○該当箇所:第2章第1節「2035年度、2040年度において、温室効果ガスを2013年度からそれぞれ60%、73%削減することを目指す。」(p.19)
○意見の概要:地球温暖化対策計画(案)では、「2035年度、2040年度において、温室効果ガスを2013年度からそれぞれ60%、73%削減することを目指す。」(p.19)としているが、2035年度目標を「2013年度から66%削減」へ引上げるべきである。
○意見:地球温暖化対策計画(案)では、「2035年度、2040年度において、温室効果ガスを2013年度からそれぞれ60%、73%削減することを目指す。」(p.19)としているが、これでは「オーバーシュートしない又は限られたオーバーシュートを伴って温暖化を1.5℃(>50%)に抑える」(p.9)ための責任を果たすことができない。AR6統合報告書では、「2030年までに2019年の水準から約43%(34%~60%)削減し、2035年までに約60%(49%~77%)削減する必要」(p.9)があるとしており、これを日本政府の「2013年度」基準へ換算すると、「2013年度から2030年度51%削減、2035年度66%削減、2040年度73%削減する必要がある」となる。2040年度はかろうじて平均レベルだが、2035年度は60%ではなく、少なくとも平均レベルの66%へ引き上げるべきである。
○理由:地球温暖化対策計画(案)では、「AR6統合報告書に基づくと、オーバーシュートしない又は限られたオーバーシュートを伴って温暖化を1.5℃(>50%)に抑えるためには、世界全体の温室効果ガス排出量を2030年までに2019年の水準から約43%(34%~60%)削減し、2035年までに約60%(49%~77%)削減する必要があり、1.5℃目標達成に向けた取組は大幅に不足しており、世界全体で、この10年の間に全ての部門において大幅で急速な、そして即時の排出削減を行い、2025年までに世界全体の排出量のピークを迎える必要がある。」(p.9)と「はじめに」の項で強調しておきながら、本文の第2章第1節では、「2035年度、2040年度において、温室効果ガスを2013年度からそれぞれ60%、73%削減することを目指す。」(p.19)と腰砕けになっている。AR6統合報告書の「2019年度」基準を日本政府の「2013年度」基準へ換算すると、「2013年度から2030年度51%削減、2035年度66%削減、2040年度73%削減する必要がある」となる。2040年度目標は73%でかろうじて平均レベルだが、2035年目標は平均レベルの66%に満たない。これでは、産業革命以来、温室効果ガスを排出して地球温暖化を進めてきた先進国の一員としての責任を果たすことができない。脱炭素社会実現を目指す企業グループ「日本気候リーダーズ・パートナーシップICLP」は「2013年度から2035年度に75%以上削減」を政府に提言しているが、本文にはこのような提言があったことすら触れていない。なぜ、AR6統合報告書が指摘する「2013年度から2035年度66%削減」ではなく、提言された「75%削減」でもなく、「60%削減」なのか、国民が納得できる理由を本文中に説明できない以上、少なくとも平均レベルの「66%削減」とすべきである。
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