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3月30日にようやく意見募集の結果が公表されました

3月30日にようやく意見募集の結果が公表されました

3月3日のパブコメ締切から4週間後の3月30日にようやく意見募集の結果が公表されました。「『電気事業法に基づく経済産業大臣の処分に係る審査基準等の一部を改正する訓令案』に対する御意見の概要と考え方」がそれですが、これまで通りの説明に留まっています。他方では、廃炉等積立金制度が2017年度から始まり、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が3月30日付けで、2017年度の廃炉等積立金の額を3,913億1,588万円と決めました。東京電力パワーグリッドは、2018年度から託送料金で1,200~2,000億円の「廃炉等負担金」を捻出し、東電全体で毎年2,000億円を積立てねばならないことになります。東電管内での託送料金高止まりと送配電網更新・修繕の先送りによる事故・停電が危惧されます。

これまでと変わらない内容ですが、経産省による意見概要とそれへの回答をご覧下さい。あきれてものが言えません。

<御意見の概要>———————-
今回の訓令改定案は、「東電管内での託送料金高止まり」の可能性を是正するものだとされるが、そもそも託送料金が高止まりにならなければ巨額の超過利潤は捻出できないのであり、問題点を解消するどころか、実質的な「託送料金高止まり状態」を生み出す一方、送配電網の更新・修繕の阻害という新たな問題点を生み出すことになる。
 仮に、訓令改定案が施行されて託送料金が値下げされれば、その原価には「廃炉等負担金」が含まれないため、何らかの形で超過利潤が生まれる仕組みを他に求めることになる。たとえば、老朽化した送配電網の更新はすでに法定耐用年数を大幅に超えており、今の更新水準の5倍にも引上げる必要があるが、この設備更新費や修繕費などを託送料金変更時の原価に算入して託送料金の値下げ幅を抑制したり、実質的に値上げしたりする一方、実際には設備更新や修繕を先送りして超過利潤を捻出するなどの「対策」がとられる恐れがある。
 このような事態は、これまで実際に行われてきた経緯があり、「東京電力に関する経営・財務調査委員会報告」(2011.10.3)でもその問題点が指摘されてきたところである。
 今回の訓令改定案は、この電気事業会計規則改定のかかえる根本的な問題点を解決するどころか、実質的に託送料金高止まりを助長する一方、送配電網の更新や修繕を遅らせて大停電の危険をたぐり寄せるものであり、撤回すべきである。
 そもそも、福島原発廃炉費は、事故を起こした東電の責任を明確にして東電の破産処理を行い、東電を支えてきた株主や金融機関に債権放棄させて賄うべきであり、その不足分は、原発を推進してきた国の責任を明確にした上で、脱原発へ転換し、電気料金ではなく累進課税で賄うべきである。電力消費者に福島原発事故の責任はない。にもかかわらず、東電を救済し、東電GPにだけ超過利潤隠しを公然と認めて、優遇するのは本末転倒である。

<御意見に対する考え方>————————
東京電力グループは、福島第一原発の廃炉・汚染水対策のほか、賠償や除染に必要な資金を捻出するため、非連続な経営改革に取り組むこととしております。こうした中で、廃炉を確実に実施するため、必要な資金の捻出に支障を来すことのないよう、東電PGの送配電事業の合理化分を廃炉資金へ充当することが認められています。
今回の改正案は、これにより託送料金の値下げ機会が不当に損なわれ、東電PGの託送料金が高止まりすることのないよう、その託送収支の事後評価に当たって、現行の料金値下げ命令の判断基準を踏まえ、新たな評価基準を策定したものです。
なお、事故炉の廃炉については、今後、東京電力グループ全体での総力を挙げた合理化等により必要な資金を確保することとするとしており、当該資金の全てを送配電部門の合理化によって賄うものではございません。
また、仮に東電を破綻させ、法的整理を行った場合、破綻処理により資産を売却しても多額の売却益を見込めない上、東電が将来の収益をもって責任を果たすべき廃炉・汚染水対策や賠償の費用相当が国民負担となります。また、国が出資した東電株も無価値化するため、結果的に国民負担が増加することとなります。したがって、国民負担の最小化のためにも、東電を破綻させるのではなく、東電が経営改革により収益と企業価値を上げながら、福島に対する責任をしっかり果たしていくことが適切であると考えています。

<御意見の概要>————————
 「2016年度託送供給等収支」報告書によれば、当期超過利潤額561億円、当期超過利潤累積額は301億円になる。仮に、当期超過利潤額を全額「廃炉等負担金」に振り替えれば、当期超過利潤額はゼロになり、当期超過利潤累積額はマイナスのまま推移し、一定水準額が3/5に下げられても、これを超えることはなくなる。
 他方、託送単価の想定単価との乖離率は2.5%増となっている。仮に、当期超過利潤額を全額「廃炉等負担金」に振り替えれば、費用減少幅は2.5%に下がり、託送単価の乖離率は3.9%増となり、乖離率はプラスのまま推移し、「乖離率マイナス3%」へ引き下げられても、この基準より下がることはなくなる。
 電力他社の1/3以上が託送料金値下げを実施し、または5社以上で乖離率がマイナス5%を超過し、それが構造的要因だと判断されれば、東電PGも託送料金値下げを命令されることになる。ところが、この際には、「廃炉等負担金」は「託送原価」には入らないため、「廃炉等負担金」が値下げされた託送料金から回収できる保証がないだけでなく、それまで確保されていた超過利潤の源泉がなくなってしまう。この悪循環が断たれるためには、託送電力量が増加へ転じる以外にないが、省エネ、自家発電住宅、人口減の下では、それもありえない。つまり、託送料金から超過利潤を捻出して「廃炉等負担金」に振り替えるという仕組みが成り立たないのである。
 にもかかわらず、無理に「廃炉等負担金」を託送料金で賄おうとすれば、送電費用の3~4割を占める設備更新費・修繕費にしわ寄せが行くのは明らかである。託送料金による1,200~2,000億円もの「廃炉当負担金」の捻出は撤回すべきである。

<御意見に対する考え方>————————
福島第一原発の廃炉については、その所要資金が増大する中、円滑な廃炉の実施を担保するためには、中長期にわたり、着実に資金を確保できる仕組みを構築することが必要となっています。これを踏まえ、消費者への負担をできる限り抑制する観点から、消費者に直接負担を求める料金の値上げで対応するのではなく、発電事業、小売事業のみならず、送配電事業も含めた東電グループ全体の総力を挙げた経営の合理化を求め、その合理化分について、福島第一原発の廃炉のための資金確保に活用できることとしております。このため、すべての資金を送配電部門の合理化によって賄うものではございません。

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