若狭ネット

福井と関西を結び脱原発をめざす市民ネットワーク

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01月

基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイドの一部改正案に対する意見募集へ意見を出しました

(意見) 4.2.1の(解説)の改正前の(3)は表1(収集対象となる内陸地殻内の地震の例)とともに削除され、改正後の(3)は「(3)許可基準解釈別記2第4条第5項第3号丸括弧2に掲げる知見については、知見そのものの再度の妥当性確認は要しない。」に書き換えられているが、これを削除すべきである。

また、同(2)の丸括弧2を「丸括弧2 上部に軟岩や火山岩、堆積層が厚く分布する地域で発生した地震(例:2008年岩手・宮城内陸地震(基盤波が得られない場合は地中観測記録の2倍を基盤波とみなすこともある))」と括弧内の注意書きを追記すべきである。

(理由) 「許可基準解釈別記2第4条第5項第3号丸括弧2に掲げる知見」とは、2004年北海道留萌支庁南部地震の基盤地震動および今回新たに設定された標準応答スペクトルのことだが、これらはすでに確定されたスペクトルとして指定されていることから、改めて書く必要もない。にもかかわらず、「知見そのものの再度の妥当性確認は要しない。」としてしまうと、これらだけを考慮すればよいかのような解釈が生まれかねない。地中地震計が全国的に配置されて強震観測記録がとられ始めたのは最近のことであり、2004年北海道留萌支庁南部地震の基盤地震動を超える観測記録が今後生じる可能性は大きい。そもそも、今回の標準応答スペクトルは、2008年岩手・宮城内陸地震の一関西における三成分合成1,078ガルの地中観測記録(はぎとり波2,000ガル弱相当)の基盤波が電力会社のサボタージュによって求められていないこと等から、しびれを切らせた原子力規制委員会が自ら策定したものであり、これらの「知見そのものの再度の妥当性確認は要しない。」と、わざわざ書き込めば、電力会社に猛省を促すどころか、これらの知見さえ満たしておけばよいかのような誤った安心感を電力会社に与えてしまう恐れがある。

さらに、「許可基準解釈別記2第4条第5項第3号丸括弧2の上記2箇所について言えば、次のように「 」書き部分を追記すべきであるとの意見を別途出しているところであり(「実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則の解釈等の一部改正について」への意見募集)、これとの関係からも、「改正後の(3)」は削除すべきである。

・2004年北海道留萌支庁南部の地震において、防災科学技術研究所が運用する全国強震観測網の港町観測点における観測記録から推定した基盤地震動「および今後収集されるMw6.5程度以下の地震観測記録から推定した基盤地震動で、その応答スペクトルが2004年北海道留萌支庁南部の地震のそれを超えるもの」

・震源近傍の多数の地震動記録に基づいて策定した地震基盤相当面(地震基盤からの地盤増幅率が小さく地震動としては地震基盤面と同等とみなすことができる地盤の解放面で、せん断波速度Vs=2200m/s以上の地層をいう。)における標準的な応答スペクトル(以下「標準応答スペクトル」という。)として次の図に示すもの「(ただし、この標準応答スペクトルは2000~2017年に発生したMw5.0~6.5程度の地震動の非超過確率97.7%(平均+2σ)の応答スペクトルを基に設定したものであり、今後の地震観測記録の収集によって改定された場合にはその応答スペクトル)」

(2)の丸括弧2の中の括弧内注意書きの追記については、電力会社による基盤波解析サボタージュを戒めるために、ぜひとも追記すべきであり、そうでもしない限り、電力会社が猛省して解析を進めることはありえない。原子力規制委員会として、しびれを切らしたと言うのであれば、これぐらいのことはすべきである。

実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則の解釈等の一部改正案に対する意見募集へ意見を出しました

(意見) 別表第1および別表第2の別記2第4条第5項第三号丸括弧2ならびに別表第3別記2第7条第6項第三号丸括弧2の2箇所について、次のように「 」書き部分を追記すべきである。

・2004年北海道留萌支庁南部の地震において、防災科学技術研究所が運用する全国強震観測網の港町観測点における観測記録から推定した基盤地震動「および今後収集されるMw6.5程度以下の地震観測記録から推定した基盤地震動で、その応答スペクトルが2004年北海道留萌支庁南部の地震のそれを超えるもの」

・震源近傍の多数の地震動記録に基づいて策定した地震基盤相当面(地震基盤からの地盤増幅率が小さく地震動としては地震基盤面と同等とみなすことができる地盤の解放面で、せん断波速度Vs=2200m/s以上の地層をいう。)における標準的な応答スペクトル(以下「標準応答スペクトル」という。)として次の図に示すもの「(ただし、この標準応答スペクトルは2000~2017年に発生したMw5.0~6.5程度の地震動の非超過確率97.7%(平均+2σ)の応答スペクトルを基に設定したものであり、今後の地震観測記録の収集によって改定された場合にはその応答スペクトル)」

(理由) 「震源を特定せず策定する地震動」は「震源近傍における観測記録を収集し、これらを基に、各種の不確かさを考慮して敷地の地盤物性に応じた応答スペクトルを設定して策定すること」となっていたが、今回の改定で「収集し」が削除され、2004年北海道留萌支庁南部地震の基盤波と標準応答スペクトルだけが列挙される形になってしまうと、これ以降に収集される地震観測記録が無視されてしまう恐れがある。そうならないよう、2004年北海道留萌支庁南部地震の基盤波を超えるものが得られた場合にはそれを適用するように明記すべきである。 標準応答スペクトルについては、アプリオリに策定されたものではなく、18年間の地震観測記録に基づき、地震基盤面はぎとり波に不確かさを考慮して策定したものであり、震源を特定せず策定する地震動に関する検討チーム報告書(2019.8.7)に基づいて、策定根拠を明示すると共に、新たに地震観測記録が収集され、更新の必要性が生じた場合には標準応答スペクトルも更新されることを明記しておくべきである。とくに、今回の標準応答スペクトルは、2008年岩手 ・宮城内陸地震の一関西における三成分合成1,078ガルの地中観測記録(はぎとり波2,000ガル弱相当)の基盤波が電力会社のサボタージュによって求められていないこと等から、しびれを切らせた原子力規制委員会が自ら策定したものであり、電力会社に猛省を促す意味でも明記すべきである。