原子力規制委員会のパブリックコメントへ意見を3つ提出しました
原子力規制委員会による「原子力発電所敷地内での使用済燃料の貯蔵に用いられる兼用キャスクに係る関係規則等の整備及びこれらに対する意見募集」(2018.12.6~2019.1.4)へ提出した意見は以下の通りです。
<意見その1>
原子力発電所敷地内での輸送・貯蔵兼用乾式キャスクによる使用済燃料の貯蔵に関する審査ガイド(案)p.20の「4.7 設計貯蔵期間」には「【審査における確認事項】設計貯蔵期間は、設置(変更)許可申請書で明確にされていること。【確認内容】設計貯蔵期間は、当該設計貯蔵期間中の兼用キャスクの安全機能を評価するに当たり、材料及び構造の経年変化の考慮を行うための前提条件となるため、設置(変更)許可申請書で明確にされていること。」とあるが、「中間貯蔵」とは名ばかりで、電力会社の「想定」している50年を超える貯蔵が避けられない可能性もある。ところが、設計貯蔵期間を超える貯蔵が必要になった場合の措置が明記されていない。設計貯蔵期間を超える可能性がある以上、設計貯蔵期間に至る何年前に再申請するとかの措置を明記すべきではないか。
また、乾式キャスクやそこに収納された使用済燃料の健全性はシミュレーション計算や加速実験によるものにとどまり、様々な照射・運転履歴をもつ、個々の使用済燃料についての50年以上の長期間に及ぶ実験データは存在しない。したがって、乾式キャスクの取替が必要になった時点で、収納された使用済燃料の実状がキャスク取替に耐えうる状態にあるという具体的な保証や実物検証をどのように行うのかについても明記すべきである。
さらに、設計貯蔵期間が50年以上の超長期に及ぶ場合、それを維持管理すべき電力会社等が経営体として存続しない場合も考えられる。超長期に及び乾式貯蔵能力をどのように評価するのか、明記すべきであろう。
原子力発電所敷地外での貯蔵については、審査ガイド案が提示されていないが、敷地内外で、どのような点が異なるのか。
<意見その2>
原子力発電所敷地内での輸送・貯蔵兼用乾式キャスクによる使用済燃料の貯蔵に関する審査ガイド(案)p.12の「4.2.4 その他の外部事象」の「火山立地評価」において、「新規制基準(平成25年7月及び同年12月の改正原子炉等規制法の施行に伴い改正された規則等をいう。以下同じ。)への適合性審査を経ていない発電用原子炉施設において、新規制基準の施行時に既に存在していた使用済燃料を使用済燃料貯蔵槽から兼用キャスクに移し替えることは、施設の維持・管理上の安全性を高めるものであり、当該移替えのための兼用キャスク設置に係る設置変更許可に当たっては、火山の立地評価は不要とする。」とあるが、乾式キャスクの自然冷却が火山灰で長時間阻害された場合には、プール貯蔵の場合とは異なり、キャスク内外の温度が制限値を超える場合もあるから、その対策を審査すべきではないか。
<意見その3>
実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則の解釈(原規技発第1306193号(平成25年6月19日原子力規制委員会決定)の第16条第5項に「また、上記第1項から第4項までの基準を満足するため、兼用キャスクは、当該兼用キャスクを構成する部材及び使用済燃料の経年変化を考慮した上で、使用済燃料の健全性を確保する設計とすること。ここで、「兼用キャスクを構成する部材及び使用済燃料の経年変化を考慮した上で、使用済燃料の健全性を確保する設計」とは、以下を満たす設計をいう。
・設計貯蔵期間を明確にしていること。
・設計貯蔵期間中の温度、放射線等の環境条件下での経年変化を考慮した材料及び構造であること。」
とあるが、設計貯蔵期間を超えた場合には、乾式貯蔵の操業停止命令を出すことになるが、監視作業が主体の乾式貯蔵では、安全対策上、監視をやめるわけにはいかないから、具体的には乾式貯蔵からプール貯蔵へ戻す命令、もしくは、変更申請による設計貯蔵期間の延長または再申請による新たな乾式キャスクへの収納物入替えが必要になるが、いずれも規定されていない。
プール貯蔵へ戻す場合には、設計貯蔵期間にわたってプール貯蔵へ戻せる状態を保持することが必要であり、その性能要求の規定が不可欠である。
設計貯蔵期間を延長する場合には、当初の設計貯蔵期間終了時点での現物のキャスクの健全性を確認できることが前提だが、上蓋やシールは交換できても、キャスク本体の補修は不可能であり、非破壊検査だけでは、その健全性を確認できないのではないか。
また、新たな乾式キャスクへの収納物入替えに際しては、プール貯蔵へ戻す場合と同様に、当初の設計貯蔵期間にわたって新たな乾式キャスクへの入れ替えが可能な状態を保持することが必要であり、その性能要求の規定が不可欠である。
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