若狭ネット

福井と関西を結び脱原発をめざす市民ネットワーク

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ニュース

トリチウム汚染水(ALPS処理水)の海洋放出認可に関する審査書案パブリックコメント(5/19~6/18)へ意見を出そう!

東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の実施計画変更認可申請(ALPS処理水の海洋放出関連設備の設置等)に係る審査書案へのパブリックコメント募集中
受付開始日時 2022年5月19日0時0分
受付締切日時 2022年6月18日0時0分

若狭ネット資料室長として7つの意見を提出しました。
(提出した意見のpdfはこちら)

トリチウム汚染水(ALPS処理水)の政府方針決定(2021.4.13)を撤回させ、
来春放出実施を阻止するため、パブコメに意見を出しましょう!

意見(その1)————————————————-

該当箇所:「本章においては、原子炉等規制法第64条の3第3項に関する審査の内容を、以下のとおり関連する措置を講ずべき事項ごとに示した。 (中略) 1-3 放射性固体廃棄物の処理・保管・管理 (中略) 規制委員会は、これらの項目について審査した結果、変更認可申請の内容が、措置を講ずべき事項を満たすものであることを確認した。」(p.3)

意見:東京電力による実施計画変更認可申請においても「海洋への放出は、関係省庁の了解なくしては行わないものとする。」と明記されています。最大の関係省庁である経済産業省は、大臣名で「関係者の理解なしにはいかなる処分も行いません」と文書で確約しており、しかも、2015年8月24日だけでなく、2022年4月5日にも同趣旨の文書確約をしています。「関係者の理解」なくして「関係省庁の了解」など得られません。原子力規制委員会としても、「関係者の理解」および「関係省庁の了解」なしには、今回の「変更認可申請(ALPS処理水の海洋放出関連設備の設置等)」を認可できないはずです。審査書(案)にもこのことを明記し、「関係者の理解」が得られるまで「案」のまま留め置き、関連する設計工事認可の手続きを全面凍結すべきです。

理由:「『福島第一原子力発電所 特定原子力施設に係る実施計画』の変更認可申請(ALPS処理水の海洋放出関連設備の設置等)」の「III 第3編 2.1.2 放射性液体廃棄物等の管理」では、「なお,海洋への放出は,関係省庁の了解なくしては行わないものとする。」(p.Ⅲ-3-2-1-2-6)と明記されており、最大の関係省庁である経済産業省の萩生田光一大臣は、全漁連による2021年4月の5項目要求に対し、2022年4月5日に全漁連事務所へ出向き、「(2015年8月24日に)福島県漁連に示した、漁業者を含む関係者への丁寧な説明等、必要な取り組みを行うこととしており、こうしたプロセスや関係者の理解なしにはいかなる処分も行いません、との回答は今後も遵守します。」と文書回答しています。また、政府の基本方針(「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所における多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針」,廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議,2021年4月13日)においても、2(2)③で「併せて、国民・国際社会の理解醸成に向けた取組に万全を期す必要がある。」と理解醸成を重要視しています。
ところが、福島県の県漁連、農林水産業者、市町村議会をはじめ福島県民の多く、さらには、隣接する宮城県や茨城県をはじめ全国の多くの関係者が海洋放出反対の意思を示していて、「関係者の理解」が得られたとは到底言えません。このことは、福島民報社が行った福島県内59市町村長アンケートで、政府が処分の前提としている地元との合意形成について、49市町村長(83%)が「あまり合意形成が進んでいない」(福島民報2022/4/18)と答えていること、また、福島民報社が福島テレビと共同で行った福島県民世論調査(第36回)でも、海洋放出方針について国内外での理解が広がっているかについて、「全く広がっていない」「あまり広がっていない」との回答が合わせて52.5%に上っているという事実(福島民報2022/3/7)で明らかです。このような現状がある限り、経産省が「関係省庁の了解」を与えたとは言えないはずであり、「関係省庁の了解」を得ているかどうかについても、審査書で確認するのが、原子力規制委員会の義務だといえます。少なくとも経産省に関しては、「関係者の理解なしにはいかなる処分も行いません」というのが再三確認された経産省の方針であることから、経産省には「関係者の理解を得た」と判断する基準を明確にするよう求め、その基準が満たされることを前提とすることを審査書(案)に明記すべきです。

意見(その2)————————————————-

該当箇所:「本章においては、原子炉等規制法第64条の3第3項に関する審査の内容を、以下のとおり関連する措置を講ずべき事項ごとに示した。 (中略) 1-3 放射性固体廃棄物の処理・保管・管理 (中略) 規制委員会は、これらの項目について審査した結果、変更認可申請の内容が、措置を講ずべき事項を満たすものであることを確認した。」(p.3)

意見:ALPS処理水の海水での希釈・海洋放出の政府方針決定は、「ALPS処理水は海洋放出しない」との政府と東京電力による文書確約に違反し、その確約に基づいて合意された「サブドレン及び地下水ドレンの運用方針」の「トリチウム濃度が1,500Bq/Lを超える場合には、排出しない、希釈しない、タンクへ移送する」との内容にも違反します。変更認可申請における「放射性固体廃棄物の処理・保管・管理」の項目に該当するこの内容が審査書(案)で全く触れられていないのは重大な瑕疵になります。というのは、「タンク等へ移送」が「タンク等へ移送後、ALPSで処理し海水で希釈し海洋放出する」という全く違う中身に書き換えられるからです。この重大な書き換えをこっそり行うこと、それを知りながら黙認することは許されません。この重大な変更を審査書(案)に書き込み、「その内容で関係者の理解が得られることを認可の条件とする」と明記すべきです。

理由:変更認可申請の「サブドレン他水処理施設の排水管理に関する運用について」(p.Ⅲ-3-2-1-2-添1-1)の添付資料1において、排水前の分析の結果、運用目標(Cs-134:1Bq/L,Cs-137:1Bq/L,Sr-90:3(1)Bq/L,H-3:1500Bq/L)を下回らない場合は「原因調査、及び再浄化又はタンク等へ移送」とされています。これは、「サブドレン及び地下水ドレンの運用方針」(2015.9)において「サブドレン及び地下水ドレン以外の水は混合しない(希釈は行わない)」、「運用目標を満たしていない一時貯水タンクの水は排水しない」と明記されたことを反映したものです。
また、この運用方針は、経済産業大臣(「経済産業大臣臨時代理 国務大臣 高市早苗」名)が2015年8月24日、福島県漁連への回答書「東京電力(株)福島第一原子力発電所のサブドレン水等排出に関する要望書について」を発出し、「(トリチウム水に関する)検証結果については、まず、漁業関係者を含む関係者への丁寧な説明等必要な取組を行うこととしており、こうしたプロセスや関係者の理解なしには、いかなる処分も行いません。」と約束し、その翌日に、廣瀬直己東京電力社長が同県漁連に「東京電力(株) 福島第一原子力発電所のサブドレン水等の排水に対する要望書に対する回答について」を出し、「建屋内の水は多核種除去設備等で処理した後も、発電所内のタンクにて責任を持って厳重に保管管理を行い、漁業者、国民の理解を得られない海洋放出は絶対に行わない事」との要望については「検証等の結果については、漁業者をはじめ、関係者への丁寧な説明等必要な取組を行うこととしており、こうしたプロセスや関係者の理解なしには、いかなる処分も行わず、多核種除去設備で処理した水は発電所敷地内のタンクに貯留いたします。」と確約したことを受けて了解された方針です。つまり、福島県漁連がサブドレン及び地下水ドレンに同意した大前提には、政府と東京電力による「ALPS処理水を海洋放出しない」との文書回答があり、「同意」はこれと一体のものです。現に地下水ドレン水6.5万トンがタンクへ移送されて「ALPS処理水」となっています。
来春からのALPS処理水の海洋放出は、今発生している汚染水をALPS処理して優先的に排出するものです。今後サブドレン及び地下水ドレンで(1500Bq/Lを超えた場合に)タンクへ移送されれば、それもALPS処理後、優先的に海洋に排出されることになります。そうなれば、「タンク等へ移送する」との運用方針が「タンク等へ移送後、ALPSで処理し海水で希釈し海洋放出する」という全く違う中身に書き換えられることになります。このような変更認可申請の根本的な書き換えについて、審査書(案)で全く触れていないのは重大な瑕疵と言えます。この重大な書き換えをこっそり行うこと、それを知りながら黙認することは許されません。この重大な変更を審査書(案)に書き込み、「その内容で関係者の理解が得られることを認可の条件とする」と明記すべきです。

意見(その3)————————————————-

該当箇所:「本審査においては、ALPS処理水の海洋放出が特定原子力施設全体のリスク低減及び最適化を図るものであることを確認する。」(p.3)
「海洋放出設備は、汚染水発生量以上の量のALPS処理水を海洋へ放出できる設計及び運用にするとしている。これにより、現在多核種除去設備等で浄化処理された水を貯蔵しているタンク(以下「貯蔵タンク」という。)の解体・撤去が可能となり、新たに燃料デブリ保管施設等を設置するためのエリアを確保できるため、東京電力は、海洋放出設備が、特定原子力施設全体の将来的なリスク低減及び最適化に資する設備であるとしている。」(p.4)
「以上のことから、措置を講ずべき事項「Ⅰ.全体工程及びリスク評価について講ずべき措置」を満たしているものと認める。」(p.4)

意見:「リスク低減及び最適化を図る」とされていますが、ALPS処理水を来春から海洋放出する理由として挙げられた「3つの理由」、(1)タンクは来春満水になる、(2)廃炉作業のために敷地を空ける必要がある、(3)汚染水は今後も発生し続ける、のいずれも大ウソだったことが4月19日の市民との意見交換で明らかになっています。ALPS処理水を海洋放出しなくてもリスク低減は十分可能であるという事実を直視し、審査書(案)を根本的に見直すべきです。

理由:脱原発福島県民会議など8団体が4月19日に経産省資源エネルギー庁、原子力規制委員会・原子力規制庁、外務省と意見交換の場をもち、次のことが明らかになっています。
(1)満水になるタンク以外に、フランジタンク解体によるタンク増設可能エリアが約9万トン分あります。さらに、空けた状態の予備タンクが2.5万トン、計12万トン程度あります。「切羽詰まっている」のであれば、これらを転用すれば数年は大丈夫です。
(2)東電が示した廃炉作業に伴う敷地利用計画は、「2030年度頃までに共用プールを空けるための乾式キャスク仮保管施設、将来的に燃料デブリ一時保管施設等」というものです。しかし、これらは全く緊急性がありません。現在ある乾式キャスク仮保管施設と共用プールを合わせると、使用済燃料貯蔵容量には2,071体の余裕がありますので、1・2号の使用済燃料879体を取出して貯蔵しても十分余裕があります。ですから、共用プールは満杯でも、十分冷えた使用済み燃料から、現在ある乾式キャスク仮保管施設に移動すれば、「共用プールを空ける」必要などありません。また、燃料デブリ取出しも、シールドプラグに事故時放出量の数倍ものセシウムが検出されていて、極めて困難になり、見通しが立たない状況です。急いで敷地を空けなければならない理由など存在しないのです。
(3)建屋内滞留水のALPS処理とサブドレンによる系統的な周辺地下水水位低減で、すでにタービン建屋と廃棄物処理建屋は床面露出しています。さらに今、原子炉建屋の床面露出へと進んでいて、汚染水発生ゼロが可能な段階に来ています。現在は2週間に10cmのペースで滞留水の水位を下げており、2022年度末には1号炉で水深0.5m、2・3号炉で水深2.0mになり、このペースを順次続ければ90週、2年以内に原子炉建屋の床面露出は可能になります。屋根からの雨水侵入も1号機だけとなり、屋根の設置をあと1~2年で終えれば、汚染水発生ゼロは可能です。
経産省担当者は、(1)~(3)に関するこれらの具体的な指摘に、まともに反論できませんでした。つまり、(1)タンク増設余地も空きタンクも十分ある、(3)急ぎの敷地利用計画など存在しない、(3)染水発生ゼロが実現可能な段階に来ている、のです。また、4月18日の第99回特定原子力施設監視・評価検討会では、1号炉では雨水以外の地下水の建屋流入はほとんどなく、屋根とフェーシング等で抑制可能であること、2・3号炉では屋根の補修が完了していて、サブドレンピット停止による地下水位上昇や雨水による建屋流入があったが、サブドレンピット復旧やフェーシング等で抑制可能と報告されています。2・3号炉では(3)の水位管理で地下水の建屋流入ゼロが可能です。これらを真摯に検討し直し、審査書(案)を根本的に見直すべきです。

意見(その4)————————————————-

該当箇所:「本章においては、原子炉等規制法第64条の3第3項に関する審査の内容を、以下のとおり関連する措置を講ずべき事項ごとに示した。(中略) 規制委員会は、これらの項目について審査した結果、変更認可申請の内容が、措置を講ずべき事項を満たすものであることを確認した。」(p.3)
「変更認可申請の内容を確認した結果、措置を講ずべき事項「Ⅱ.9.放射性液体廃棄物の処理・保管・管理」を満たしているものと認める。」(p.5)

意見:審査の内容を「措置を講ずべき事項を満たすものであることを確認」することに限定したのは、「線量告示」に違反している事実を隠蔽するためと言わざるを得ません。特定原子力施設に指定されても遵守すべき法令、とりわけ「線量告示」を満たすものであるかどうかを確認すべきです。そして、現状が線量告示を遵守できない違法状態にあることをまずもって確認すべきであり、そうすれば、緊急避難的な理由がない限り、ALPS処理水の海洋放出を認めることなどできないはずです。

理由:福島第一原発は特定原子力施設に指定されていますが、特例を定める政令では、線量告示は「適用」すべき「法の規定」から除外されてはいません(「核原料物質又は核燃料物質の製錬の事業に関する規則等の規定に基づく線量限度等を定める告示,2015年8月31日原子力規制委員会告示第8号」および「東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設についての核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の特例に関する政令,2013年政令第53号」)。
線量告示は、一般公衆の被ばく線量限度1mSv/年を担保するための法令であり、敷地境界(「周辺監視区域外」)において、「直接線やスカイシャイン線等による実効線量[mSv/年]+気体や液体の告示濃度限度比の総和」が1を超えないことが求められています。措置を講ずべき事項は、福島第一原発がこの線量告示を遵守できない状況にあるため、リスク低減管理のための措置事項を定めたものにすぎず、違法状態であることには変わりがありません。このことは、脱原発福島県民会議など8団体との今年4月19日の意見交換の場で、原子力規制庁担当者も認めているところです(2012年11月7日原子力規制委員会決定「特定原子力施設への指定に際し東京電力株式会社福島第一原子力発電所に対して求める措置を講ずべき事項について」)。
また、東京電力は、ALPS処理水海洋放出の法的根拠として規則第二号(工場又は事業所において行われる廃棄)第十六条第六号イならびに第七号を挙げていますが、同第七号には「前号イの方法により廃棄する場合は・・・排水口又は排水監視設備において排水中の放射性物質の濃度が原子力規制委員会の定める濃度限度を超えないようにすること」とされ、同規則第二条第二項第六号には、「『周辺監視区域』とは、実用炉規則第二条第二項第六号に規定する周辺監視区域をいう。」と定義され、この実用炉規則第二条第二項第六号では「『周辺監視区域』とは、管理区域の周辺の区域であって、当該区域の外側のいかなる場所においてもその場所における線量が原子力規制委員会の定める線量限度を超える恐れのないものをいう。」と定められています(「東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設の保安及び特定核燃料物質の防護に関する規則,平成25年原子力規制委員会規則」)。さらに、この線量限度は、線量告示第二条第一項第一号で「実効線量については1年間(4月1日を始期とする1年間をいう。以下同じ。)につき1mSv。」と明記されています。つまり、特定原子力施設であっっても線量告示は遵守すべき法令であって、上記の規則第十六条第七号にいう「濃度限度を超えないようにすること」とは「周辺監視区域外において直接線・スカイシャイン線等による実効線量および告示濃度限度比の総和との合計が1mSv/年を超えないという規定を遵守しなければならない」ことを意味します。
以上のように、特定原子力施設が厳格に遵守すべき「法令のすべてを満たすかどうかを確認」すべきであり、「措置を講ずべき事項を満たすものであることを確認」すれば足りるとしているのは、重大な瑕疵を犯すものだといわざるを得ません。審査書(案)を法令遵守の観点から抜本的に書き直すべきです。

意見(その5)————————————————-

該当箇所: 「措置を講ずべき事項「Ⅱ.11. 放射性物質の放出抑制等による敷地周辺の放射線防護等」では、特定原子力施設から大気、海等の環境中へ放出される放射性物質の適切な抑制対策を実施することにより、敷地周辺の線量を達成できる限り低減すること、特に施設内に保管されている発災以降発生した瓦礫や汚染水等による敷地境界における実効線量(施設全体からの放射性物質の追加的放出を含む実効線量の評価値)を1 mSv/年未満とすることを求めている。」(p.10)
「規制委員会は、ALPS処理水を海水で希釈して海洋放出する場合の敷地境界における実効線量については、実施計画Ⅲ章「2.2.3 放射性液体廃棄物等による線量評価」に示されている地下水バイパス水の排水による評価を下回ること、また、排水する系統も異なることから、放射性液体廃棄物等による実効線量0.22mSv/年に変更はなく、引き続き敷地境界における実効線量の合計値が1mSv/年未満となることを確認した。」(p.10)

意見:福島第一原発の敷地境界モニタリングポスト実測値では、今なお敷地境界線量が1mSv/をかなり超える違法状態にあります。一般公衆の被ばく線量限度1mSv/年を担保するための線量告示に従えば、液体・気体のさらなる放射性物質の放出は線量告示違反であり、ALPS処理水の海洋放出など認められません。地下水バイパスやサブドレン及び地下水ドレンの海洋放出では「汚染水の大量発生を阻止するため」など緊急避難的な理由がありましたが、ALPS処理水の海洋放出には、このような緊急避難的な理由など全く存在しません。違法なALPS処理水の海洋放出を認可する審査書(案)は根本的に見直すべきです。

理由:政府方針の2(1)①では「ALPS小委員会の報告書やこれまで頂いた意見を踏まえ、福島第一原発において安全かつ着実に廃炉・汚染水・処理水対策を進めていくため、各種法令等を厳格に遵守するとともに、風評影響を最大限抑制する対応を徹底することを前提に、ALPS処理水の処分を行うこととする。」と明記されており、特定原子力施設に指定されている福島第一原発においても、現行法令を遵守する義務は原則として変らず、一般公衆の被ばく線量限度1mSv/年を担保するための敷地境界での1mSv/年の線量告示を守るべき義務があります(「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所における多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針,廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議,2021年4月13日」)。
線量告示を厳格に遵守すれば「ALPS処理水の処分を行うこと」はできません。現状は遵守すべき法令を守れない違法状態にあるのです。「措置を講ずべき事項」にいう「発災以降発生した瓦礫や汚染水等による敷地境界における実効線量を2013年3月末までに1mSv/年未満とすること」という管理基準を満たしても、違法状態にあります。
脱原発福島県民会議など8団体との意見交換の場で、原子力規制庁担当者は、以上のすべてを認めています。つまり、現状のように、敷地境界線量が1mSv/をかなり超える違法状態にある限り、液体・気体のさらなる放射性物質の放出は告示違反であること、地下水バイパスやサブドレン及び地下水ドレンの海洋放出を「苦渋の選択」で漁連が承諾した2015年の時のように、「汚染水の大量発生を阻止するため」など、よほど緊急避難的な理由がない限り、放射能汚染水の放出は認められないことが改めて明らかになったのです。
ALPS処理水の海洋放出には、このような緊急避難的な理由など全く存在しません。ALPS処理水の海洋放出を認可する審査書(案)を根本的に見直すべきです。違法であるにもかかわらず、ALPS処理水を来春から海洋放出しなければならない緊急避難的な理由があるというのであれば、審査書(案)に明記し、独立した三条委員会(国家行政組織法3条2項に基づいて設置された委員会)の立場から国会と国民にその是非を問うべきです。福島第一原発の現状が線量告示を厳守できない違法状態になることを認識しながら、審査書(案)でそれに言及せず、パブリックコメントで国民の声を聴いて終わりにするという程度の対応では、重大な瑕疵を犯すことになるでしょう。

意見(その6)————————————————-

該当箇所:「本章においては、原子炉等規制法第64条の3第3項に関する審査の内容を、以下のとおり関連する措置を講ずべき事項ごとに示した。 (中略) 1-3 放射性固体廃棄物の処理・保管・管理 (中略) 規制委員会は、これらの項目について審査した結果、変更認可申請の内容が、措置を講ずべき事項を満たすものであることを確認した。」(p.3)

意見:ALPS処理水の放出立坑及び海底トンネル(パイプライン)を介した故意の海洋放出は、ロンドン条約/議定書で禁止された「その他の人工海洋構築物からの故意の海洋処分」に該当する可能性があるため、脱原発福島県民会議など8団体がその観点からも禁止するよう外務大臣に求めたところ、外務省担当者は「ALPS処理水海洋放出は投棄に該当しないと外務省決定した」と主張しながら、外務大臣を含めた会議や議事録の残る形の決定ではなかったことが4月19日の意見交換の場で明らかにされています。東京電力による実施計画変更認可申請においても「海洋への放出は、関係省庁の了解なくしては行わないものとする。」と明記されており、原子力規制委員会としても、外務省から事情聴取した上で、ロンドン条約/議定書に関して「各種法令等を厳格に遵守する」との政府基本方針を満たしているかどうかを確認し、「外務省の了解」がいつ、どのような形で行われたのかを確認し、審査書(案)に明記すべきです。

理由:東京電力は、ALPS処理水を放出立坑及び海底トンネル(パイプライン)を介して故意に海洋放出する計画です。これは、ロンドン条約/議定書で禁止された「その他の人工海洋構築物からの故意の海洋処分」に該当する可能性があるため、脱原発福島県民会議など8団体は、その観点からも禁止するよう求めていました。ところが、4月19日の意見交換の場で、外務省担当者は「ALPS処理水の海洋放出は投棄に該当しないと外務省決定した」と言いながら、いつ、どこで決定したのか追及されても明確に答えられず、挙げ句の果てに、「昨年4月の方針決定には外務省も入っているから、そこで決定された」と主張したのです。つまり、こんな大事なことを外務官僚の内輪だけで判断し、外務大臣を含めた会議や議事録に残る形では決定していなかったのです。
ロンドン条約/議定書の事務局である国際海事機関は、「法的観点からは、国連海洋法条約UNCLOSとロンドン条約/議定書LC/LPにおける投棄の定義の範囲とUNCLOS第207条の範囲の間に直接的な境界線はないようである。言い換えれば、UNCLOSの第207条〔陸にある発生源(河川、三角江、パイプラインpipelines及び排水口outfall structuresを含む。)からの汚染〕と第210条(投棄による汚染)の範囲が相互に排他的であることを示すものはない。したがって、LC/LP締約国は、排出管outfall pipesがLC/LPの『投棄』の定義の意味の枠内で『その他人工海洋構造物』であると決定し、そのような区別を明確にするために条約を改正するか、決議するか、それ相応の行動を起こすことができる。」との判断を示しています。外務省はそのような行動をとらないと決定した根拠を示す必要がありますが、会議で決定した事実がないのです。これでは正式に「外務省の了解」が得られたとは到底言えません。
変更認可申請「III 第3編 2.1.2 放射性液体廃棄物等の管理」では、「なお,海洋への放出は,関係省庁の了解なくしては行わないものとする。」(p.Ⅲ-3-2-1-2-6)と明記されており、また、政府基本方針においても、「各種法令等を厳格に遵守する」と明記し、「併せて、国民・国際社会の理解醸成に向けた取組に万全を期す必要がある。」と重要視しています。国際社会の理解醸成を得るためにも、外務省は、ロンドン条約/議定書で禁止された「その他の人工海洋構築物からの故意の海洋処分」に該当する可能性があり、その観点からも禁止すべきだとの日本国民からの指摘に対して、どのような根拠で禁止しないと判断したのかを国民および国際社会に説明する義務があり、原子力規制委員会も「外務省の了解」がいつ、どのような形で行われたのかについて確認し、審査書(案)に明記すべきです。

意見(その7)————————————————-

該当箇所: 「年間のトリチウム放出量が22兆Bqの範囲に収まるよう、年度ごとにALPS処理水の年間放出計画を定め、当該計画に沿った海洋放出を行う。」(p.25)
「年間のトリチウム放出量については、年間放出計画の策定及び運用により、福島第一原子力発電所全体として22兆Bqの範囲に収まるように管理されることを確認した。」(p.25)

意見:原子力規制委員会は、原子力推進行政とは切り離された、独立した三条委員会(国家行政組織法3条2項に基づいて設置された委員会)として設立された経緯があります。ところが審査では、ALPS処理水の年間放出量を22兆Bqの管理値以上に放出できる余地を残すように圧力を掛けており、規制側が推進側に推進圧力を掛けるというあってはならない事態が起きていました。幸い、東京電力が自重したため、変更認可申請補正書や審査書(案)では22兆Bq/年を上限とすることに留まりましたが、原子力規制委員会の姿勢に根本的な疑念を持たせるものでした。猛省を促したい。

理由:政府基本方針では、「放出するトリチウムの年間の総量は、事故前の福島第一原発の放出管理値(年間22兆ベクレル)を下回る水準になるよう放出を実施し、定期的に見直すこととする。」とされ、22兆Bq/年を上限として、その範囲内で見直すように指示しています。変更認可申請補正書でも、審査書(案)でも、そのように記されています。ところが、審査段階では、原子力規制委員会の側から、この22兆Bq/年の値そのものを変更する余地を残すよう東京電力に迫る場面が2度ありました。
最初は第11回審査会合(2022.3.1)で、新井安全審査官が「22兆Bqの内訳、それをどういうふうに管理するか・・・廃炉等の進捗に応じて年間放出量を適宜見直すとも表明しているんですけども、そこの具体的なやり方というのも説明をお願いします。」と問われ、松本室長(東京電力HD)は「特に22兆Bqを見直すというような考えは今のところは持っておりません。」と回答しましたが、金子対策監が「22兆Bq/年が変化するかもしれないという政府方針の見直しの規定の話がありましたけれども、別に今考えておられないということは理解をした上で、将来何が起こるか分からないので、この世界。一応政府方針にもそのように、弾力条項的に書いてあるので、そういう場合どうするのか、具体的な計画じゃなくて、実施計画の中でそれを読み込めるようにしておくのか、実施計画では一応このまま行くんだけど、そういうことが起きたら、もう一回実施計画書き直すっていうような腹にするのかは、ちょっと実施計画上の、申請上の分かれ道だと思うので、読めるように書いておいていただくのがいいのではないかと思っていますけれども、そこはちょっと東京電力で、ご検討していただいたほうがいいかなと先ほど思いました。」と、政府方針そのものを曲解し、22兆Bq/年の値そのものを見直す余地を残すよう迫ったのです。このため、松本室長(東京電力HD)は「承知いたしました。政府方針をしっかり順守するっていうのも、私共の責任でございますので、申請、特に補正の際に考えたいと思います。」と応じ、金子対策監は「はい、よろしくお願いいたします。」と議論を閉じたのです。
しかし、第14回審査会合(2022.4.11)で東京電力から示された「政府の基本方針を踏まえた当社の対応の実施計画への反映内容等について」では、「年間22兆Bqを上限とし,これを下回る水準とする」、「年間放出量22兆Bqの範囲内で柔軟に対応する」という内容に留まりました。これに伴信彦原子力規制委員が反応し、「当面は22兆Bq/年の範囲内で行うとして、これを増やすべきか減らすべきかという議論は行われていない。廃炉作業を早く円滑に進めるという観点からは、できるだけ早く流すという選択肢もないわけではない。22兆Bq/年の中でどんどん減らしますと読めてしまうので、そこはよろしいか。」と詰め寄り、東京電力は「廃炉の進捗に応じてどのような設定にするかというのは今後の検討課題だと思います。22兆Bq/年の範囲内で実績を積んで安全性を示していきたい。」とかわしています。このような原子力規制委員会の姿勢は、規制側が推進側に立ってALPS処理水放出を促すものであり、根本的な疑念を抱かせます。極めて重大であり、猛省を促したい。

チェルノブイリ事故36年を迎えて、関西電力への申し入れを行いました

旧ソ連のチェルノブイリ原発で核暴走爆発事故が起きたのは1986年4月26日、今から36年前です。4月23日にはチェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西が大阪市内で「チェルノブイリ原発事故36年の集い ~海に流すな!放射能汚染水~」を開催し、関西電力宛の集会決議を採択し、4月26日に関西電力本社へ提出する行動を提起していました。
若狭連帯行動ネットワークもこれに賛同し、申入行動を一緒に行うことにしました。

関西電力の原子力広報課は、2015年2月以降、私たち市民からの公開質問状への回答も面談も拒否し続けていますが、今回も「対応できる者がいない」と主張してFAX送信を指示してきました。私たちは直接受け取るよう求め、いつも通り午後2時に関西電力本社へ出向きました。警備員が関西電力と市民グループとの間を取り持つ形の異常な「交渉」の結果、結局、いつも通りに庶務係の社員が出てきて、「申入者5名、5分」の条件で受け取るという形になりました。申入行動に参加した市民15名が、この関西電力による異様な対応に、しかも、元幹部による贈収賄事件で検察審査会が開かれている最中なのに、全く反省のない関西電力の姿勢を目の当たりにして、皆あきれかえっていました。

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2022年4月26日
関西電力株式会社取締役 代表執行役社長 森本 孝 様

チェルノブイリ事故36年を迎えて、関西電力への申し入れ

若狭連帯行動ネットワーク

 本日4月26日は、旧ソ連のチェルノブイリ原発重大事故から36年に当たり、福島第一原発炉心溶融事故発生から11年になります。これを機に、原発依存経営と老朽原発延命路線を見直すよう申し入れます。
 ウクライナにある原子力発電所が、ロシアの侵略で危機にさらされています。ミサイルが原発を直撃すれば大惨事を招き、制御ケーブルや外部送電網が破壊されても大惨事に至ります。チェルノブイリ原発周辺30キロ圏内は今も立ち入り禁止ですが、ここに塹壕を掘ったロシア軍兵士が放射能傷害になったり、進軍や火災で放射能汚染が広がったりした可能性があると報道されています。原発は戦争に脆弱であり、危険な存在に転嫁することが改めて明らかになりました。原発は速やかに廃止すべきです。
 戦争による化石燃料不足を理由に、原発再稼働を求める声が財界や与党内から出ていますが、それは老朽原発の長期連続運転・40年超運転・ひび割れ放置運転等の強行を招き、福島事故を繰り返す危険性を高めるだけでなく、一層大量の使用済核燃料を生み出し、次世代に重い負の遺産を残します。
 貴社は1997年に栗田福井県知事(当時)に「2010年までに中間貯蔵施設を建設する」と約束しながら守れず、県外設置期限はその後、2018年末、2020年末、2023年末と延びています。2020年末の約束を破った森本関電社長(当時)は2021年2月12日、杉本現知事に「2023年末の期限までに計画地点を確定できない場合には、その後確定できるまでの間、美浜3号機、高浜1、2号機の運転は実施しないという不退転の覚悟で臨みたいと考えております」と発言しています。青森県むつ市の中間貯蔵施設を共同利用する案を考えているようですが、貴社の余りにも身勝手で自己中心的な要求には、むつ市も青森県も強く反発しています。5月21日には市民グループが福井市で鹿内博元青森市長を招き、「原発のゴミの責任を果たすのは誰かを問う県民の集い」を開催しますが、貴職もパネリストとして参加し、福井・青森両県民に丁寧に説明し、議論すべきです。
 貴社は、使用済核燃料の県外搬出を約束する一方、高浜3・4号でプルサーマルを進めていますが、すでに12体の使用済MOX燃料が生み出されています。その再処理計画はなく、乾式貯蔵するにもプールで90年冷やさなければなりません。問題を先送りにせず、原発再稼働をやめ、プルサーマルを中止すべきです。
貴社が「森山案件」と呼んでいた「関電元幹部による贈収賄事件」について、大阪地検は2021年11月9日、不起訴にしましたが、現在、検察審査会で審査が行われています。その最中の4月20日には残土工事(受注会社が下請けに安値丸投げして利益を得る高値発注)、土地貸借(資材置き場、年1600万円賃貸料を5千万で高値契約)など、贈賄原資を生み出した3点の不正が新たに発覚しています。「原子力災害の危険を伴い、使用済燃料と核廃棄物を生み出す原発」を推進するためには、地元利権集団との癒着と利権構造の形成は避けられません。年原発依存経営から脱却し、原発利権構造を一掃し、再エネ推進のクリーンな経営に転換すべきです。
 原発廃炉や取替蒸気発生器等保管の問題では、大型放射性廃棄物をアメリカへで溶解してクリアランス未満にして再利用、または、輸出=最終処分にする計画が経産省と電力会社の共同で進められています。放射性廃棄物の輸出やクリアランスによる放射能汚染拡大は許せません。
福島事故に関する東京電力の責任が最高裁決定で法的に認められ、原発事故時には電力会社の責任が厳しく問われ、長期にわたり巨額の賠償責任が生じることが法的に明らかにされました。原子力は夢のある産業ではなく、若者が将来を夢見ることのできない産業へ転落しています。脱炭素・脱原発の社会に寄与する産業こそ若者に夢を与える産業です。にもかかわらず、貴社は、原発再稼働を最優先させ、目指すべき社会の実現を遠ざけているのです。
 以上を踏まえ、次のことを強く申し入れます。公益事業者として真摯に対応してください。

1.特定重大事故等対処施設の竣工遅れで停止中の美浜3号と高浜1・2号について、今年10月と来年6・7月の再稼働=40年超運転を断念し、廃炉にしてください。
2.配管のひび割れや蒸気発生器細管の減肉など老劣化の進む高浜3・4号と大飯3・4号を廃炉にしてください。
3.むつ市への使用済燃料の中間貯蔵押しつけを断念し、使用済燃料をこれ以上生み出さないでください。
5月21日に福井市で開かれる福井県民の集いにパネリストとして出席し、県民との対話に応じてください。
4.高浜3・4号でのプルサーマルを即刻中止し、大飯原発にプルサーマルを広げないでください。
プルトニウム利用を断念し、MOX燃料の発注・輸入を中止してください。
六ヶ所再処理工場の閉鎖を日本原燃に求めてください。
5.貴社送配電網の今年度託送料金に加算予定の「福島損害賠償費・原発関連費約288億円(一般負担金「過去分」156億円/年と廃炉円滑化負担金132億円/年)」を撤回し、貴社の利益で賄ってください。
6.取替や廃炉による美浜・大飯・高浜原発の蒸気発生器33基をはじめ給水加熱器や核燃料輸送・貯蔵用キャスクなど大型放射性廃棄物の輸出、海外での溶解・再利用の計画を断念し、密閉管理し続けてください。
7.東京電力の事故責任を認定した最高裁決定を受け、原発依存の経営方針を「脱原発・脱石炭」へ大転換してください。
以上
(pdfはこちら)
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2022年4月26日

関西電力株式会社取締役・代表執行役社長  森本 孝 様

4・26 チェルノブイリ原発重大事故から36年、フクシマ原発重大事故から11年
関西電力への申し入れ

本日4月26日は、チェルノブイリ原発重大事故から36年に当たります。また、東京電力福島第一原発重大事故から11年が経ちました。二つの原発重大事故は、広範囲の放射能汚染をもたらし、多くの人々を被ばくさせました。そして、健康権、生存権などの様々な基本的人権を侵害しています。生業を奪われ、故郷を追われ、コミュニティを破壊され、「普通の生活」が奪われました。「原発事故さえなければ」は、被害者の共通の想いです。放射能汚染は長期にわたり、事故炉の安全管理と廃炉には100余年も要します。   
チェルノブイリ被災地では36年経った今も放射能汚染が続き、人々は放射能と隣り合わせの生活を強いられています。福島では、大量の被ばく労働の犠牲の上に進められている事故の収束・廃炉作業も、高線量に阻まれたデブリの取り出しなど、困難を極め、見通しさえ立っていません。国と東電は、重大事故を起こし大量の汚染水を発生させた責任を取ろうとしないばかりか、来春にはトリチウム等を含む放射能汚染水の海洋放出を始めるとして、準備を進めています。このような方針は、さらなる放射能汚染と被ばく被害を事故被害者に押し付ける「故意の加害行為」であり、決して受け入れることはできません。放射能汚染水を海洋放出しなければならない理由は何一つありません。全国と福島県漁連は「断固反対」を改めて表明しています。
2月24日、ロシア軍はチェルノブイリの「立ち入り禁止ゾーン」を通ってクライナに軍事侵攻し、チェルノブリ原発、さらには稼働中の欧州最大規模であるザポリージャ原発も攻撃・占拠しました。原発への攻撃は、チェルノブイリ・フクシマのような原発重大事故をも引き起こしかねず、危険です。「核の平和利用」と言われる原発も戦争に対しては脆く、「軍事利用」と同じ危険な存在となることは明らかです。
貴社は使用済み核燃料中間貯蔵施設を県外へ移設する約束を守れず、4回も先延ばししてきました。県外移設に全力を注ぐのではなく、まずは全ての原発の運転を停止し、処理処分のできない使用済み核燃料を今以上に増やさないことが先決です。これ以上、子々孫々に重大な負の遺産を押し付けないで下さい。また、高浜3・4号機では、プルサーマルによりすでに12体の使用済MOX燃料が生み出されています。しかし、その処理・処分も決まっていません。原発再稼働を止め、プルサーマルを中止すべきです。「関電元幹部による贈収賄事件」について、大阪地検は2021年11月、不起訴としましたが、現在、検察審査会で審査が行われています。
福島事故に関する東京電力の責任が最高裁決定で認められ、原発事故時には電力会社の責任が厳しく問われ、長期にわたり巨額の賠償責任が生じることが法的に明らかにされました。貴社のやるべきことは、老朽原発の再稼働に必死なるのではなく、「利益優先」「安全軽視」の体質から脱却し、「脱原発」「脱石炭」へ大転換し、再生可能エネルギーを推進することです。原発依存経営を抜本的に見直すよう、以下の通り、強く申し入れます。
1.特定重大事故等対処施設の竣工遅れで停止中の美浜3号機と高浜1・2号機について、今年10月と来年6・7月の再稼働=40年超運転を断念し、廃炉にして下さい。
2.老朽化の進む高浜3・4号機、大飯3・4号機を廃炉にして下さい。
3.むつ市への使用済燃料の中間貯蔵押しつけを断念し、使用済燃料をこれ以上生み出さないで下さい。
5月21日に福井市で開かれる福井県民の集いにパネリストとして出席し、県民との対話に応じて下さい。
4.高浜3・4号機でのプルサーマルを即刻中止し、大飯原発にプルサーマルを広げないで下さい。
プルトニウム利用を断念し、MOX燃料の発注・輸入を中止して下さい。
5.貴社送配電網の今年度託送料金に加算予定の「福島損害賠償費・原発関連費(約288億円)」を撤回し、貴社の利益で賄って下さい。
6.取替や廃炉による蒸気発生器、給水加熱器や核燃料輸送・貯蔵用キャスク等大型放射性廃棄物の輸出、海外での溶解・再利用の計画を断念し、密閉管理し続けて下さい。
7. 東京電力の事故責任を認定した最高裁決定を受け、原発依存の経営方針を「脱原発・脱石炭」へ大転換して下い。
以上

2022年4月23日 チェルノブイリ原発事故36年の集い ~海に流すな!放射能汚染水~ 参加者一同
(pdfはこちら)

トリチウム汚染水(ALPS処理水)海洋放出の方針撤回を求め、政府の方針決定日=4月13日に全国一斉スタンデイング行動に参加しよう!大阪でもやります!

4月13日は政府がトリチウム汚染水(ALPS処理水)の海洋放出方針を決定した日です。
「さようなら原発1000万人アクション実行委員会」と福島の「これ以上海を汚すな!市民会議」は、この日に全国一斉スタンデイング行動で「これ以上福島の海を放射能で汚すな!」の声を上げようと呼びかけています。
私たちもヨドバシカメラ梅田店(大阪/梅田駅歩5分)前で午後3~4時スタンディングを行います。ご参加ください。
大阪でも「全国一斉スタンデイング」に加わろう!
4月13日(水)午後3~4時 大阪/梅田駅のヨドバシカメラ梅田店前

若狭ネット第187号(2022/4/5)による呼びかけはこちら

さようなら原発1000万人アクション

「さようなら原発」では、福島の汚染水放出反対行動に呼応して各地の取り組みを紹介します。
一人でもできる行動として自家用車の窓に汚染水放出反対のステッカーを貼る等の行動をされている方や、13日から1週間「魚は汚染水を飲みたくない」のバッチを付けてアピールされる方もいます。

「海洋放出に反対する全国一斉行動紹介」はこちら

若狭ネット第187号を発行:正当性なきトリチウム汚染水(ALPS処理水)海洋放出方針の撤回を!伊方3号と玄海3号での英仏間プルトニウム交換によるプルサーマル計画反対!

若狭ネット第187号を発行しました。

第187号(2022/4/5)(一括ダウンロード3.5Mb
巻頭言—汚染水発生ゼロは可能、急ぎの敷地利用計画なし、タンク増設余地あり
正当性なきトリチウム汚染水(ALPS処理水)海洋放出方針の撤回を!
さようなら原発1000万人アクション等の呼びかけに応じ、大阪でも「トリチウム汚染水の海洋放出方針を撤回せよ!」の「全国一斉スタンデイング」に加わろう!
プーチン・ロシア政府は侵略戦争を即刻止めよ!核使用で恫喝するな!
日本政府は戦争を原発再稼働や軍拡の口実とせず再エネ拡大加速を!
1.「原発のゴミ処分の責任を果たすのは誰か」を問う県民の集いをもちます
2.伊方3号と玄海3号での英仏間プルトニウム交換によるプルサーマル計画反対!六ヶ所再処理工場を閉鎖しMOX燃料加工工場の建設を中止せよ!
3.汚染水発生ゼロは可能、急ぎの敷地利用計画なし、タンク増設余地はある— 正当性なきトリチウム汚染水(ALPS処理水)海洋放出方針の撤回を!
4.原子力規制委員会は敷地境界線量1mSv/年制限の法令を厳守し、トリチウム汚染水(ALPS処理水)の海洋放出を認めるな!

トリチウム汚染水海洋放出方針を撤回させよう!学習・討論会のご案内

トリチウム汚染水海洋放出方針を撤回させよう!学習・討論会
「宝の海」を汚すな!

テーマ1:トリチウム汚染水海洋放出は何が問題か
テーマ2:対政府交渉に向けて

日時:2022 年3 月19 日(土・休日)午後1 時半~4 時半
場所:ドーンセンター 中会議室(地下鉄谷町線&京阪線 天満橋駅 徒歩10 分)

共催:チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西
若狭連帯行動ネットワーク
ヒバク反対キャンペーン

呼びかけ(pdfはこちら)

昨年4 月、政府・東電は高濃度のトリチウムなどを含む放射能汚染水であるALPS 処理水の海洋放出の方針を決定しました。来年4 月から延々と30 年以上にわたって放出する計画です。そのために1 ㎞の海底トンネルをつくる等の工事に、6月にも着工しようと準備を着々と進めています。
また、被害を風評被害に限定し、安全・安心を強調し、政府を挙げて「あらゆる対策を行う」として「海洋放出決定」ありきで突き進んでいます。福島県漁連・全国漁連、生産者・観光業、福島県の自治体をはじめ多くの反対の声を聞く耳を持たず、一方的で強引なやり方であり許せるものではありません。漁業者との「重い約束」を破り、仕事場である豊かな海を汚す権利など誰にもありません。
私たちは、これまでも福島と全国の皆さんとともに、反対署名を広げ、政府交渉を重ねるなど、トリチウム汚染水の海洋放出に反対して取り組んできました。今回の学習討論会では、海洋放出の方針撤回を求める運動をさらに強めるために、海洋放出の問題点、反対の根拠を、福島での反対運動の様子も交えながら報告し、皆さんと議論を深めたいと思います。また来月に取り組む予定の政府交渉に向けて何が争点なのかを公開質問書(案)に基づいて議論したいと思います。
ふるってご参加下さい。

<共催>
チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西
若狭連帯行動ネットワーク
ヒバク反対キャンペーン
問合せ:072-253-4644(救援関西・猪又) cherno-kansai@titan.ocn.ne.jp

美浜原発の使用済燃料問題について関西電力へ公開質問状を提出し、マスコミへも経緯を説明しました。

関西電力森本孝社長様
2021年12月23日
【公開質問状】
美浜原発3号機の使用済燃料貯蔵に関する疑問点に対して説明する
福井県民・住民・有識者が参加できる説明会を開催してください
サヨナラ原発福井ネットワーク/若狭連帯行ネットワーク
(pdfはこちら)

貴社ホームページに掲載されているIR情報の中の経営方針には、「事業等のリスク」が列挙されています。「b.財務目標達成の観点(a)エネルギー事業」の「③原子力発電」には、以下の文言が掲載されています。

使用済燃料は、発電所内の使用済燃料プールで一定期間貯蔵したあと、再処理工場へ搬出します。万が一、プールが満杯になれば発電所を運転できなくなるため、計画的に搬出する必要があり、使用済燃料を一時的に貯蔵できる中間貯蔵施設を設置することで、将来にわたって発電所を安定的に運転できます。当社では、「使用済燃料対策推進計画」を策定し、福井県外の中間貯蔵施設について、2023年末までに計画地点を確定、2030年頃の操業開始に向けて取り組んでいます。

これまで福井県と交わしてきた中間貯蔵施設建設候補地の確定するという約束を、貴社は3度にわたり果たせずに来ました。しかし、さかのぼること24年前の1997年に、使用済燃料プールの容量拡大の了解願を提出するため、日本原電と福井県を訪れた際、2010年までに中間貯蔵施設建設を約束していました。IR情報には、1997年から中間貯蔵施設建設は福井県と約束が履行できていないということ(使用済燃料管理という困難な課題を抱えているということ)を、リスクとして株主に公正に伝えなければならないのではないでしょうか。
電力供給という社会的にも重要な役割を担う企業が、福井県と3度にわたり約束を守らなったことは一般常識では理解できません。約束を守らなかった時点で、原発の運転を停止するのが厳しい競争を生きる民間の一般常識です。原発の運転停止をしない上、私たちの疑問にも答えないのであれば、社会的な信頼はますます落ちていくことでしょう。
貴社がリスクとして認識している使用済燃料の容量について、公表されている資料をもとに調べたところ、貴社が福井県に説明している「美浜3号機は9年は燃料交換可能」という計算を裏付けるデータが見当たりません。つきましては、以下、貴社及び電気事業連合会の資料をもとに質問します。2週間以内に文書回答の上、公開の場で説明されるよう強く求めます。

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1.福井県に対し説明している「美浜3号機は9年は燃料交換可能」の根拠となるデータおよび計算方法を示してください。

2.美浜3号機の使用済燃料を「廃止措置計画中であり、かつ、新規制基準で引き上げられた新基準地震動などへの適合性審査を受けていない1・2号機の使用済燃料ピット」に貯蔵することは認められていないはずですが、それに相違ありませんか。もし、美浜3号機の使用済燃料を1・2号機ピットで保管することを想定されているのであれば、そのように想定できる根拠を教えてください。

3.美浜3号機の使用済燃料ピットの管理容量について、電気事業連合会は「管理容量は、原則として『貯蔵容量から1炉心+1取替分を差し引いた容量』。なお、運転を終了したプラントについては、貯蔵容量と同じとしている。」(電気事業連合会「使用済燃料貯蔵対策の取組強化について(「使使用済燃料は、発電所内の使用済燃料プールで一定期間貯蔵したあと、再処理工場へ搬出します。万が一、プールが満杯になれば発電所を運転できなくなるため、計画的に搬出する必要があり、使用済燃料を一時的に貯蔵できる中間貯蔵施設を設置することで、将来にわたって発電所を安定的に
運転できます。当社では、「使用済燃料対策推進計画」を策定し、福井県外の中間貯蔵施設について、2023年末までに計画地点を確定、2030年頃の操業開始に向けて取り組んでいます。用済燃料対策推進計画」)」,2021年5月25日)としていますが、貴社は「貯蔵容量から1炉心を差し引いた容量」と変更したと伺っています。これは事実ですか、事実であるとすれば、なぜ、そのような変更を行ったのですか。電気事業連合会の定義の場合には、使用済燃料貯蔵量が管理容量を超えた時点で満杯の判断になりますが、貴社の場合に同様の運用をすると、1炉心分の空き容量がピット内に存在しない状態となり、「実用発電用原子炉及びその附属施設の技術基準に関する規則」第26条に違反することになります。貴社は、独自に定義した「管理容量」をどのように運用しているのですか。

4.電気事業連合会の「使用済燃料貯蔵対策の取組強化について(「使用済燃料対策推進計画」)」(2021年5月25日)の添付資料2の表では、美浜発電所の使用済燃料について、2021年3月末時点で、1炉心70tU、1取替分20tU、管理容量620tU、使用済燃料貯蔵量470tUと記載されています。
この場合の管理容量は質問3に引用した電気事業連合会の定義によるものであり、管理容量=貯蔵容量―1炉心であり、管理容量の余裕は、管理容量-貯蔵量=150tUとなります。これより燃料交換可能回数=管理容量の余裕÷1取替分=150tU÷20tU=7.5回となり、「運転期間13ヶ月、定期検査期間3ヶ月と仮定」すると10年に相当します。貴社の主張される9年間燃料交換可能との主張はこのような計算に基づくと思われますが、いかがですか。ただし、電気事業連合会の管理容量には、美浜3号機の管理容量だけでなく、美浜1・2号機の管理容量(廃止措置中なので貯蔵容量そのもの)が含まれており、美浜1・2号機ピットの余裕が含まれていますので、このような計算を行うことは、質問2の違反行為が前提になります。

5.高浜3・4号機にはすでに使用済MOX燃料がそれぞれ8体と4体、計12体が発生して貯蔵中であり、また、それぞれ20体と16体、計36体が装荷中です。さらに、高浜4号用の新MOX燃料16体が2021年11月17日に仏から輸送・搬入されましたが、今後も、2017年発注済の高浜3号機用16体の輸送が続き、2020年1月31日に発注した32体など、MOX燃料が仏から輸送され続け、結果として使用済MOX燃料が高浜原発ピットの中に増え続けます。使用済MOX燃料の場合には、使用済ウラン燃料とは異なり、崩壊熱が下がりにくく、乾式貯蔵が可能な2kW/tU程度まで下がるのに、使用済ウラン燃料で10年のところ、使用済MOX燃料では90年かかります。1kW/tU程度まで下げるには、使用済ウラン燃料で50年のところ、使用済MOX燃料では300年もかかるのです。これでは、高浜3・4号が廃炉になった後も、使用済MOX燃料を搬出できず、事実上「永久貯蔵」に等しい状態になるのではありませんか。貴社は、この問題をどのように解決しようとしているのですか。

6.福井県原子力安全対策課を介して貴社に対話の機会をもつように依頼したところ、貴社の原子力事業本部広報グループから対応する旨の連絡が11月末に入りました。ところが、「人数は3名に制限、写真、録音、動画撮影はダメ」とのことでした。これでは、関西電力の説明を直接聞きたい市民が参加できないばかりか、録音なしでは発言内容の証拠が残らないため、責任を持って市民へ正確に知らせることもできません。本来であれば、このような重要な問題について、貴社が率先して、県民への公開説明会を開くべきであり、人数制限の緩和と録音が許されない現状では、私たちが貴社との対話に応じることはできません。この上は、福井県主催の公開説明会開催を求めた
いと考えていますが、その場合、貴社はその場に出て、キチンと県民に説明する意思はあるのでしょうか。
以上

美浜原発の使用済燃料貯蔵の問題を追及してください
報道各位
2021年12月23日
サヨナラ原発福井ネットワーク/若狭連帯行動ネットワーク
(pdfはこちら)

12月23日、別紙の質問状を関西電力に送付しました。今年は、運転開始から40年を超える美浜3号機が再稼働されました。美浜3号機には、使用済燃料プールの容量に関する疑問があり、福井県原子力安全対策課と交渉を過去3回(4月13日、7月2日、10月27日)行ってきました。その交渉において、県からも「関西電力に直接尋ねてほしい」と回答を受け関西電力に尋ねましたが、密室での記録をとることを認めず、人数も3人までで、「(事前に渡した)質問に対する説明」しか行わないというものです。県との交渉で、杉本知事も「(県民の疑念に対して)関西電力には説明する責任がある」と
考えているいうことです。美浜3号機の使用済燃料貯蔵に関する疑問と、このような関西電力の姿勢を質すため、12月23日に関西電力に送付した次第です。県にも関西電力に対し、疑念払しょくのための説明会実施を強く要請するよう申し入れを行います。
以下、これまでの経緯を簡単にまとめます。

行き場のない使用済み燃料問題は、脱原発後も将来にわたり禍根が長く残る問題であり、私たちの眼前に突き付けられている誰も否定することのできない重い命題です。周知のように、使用済み燃料の県外搬出先が決まらないなら再稼働は認められないというのが歴代知事の主張です。県外へ押し付ける姿勢が決して正しいとは思えませんが、そのことも含め使用済み燃料についての県民的議論が、原発の安全性の議論の前に必要だろうと私たちは考えています。

4月以降、県との質疑や福島みずほ国会議員事務所を介しての規制庁への質問を重ねる中で、関電が、美浜3号のプール(ピット)の余裕容量を水増し算定している事実が見えてきました。関西電力は、美浜3号機の稼働が9年であると福井県に説明していますが、その根拠が不明なため関西電力や電気事業連合会の資料をもとに調べたところ、関電は美浜と大飯で廃止措置中の原発のプール余裕を稼働原発の管理容量として算定し、燃料交換可能回数を大幅に水増ししていることが見えてきました。それがもっとも顕著なのが美浜3号です。
美浜3号は、平成26年(2014)の時点では、再稼働してもプールの余裕容量があと1,6回の交換しかできない状態になっていました。そこで関電は平成27~28年にかけ、3号プールに保管してあった1・2号機の使用済み燃料を1・2号プールに戻し、余裕容量を広げたのです。この事実は、公開されている文書「美浜1・2号機の廃止措置計画認可申請書」にも書かれておらず、私たちが質疑を重ねる中ではじめて明らかになりました。
そもそも廃止措置中の原子炉プール(美浜1・2号プール)へ使用済み燃料を戻すようなことをしたのは美浜3号だけです。伊方原発でもそのようなことはしていません。本来、美浜3号プールで保管していた1・2号の使用済燃料は、再処理施設、中間貯蔵施設へ輸送するまでは3号プールで管理するものとされていました。さらに、1・2号プールは引き挙げられた基準地震動の適合性審査も受けていません。耐震性の脆弱な1・2号プールにわざわざ戻すなど非常識なことを関電はしてきたのです。この状態で美浜3号の60年運転期限近くまで長期保管し続けることになります。
開催電力のホームページにあるIR情報には以下の文言が掲載されています。

使用済燃料は、発電所内の使用済燃料プールで一定期間貯蔵したあと、再処理工場へ
搬出(…)万が一、プールが満杯になれば発電所を運転できなくなるため、計画的に
搬出する必要があり、使用済燃料を一時的に貯蔵できる中間貯蔵施設を設置すること
で、将来にわたって発電所を安定的に運転できます
IR情報>経営方針>事業等のリスク>2.当社グループのリスク管理状況
https://www.kepco.co.jp/ir/policy/risk/index.html

上記の認識の上で、どのような管理を行うつもりなのかはリスク管理としても重要な問題であり、IR情報にあるように、株主の利益とも関連づくものです。
私たちは、この美浜3号のプールの余裕容量の水増し算定と、基準地震動の適合性審査も受けていない1・2号プールに使用済み燃料を保管し続ける危険、この二つの問題を今後も追及し続けるつもりです。報道の皆さんも、ぜひともこの問題を追及してください。
以上

脱原発福島県民会議など8団体による「ふくしまのこの海を汚すな!」のリーフレットができました–ご活用ください!

福島事故以降、甲状腺がん治療など医療保障をはじめ政府交渉を担ってきた8団体が、ALPS処理水[トリチウム汚染水]の海洋放出方針の撤回を求め、リーフレットを作成しました。
「原発のない福島を!県民大集会」呼びかけの署名を拡げるため、これを活用してください。

リーフレット「ふくしまのこの海を汚すな!」

政府交渉よびかけ8団体:脱原発福島県民会議、双葉地方原発反対同盟、原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、全国被爆2 世団体連絡協議会、原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、ヒバク反対キャンペーン

<若狭ネットからの呼びかけ>

「トリチウム汚染水海洋放出」方針の再検討・撤回を求める!
福島県民大集会から提起された署名運動にご協力下さい!

政府と東京電力は、2023年春からトリチウム汚染水(ALPS処理水)を海洋放出しようとしています。

福島県では、県漁連をはじめ農林水産業者が一斉に反対の声を上げ、市町村議会も反対、撤回、懸念の意見書を採択しています。全漁連も「絶対反対」を貫いています。

「原発のない福島を!県民大集会」実行委員会は2020年に「放出反対」の署名を呼びかけ、45万超の署名を集め、政府と東電に放出の方針決定をしないように求めました。
しかし、当時の菅政権は2021年4月13日、福島県民と国民の反対の声を無視して「海洋放出」の方針を決定し、2023年春からの実施に向けて準備を進めています。
「海洋放出」方針決定後も、福島県漁連や農林水産業者の「絶対反対」の姿勢は不変です。「何としても方針決定を撤回させよう」と、「原発のない福島を!県民大集会」実行委員会は7月に「海洋放出方針の再検討(撤回)を求める署名」を提起し、全国に協力を呼びかけています。毎奇数月に集約されています。
コロナ禍ですが、皆さんの一層のご協力をお願いします。

福島からの署名呼びかけ(pdf)

署名用紙(pdf版word版)

若狭ネット第186号を発行:トリチウム汚染水海洋放出は「恩を仇で返す」もの!敷地境界線量1mSv/年超での海洋放出は法令違反!CO2削減のための原発推進は国民に新たな犠牲を強いるもの!

若狭ネット第186号を発行しました。

第186号(2021/12/10)(一括ダウンロード6.2Mb
巻頭言–「トリチウム汚染水海洋放出」の方針決定を撤回せよ!
政府は脱炭素・脱原発のエネルギー政策へ大転換せよ!
関電役員贈収賄事件の大阪地検「不起訴処分」は許さない!
1. 福島県漁連は地下水流入抑制のため「サブドレン排水同意に苦渋の決断」・・・「恩」を「仇」(トリチウム汚染水の海洋放出)で返す東京電力と政府は許せない!
2. 敷地境界線量実測値が1mSv/年を超えている現状でトリチウム汚染水を海洋放出するのは法令違反である!
3. CO2削減に名を借りた原子力推進は、原子力災害の受忍と高い建設費の負担を国民に強いるもの! SMR開発は英・米・仏の核軍事力開発と一体!
4. 大阪地検による関電役員不起訴は許せない!皆で検察審査会へ申立てよう!

「トリチウム汚染水海洋放出」方針の再検討・撤回を求める!
福島県民大集会から提起された署名運動にご協力下さい!

政府と東京電力は、2023年春からトリチウム汚染水(ALPS処理水)を海洋放出しようとしています。

福島県では、県漁連をはじめ農林水産業者が一斉に反対の声を上げ、市町村議会も反対、撤回、懸念の意見書を採択しています。全漁連も「絶対反対」を貫いています。

「原発のない福島を!県民大集会」実行委員会は2020年に「放出反対」の署名を呼びかけ、45万超の署名を集め、政府と東電に放出の方針決定をしないように求めました。
しかし、当時の菅政権は2021年4月13日、福島県民と国民の反対の声を無視して「海洋放出」の方針を決定し、2023年春からの実施に向けて準備を進めています。
「海洋放出」方針決定後も、福島県漁連や農林水産業者の「絶対反対」の姿勢は不変です。「何としても方針決定を撤回させよう」と、「原発のない福島を!県民大集会」実行委員会は7月に「海洋放出方針の再検討(撤回)を求める署名」を提起し、全国に協力を呼びかけています。毎奇数月に集約されています。
コロナ禍ですが、皆さんの一層のご協力をお願いします。

福島からの署名呼びかけ(pdf)

署名用紙(pdf版word版)

美浜3号の使用済燃料問題等で福井県へ申し入れ・交渉を行ないました(10月29日U-tube画像をアップしました)

2021年10月27日14:00~15:15、福井県庁会議室にて、サヨナラ原発福井ネットワークと若狭連帯行動ネットワークによる福井県原子力安全対策課への申し入れ(下記参照:pdfはこちら交渉資料はこちら)・交渉を行いました。

U-tubeの画像ができました!下記をクリックしてご覧ください。
県民・住民の原発に対する疑問に答えてください(2021.10.27 福井県庁101会議室)

以下では、その概要と経緯を記します。

————————-
2021年10月27日
福井県知事 杉本達治様

県民・住民の原発に対する疑問に答えてください

サヨナラ原発福井ネットワーク/若狭連帯行動ネットワーク

 国のエネルギー基本計画案が示され、現在、パブリックコメントを踏まえた見直しが行われています。この計画案は、菅前首相が打ち出した2050年にCO2排出をゼロにするという方針のもと、今後の再生可能エネルギーと原発のあり方を示すものとして注目されています。しかし、原発に関しては、誰もが実現不可能だと認める目標値=2030年電源構成の「20~22%程度」を掲げる一方で原発の依存を低減させるとしているという矛盾したものです。その矛盾を指摘されていながらも、今回も同じ目標値を掲げているのは、日本政府が原発に関わる問題を解決するつもりがないという表明だと受け止めざるを得ません。したがって、福井県をはじめとする原発立地自治体は、こうした政府方針の矛盾と無責任な姿勢を認識した上で、今後の対応を考えなければなりません。

核燃料サイクル政策の破綻と矛盾が行き場のない使用済み燃料問題を派生させていることは誰の目にも明らかです。私たちは、したがって原発を動かすべきではないと知事に対し繰り返し訴えてきました。今年7月2日に行った公開質問状に対する県の回答は以下の通りでした。

1 質問:関電・美浜3号機の燃料の交換可能年数の計算は関電が主張する9年ではなく、4回(4回×16ヶ月/12ヶ月=5.3年)ではないか。具体的な算定根拠を出させるべきではないか。県民の 安全を守る県の立場上、しっかりと確認する必要があるのではないか

県・原安課回答:関電がそう言っている。関電に説明責任がある。容量は、規制委員会の方で 確認していると考える

2 要請:関電に説明責任があるという県の考えを実行すること。燃料交換の算定根拠など、関電が私たち県民や住民、有識者と対面する「説明の場」を設けることを県が関電に要請すること

以上に集約されます。特に2については、私たちに対する県の回答に沿ったものです。
つきましては、7月の交渉をふまえ、知事の考えをお尋ねします。

質問1 7月の交渉から3か月経ちましたが県から回答がありません。早急にご回答ください。

質問2 杉本知事になって以来、県との交渉で「関電にきいてください」という返答が目立ちます。関電は私たち市民との対面での交渉を拒否しています。私たちの質問の内容は、県民や住民の安全を守らなければならない立場の県も把握しておくべき内容です。能天気に「関電にきいてください」と私たちに返答している場合ではありません。この点をどのようにお考えですか。

質問3 基準地震動変更に伴う新規制基準への適合性審査も補強工事もなされていない美浜1・2号機プールでの、使用済み燃料の長期間保管を県は認めているのですか。

質問4 使用済みMOX燃料はプールで90年以上冷却しなければ乾式キャスクに入れられません。県は、高浜が最終処分地になることを承知で高浜3・4号機の稼働を認めておられるのですか。
———————-

<質問1と2に関する質疑概要>
市民側:美浜町の関西電力原子力事業本部広報グループに、最近、電話で「対面での話し合いの場を開く」よう求めたところ、「できません」と拒否され、「なぜできないのか」と聞いたところ、「それはお答えできません」との対応だった。また、前日の10月26日反原子力デーに関西電力本社へ文書による共同申し入れ(pdfはこちら)を行ったところ、関西電力本社広報部は対応せず、総務部が代わりに受け取った。関西電力本社では、2015年2月の公開質問状への回答拒否・面談拒否以降、6年以上にわたり、この状態が続いている。福井県原安課としても関西電力に市民との対話に応じるよう厳しく求めるべきだ。今日のような話し合いの場に関西電力広報部等の社員を同席させて回答させるのもミニマムとしてあってよいが、どうか。

原安課:関電に市民側との話し合いの場をもつよう再度求めます。

市民側:原安課は美浜3号の燃料交換可能回数について関電の主張を認めているのか?

原安課:計算の前提条件が違うと思われるが、関西電力から我々が聞いた限りでは不審な点はない。関西電力の前提条件は、(1)原発7基がすべて普通に稼働して、六ヶ所再処理工場への搬出がない、(2)プールの空き容量を年平均取替え回数で算出している、の二つだが、これに基づく燃料交換は9年可能という数値については確認していない。数値は関西電力に確認してください。

市民側:以前に、原安課から、美浜3号の燃料は5.5万MWD/tの高燃焼度燃料に代わっているから、取替燃料は52体より少ないとの指摘があったので、調べたところ、2008年から136体装荷されていて、2022年10月には48体装荷する予定だとされていて、計184体になる。1炉心分157体を超えており、関電の説明でも高燃焼度燃料で「使用済燃料発生量を約10%低減することができる」(2002年6月21日)とされている。つまり、燃料交換回数が約10%増える程度に過ぎず、4回の燃料交換可能回数が7~8回に増えるわけではない。9年になるはずがない。

原安課:燃料交換可能回数は前提条件によって変わるので、福井県は関西電力に「県外へ搬出してください」ということを求めています。「②美浜1・2号ピットは3号と共用ではないのに、1・2号ピット余裕102体分を美浜3号用と想定している。」および「③『管理容量』の定義を『貯蔵容量-炉心燃料-1取替分』から『貯蔵容量-炉心燃料』へ変更している。」については、関電に確認してみます。

<質問3に関する質疑概要>
原安課:原子力規制委員会が廃止措置計画の認可時に「美浜1・2号機のプールで使用済燃料を保管する」としたことを確認しています。長期保管を認めているわけではありません。

市民側:廃止措置計画では2035年度末までに使用済燃料を搬出するとなっているが、それまでの長期間保管を認めているということですね?

原安課:そうです。長期保管を認めるということではなく、原子力規制委員会が認めた範囲内で保管されることを認めています。

<質問4に関する質疑概要>
市民側:使用済MOX燃料はすでに高浜3・4号で計12体発生しており、永久貯蔵になる恐れがある。この使用済MOX燃料の搬出先はどこか示されていますか?

原安課:それはありません。だから、経産省に早く示せと言っています。関電には特には言っていないが、「県外搬出」の中に含まれている。使用済MOX燃料の再処理の実績は「ふげん」(新型転換炉)でもあります。

市民側:ふげんのは燃焼度が低く、軽水炉の使用済MOX燃料とは比較にならない。全然違うものだ、話にならない。

<簡単な経緯の説明>

美浜3号の使用済燃料に関しては、美浜1・2号の廃止措置計画認可申請書の第8-1表に「美浜3号ピットには、2015年9月現在、美浜1・2号の使用済み燃料150体が保管されている」との記載があったこと、美浜3号機の適合性審査で新基準地震動の見直し(750ガルから993ガルへ引上げ)で美浜3号のピット貯蔵容量が1,118体から809体へ減ったこと、そのため、美浜3号ピットの空き容量が38体しかなくなり、燃料交換可能回数は0.7回(1取替分52体の0.7)しかなくなったことが契機となりました。

関西電力が公開質問状への回答も面談も拒否していることから、福井県や原子力規制委員会に公開質問状を提出して交渉した結果、次のことが明らかになりました。

①新基準地震動(750ガル→993ガル)対応工事で、美浜3号ピット貯蔵容量が1,118→809体へ減ったため、3号貯蔵中の1・2号使用済燃料150体を2016年度に1・2号へ移し、余裕を38体から188体へ増やしたのです。これで、燃料交換可能回数は3.6回に増えたのですが、関西電力は9年間は燃料交換が可能だと主張しています。

「なぜ、そうなるのか」を調べたところ、電気事業連合会の資料等から次の疑いが明らかになったのです。

②美浜1・2号ピットは3号と共用ではないのに、1・2号ピット余裕102体分を美浜3号用と想定している。これで、燃料交換可能回数が3.6回から5.6回へ増えます。ところが、2021年7月2日の交渉で、福井県原安課は「これは認められていない」と認めたのです。

また、マスコミへの関西電力広報部の話によれば、次のような事実も出てきました。

③「管理容量」の定義を「貯蔵容量-炉心燃料-1取替分」から「貯蔵容量-炉心燃料」へ変更している。これで燃料交換可能回数は1回程度増えますので、②と合わせると燃料交換可能回数は6.6回になり、13ヶ月運転+3ヶ月定検のサイクルを想定すると、8,8年に相当します。関西電力の9年の根拠は②と③を想定しているからではないかという強い疑惑が明らかになったのです。

しかし、この③も、福井県原安課との交渉で、技術基準違反となることが判明しました。
平成二十五年原子力規制委員会規則第六号「実用発電用原子炉及びその附属施設の技術基準に関する規則」には次の記載があります。

(燃料取扱設備及び燃料貯蔵設備)
第二十六条 通常運転時に使用する燃料体又は使用済燃料(以下この条において「燃料体等」という。)を取り扱う設備は、次に定めるところにより施設しなければならない。
2 燃料体等を貯蔵する設備は、次に定めるところにより施設しなければならない。
三 燃料体等を必要に応じて貯蔵することができる容量を有するものであること。

この第三号から運転停止時に炉心燃料をすべて貯蔵できるようにプール(又はピット)を運用することが義務付けられています。仮に、
管理容量=貯蔵容量-炉心燃料-1取替分
を超えて燃料交換をして再稼働した場合には「1取替分」の一部が使用済燃料で
占められますが、炉心燃料分は空いています。
しかし、管理容量の定義を変更して
管理容量=貯蔵容量-炉心燃料
とした場合に、この「管理容量」を超えて燃料交換するためには、炉心燃料の1・2サイクル後の使用済燃料(炉心燃料の2/3程度を占めます)を装荷した後に新燃料(残り1/3程度を占めます)を装荷すれば再稼働できますが、炉心燃料分の空きは存在しないことになります。つまり、技術基準違反になるのです。

④電気事業連合会資料の記載値では、数値を丸めているため、丸め誤差を利用して、燃料交換可能回数を6.6回から7.5回(10年)へ延ばしています。

第6回使用済燃料対策推進協議会(2021年5月25日)
資料2 使用済燃料貯蔵対策の取組強化について(「使用済燃料対策推進計画」)

この資料2の中の「添付資料2」の表から下記が読み取れます。

関西電力 美浜 2021年3月末時点(tU)
1炉心 1取替分 管理容量※2 使用済燃料貯蔵量
 70    20   620      470

※2:管理容量は、原則として「貯蔵容量から1炉心+1取替分を差し引いた容量」。なお、運転を終了したプラントについては、貯蔵容量と同じとしている。

管理容量の620tUは「※2」のように、美浜1・2号の管理容量を貯蔵容量に等しいと見なして、つまり、美浜3号用にも使える管理容量として、算出されています。
この管理容量から使用済燃料貯蔵量(美浜1・2号も含む)を差し引くと、余裕150tU(=620-470)が出てきます。1取替分は20tUですので、燃料交換可能回数は150÷20=7.5回となり、これが関電のいう9年分の主張を裏付けるものだと言えますが、ここには、②の美浜1・2号の空き容量を美浜3号用に使うという前提があります。

美浜3号では2008年から高燃焼度燃料を使用していますが、これによる使用済燃料発生量の低減は約10%程度に過ぎず、燃料交換可能回数を約10%増やすにすぎません。3.6回が約4,0回へ増える程度で、大差はありません。

以上より、関西電力は「美浜3号は9年間、燃料交換可能だ」と主張していますが、その根拠を示しておらず、福井県も具体的に確認しようとしていません。私たちの評価では、②と③を想定しない限り、実現不可能です。仮に、これらを想定しているとすれば、法令違反を平気でやる電力会社だということが明確になり、美浜3号を含め全原発の即時停止を求める大きな根拠になると思います。

これに加えて、1・2号ピットでの使用済燃料貯蔵期限は2035年度末であるのに対し、3号の60年運転期限が2036年12月であり、8ヶ月しか差がありません。にもかかわらず、3号は基準地震動引上げに伴う建屋基礎補強工事とラック取替工事が行われているのに、1・2号では新規制基準適合審査は一切受けておらず、補強工事もなされていません。
伊方では廃炉になった1・2号から3号へ使用済燃料が速やかに搬出される計画ですが、そうすると3号ピットが満杯になるため乾式貯蔵施設がサイト内に設置されつつあります。(本来は、3号も満杯になれば運転を断念すべきであり、乾式貯蔵は設置すべきではありません。)
廃炉になった美浜1・2号ピットが補強もされないまま美浜3号の60年運転期限相当まで長期間使用され続けるのは極めて異常です。これも今回の交渉で追及しましたが、引き続き大きな課題だと言えます。

10・26反原子力デーに際して関電本社へ共同申しれを行いました

関西電力本社へ下記の共同申し入れを行いました。
関西電力広報部は対応を拒否したため、代わりに関西電力総務部が申し入れ文を受け取りました。関西電力本社広報部による私たち市民グループとの面談拒否は、2015年2月の公開質問状への回答拒否・面談拒否以来6年以上続いています。公益事業者として、断じて許せない対応です。
申し入れpdfはこちら

2021年10月26日
関西電力株式会社取締役・代表執行役社長
森本 孝 様

10・26反原子力デー 関西電力への申し入れ

<共同提出団体>
  原発の危険性を考える宝塚の会
  地球救出アクション97
  ヒバク反対キャンペーン
  若狭連帯行動ネットワーク
  チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西

貴社は24年前から「できない空約束」を繰り返し、原発の延命を続けています。約束破りが当たり前の企業なのでしょうか。貴社は24年前の1997年、栗田福井県知事(当時)に「2010年までに中間貯蔵施設を建設する」と約束し、原発の使用済燃料プール増強計画を受け入れさせました。行き場のない使用済燃料の問題は1990年代半ばから焦眉の課題になっていましたが、貴社は実に24年前から空約束を繰り返してきたのです。昨年には「2020年内に中間貯蔵施設の候補地を示す」との福井県との3度目の約束を破り、原発延命工事を進め、原発を強引に再稼働し、使用済燃料を生み出し続けています。本当に企業の信頼を取り戻したいのならば、中間貯蔵施設の立地を断念し、使用済燃料をこれ以上生み出さないため、原発の運転を止めるべきです。

さらに、貴社は運転開始から40年を超えた美浜3号を7月に国内で初めて再稼働させましたが、10月23日には特定重大事故等対処施設の設置期限切れによる停止を余儀なくされました。わずか3ヶ月とは言え40年超運転の実績作りを優先させたのは言語道断であり、強く抗議します。美浜3号の使用済燃料ピットには廃止措置中の美浜1・2号の使用済燃料150体が保管されていましたが、これを2016年度にこっそり移送して、3号の燃料交換が4回までできるようにしています。ところが、貴社は「9年間は燃料交換が可能だ」と虚言を張っています。「1・2号機ピットの空き容量の3号用への転用」や「技術基準違反まがいの管理容量の定義変更」をしなければこのようなことは実現できず、福井県原子力安全対策課も私たちの主張を認め、市民に説明する場を持つよう貴社へ申入れています。貴社は、この疑問に真摯に応えるべく、公開説明会を開くべきです。

貴社の存亡に係わる「役員らによる金品受領問題」は、公表から2年がたちます。「風通しの良い会社になる手応えは感じている」と貴職は言いますが、果たしてそうでしょうか。社内外に不信感を募らせる貴社の不祥事が後を絶たないのはなぜでしょうか。たとえば、貴社は敦賀市道工事費名目で2018年度から敦賀市へ6.3億円を寄付し続けていますが、森山氏に係る金品受領事件を二度と繰り返さないため、立地自治体等への寄付金など一切の金品授受をやめるべきです。また、貴社は、昨年末から年初にかけ卸電力市場への売り入札量を意図的に減らしてスポット価格を暴騰させ、他方では、中部電力等とカルテルを結んで料金引き下げを妨害していました。このような電力市場での支配力行使を謝罪し、今後、新電力との相対取引や再エネ接続を妨害しないと約束し、業務優先、ルール軽視の体質を見直すべきです。

フクシマの原発重大事故は、原発がひとたび重大事故を起こせば、放射能汚染は広範囲・長期にわたり取り返しのつかないこと、そして事故の収束・廃炉作業は困難を極めることを示しています。大飯3号スプレー配管のひび割れ問題では、国の定期検査が廃止されたのを契機に、貴社はひび割れ放置運転を目論みましたが、原子力規制委員会から待ったをかけられ、配管取替えを余儀なくされています。安全性より企業利益を優先させる姿勢が何度も繰り返されているのは、貴社の企業体質が全く変わっていないからではありませんか。

まずは全ての原発の運転を停止し、処理処分のできない使用済燃料を今以上に増やさないことが先決です。これ以上、子々孫々に重大な負の遺産を押し付けないでください。今、貴社の為すべきことは、原発再稼働に血道を上げることではなく、「利益優先」「安全軽視」の体質から脱却し、「脱原発」「脱石炭」へ大転換し、再生可能エネルギーを推進することです。そのことが失った信頼を回復し、貴社の生き残る唯一の道です。

貴社は2015年2月以降、私たち市民からの公開質問状への回答も面談も拒否し続けていますが、私たちはこれに強く抗議し、公開質問状への回答と面談に応じるよう求めると共に、以下の通り、原発依存経営を抜本的に見直すよう強く申し入れます。公益事業者として責任ある態度で真摯に検討し対応されるよう求めます。

1.美浜3号、高浜1号および高浜2号の40年超運転を断念し、廃炉にしてください。

2.配管のひび割れや蒸気発生器細管の減肉など老劣化の進む高浜3・4号と大飯3・4号を廃炉にしてください。

3.むつ市への使用済燃料の中間貯蔵押しつけを断念し、使用済燃料をこれ以上生み出さないでください。

4.高浜3・4号でのプルサーマルを即刻中止し、大飯原発にプルサーマルを広げないでください。プルトニウム利用を断念し、MOX燃料の輸入を中止してください。六ヶ所再処理工場の閉鎖を日本原燃に求めてください。

5.2020年10月から貴社送配電網の託送料金に加算している「福島損害賠償費・原発関連費約300億円(一般負担金「過去分」156億円/年と廃炉円滑化負担金140億円/年)」を撤回し、貴社の利益で賄ってください。

6.原発依存の経営方針を「脱原発・脱石炭」へ大転換し、「再エネ推進・新電力との共生」を進めてください。

以上