「電気事業法に基づく経済産業大臣の処分に係る審査基準等の一部を改正する訓令案」への意見募集に意見を提出しました
今回意見募集の対象となった訓令案は、「廃炉費6兆円を託送料金等から毎年2,000億円を30年間で原子力損害賠償・廃炉等支援機構に積立てる」ためのものです。
東電管内の託送料金から毎年1,200億円ないし2,000億円を超過利潤から捻出するものであり、超過利潤として捻出されたものを「廃炉等負担金」という費用に計上して超過利潤でないかのように隠すものです。その結果、東電管内では託送料金が高止まりになるのが避けられないため、東電パワーグリッドにだけ特別な託送料金値下げ基準を作ろうとするものです。しかし、その本質は「実質的な託送料金高止まり」であり、送配電網の更新や修繕を妨げるものです。
詳しくはこちらをご覧下さい。 関連する質問主意書もこちらにあります。
皆さんも、ぜひ、ご意見を提出して下さい。。(意見募集のHPはこちら:2018年3月3日まで)
<訓令改定案への意見(2018.2.13)>
今回の訓令改定案は、廃炉費6兆円を30年間で積立てるための電気事業会計規則改定の問題点を解消するためのものである。先の電気事業会計規則改定では、東電パワーグリッド(東電PG)の超過利潤から毎年約1,200億円ないし約2,000億円程度を「廃炉等負担金」として営業費用に振り替えることが可能になったが、これは東電GPだけに特権的に許された「合法的な超過利潤隠し」である。
この巨額の超過利潤は、東電管内の電力消費者から徴収した託送料金から捻出されたものであり、他の一般送電事業者の場合と同様に、(1)超過利潤が一定水準額(固定資産の平均帳簿価額×事業報酬率)を超えたり、(2)実績原価が想定原価より-5%を超えて乖離したりすれば、託送料金を値下げし、電力消費者へ超過利潤を還元すべきである。そうしなければ、東電管内で、託送料金の高止まりが避けられず、電力消費者に不当な負担を強いることになる。
今回の訓令改定案は、「東電管内での託送料金高止まり」の可能性を是正するものだとされるが、そもそも託送料金が高止まりにならなければ巨額の超過利潤は捻出できないのであり、問題点を解消するどころか、実質的な「託送料金高止まり状態」を生み出す一方、送配電網の更新・修繕の阻害という新たな問題点を生み出すことになる。仮に、訓令改定案が施行されて託送料金が値下げされれば、その原価には「廃炉等負担金」が含まれないため、何らかの形で超過利潤が生まれる仕組みを他に求めることになる。たとえば、老朽化した送配電網の更新はすでに法定耐用年数を大幅に超えており、今の更新水準の5倍にも引上げる必要があるが、この設備更新費や修繕費などを託送料金変更時の原価に算入して託送料金の値下げ幅を抑制したり、実質的に値上げしたりする一方、実際には設備更新や修繕を先送りして超過利潤を捻出するなどの「対策」がとられる恐れがある。このような事態は、これまで実際に行われてきた経緯があり、「東京電力に関する経営・財務調査委員会報告」(2011.10.3)でもその問題点が指摘されてきたところである。先の電気事業会計規則改定(2020年度施行予定)はそれを助長するものであり、撤回すべきである。今回の訓令改定案は、この電気事業会計規則改定のかかえる根本的な問題点を解決するどころか、実質的に託送料金高止まりを助長する一方、送配電網の更新や修繕を遅らせて大停電の危険をたぐり寄せるものであり、撤回すべきである。
そもそも、福島原発廃炉費は、事故を起こした東電の責任を明確にして東電の破産処理を行い、東電を支えてきた株主や金融機関に債権放棄させて賄うべきであり、その不足分は、原発を推進してきた国の責任を明確にした上で、脱原発へ転換し、電気料金ではなく累進課税で賄うべきである。電力消費者に福島原発事故の責任はない。にもかかわらず、東電を救済し、東電GPにだけ超過利潤隠しを公然と認めて、優遇するのは本末転倒である。
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