る審査基準等の一部を改正する訓令案」に2つ目の意見を提出しました。

<2つ目の意見(2018年2月21日提出)>

東京電力パワーグリッド(東電PG)の「2016年度託送供給等収支」報告書によれば、当期超過利潤累積額は301億円に留まり、託送料金引き下げ基準の「一定水準額1,278億円」を超えず、託送原価乖離率も2.5%増となり、託送料金引き下げ基準の「乖離率マイナス5%」(5%減)にはほど遠い。

超過利潤額の全額または大半を「廃炉等負担金」に振り替えれば、たとえ、託送料金引き下げ基準の超過利潤累積額を3/5へ下げ、同乖離率をマイナス3%へ下げても、これらの基準を満たすことはなくなる。託送電力量が減少し続けている現状で、1,200~2,000億円もの超過利潤を捻出し、「廃炉当負担金」へ振り替えようとすれば、設備更新費・修繕費の無理なコスト削減=更新・修繕の先送りによる送配電網の劣化・停電事故の発生につながる。無理に託送料金を引き下げれば、それに拍車が掛かる。託送料金による廃炉費6兆円の捻出は撤回すべきである。

具体的には次の通りである。

(1)「2016年度託送供給等収支」報告書によれば、営業収益1兆6,359億円から営業費用1兆4,851億円を差し引いた当期純利益は748億円、ここから事業報酬額958億円を差し引き、財務費用520億円を加算して調整した残りが当期超過利潤額561億円となっている。前期超過利潤累積額がマイナス261億円なので、当期超過利潤累積額は301億円になる。仮に、当期超過利潤額を全額「廃炉等負担金」に振り替えれば、当期超過利潤額はゼロになり、当期超過利潤累積額はマイナスのまま推移し、一定水準額が3/5に下げられても、これを超えることはなくなる。

(2)他方、託送電力量は2016年度までの3年累計で8,153億kWhに留まり、2012~14年の想定量8,698億kWhより6.3%減少しており、同3年累計での費用減少幅3.8%を超えている。その結果、託送単価の想定単価との乖離率は2.5%増となっている。仮に、当期超過利潤額を全額「廃炉等負担金」に振り替えれば、費用減少幅は2.5%に下がり、託送単価の乖離率は3.9%増となり、乖離率はプラスのまま推移し、「乖離率マイナス3%」へ引き下げられても、この基準より下がることはなくなる。

(3)東電PGの「廃炉等負担金」額とグループ他社の経常利益との関係が定められてはいるが、東電PGが1,200億円を超過利潤から捻出することが想定されており、グループ他社の経常利益が2,000億円を下回れば、東電GPが最大2,000億円まで負担することが期待されている。つまり、東電PGが廃炉費6兆円を30年かけて毎年2,000億円を積立てる中心的役割を果たすことが前提とされており、東電PGは毎年1,200~2,000億円の超過利潤を生み出し、それを「廃炉等負担金」として東電ホールディングスへ供出することが期待されていると言える。

(4)ところが、1,200~2,000億円の超過利潤を生み出すためには、想定レベルから託送電力需要量が8~14%増えるか、託送原価を8~14%削減する以外にない。ところが、託送電力量は過去3年間で6.3%も減少しており、託送原価をより大幅に削減する以外にない。

本来であれば、託送原価の乖離率が5%減(改定後は3%減)となった時点で託送料金を引き下げるべきところ、コストダウンで得た超過利潤を全額「廃炉等負担金」に振り替えれば、いつまで経っても乖離率がこの基準を下回ることはなく、託送料金の現状での高止まりが続くことになる。

(5)しかし、電力他社の1/3以上が託送料金値下げを実施し、または5社以上で乖離率がマイナス5%を超過し、それが構造的要因だと判断されれば、東電PGも託送料金値下げを命令されることになる。ところが、この際には、「廃炉等負担金」は「託送原価」には入らないため、「廃炉等負担金」が値下げされた託送料金から回収できる保証がないだけでなく、それまで確保されていた超過利潤の源泉がなくなってしまう。この悪循環が断たれるためには、託送電力量が増加へ転じる以外にないが、省エネ、自家発電住宅、人口減の下では、それもありえない。つまり、託送料金から超過利潤を捻出して「廃炉等負担金」に振り替えるという仕組みが成り立たないのである。

にもかかわらず、無理に「廃炉等負担金」を託送料金で賄おうとすれば、送電費用の3~4割を占める設備更新費・修繕費にしわ寄せが行くのは明らかである。

これらのことは、「2016年度託送供給等収支」報告書をみれば、明らかである。託送料金による1,200~2,000億円もの「廃炉当負担金」の捻出は撤回すべきである。

「電気事業法に基づく経済産業大臣の処分に係る審査基準等の一部を改正する訓令案」への意見募集に意見を提出しました

「電気事業法に基づく経済産業大臣の処分に係る審査基準等の一部を改正する訓令案」への意見募集に意見を提出しました

今回意見募集の対象となった訓令案は、「廃炉費6兆円を託送料金等から毎年2,000億円を30年間で原子力損害賠償・廃炉等支援機構に積立てる」ためのものです。
東電管内の託送料金から毎年1,200億円ないし2,000億円を超過利潤から捻出するものであり、超過利潤として捻出されたものを「廃炉等負担金」という費用に計上して超過利潤でないかのように隠すものです。その結果、東電管内では託送料金が高止まりになるのが避けられないため、東電パワーグリッドにだけ特別な託送料金値下げ基準を作ろうとするものです。しかし、その本質は「実質的な託送料金高止まり」であり、送配電網の更新や修繕を妨げるものです。
詳しくはこちらをご覧下さい。 関連する質問主意書もこちらにあります。
皆さんも、ぜひ、ご意見を提出して下さい。。(意見募集のHPはこちら:2018年3月3日まで)

<訓令改定案への意見(2018.2.13)>

今回の訓令改定案は、廃炉費6兆円を30年間で積立てるための電気事業会計規則改定の問題点を解消するためのものである。先の電気事業会計規則改定では、東電パワーグリッド(東電PG)の超過利潤から毎年約1,200億円ないし約2,000億円程度を「廃炉等負担金」として営業費用に振り替えることが可能になったが、これは東電GPだけに特権的に許された「合法的な超過利潤隠し」である。
この巨額の超過利潤は、東電管内の電力消費者から徴収した託送料金から捻出されたものであり、他の一般送電事業者の場合と同様に、(1)超過利潤が一定水準額(固定資産の平均帳簿価額×事業報酬率)を超えたり、(2)実績原価が想定原価より-5%を超えて乖離したりすれば、託送料金を値下げし、電力消費者へ超過利潤を還元すべきである。そうしなければ、東電管内で、託送料金の高止まりが避けられず、電力消費者に不当な負担を強いることになる。
今回の訓令改定案は、「東電管内での託送料金高止まり」の可能性を是正するものだとされるが、そもそも託送料金が高止まりにならなければ巨額の超過利潤は捻出できないのであり、問題点を解消するどころか、実質的な「託送料金高止まり状態」を生み出す一方、送配電網の更新・修繕の阻害という新たな問題点を生み出すことになる。仮に、訓令改定案が施行されて託送料金が値下げされれば、その原価には「廃炉等負担金」が含まれないため、何らかの形で超過利潤が生まれる仕組みを他に求めることになる。たとえば、老朽化した送配電網の更新はすでに法定耐用年数を大幅に超えており、今の更新水準の5倍にも引上げる必要があるが、この設備更新費や修繕費などを託送料金変更時の原価に算入して託送料金の値下げ幅を抑制したり、実質的に値上げしたりする一方、実際には設備更新や修繕を先送りして超過利潤を捻出するなどの「対策」がとられる恐れがある。このような事態は、これまで実際に行われてきた経緯があり、「東京電力に関する経営・財務調査委員会報告」(2011.10.3)でもその問題点が指摘されてきたところである。先の電気事業会計規則改定(2020年度施行予定)はそれを助長するものであり、撤回すべきである。今回の訓令改定案は、この電気事業会計規則改定のかかえる根本的な問題点を解決するどころか、実質的に託送料金高止まりを助長する一方、送配電網の更新や修繕を遅らせて大停電の危険をたぐり寄せるものであり、撤回すべきである。
そもそも、福島原発廃炉費は、事故を起こした東電の責任を明確にして東電の破産処理を行い、東電を支えてきた株主や金融機関に債権放棄させて賄うべきであり、その不足分は、原発を推進してきた国の責任を明確にした上で、脱原発へ転換し、電気料金ではなく累進課税で賄うべきである。電力消費者に福島原発事故の責任はない。にもかかわらず、東電を救済し、東電GPにだけ超過利潤隠しを公然と認めて、優遇するのは本末転倒である。

伊方3号の運転差止仮処分申立を却下した2017年3月30日の広島地裁決定を受け、広島高等裁判所民事部へ下記の意見書を提出しました。

伊方3号の運転差止仮処分申立を却下した広島地裁決定は
司法の責任を回避し,「不作為の瑕疵」を容認するもの
2017年4月28日
大阪府立大学名誉教授 長沢啓行

(全文のpdfはこちら)

1 はじめに
2 司法審査の在り方
3 基準地震動策定の合理性:震源を特定せず策定する地震動
4 基準地震動策定の合理性:震源を特定して策定する地震動
 4.1 応答スペクトルに基づく地震動評価
 4.2 断層モデルによる地震動評価
  4.2.1 島崎邦彦氏による問題提起の顛末
  4.2.2 Fujii-Matsu’ura の応力降下量
  4.2.3 壇ら(2011)の応力降下量
 4.3 認識論的・偶然的不確実さの考慮
5 結言

[要旨]
伊方3 号の運転差止仮処分申立を却下した2017年3 月30 日の広島地裁決定には,下記のように看過しがたい重大な誤判断と司法の責任放棄がある.
(1)広島地裁決定は,債務者の主張を鵜呑みにして「合理的」だと判断する一方,「確証がない」と吐露して「主張・疎明が不十分である」ことを認めながら,「さらなる証拠調べは本件のような保全手続きにはなじまない」と司法の責任を放棄し,人格権よりも経済活動の自由を優先させた.
(2)「震源を特定せず策定する地震動」は,「震源を特定して策定する地震動」とは独立して検討すべきものだが,広島地裁決定は,それが「補完的」であり「ミニマムリクワイアメント」だとする債務者の誤った主張を鵜呑みにした.また,「震源を特定せず策定する地震動」の対象とする地震観測記録が少ないことを原子力規制委員会自身が認め,電気事業連合会等での「研究が進まないことが原因だ」として研究を進めるよう懇願している現状がある一方,地震観測記録の不足を補うための地震動再現モデルや断層モデルによる地震動解析がかなり進んでいるにもかかわらず,一切採用されていない.広島地裁決定は,「各種の不確かさの考慮」の一環として後者の採用を促すべきところ,債務者の「仮想に仮想を重ねたもの」との批難を鵜呑みにし,原子力規制委員会の不作為を容認した.
(3)広島地裁決定は,敷地前面海域の54km と69km の鉛直モデルに対する耐専スペクトルについて,(a)「他の距離減衰式」との乖離が大きい,(b)構築時に至近距離の観測記録がなかった,(c)実際に耐専スペクトルに沿った地震動が起こる可能性は示唆されない,との理由から適用外にしても「不合理ではない」としたが,すべて誤判断である.「他の距離減衰式」こそが震源域で地震動を頭打ちにする構造をもっており,構築時の近距離地震観測記録に乏しく,現実に起きた震源域内地震観測記録を大きく過小評価している.他方,耐専スペクトルは遠ざかる方向へ伸びる,あるいは,傾斜する断層に対しては地震動を過小評価する傾向にあるが,広島地裁決定は,上記鉛直モデルを採用しない代わりに,54km,69km 北傾斜モデルや480km 鉛直モデルなど本来採用すべきでないものを採用することを「合理的だ」と判断した.
(4)前原子力規制委員長代理の島崎邦彦氏による問題提起は,「原子力規制委員会は地震動の専門知識に欠け,原子力規制庁による情報操作やレシピ改ざんを見抜けない」という現状を暴露するとともに,その主張は熊本地震によって裏付けられ,地震調査研究推進本部による12 月レシピ改訂でその正しさが認定された.レシピ(ア)で用いられている入倉・三宅式は地下のすべり量分布から推定される「不均質な震源断層」に適合し,レシピ(イ)の松田式等は測地データや変動地形学等から推定される「均質な震源断層」に適合する.地震観測記録のない原発の審査で使われる「詳細な調査に基づく震源断層」は後者であり,「不均質な震源断層」は事前には推定できず,レシピ(イ)を用いるしかない.ところが,広島地裁決定は,「入倉・三宅式を適用したことが合理性を欠くものとはいい難い」とする一方,確信を得るためには慎重な吟味が必要だとしながら,「保全手続きにはなじまない」と司法の責任を放棄した.
(5)伊方3 号の断層モデルによる地震動評価では,Fujii-Matsu’ura(2000) と壇ら(2011) の応力降下量を用いているが,いずれも,「均質な震源断層」と「不均質な震源断層」のデータを混在させて得た結果であり,その妥当性には疑問がある.しかも,断層幅が15km のシミュレーション結果を11~13km 幅の横ずれ断層が主な中央構造線断層帯に準用したものであり,応力降下量を過小設定している.広島地裁決定は,54km モデルをすべり量の飽和した長大な断層と見なすかどうかなど債務者の想定の合理性について「確証を得るには慎重な検討が必要」としながら,「仮処分手続きにはなじまない」と,ここでも司法の責任を放棄した.
(6)広島地裁決定は,偶然的不確実さと認識論的不確実さを分類して評価する必要性を認めながら,偶然的不確実さについては全く言及せず,無視している.両者を分離して定量的に評価した最近の研究では,偶然的不確実さは「平均+標準偏差が平均の1.75 倍になる」との結果が出されており,認識論的不確かさの精度を考慮すれば,「平均+標準偏差を少なくとも平均の2 倍」とみなし,余裕をもった地震動評価にすべきである.

経団連の1月16日提言を受け、中間取りまとめに対する9つ目の意見を出しました

経団連による1月16日の提言=「電力システム改革貫徹のための政策小委員会(貫徹小委)」の中間取りまとめに対する提言を受け、9つ目の意見を出しました。経団連は「原発再稼働が進まない中では、非化石電力が不足し、電気料金全体の上昇の懸念があるとして、平成29年度の市場創設には反対」(産経新聞2017/1/16)しているようですが、これは原発が再生可能エネルギーの普及を妨げているからです。それを指摘するための意見を下記のように提出しました。

「2.5. 非化石価値取引市場の創設」(pp.11-15)について

非化石価値取引市場の創設については、「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律(以下、「高度化法」という。)により、小売電気事業者は、自ら調達する電気の非化石電源比率を2030年度に44%以上にすることが求められている。(中略)取引所取引の割合が比較的高い新規参入者にとっては特に、非化石電源を調達する手段が限定される状況になっており、高度化法の目標達成が困難な面がある。」(p.11)ことから、「(1)非化石価値を顕在化し、取引を可能とすることで、小売電気事業者の非化石電源調達目標の達成を後押しするとともに、(2)需要家にとっての選択肢を拡大しつつ、FIT制度による国民負担の軽減に資する、新たな市場である非化石価値取引市場を創設することが適当である。」(pp.11-12)とされている。後者の(2)については市場の設計と運用次第で国民負担軽減に寄与すると期待されるが、前者の(1)は政府のエネルギー基本計画に強く依存しており、再生可能エネルギーを大幅に拡大するように変更しない限り、実現できない。

とくに、「非化石証書に関して、その由来する非化石電源種は再生可能エネルギー、原子力が考えられる」(p.13)としているが、「震災前の設備利用率で廃炉になっていない全原発が稼働する」ことを想定した上で再生可能エネルギーの「接続可能量」が毎年設定されており、これを超える場合には「無制限の出力制限」が行われるため、再生可能エネルギー開発事業者は再エネの設置拡大を抑制せざるを得ない状況に置かれている。原子力については、国民の過半数が再稼働に反対しているにも係わらず、原子力が再生可能エネルギーの拡大を政策的に抑制しているのである。

原子力を非化石電源種と見なして「非化石証書」の発行を認めるのは、再生可能エネルギーの普及拡大を妨げるものであり、原子力を「非化石証書」の対象から外すべきである。そして、原子力が再生可能エネルギー普及の桎梏となっている現状を打開するため、エネルギー基本計画を抜本的に改定し、2030年の原子力の比率をゼロにするよう勧告すべきである。そうしない限り、再生可能エネルギーの抜本的拡大は望めないし、「非化石証書」が「非化石電源比率を2030年度に44%以上にする」目標達成に寄与することもできない。

原子力は、発電時にCO2を出さないとされるが、核燃料サイクル全体ではかなりの電力を消費しCO2排出源にもなっているし、発電すれば確実に極めて危険な「死の灰」や超ウラン元素が生み出される。この「負の遺産」はCO2以上に深刻な環境破壊をもたらす源泉であり、福島第一原発事故のように原発重大事故の際には直接的な原子力災害をもたらす。それを実際に経験した日本で、原子力を再生可能エネルギーと同列に置き、「非化石電源種」とみなして「非化石証書」まで発行させるのは余りにも非常識であり、許されることではない。福島の原子力被災者を前にして「原子力は非化石電源種だ」と主張できる鉄面皮な人間はいないはずである。

「FIT電源については、2017年度に発電したFIT電気から市場取引対象とし、できるだけ早い時期に取引を開始できるよう詳細設計・システム対応等に努めることとする。」(p.29)としているが、同時に「接続可能量」の撤廃による再生可能エネルギーの普及拡大を政府に勧告すべきである。経団連は原発再稼働の見込みが乏しいことから2017年度の市場創設に反対しているが、むしろ、逆に、市場創設により、非化石証書の絶対数が不足している現状を浮きださせ、再生可能エネルギーの普及を原子力が妨げている事実を明らかにし、再生可能エネルギー普及に向けたエネルギー基本計画の抜本的改定を求めるべきである。これなくして、非化石価値取引市場は機能せず、意味をなさないのだから

 

「電力システム改革貫徹のための政策小委員会中間とりまとめ」に8つ目の意見を出しました

「電力システム改革貫徹のための政策小委員会中間とりまとめ」に8つ目の意見を出しました。

「2.2. ベースロード電源市場の創設」(pp.3-7)について

中間取りまとめにおけるベースロード電源市場創設の最大の理由は、「石炭や大型水力、原子力等の安価なベースロード電源」に対する「旧一般電気事業者と新規参入者のベースロード電源へのアクセス環境のイコールフッティングを図ること」である。しかし、これは時代遅れであり、自由な電力市場という考え方にもそぐわない。第1に、「活発な競争が行われている自由化先進国」では「ベースロード電源」という位置づけをなくす方向であり、ドイツ等では「脱原発」を国家の政策として掲げて原子力をなくす方向をとっている。「卸電力市場の流動性」を高めることこそが重要であり、そのためには旧一般電気事業者の電力のほとんどを卸電力市場に供出させ、すべての小売り事業者が卸電力市場で電力を調達できるようにする仕組みをこそ検討すべきである。そうでなければ、「スポット市場における取引量の国内電力消費量に占める割合」を「英国:約51%(2013年度)、北欧:約86%(2013年度)、フランス:約25%(2015年)」(p.3注)のように高めることはできない。第2に、中間とりまとめでは「同市場に供出することができる電源種は基本的には限定しないこととする。」(pp.4-5)ともしており、そうであれば、「ベースロード電源」という名称は全く不要であり、電源種を問わない「卸電力市場」に旧一般電気事業者から電力を供出させる仕組みをこそ検討すべきである。第3に、原子力を「安価なベースロード電源」と位置づけるのであれば、「3.2. 原子力事故に係る賠償への備えに関する負担の在り方」、「3.3. 福島第一原子力発電所の廃炉の資金管理・確保の在り方」および「3.4. 廃炉に関する会計制度の扱い」は全面的に削除すべきである。なぜなら、原子力が安価な電源であるというのであれば、原子力に特段の優遇措置を講じる必要は認められないからである。また、国民の過半数が原発の再稼働に反対している現状からすれば、原発再稼働を前提にして、原子力による電力を「ベースロード電源市場」や卸電源市場に強制的に供出させることは断じて行うべきではない。第4に、石炭火力についても、国際的には石炭火力を削減する方向であり、これをベースロード電源として積極的に活用する政策を打ち出すのはパリ協定締約国として恥ずかしい。最も安価な大型水力を除けば、中間とりまとめが念頭に置いている「ベースロード電源」は原子力と石炭火力であり、「脱原発・脱石炭」の国際的な流れに反する。以上より、「ベースロード電源市場の創設」を断念し、原子力と石炭を可能な限り速やかに削減していくような電力市場の設置・運営方針を検討し直すべきである。

また、本来、東京電力や原子力事業者が負担すべき福島原発事故関連費や廃炉関連費を託送料金によって新電力契約者からも徴収する仕組みを導入するに際して、その代償として原子力の電力を新電力にも提供するとしているが、これは筋が違うので、全面的に撤回すべきである。むしろ、新電力が原子力にアクセスできないようにすべきである。新電力へ契約変更した家庭(低圧電力消費者)の多くは原子力を拒否したいのだから。

たとえば、「3.2. 原子力事故に係る賠償への備えに関する負担の在り方」の「(3)留意事項」には「原子力に関する費用について、託送料金の仕組みを通じた回収を認めることは、結果として、原子力事業者に対し、他の事業者に比べて相対的な負担の減少をもたらすものである。このため、競争上の公平性を確保する観点から、原子力事業者に対しては、例えば、原子力発電から得られる電気の一定量を小売電気事業者が広く調達できるようにするなど、一定の制度的措置を講ずるべきである。」(p.20)としているが、「競争上の公平性を確保する観点」と「原子力へのアクセス確保」は無関係である。家庭の電力消費者から見れば、原子力事業者でない新電力の魅力は「再生可能エネルギーなど原子力以外の電力を供給」している点にあるからである。「原子力事故に係る賠償への備えに関する負担」を新電力に義務づけるのをやめ、新電力の原子力へのアクセスを不可能にし、旧一般電気事業者には原子力と石炭火力以外の電力の卸電力市場への供出を措置すべきである。

「3.4. 廃炉に関する会計制度の扱い」の「(3)留意事項」でも「発電に係る費用については、本来、発電部門で負担すべきであり、託送料金の仕組みを利用して廃炉会計制度を継続することは、制度を適用した事業者と他の事業者との公平な競争環境を損なうこととなる。(中略)原子力発電から得られる電気の一定量を小売電気事業者が広く調達できるようにする」(p.24)としているが、これも同様である。

電力システム改革貫徹のための政策小委員会 中間とりまとめに対する7つめの意見を提出しました

「3.4.廃炉に関する会計制度の扱い (2)原子力発電施設解体引当金について」(p.25)の「(参考図18)見直しのイメージ」には、「引当方法は、定額法を維持し、引当期間を40年に前倒した上で全額を事業者の負担で引当て。ただし、運転期間の延長が認められた場合には、適切な費用配分の観点から、その時点で引当期間を60年に延長することを認める。」とある。これでは、早期廃炉にして廃炉会計制度の対象とする(解体引当金残額を10年間で分割回収する)よりも、新規制基準適合のための対策工事を行って運転期間を60年に延長させるほうが有利になる。高浜1・2号や美浜3号のように、40年を超えて運転を続けようとするものに対しては、早期廃炉にしないのだから、例外なく、引当期間を40年に前倒しすべきである。
とくに、廃炉会計制度によるコスト回収が託送料金を通じて行われることになれば、巨額の対策工事費を費やしても、運転60年またはそれ以前に廃炉になっても、その時点で未償却資産はすべて、廃炉後10年間での定額償却と確実なコスト回収が保証されることから、早期廃炉への動機付けはますます失われる。
いやしくも、早期廃炉への動機付けを主張するのであれば、「運転期間の延長が認められた場合には・・・引当期間を60年に延長することを認める」とのただし書きは撤回すべきである。
また、廃炉会計制度によるコスト回収を託送料金に転嫁して行う方針は、高浜1・2号や美浜3号で典型的に見られたように、巨額の工事費を要する40年超運転への動機付けを一層高めるものであり、撤回すべきである。
電力自由化の下では、廃炉会計制度の対象となるものも含めた、すべての原発コストについて、電力市場で決まる電気料金で回収すべきである。それが困難だというのであれば、電力会社が自ら原発の40年超運転を断念すべきである。早期廃炉を決断した場合にも、廃炉後の未償却資産の長期分割回収を認めて特別損失の一括計上を求めないことはあっても、それを託送料金に転嫁して確実に回収するようなことを保証すべきではない。それは電力自由化の考えに反するからである。

「電力システム改革貫徹のための政策小委員会中間とりまとめ」の意見公募に意見を6つ提出しました

「電力システム改革貫徹のための政策小委員会中間とりまとめ」の意見公募に意見を6つ提出しました。

意見募集のサイトはこちら(2016年12月19日~2017年1月17日)

黙っていては国民が馬鹿にされます。皆さんも、意見をドンドン出してください。
とんでもない経産省と東京電力、電力会社などをギャフンと言わせましょう。
署名もやっていますので、ご協力ください(署名はこちら)。

<意見1>——————————————–
「3.2.原子力事故に係る賠償への備えに関する負担の在り方」(pp.17-21)と東電の破産処理について
福島第一原発事故の損害賠償費7.9兆円、福島原発廃炉費8兆円、除染費4兆円、放射能汚染土等中間貯蔵施設費1.6兆円など合計21.5兆円、さらに来年度予算から公共事業費で賄おうとしている帰還困難区域除染費等は全額、事故を起こした責任者である東京電力が支払うべきである。それができないのであれば、東京電力を破産処理し、東京電力の歴代役員は私財を供出し、社債株主、一般株主、金融機関は債権放棄し、事故の連帯責任をとるべきである。2016年3月末現在、東京電力ホールディングスの純資産は2.2兆円だが、社債2.9兆円、長期借入金1.9兆円、流動負債2.8兆円で合計7.6兆円の負債があり、これらを債権放棄させれば9.8兆円もの資金が引き出せる。また、原発重大事故の危険を顧みず、福島第一原発の建設を許可し、その安全性にお墨付きを与え、巨額の原子力予算で東京電力をはじめ原子力事業者を支援し、原発推進策をとり続けた歴代政府の責任を明らかにし、原発推進政策を脱原発へ転換すべきである。その上で、東京電力を破産処理してもなお不足する費用については、まず、原子力発電による最大の利益享受者である原子力メーカー、電力会社など原子力事業者、鉄鋼・金属産業の大企業メーカーに法人税で供出を求め、それでも不足する分については、電気料金や託送料金からではなく、富裕層により多くの負担を求める累進課税による国民負担とすべきである。
2011年に制定された「原子力損害賠償支援機構法」(2014年8月「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」に改訂)に基づき、現在9兆円の交付国債の元本を賄うため、東京電力には特別負担金、東京電力を含む電力会社・日本原子力発電・日本原燃の原子力事業者11社には一般負担金が課せられ、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」に毎年納付することになっている。しかし、電力会社など原子力事業者はこれまで、電気料金が総括原価方式で決められていたことから一般負担金1,630億円をそのまま電気料金のコストに転嫁し、「コストとして計上され保証された報酬を含めて得られた純利益」からは一円の負担金も出していない。機構法には「(原子力事業者は)負担金を納付しなければならない」と定められているだけで、「負担金を電気料金のコストに転嫁してよい」とは書かれていない。にもかかわらず、経済産業省は一般負担金の電気料金への転嫁を省令改訂でこっそり強行し、今また、一般負担金の「過去分」2.4兆円を託送料金へ転嫁しようとしている。「過去分」を含めて、一般負担金は原子力事業の利益から身を切って納付すべきであり、それで初めて相互扶助制度の意味が出てくるのであって、それを電気料金のコストに転嫁して電力消費者から徴収し、原子力事業者が身を切らずに納付するのであれば、相互扶助制度にはならず、単なる収奪になり、原子力事業者のモラルハザードを招く。電気料金の支払いにも苦労している低所得者層に一層の負担を強い、脱原発の再生可能エネルギーを志向して新電力に切り替えた電力消費者に原発コストの支払いを強要する「一般負担金『過去分』の託送料金への転嫁」は止めるべきである。
経済産業省は今回、「過去分」以外の本来の一般負担金を託送料金へ転嫁する方針を断念したようだが、電力自由化の下で電気料金が下がれば、これをコストとして回収できなくなり、「過去分」と同様に、規制制度の残る託送料金へ転嫁するのではないかと危惧される。今回は「一般負担金過去分」に限って託送料金で回収するシステムを国民に認めさせ、数年後に「過去分」の文字を消し去って、一般負担金を託送料金で全額回収するようになるのではないかと非常に危惧される。なんとなれば、経済産業省は2013年以降の原発廃炉会計制度においても、小さな穴を開けて、数年後に大きく対象を拡大させる方法を駆使してきた前例があるからである。また、2005年度に再処理費準備金制度を創設し、それ以前の「過去分」を「使用済燃料再処理等既発電費相当額」として15年間、託送料金で回収することになった際、河野太郎衆議院議員によれば「(過去分をPPSの顧客に負担させるのは)今回の小委員会で最後」にするとして、議論が終了したとされる。今回の一般負担金「過去分」は「最後のはずの託送料金への転嫁」を何の反省もなく再度行おうとするものである。このような国民だましの欺瞞的方策をくり返すのはもう止めるべきである。

<意見2>——————————————–
「3.2.原子力事故に係る賠償への備えに関する負担の在り方」(pp.17-21)の一般負担金「過去分」について
経済産業省は損害賠償費の一般負担金「過去分」2.4兆円を40年間にわたって毎年600億円を託送料金で回収しようとしているが、電力会社など原子力事業者が本来の一般負担金1,630億円/年とともに、自らの利益から賄うべきであり、託送料金への転嫁は止めるべきである。
なぜなら、第1に、これは「原子力事業者間の相互扶助制度」による負担金であり、東京電力の特別負担金と同様に、原子力事業者の利益から賄うべき性質のものである。原子力損害賠償・廃炉等支援機構法には原子力事業者が「負担金を納付しなければならない」と明記されているにもかかわらず、原子力事業者は現在、一般負担金の全額を電気料金のコストに転嫁して電力消費者から回収しており、一円たりとも自分の利益によっては負担していない。電力自由化の下では電気料金は市場で決まるため、電気料金のコストとして回収できる保証はなくなったが、今後はその下で利益を削ってでも、2.4兆円の「過去分」を含めて一般負担金の全額を自ら工面して納付すべきである。それが本来の姿である。にもかかわらず、回収できない可能性があるからといって、「過去分」を託送料金へ転嫁するのであれば、「原子力事業者間の相互扶助制度」とは言えず、「原子力事業者の負担を電力消費者に転嫁する制度」としか言えなくなるからである。
第2に、損害賠償費が2013年見積もりの5.4兆円から7.9兆円へ増加したのだから、本来なら、原子力事業者に義務づける一般負担金を1.5倍程度にすべきである。にもかかわらず、経済産業省は、一般負担金に「過去分」があると称して、無理矢理「過去分」2.4兆円の支払いを電力消費者に転嫁しようとしている。しかし、「過去分」であっても、相互扶助制度の下で納付が義務づけられるのはあくまで原子力事業者であり、電力消費者ではない。「原発の恩恵を被ってきた」から電力消費者が負担すべきだという論理には飛躍があり、法令違反である。なんとなれば、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法のどこにも電力消費者が負担金について納付の義務を有するとは書かれていない。負担金の納付義務は原子力事業者にあるのであって、「過去分」を請求されるべきは原子力事業者である。電力消費者はこれまで、原子力事業者の納付すべき一般負担金を電気料金のコストとして支払わされてきたが、それ自体が間違いなのであって、電力消費者には一般負担金を納付すべき義務はない。電力自由化の下で原子力事業者が一般負担金を電気料金から回収できなくなったとしても、それは電力消費者の責任ではなく、あくまで、原子力事業者が相互扶助制度として利益を削ってでも支払うべきものである。
第3に、経済産業省は、一般負担金「過去分」は0.07円/kWhで毎月平均18円程度の負担ですむと試算しているが、これは「過去分」だけを取り出して小さく見せかけて国民をだますトリックであり、「電力会社と新電力との電気料金の格差を縮めて電力会社に有利にしよう」という本来の意図を覆い隠すためのものにほかならない。新電力と電力会社の規制料金との差は電灯料金で0.5円/kWh程度であり、「過去分」0.07円/kWhを電力会社が負担すると、その差が0.57円/kWhへと広がる。これを新電力にも負担させれば、その差は開かない。「過去分」だけなく、今の1,630億円の一般負担金も託送料金に転嫁できれば、電力会社の負担は変わらないが、0.2円/kWhを新電力に負担させることができて、電灯料金の差は0.5円/kWhから0.3円/kWhへ縮まる。経済産業省は猛烈な反対にあって、今は黙っているが、これが託送料金への「過去分」の転嫁の次の目標となっているのは間違いない。
第4に、一般負担金「過去分」は、商品を売った後で「製造費を少なく見積もっていたので、製造費の見直し分を払ってください」という請求書を後出しで送ってくるようなものであり、商法に違反し、政府による詐欺的行為である。商法第502条三項には「電気又はガスの供給に関する行為」を「営業としてするときは、商行為とする。」と記載されており、どこにも電気に関しては商取引が終わった後で、しかも、数十年も経った後で、付け忘れていたコストの請求書を出して回収できるとは、「特例」としても、書かれていない。経済産業省は商法違反の商取引を経産省の政令で行えるとする根拠を示すべきである。

<意見3>——————————————–
「3.2.原子力事故に係る賠償への備えに関する負担の在り方」(pp.17-21)と「過去分」2.4兆円の内実について
「電力システム改革貫徹のための政策小委員会中間とりまとめ」では、一般負担金「過去分」2.4兆円について、「(参考図12)過去分の規模」に示された1966年度~2010年度の設備容量(熱出力)の累計35億kWに約1,070円/kW(日本原燃負担分30億円を除く一般負担金1,600億円を2015年度設備容量1.5億kWで割った値)を掛けて「過去分の総額は約3.8兆円」と推計したうえで、「全ての需要家から公平に回収する過去分の算定に当たっては、2011年度から2019年度までに納付される一般負担金を全需要家から回収する過去分と同様のものと扱い、過去分の総額から控除する。2019年度までに原子力事業者が納付することが想定される一般負担金は、今後の負担金が2015年度と同条件で設定されると仮定すれば約1.3兆円であり、これを過去分総額から控除すると、約2.4兆円となる。」(p.18)としている。しかし、3.8兆円には「2011~2019年度の1.3兆円」は含まれておらず、「控除する」対象にはならない。このようにしたのは、福島事故の損害賠償費が8兆円になると見積もられることから、これに合わせるために用いた理由にならない理屈にすぎない。損害賠償費総額が5.4兆円の見積もりから7.9兆円に増大したと素直に認めれば、この増加分は東京電力の特別負担金と原子力事業者の一般負担金となり、新電力には負担を求められなくなる。そのため、わざわざ一般負担金「過去分」と言う屁理屈を持ち出したと考えられる。その結果、「後出し請求書」という商取引違反行為を政府が犯すという事態に陥ったのである。このような屁理屈は即刻撤回し、損害賠償費の増額だと素直に認めて、東京電力と原子力事業者の責任で全額負担させ、新電力契約者に負担を求めるようになる「託送料金への転嫁」は撤回すべきである。一般負担金は、そもそも、原子力事業者が報酬や利益を削ってでも相互扶助で賄うものであり、それを電力消費者にコストとして全額転嫁して自らは一円も支払わないという制度は相互扶助制度ではなく電力消費者への損害賠償費転嫁制度にほかならない。
この一般負担金「過去分」2.4兆円は、新電力分を除く全額が東京電力を含めた電力会社の一般負担金になるのかと思えば、これも違う。東京電力改革・1F問題委員会の東電改革提言「参考3:確保すべき資金の全体像」や第6回同委員会「参考資料:福島事故及びこれに関連する確保すべき資金の全体像と東電と国の役割分担」によれば、東電を含む電力会社等(日本原燃を含む)には1.53兆円しか求められていない(東電以外の「大手電力」に1.0兆円、東京電力に0.53兆円)。新電力の0.24兆円を含めても1.77兆円に留まり、0.67兆円は東京電力に特別負担金として割り当てられている(東京電力賠償増加分1.2兆円のうち特別負担金0.67兆円)。これでは、新電力に0.07円/kWhの負担を求めながら、電力会社等には0.05円/kWh(=1.53兆円/40年/2015年度電力9社販売電力量7,894億kWh)しか求めないことになる。このような不公平な割り当ては許されない。新電力には一般負担金「過去分」だと称しながら、蓋を開けてみると、東京電力と原子力事業者には一般負担金と特別負担金に分けて割り当てており、国民だましもいいところである。経済産業省は、このような二枚舌が許されると本当に考えているのか。国民を馬鹿にするにもほどがある。
ちなみに、一般負担金「過去分」算定時に、「(参考図12)過去分の規模」では2015年度の一般負担金1.630億円から「日本原燃負担分(約30億円)除く」として1,600億円で計算しているが、日本原燃負担分は日本原燃への出資比率に合わせて電力会社が代理負担しており、これを除く意味がない。一般負担金は日本原燃を含むすべての原子力事業者が負担すべきものであり、ここでも、実質的に電力会社を優遇している。経済産業省はどこを向いて仕事をしているのか、その基本姿勢が疑われる。

<意見4>——————————————–
「3.2.原子力事故に係る賠償への備えに関する負担の在り方」(pp.17-21)の除染費等の東電求償について
政府は12月20日の閣議で「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」を決定し、原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通じた東京電力への資金援助額を3年前の9兆円から13.5兆円に増やした。それは損害賠償費が5.4兆円から7.9兆円に、除染費が2.5兆円から4兆円に、中間貯蔵施設費が1.1兆円から1.6兆円に増えたためである。損害賠償費は東京電力の特別負担金と原子力事業者による一般負担金で元本を補填する方針だが、除染費と中間貯蔵施設費の計5.6兆円は、東京電力の株売却益で賄うことになっており、それで不足する分については「円滑な返済の在り方について検討する」とされており不明である。ところが、会計検査院は2015年3月報告で9兆円の交付国債の一般負担金による返済計画を試算しており、一般負担金は、株売却益が3.5兆円の場合3.7兆円、同2.5兆円の場合4.4兆円、同1.5兆円の場合5.0兆円と増大し、それに伴って回収期間も24年間、28年間、33年間と伸びている。しかも、その前提として東京電力の特別負担金を500億円/年と仮定しており、東京電力が経営難に陥れば、特別負担金は削減され、その分、一般負担金が増やされるか、回収期間が伸ばされる。交付国債が9兆円から13.5兆円に増えると、一般負担金の回収金額と回収期間がさらに1.5倍程度に増えることが懸念される。
株売却益が除染費の4兆円を超え、中間貯蔵施設費1.6兆円を賄える5.6兆円に達するには株価が今の約500円から4倍の1,982円、震災前と同程度にまで回復し、関西電力の今の1,310円の1.5倍にも増える必要がある。福島原発の廃炉作業が30~40年間続くことを考慮すれば、その可能性はないと言っても過言ではない。したがって、このまま放置すれば、一般負担金の回収期間が「過去分」と同様に40年へ延ばされて除染費の不足分が一般負担金で回収される恐れがある。それを警告したのが会計検査院の2015年3月報告だと言える。一般負担金は回収期間が明示されずに回収されるシステムになっており、「電力システム改革貫徹のための政策小委員会中間とりまとめ」はこれについて何も触れていない。電力消費者が知らぬ間に一般負担金が徴収され続けるシステムになっており、回収金額と回収期間が明示されていないのは極めて問題である。株価に係わらず、回収されるべき一般負担金の総額と期間を限定すべきである。「0.24兆円を40年間にわたって託送料金の仕組みを使って新電力に負担させる」という以外の損害賠償費の増分2.2兆円については全額が原子力事業者の一般負担金になるのではなく、東京電力改革・1F問題委員会の東電改革提言「参考3:確保すべき資金の全体像」や第6回同委員会「参考資料:福島事故及びこれに関連する確保すべき資金の全体像と東電と国の役割分担」によれば、2.2兆円の1/4程度が東京電力の特別負担金に割り当てられているようなので、なおさら判然としない。「過去分」を含めて、電力消費者だましの託送料金を通じた一般負担金回収システムは止めるべきであり、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に規定された「原子力事業者の負担」は、電気料金や託送料金のコストに入れて回収するのではなく、「原子力事業者の利益で賄う」ように経産省令を改めるべきである。そうでなければ、原子力事業者が一円も負担しない相互扶助制度がこれまでのように続けられることになる。電力自由化と発送電分離を機に、この悪弊を断つべきである

<意見5>——————————————–
「3.3.福島第一原子力発電所の廃炉の資金管理・確保の在り方」(pp.21-22)について
「電力システム改革貫徹のための政策小委員会中間とりまとめ」では、福島原発廃炉費が当初の2兆円から8兆円に膨らんだことから、その追加分6兆円を託送料金に潜り込ませようとしているが、それは「東京電力の破産を回避するため、その負担を電力消費者に転嫁し、託送料金による負担を強要する」ものであり、断じてやるべきではない。そうでなければ、「重大事故を起こしても、企業は破産せず、逆に、国が電力消費者や国民に負担を強いて支援してくれる」という史上最悪の前例を作ることになる。これは極めて深刻な「原子力事業者のモラルハザード」を招く。「原発重大事故を起こした企業は破産させられ、原子力事業者は連帯責任をとらされる」という前例をこそ作るべきである。
経済産業省は、福島第一原発の廃炉費追加分6兆円を託送料金で賄うことを目論み、「東電による合理化努力」で年間約2,000億円を浮かし、30年程度続けることを想定している。ところが、努力しなくても託送料金コストは下がる。なぜなら、送配電事業は固定資産比率が高く、電力会社の報酬の半分以上を稼ぎ、コストの半分が資産の減価償却費なので、送配電網を新たに建設した分の減価償却費が増える以外は、何もしなくても減価償却費が下がり、毎年コストが減っていく。そのため、託送料金のコストは毎年数%ずつ安くなっていき、規制料金で保証された報酬に加えて、コスト減少分の利益が貯まり続ける構造になっている。利益が貯まりすぎたり、コストが5%以上に下がりすぎたりすると、託送料金を引き下げる決まりになっているが、東電管内に限って、これを引き下げずに、貯まった利益を原賠機構に預けて「廃炉基金」として積み立てようとしている。結局、東電管内の電力消費者が、新電力の契約者も含め、引き下げられずに高止まりになった高い託送料金を払わされることになる。経産省は「託送料金への上乗せ」には猛反発されて断念したが、「託送料金への潜り込ませ」なら大きな反対はないだろうと踏み、国民を馬鹿にしている。託送料金を下げずに高止まりにして消費者に高い託送料金を支払わせるような欺瞞は断じて許せない。しかも、このシステムが一旦導入されると、廃炉費が8兆円からさらに増大しても、電力消費者が全く気付かない間に、経産省令を少しいじることでコスト増分を託送料金へ簡単に転嫁できるようになる。経産省は「託送料金や電気料金が上がらないようにする」と強調しているが、逆である。経産省がやるべきことは、電力自由化の下で電気料金や託送料金をいかに下げるか、再生可能エネルギーをいかに普及させるかに知恵を絞るべきであり、電気料金や託送料金が下がらない仕組みを導入してまで東京電力を救済するのは止めるべきである。

<意見6>——————————————–
「3.4.廃炉に関する会計制度の扱い」(pp.22-26)について
原発コストのうち、廃炉時点での廃炉費積立不足金や未償却資産については、特別損失として一括計上せずに廃炉後も10年間定額回収などで確実に回収できるようにする会計制度が2013年と2015年に制定され、電力完全自由化後には託送料金を通じて回収できるように検討することになっていた。今回の「電力システム改革貫徹のための政策小委員会中間とりまとめ」では、これらのコストを託送料金へ転嫁するのが妥当だとしているが、その根拠が不明である。電力自由化で「規制料金が撤廃される」のは当たり前のことであり、それ自身は根拠にならない。「原発は最も発電単価の安い電源だ」と称してきたのであるから、他の電源よりもそのコスト回収は容易なはずであり、「他の電源の発電コストは回収可能なのに、なぜ原発のコストが回収できなくなるのか」その根拠を示すべきである。それを示さずに、原発だけ規制制度の残る託送料金でコストを回収するというのは筋が通らない。「原発依存度の低減や廃炉の円滑な実施等のエネルギー政策の目的を達成するために講ずる例外的な措置」だと言うが、託送料金へ転嫁しなければこれらのコストを回収できないとは断じていない。託送料金へ転嫁しなくてもこれらのコストを回収できるのであれば、「原発依存度の低減や廃炉の円滑な実施等のエネルギー政策」に何の影響もないはずである。経産省は。「託送料金へ転嫁しなければ、これらのコストを回収できなくなる」という根拠をこそ示すべきである。そうでなければ、議論の前提が成立たない。もし、「回収できない」のが現実であれば、「原発の発電単価は他の電源より高い」ということであり、原発を推進する一つの根拠が崩れることになる。この最も重要な点についてキチンと説明できないようでは、電力自由化の下でこれらのコストを託送料金に転嫁することは、前提が成立たず、断じて認められない。
そもそも、託送料金に規制制度が残るのは、経産省自身が「電力の小売り全面自由化の概要」(2015年11月)で述べている次の理由からである。送配電事業では、(1)需給バランス維持を義務づけ、(2)送配電網の建設・保守を義務付け、(3)誰でも電気の供給を受けられる最終保障サービスを義務付け、(4)離島でも他地域と遜色ない料金水準で電気を供給するユニバーサルサービスを義務付けることが必要であり、そのために現行と同様の地域独占と料金規制(総括原価方式等)を措置する。したがって、規制制度を残す理由とは無関係な「原発のコストを確実に回収するため」という理由では、託送料金へコスト算入することはできないはずである。ましてや、原発の発電単価が最も安いのであれば、なおさら、託送料金へ繰り入れる理由がない。
また、「原発依存度の低減」のための会計制度だと経産省は主張しているが、40年運転ルールで廃炉になった原発は6基にすぎず、関西電力は美浜3号、高浜1・2号は約4,000億円の安全対策工事と2,000億円ものテロ対策工事を注ぎ込んで40年超運転の準備を進めている。なぜなら、再稼働できずに廃炉になってもこれらを未償却資産として回収できるからである。廃炉になった第1世代の小規模原発6基は投資効果に乏しいから廃炉になったのであり、廃炉時の未償却資産が回収できずに損失になるからではない。現に、これら6基の廃炉費積立不足金は252億円、未償却資産は1,540億円、合計1,792億円、1基当り平均300億円弱にすぎない。これに対し、美浜3号の安全対策工事費は1,650億円であり、さらにテロ対策工事費に1,000億円近くがかかる。このような出費に投資効果がでなければ、電力会社は投資しないのであり、美浜3号では投資をして失敗しても回収できる会計制度があるから40年超運転へ動いたのである。経産省の言う「事業者が合理的な意思決定ができず廃炉判断を躊躇する」という事態はむしろ起きておらず、逆に、「再稼働できなくても、廃炉会計で投資を回収できるから安全対策工事をやって40年超運転をめざす」という合理的意思決定を行ったのであり、「廃炉判断を躊躇せず拒否した」のである。したがって、今の廃炉会計制度の対象となるコストは、電力自由化の下で託送料金に転嫁せず、通常の競争下でこれらのコストを回収すれば良いのである。「原発は安い」のだから。