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高浜3・4号パブコメへの回答(「考え方」)に示された重要な一歩

高浜3・4号パブコメへの回答(「考え方」)に示された重要な一歩

原子力規制委員会は2月12日に高浜3・4号の審査書を決定し、設置変更許可を出しました。しかし、同時に示された「パブコメへの意見への考え方」は、やはりずさんなものであり、真摯な批判には到底耐えられません。しかし、その中にも、私たちとの3回の交渉の結果、重要な一歩が記された内容も含まれていました。ここでは、原子力規制委員会・規制庁の「考え方」への批判を「コメント」として掲載します。パブコメに提出した「意見」はその一部が「ご意見の概要」として短く引用されています。

Ⅲ-1.1 基準地震動(第4条関係)【震源を特定せず策定する地震動評価について】

<ご意見の概要>
➢原子力安全基盤機構(2005)は、「M6.5の横ずれ断層が直下で動けば、Vs=2600m/sの地震基盤表面上で1340ガルの地震動が生じる」ことを断層モデルで解析しており、これを「震源を特定せず策定する地震動」として評価すべきである。「震源を特定せず策定する地震動」の評価対象を、「得られた地震観測記録」に限るとする科学的根拠はない。

<考え方>
➢震源を特定せず策定する地震動については、震源と活断層を関連付けることが困難な過去の内陸地殻内の地震について得られた震源近傍における観測記録を収集・検討し、原子力発電所の敷地の地盤物性に応じた応答スペクトルを設定して策定することを要求しています。評価に当たっては、観測記録を収集し評価することを要求しています。旧独立行政法人原子力安全基盤機構が試算した地震動は、地震動評価の際に参照する基準地震動の超過確率が、どの程度の大きさの超過確率になるか確認する目的でパラメータを設定して評価した結果であり、試算した地震動をそのまま震源を特定せず策定する地震動として用いるために試算したものではないことから、検討の対象にしていません。

コメント)川内1・2号の審査書パブコメへの回答(「考え方」)では、「旧JNESが試算した地震動は、地震動評価の際に参照する基準地震動の超過確率が、どの程度の大きさの超過確率になるか確認する目的で、厳しいパラメータを設定して評価した結果であり、試算した地震動をそのまま震源を特定せず策定する地震動として用いるために試算したものでないことから、今回の評価では検討の対象にしていません。」となっており、「厳しい」という文言が消えました。これは、原子力規制庁が2015年1月16日の私たちとの交渉で、北海道留萌支庁南部地震の地震動とJNESによる縦ずれ断層の地震動評価(最大値)が良くあっていることを認め、「JNESの断層モデルは厳しい条件を設定した現実離れした地震動評価ではなく、厳しいというのは言い過ぎであり、訂正すべきだ」という指摘に同意した結果なのです。つまり、JNESの断層モデルによる地震動評価は現実の地震動を反映した評価になっていることを認めざるを得なくなった結果なのです。原子力規制庁は、1月16日交渉時にはさらに踏み込んで、「実際の発電所の評価などに適用すべきかどうか、地震のモデルとしての再現性という点で妥当かどうかを専門家も含めて改めて検討する必要がある。」と発言していたのです。ところが、これについては何も触れていません。改めて検討すべきです。

Ⅲ-1.1 基準地震動(第4条関係)

ご意見の概要
➢「FO-A~FO-B~熊川断層」に関する応答スペクトルに基づく地震動評価をNoda et al.(2002)の方法、いわゆる「耐専スペクトル」で行っているが、耐専スペクトルには、内陸地殻内における震源近傍及び近距離での最新の地震観測記録が反映されていない。少なくとも、最近20年間に観測された地震観測記録を耐専スペクトルに反映させた上で、耐専スペクトルを適用し直すべき。

考え方
平成21年に旧原子力安全委員会で行われた「応答スペクトルに基づく地震動評価」に関する専門家との意見交換会において、耐専スペクトルの適用性の検討が行われ、それまでの国内外の震源近傍の観測記録による適用性が報告されています。
 これを踏まえ申請者は、FO-A~FO-B~熊川断層による地震の応答スペクトルに基づく地震動評価において、地震規模、震源距離等から、Noda et al.(2002)の方法を適用しています。

コメント)原子力規制庁は、2014年7月29日および2015年1月16日の私たちとの交渉で、「耐専スペクトルは、等価震源距離が極近傍より近いところではなかなか適用が難しいということで日本電気協会のほうで見直し作業を進めているというのは、そう承知をしておりまして、まだこれは引き続き作業をやっているということのようでございます。・・・検討が進んで、新たな知見などが出てくれば、当然バックフィットなど検討していきたいと思っています。」と回答しています。最新の震源近傍における地震観測記録に基づいて耐専スペクトルが見直し中であると認識しているにもかかわらず、結果が出るまで待つという悠長な姿勢でいいのでしょうか。また、耐専スペクトルは過去の地震観測記録の平均的なレベルを示すものであり、実際の地震動は2倍にもなります。この点についても意見を出していたのですが、これは引用されず、考え方も示されていません。
ただし、重要なことが一つあります。今回の「考え方」では、2009年5月22日の意見交換会で検討された「耐専スペクトルの適用性を踏まえる」と明記されています。この意見交換会では、M7.3の鳥取県西部地震の賀祥ダム(等価震源距離6km)での地震観測記録と耐専スペクトルが良く合っていることが示され、この範囲までは耐専スペクトルを使えるとの発言もありました。ところが、「FO-A~FO-B断層と熊川断層の連動(M7.8)」について、高浜3・4号では耐専スペクトルが適用され、大飯3・4号では震源断層が近すぎるからという理由で適用外になっています。高浜3・4号の等価震源距離は基本ケースで18.0km、傾斜角75度のケースでは16.1km程度、大飯3・4号の基本ケースでは12.6km程度です。わずか4kmの差で適用外にされています。しかし、「M7.3、等価震源距離6km」で適用されたケースを妥当だとしているのですから、これを踏まえれば、大飯3・4号で耐専スペクトルを適用外とする理由が成立たなくなります。原子力規制庁はこの問題点に気付いていないようですが、一体どのように説明するのでしょうか

ご意見の概要
➢「FO-A~FO-B~熊川断層」に関する断層モデルによる評価結果は、耐専スペクトルの1/2~1/3に過ぎない。これは明らかに断層モデルによる地震動評価結果が過小評価であることを示している。断層モデルは、入倉式で地震規模を求めており、国内地震学会で通用している松田式による地震規模の半分程度に小さくなっている。さらに、応力降下量を断層モデルのレシピ通りに求めるのではなく、断層長さが63.4km と中程度であるにもかかわらず、100km以上の長大な断層に適用されるべきFujii-Matsu’ura(2000)による応力降下量を採用し、断層平均3.1MPa、アスペリティ平均14.1MPa と小さく設定している。これらの結果、断層モデルによる地震動評価結果が耐専スペクトルの1/2~1/3になっている。

考え方
➢地震ガイドにおいては、震源断層のパラメータを、活断層調査結果等に基づき、地震調査研究推進本部地震調査委員会による「震源断層を特定した地震の強震動予測手法(2009)」(以下「レシピ」という。)等の最新の研究成果を考慮して設定することを示しています。
 また、解釈別記2は、基準地震動の策定過程に伴う各種の不確かさについては、敷地における地震動評価に大きな影響を与えると考えられる支配的なパラメータについて分析した上で、必要に応じて不確かさを組み合わせるなど適切な手法を用いて考慮することを要求しています。
 申請者は、原子力規制委員会の指摘を踏まえ、FO-A断層とFO-B断層の連動ではなく、FO-A~FO-B断層と熊川断層の連動を検討用地震として選定し、レシピや入倉・三宅(2001)等に基づき震源モデル及び震源特性パラメータを基本ケースとして設定し、応答スペクトルに基づく地震動評価及び断層モデルを用いた手法による地震動評価を実施しています。その際、断層上端深さについては、原子力規制委員会の指摘を踏まえ、4kmではなく3kmとして設定しています。さらに、基本ケースに対して、地震動評価に影響が大きいと考えられるパラメータの不確かさを考慮したケースとして、短周期の地震動レベルを基本ケースの1.5倍としたケース等の地震動評価も行っています。
 規制委員会は、申請者が実施した基準地震動の評価は、不確かさを考慮して基準地震動を策定していることから、解釈別記2の規定に適合していることを確認しています。

コメント)考え方では、さまざまな不確実さを考慮したと説明していますが、大事なのは、「その結果として、なぜ、断層モデルが耐専スペクトルの1/2~1/3の地震動評価に留まっているのか」ということです。原子力規制庁はさまざまな不確実さを考慮することによっては、耐専スペクトルとの大きな食い違いを説明できないことに気付いているはずですが、それがなぜかを説明できないのです。理由は簡単です。断層モデルの下になったデータが北米中心の地震記録であり、日本の地震記録ではないということです。その結果、日本で通用している松田式による地震規模と比べて断層モデルの地震規模は半分以下です。その結果、応力降下量など地震動評価にとって決定的に重要なパラメータが小さく設定されているのです。また、63kmの断層を「100km以上の長大な断層」と見なして応力降下量を小さく設定しています。断層モデルを国内地震記録に基づいて根本的に見直さない限り、この差は解消できないのです。
耐専スペクトルと断層モデルについてはパブコメに出した意見の一部しか引用されていませんので、その全文を以下に再掲しておきます。これと「概要」を比べれば、原子力規制庁がいかに回答する対象を絞っているか、回答できずに避けている内容がいかに多いかがよく分かると思います。

パブコメへ投稿した意見
(1)「FO-A~FO-B~熊川断層」に関する応答スペクトルに基づく地震動評価をNoda et al.(2002)の方法、いわゆる「耐専スペクトル」で行っているが、この耐専スペクトルには、内陸地殻内における震源近傍および近距離での最新の地震観測記録が反映されていない。少なくとも、最近20年間に観測された地震観測記録を耐専スペクトルに反映させた上で、耐専スペクトルを適用し直すべきである。とりわけ、原子力安全基盤機構JNESによる2005年6月報告書(独立行政法人原子力安全基盤機構「震源を特定しにくい地震による地震動の検討に関する報告書(平成16年度)」, JNES/SAE05-00405 解部報-00049, 2005.6)によれば、耐専スペクトルによる地震動評価結果は、震源近傍や近距離において、JNESの断層モデルによる地震動評価結果と比べて半分以下の過小評価になっている。原子力規制庁は7月29日の市民団体との話し合いの場で、この事実を認め、「耐専スペクトルは日本電気協会で現在見直し作業中である」と説明している。そうであればなおさら、古い手法をそのまま使うのではなく、最新の地震観測記録を反映させた改訂耐専スペクトルを使って評価し直すべきである。また、耐専スペクトルは地震動の平均的なレベルを評価するものであり、実際の地震動には「倍半分」のバラツキがある。これは地震学界の常識であり、福島第一原発重大事故を教訓とするのであれば、耐専スペクトルに2倍の余裕を持たせるべきである。したがって、「FO-A~FO-B~熊川断層」の応答スペクトルの策定に際しては、耐専スペクトルを最新の地震観測記録に基づいて作り直し、この改訂耐専スペクトルで応答スペクトルを求め直すべきであり、さらに2倍の余裕を持たせて基準地震動を策定し直すべきである
(2)「FO-A~FO-B~熊川断層」に関する断層モデルによる評価結果は、耐専スペクトルの1/2~1/3にすぎない。これは明らかに断層モデルによる地震動評価結果が過小評価であることを示している。原子力規制庁は7月29日の市民団体との話し合いの場で「評価手法が違うので結果が異なっても仕方がない」と説明しているが、同じ断層による地震動評価結果がこれほどにも異なるのは科学的におかしい。その理由もはっきりしている。つまり、関西電力の用いた断層モデルは、北米中心の地震データに基づく入倉式で地震規模を求めており、国内地震学界で通用している松田式による地震規模の半分程度に小さくなっている。さらに、応力降下量を断層モデルのレシピ通りに求めるのではなく、断層長さが63.4kmと中程度であるにもかかわらず、100km以上の長大な断層に適用されるべきFujii-Matsu’ura(2000)による応力降下量を採用し、応力降下量を断層平均3.1MPa、アスペリティ平均14.1MPaと小さく設定している。これらの結果、断層モデルによる地震動評価結果が耐専スペクトルの1/2~1/3になっているのである。最近国内で発生したM7クラスの内陸地殻内地震ではアスペリティ平均応力降下量は20~30MPaである。たとえば、鳥取県西部地震M7.3(2000.10.6)では2アスペリティで平均応力降下量は28.0MPaと14.0MPaと評価されており、能登半島地震M6.9(2007.3.25)では3アスペリティで20MPa、20MPaおよび10MPa、新潟中越沖地震M6.8(2007.7.16)では3アスペリティで23.7MPa、23.7MPaおよび19.8MPa、岩手・宮城内陸地震M7.2(2009.6.14)では2アスペリティで17.0MPaと18.5MPaと評価されている。これらを教訓として, 基本ケースにおけるアスペリティ平均応力降下量を20~30MPaまたはそれ以上に設定すべきであり、さらに1.5倍の不確実さを考慮すべきであろう
 ちなみに、Fujii-Matsu’uraは入倉式のデータではなく武村式の対象とした国内地震データとScholz(2002)の対象とした大規模地震のデータを用いてL-M0(断層長さ-地震モーメント)関係式を導出しており、入倉式では地震規模の過小評価になることを暗に示唆しているといえる

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