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03月

「基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド等の一部改正(案)」への意見募集に意見を3件提出しました

下記の「基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド等の一部改正(案)」への意見募集に意見を3件提出しました。

基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド等の一部改正について(案)に対する意見募集について

受付開始日時    2022年2月25日0時0分

受付締切日時    2022年3月27日0時0分

————–<意見1>————————————-

新旧対照表pp.18-19の「(解説)」は「3.3.2 断層モデルを用いた手法による地震動評価」の(4)の詳細項目①~③をほぼそのまま転記し、「(4)「震源断層を特定した地震の強震動予測手法(『レシピ』)」を用いて地震動評価を行っている場合には、レシピに示された関係式及び手順に基づいて行われていることに留意する必要がある。また、レシピに示されていない方法で評価を行っている場合には、その方法が十分な科学的根拠に基づいていることに留意する必要がある。」と追記したものである。

このレシピには「(ア) 過去の地震記録や調査結果などの諸知見を吟味・判断して震源断層モデルを設定する場合」と「(イ) 長期評価された地表の活断層長さ等から地震規模を設定し震源断層モデルを設定する場合」の2種類があり、検討用地震に対応する地震観測記録が存在しない場合には、(ア)を用いてはならず、(イ)を用いるべきであることが示されている。たとえば、日本地震学会2016年度秋季大会(2016.10.5)で東京大学地震研究所の纐纈一起教授は、「『震源断層を特定した地震の強震動予測手法』と熊本地震」(予稿集S15-06)を発表し、2016年4月の熊本地震の震源断層評価結果に基づき、「詳細な活断層調査を行っても震源断層の幅の推定は困難であるので、活断層の地震の地震動予測には『手法』(イ)の方法を用いるべきであることを確認した。」と結論づけている。

したがって、(4)として追記された前半部分について、「震源断層を特定した地震の強震動予測手法(『レシピ』)」を用いて地震動評価を行っている場合には、検討用地震に対応する地震観測記録に基づいて震源断層が適切に推定されているケースでは(ア)を用い、地震観測記録がないケースでは(イ)を用いることとし、レシピに示された関係式及び手順に基づいて行われていることに留意する必要がある。」と修正すべきである。

————–<意見2>————————————-

新旧対照表pp.20-21の「(解説)」は「3.3.3 不確かさの考慮」の(2)の詳細項目①と②をほぼそのまま転記し、①に「なお、アスペリティの応力降下量( 短周期レベル) については、新潟県中越沖地震で得られた知見を踏まえた不確かさが考慮されていることに留意する必要がある。」と追記したものである。

しかし、新潟県中越沖地震で得られた知見から「アスペリティの応力降下量( 短周期レベル)」を1.5倍にする場合、応力降下量を1.5倍にし、すべりの重ね合わせ数を1/1.5にして短周期レベルも1.5倍にする場合は妥当だが、統計的グリーン関数法で要素地震の応力降下量を最初から1.5倍にする方法では短周期レベルは「1.5の2/3乗」倍に留まり、1.5倍にならない。この誤りを避けるには、「アスペリティの応力降下量および短周期レベル」と書き換えるべきである。

また、2012年8月17日に原子力安全・保安院が出した「活断層による地震動評価の不確かさの考慮について(考え方の整理)」では「応力降下量について1.5倍又は20MPaの大きい方※」とされ、※印の注意書には「※断層のずれのタイプや地域特性について十分な検討が行われた場合、これ以外の数値を用いて評価しても良い。」とされている。

さらに、新潟県中越沖地震で得られた知見は震源特性が1.5倍も大きかったという知見であり、これまでの審査でも、アスペリティだけでなく震源断層の平均についても応力降下量と短周期レベルは1.5倍にされている。

結論的には、「アスペリティの応力降下量( 短周期レベル)」を「応力降下量※および短周期レベル」に書き換え、「※アスペリティの応力降下量については1.5倍又は20MPaの大きい方」と注記すべきである。

————–<意見3>————————————-

新旧対照表pp.21の「(解説)」の「(2)必要に応じた不確かさの組み合わせによる適切な考慮」は「3.3.3 不確かさの考慮」の(2)の詳細項目②をそのまま転記し、「②地震動評価においては、震源特性( 震源モデル) 、伝播特性( 地殻・上部マントル構造) 、サイト特性( 深部・浅部地下構造) における各種の不確かさが含まれるため、これらの不確かさ要因を偶然的不確かさと認識論的不確かさに分類して、分析が適切になされていることに留意する必要がある。」としているが、偶然的不確かさについては「破壊開始点」のバラツキぐらいしか考慮されておらず、地震動そのものの確率論的バラツキがこれまで一貫して全く考慮されていない。わざわざ不確かさを偶然的不確かさと認識論的不確かさに分類したにもかかわらず、「地震動そのものの確率論的バラツキ」が偶然的不確かさから除外されている。このようにするのであれば、その根拠を解説で明記すべきである。

他方、「4. 震源を特定せず策定する地震動」で導入された標準スペクトルの策定時には、M5~M6.5の地震観測記録の基盤波の平均に対して標準偏差の3倍のバラツキが考慮されており、不整合であり、ご都合主義である。「3. 敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」における検討用地震に対しても、地震学界で常識的に認められている地震動の1標準偏差で「倍半分」程度のバラツキを考慮し、平均像として求められた現在の基準地震動に対して2倍のばらつきを考慮すべきである。