「3.4.廃炉に関する会計制度の扱い (2)原子力発電施設解体引当金について」(p.25)の「(参考図18)見直しのイメージ」には、「引当方法は、定額法を維持し、引当期間を40年に前倒した上で全額を事業者の負担で引当て。ただし、運転期間の延長が認められた場合には、適切な費用配分の観点から、その時点で引当期間を60年に延長することを認める。」とある。これでは、早期廃炉にして廃炉会計制度の対象とする(解体引当金残額を10年間で分割回収する)よりも、新規制基準適合のための対策工事を行って運転期間を60年に延長させるほうが有利になる。高浜1・2号や美浜3号のように、40年を超えて運転を続けようとするものに対しては、早期廃炉にしないのだから、例外なく、引当期間を40年に前倒しすべきである。
とくに、廃炉会計制度によるコスト回収が託送料金を通じて行われることになれば、巨額の対策工事費を費やしても、運転60年またはそれ以前に廃炉になっても、その時点で未償却資産はすべて、廃炉後10年間での定額償却と確実なコスト回収が保証されることから、早期廃炉への動機付けはますます失われる。
いやしくも、早期廃炉への動機付けを主張するのであれば、「運転期間の延長が認められた場合には・・・引当期間を60年に延長することを認める」とのただし書きは撤回すべきである。
また、廃炉会計制度によるコスト回収を託送料金に転嫁して行う方針は、高浜1・2号や美浜3号で典型的に見られたように、巨額の工事費を要する40年超運転への動機付けを一層高めるものであり、撤回すべきである。
電力自由化の下では、廃炉会計制度の対象となるものも含めた、すべての原発コストについて、電力市場で決まる電気料金で回収すべきである。それが困難だというのであれば、電力会社が自ら原発の40年超運転を断念すべきである。早期廃炉を決断した場合にも、廃炉後の未償却資産の長期分割回収を認めて特別損失の一括計上を求めないことはあっても、それを託送料金に転嫁して確実に回収するようなことを保証すべきではない。それは電力自由化の考えに反するからである。
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