若狭ネット

福井と関西を結び脱原発をめざす市民ネットワーク

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03月

高浜原発の使用済燃料乾式貯蔵施設設置に関する審査書案のパブコメに2つ目の意見を提出しました。

<該当箇所> 25頁19行目以降

<意見>
審査書(案)の「放射線からの放射線業務従事者の防護(第30条関係)」(25頁19行目以降)の項では、「申請者は、使用済燃料乾式貯蔵施設は、放射線業務従事者の受ける放射線量を低減できるよう、遮蔽、使用済燃料乾式貯蔵容器の配置等の放射線防護上の措置を講じた設計とするとしている。また、使用済燃料乾式貯蔵施設は、放射線管理区域を設定し、放射線業務従事者が立ち入る場所については、サーベイメータによる外部放射線に係る線量当量率の測定を行うとともに、作業場所の入口付近等に線量当量率を表示する設計としている。規制委員会は、申請者の設計方針が、外部放射線による放射線障害防止上の措置を講じた設計とするとしていること、また、放射線管理に必要な情報を表示する設計としていることを確認したことから、設置許可基準規則に適合するものと判断した。」と記載しているが、疑念がある。
 第1320回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合,資料1-5(2025.2.20)における関西電力「使用済燃料乾式貯蔵容器の4つの安全機能について(閉じ込め機能)」,高浜発電所1号、2号、3号及び4号炉設置許可基準規則への適合性について(使用済燃料乾式貯蔵施設)<補足説明資料>16条 燃料体等の取扱施設及び貯蔵施設、によれば、「一次蓋ー二次蓋間圧力異常時の乾式キャスク移送手順等について」の第2図で、乾式貯蔵施設敷地内で7基のキャスクが格納設備なしで放置された状態になるが、高浜発電所敷地境界外の周辺監視区域外で50マイクロSv/年以下を確認してはいるものの、乾式貯蔵施設敷地境界で管理区域境界線量率基準値0.0026mSv/h以下を満たすかどうかのチェックが行われた形跡がない。これを確認した上で、「設置許可基準規則に適合するものと判断した」と言えるかどうかについて、再確認されたい。

高浜原発の使用済燃料乾式貯蔵施設設置に関する審査書案のパブコメに意見を提出しました。

<該当箇所> 19頁11~23行目

<意見>
 審査書(案)の「1.燃料体等の貯蔵容量」(19頁11~23行目)の項には、「申請者は、既に許可を受けたとおり、各号の使用済燃料貯蔵設備に各号原子炉の全炉心燃料及び1回の燃料取替えに必要とする燃料に十分余裕を持たせた貯蔵容量を確保する方針としている。加えて、使用済燃料乾式貯蔵施設を新たに設置することにより、使用済燃料乾式貯蔵容器22基分の貯蔵容量を新たに確保するとしている。規制委員会は、既に許可をした設計方針に基づき燃料体等の貯蔵容量を確保する方針であることを確認した。」と記載しているが、事実関係に大きな過誤、欠落がある。実際には、「使用済燃料乾式貯蔵容器22基分の貯蔵容量を新たに確保する」のではなく、「使用済燃料乾式貯蔵容器22基分の貯蔵施設を設置するが、これは貯蔵容量を新たに確保するものではない」とすべきであり、「規制委員会は、既に許可をした設計方針に基づき燃料体等の貯蔵容量を確保する方針であること、加えて、使用済燃料乾式貯蔵容器22基分の貯蔵施設の設置は貯蔵容量を新たに確保するものではないことを確認した。」と書き改めるべきである。

<理由>
 関西電力は第1247回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合(2024.4.23)で、申請の経緯を説明し、「当社は、使用済燃料対策を着実に実施していくため、使用済燃料対策ロードマップを2023年10月に策定。(ロードマップ(抜粋))使用済燃料の中間貯蔵施設へのより円滑な搬出、さらに搬出までの間、電源を使用せずに安全性の高い方式で保管できるよう、発電所からの将来の搬出に備えて発電所構内に使用済燃料乾式貯蔵施設の設置を検討。」「ロードマップの確実な実現に向けた取り組みとして、2030年頃に操業開始する中間貯蔵施設への搬出に備え、2030年頃までに美浜、高浜、大飯の3発電所に合計700トンの乾式貯蔵施設設置の計画を2024年2月に公表。」「2024年3月15日に高浜発電所第1期分の設置変更許可を申請。(美浜、高浜第2期分、大飯については、今後申請予定)」「高浜第1期分は、2025年に工事を開始し、2027年頃までに施設の運用開始を計画。」と述べている。
 本審査会合で、関西電力は「使用済燃料の中間貯蔵施設へのより円滑な搬出」と「貯蔵容量」との関係について一切説明していないが、同ロードマップ(2023.10.10)の中では、「本ロードマップの実効性を担保するため、今後、原則として貯蔵容量を増加させない」と明記し、福井県知事や福井県議会への説明の場で、それを文書で示し、繰り返し説明してきた。つまり、乾式貯蔵施設は「使用済燃料の中間貯蔵施設へのより円滑な搬出」を目的としたものであり、「使用済燃料乾式貯蔵容器22基分の貯蔵施設の設置は貯蔵容量を新たに確保するものではない」のである。
 現に、第41回原子力小委員会(2024年10月16日)資料5の電気事業連合会「原子燃料サイクルの早期確立・確実な推進とプルサーマルの着実な推進に向けた取組み」における「各原子力発電所における使用済燃料の貯蔵量と使用済燃料対策完了後の管理容量」の表注7にも「美浜、高浜、大飯については、乾式貯蔵施設竣工後も原則として貯蔵容量を増加させない。」と明記されている。さらに、電気事業連合会の「使用済燃料貯蔵対策について(「使用済燃料対策推進計画」)」(2025年2月6日)では、「法令要求上は、貯蔵容量から 1炉心分を差し引いた容量が必要」と注記した上で電力各社の「法的要求容量」を記載しているが、関西電力だけが法的要求容量に乾式貯蔵容量を加算していない。これらは、明らかに原子力規制委員会の審査会合で説明した内容とは異なる。
 本来なら、関西電力が審査会合の場で、これを自ら説明すべきところ、敢えてそうせず、「乾式貯蔵施設の設置は貯蔵容量を増加させるものである」と誤解させる説明を次のように行なった。
 設置許可基準規則第16条燃料体等の取扱施設及び貯蔵施設(第2項第1号ロ)に基づき、「使用済燃料の貯蔵設備は、乾式キャスク貯蔵分も含めて、全炉心燃料の約130パーセント相当数の燃料集合体数に十分余裕を持たせた貯蔵容量を有する設計とする。」「1炉心分と燃料取り換え分の1/3炉心分を考慮し、全炉心燃料の約130パーセント相当数の燃料集合体数に十分余裕を持たせた貯蔵容量を有する、全炉心燃料の最大約340パーセント相当分とする設計としている。」
 この340パーセントは乾式貯蔵容量528体が全炉心157体の3.36倍に相当することを意味している。このように説明されれば、原子力規制委員会も「使用済燃料乾式貯蔵容器22基分の貯蔵容量を新たに確保する」ものだと錯覚させられても仕方がないと言える。乾式貯蔵施設の設置は関西電力のロードマップに示された通り、「貯蔵容量の増強ではなく、中間貯蔵施設への円滑な搬出のため」であり、原子力規制委員会も、そのように認識しなければ、設置許可基準規則第16条燃料体等の取扱施設及び貯蔵施設(第2項第1号ロ)を遵守することにはならないと考える。保安規定においても、このことを明記させ、それに違反しないように、管理・監督すべきである。