若狭ネット

福井と関西を結び脱原発をめざす市民ネットワーク

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ニュース

原子力規制委員会に11月19日付で公開質問状を提出し交渉に応じるよう求めています

私たちは原子力規制委員会・規制庁と2014年3月18日に第1回目、7月29日に第2回目の交渉を持ち、大飯3・4号、高浜3・4号、川内1・2号の基準地震動の抜本的引き上げを求めてきました。しかし、納得できる十分な回答は得られませんでした。その後の川内原発審査書案パブリックコメントへの回答や鹿児島県での説明会における回答等でも科学的根拠のある説明が一切なされず、到底納得できません。
また、著名な火山学者らが姶良カルデラ噴火の危険性を警告し、日本火山学会が11月初めに秋季大会を開いて「火山影響評価ガイドの見直しを求める提言」を発表し、姶良カルデラ噴火に関する審査結果の見直しを迫っています。かつて活断層評価をめぐって地震調査研究推進本部と原子力ムラとの間で生じた意見対立を想起させます。
最新の知見を取り入れるべき原子力規制委員会がこれらを無視し続けることは極めて異常なことであり、看過できません。
そこで、私たちは第3回目の交渉を求めて、11月19日に公開質問状(pdfはこちらからダウンロードして下さい)を提出しました。その直後に衆議院が解散され、12月14日に投票日となりましたので、選挙後の12月17日に交渉日を設定し、原子力規制庁の担当者と折衝しています。
ところが、担当者は「審査で多忙であり、12月17日の頃は作業のピークになっている可能性があり、1週間前でなければ確答できない」との返事でした。確かに、川内1・2号の保安規定等の審査や高浜3・4号の審査書案作成などが重なって作業が多いことは事実です。しかし、まさに、これらの問題に対して公開質問状を提出しているのですから、それにまともに対応しない方がおかしいのです。

しかし、交渉そのものを拒否してきてはいないので、粘り強く折衝したいと思います。というのも、3月18日の交渉が余りにひどかったので再交渉を求めたときには「あれ以上の回答はできない」と交渉を拒否され、5月に2回目の交渉を求めた際には「審査中の内容については回答できない」と拒否されました。そこで、7月29日の2回目の交渉では審査会合で扱われていない「原子力安全基盤機構の解析した1340ガルの地震動を基準地震動に取り入れる」ように求めて交渉に応じさせ、今回は「1340ガルを取り入れない理由」を問い詰め、「姶良火山噴火に関する田中委員長や島﨑委員の発言」について問い質すことにしたため、これまでのようには交渉を拒否できないはずです。原子力規制委員会や原子力規制庁の見解を問い質しているのですから、回答できない方がおかしいのです。

交渉日は流動的ですが、決まり次第、郵送やホームページで連絡しますので、ぜひ交渉にご参加ください。

10・26反原発デーの一環として関西電力本社へ申し入れました

10・26反原子力デーの一環として、全国各地で取り組まれている脱原発運動と連帯して、本日、関西電力本社へ申入れ行動を行いました。市民20名が駆けつけ、若狭連帯行動ネットワークをはじめ、ヒバク反対キャンペーン、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、地球救出アクション97、STOP原子力★関電包囲行動、原発の危険性を考える宝塚の会などが申し入れ書を広報に手渡しました。
関西電力の広報は、この秋に交代したようで、これまでとは違い、非常に悪い対応でした。私たちは10月10日から広報と電話で7回以上事前折衝しましたが、ラチがあきません。「10月24日(金)午後4時から」にしてほしいと伝えると、「検討して返事します」と言いながら返事はなし。こちらから電話して、返事を督促すると、「24日はダメ」、「27日もダメ」で挙げ句の果てには「郵送してほしい」と言い出す始末でした。これまでは、曲がりなりにも約束したことは守ってきたのですが、今回は「返事をする」という約束を守らず、露骨に会いたくないとの姿勢を示し、遂には、「28日(火)午後4時半から5分間、申し入れ人は5名以内」という全くひどい条件を突きつけてきました。
私たちは開始時刻については了承しましたが、「5分で5名以内」という条件は到底のめないと伝えた上で、申し入れに臨みました。その結果、当日は、20名が関電本社ロビーに集まり、「5分で5名以内」は許せないという雰囲気がみなぎっていました。そのためか、広報は約束の午後4時半をすぎても姿を現さず、数分遅れで、電話連絡を取り合った本人ではなく別の人物が対応に出てきました。誠実さに欠ける対応とはこのことです。
5分遅れで申し入れを開始し、申し入れ文を読み上げている最中に、対応している広報の携帯電話が鳴り、「申し訳ない」との断りもなく電話に出て、対応打ち切りを宣言しました。仕方なく、申し入れ文を提出して、後日、公開質問状を出すから、次回は真摯に対応するようにと言い含めて終わりました。この間、約15分間でした。
「5分で5名以内」という条件は事実上撤回させましたが、これまでとは違う、余りにひどい対応に参加者は皆、怒り心頭でした。
申し入れ後に本社前で簡単な総括をしましたが、「5分で5名以内だと聞いたので、絶対に行かなくちゃと思ってきた」「これで、ますますやる気が出てきた」「次も頑張って来るぞ」という元気な声が寒風を吹き飛ばしてくれました。関西電力本社広報も、このような対応は逆効果だと早く気付くべきですね。こんな対応を続けて消費者の信頼をますます失えば、電力完全自由化の下でどうなるか、きっと思い知らされることでしょう。

若狭連帯行動ネットワークの申し入れ文はこちら

2014年10月28日

関西電力 取締役社長
 八木 誠 様

2014年反原子力デーに際して関西電力への申し入れ 

若狭連帯行動ネットワーク  

 原発なしの今夏、電力供給は、全く支障ありませんでした
 貴社の今夏需給実績報告では、2010年と比べ平均で約310万kWも減っています。最大電力需要は2,670万kWで、夏前の5月16日時点での関電予想より、約200万kW減でした。原発がなくても電力を安定供給できるのです。企業や自治体も、貴社との契約を打ち切り、新電力に切り替える動きが拡がり、今年4月1日からの4カ月間で1,598件、約33万kWが契約解除されています。
 電力全面自由化を目前にして貴社は、東京電力に対抗して、首都圏での電力販売を拡大しようとしていますが、その電気料金は原発を抱える貴社自身の電気料金より「安い」のはどういうわけでしょうか。「原発の発電単価は安い」と言いながら、電力自由化の下では、原発の電気を高めの「基準価格」で買い取るよう要求していますが、こんな手前勝手な対応は許せません。
 貴社の経営は最悪であり、停止原発の維持・管理費がかさみ、3年連続赤字でした
 フクシマ事故後、貴社の純資産は、3年間で8千億円にまで減少し、実質的な純資産は3千億円程度にとどまると見られます。純資産はすでに資本金(4900億円)を下回るレベルにまで毀損し、このままでは、4年連続赤字になり、債務超過も視野に入れざるをえない危機的状況にあります。通常なら不採算部門で危険極まりない原発部門を切り捨てるべきところ、あろうことか、フクシマ事故を顧みず原発の早期再稼働を求め、それができなければ電気料金の再値上げを求めるという、とんでもないことを言い出しています。
 こうなった原因は原発依存の貴社の頑迷な経営方針にあります。停止原発の維持・管理費がかさむためです。
 私たちは、電力再値上げも、原発再稼働も拒否します。すべての原発を廃炉にし、再処理をやめ、電気料金を下げるべきです。
 さらに、貴社は、日本原電と北陸電力に運転停止中の敦賀原発と志賀原発に対する「電気料金」を受電していないのに3年以上支払い続けてきました。この「受電なき電力購入費」は日本原電に対して3年間で1千億円近くになります。しかも、敦賀2号は、原子力規制委員会が直下に活断層があると判断しており、発電できない状態に陥っているではありませんか。このような支払いはやめるべきです。
 美浜1~3号、高浜1・2号、大飯1・2号を廃炉にすべき
 9月6日の新聞は「美浜2基廃炉検討」と大きく報じました。美浜1・2号は元より、美浜3号を含め、高浜1・2号、大飯1・2号についても即刻廃炉を求めます。
 高浜3・4号、大飯3・4号の基準地震動の再評価を見直し、再稼働申請を撤回すべき
 震源を特定せず策定する地震動として「M6.5の直下地震による1340ガルの地震動」を取り入れ、高浜3・4号と大飯3・4号の基準地震動を抜本的に大きくすべきです。
 5月21日の福井地裁判決は、貴社に大飯3・4号の運転差し止めを命じました。「大きな自然災害や戦争以外で,この根源的な権利(人格権)が極めて広汎に奪われるという事態を招く可能性があるのは原子力発電所の事故のほかは想定し難い。かような危険を抽象的にでもはらむ経済活動は,その存在自体が憲法上容認できないというのが極論にすぎるとしても,少なくともかような事態を招く具体的危険性が万が一でもあれば,その差止めが認められるのは当然である。」との司法判断を貴社は否定するのでしょうか。
 また、日本学術会議の9月19日報告では、使用済核燃料や高レベル放射性廃棄物の保管問題を議論する際には「現在世代で解決困難な不可逆的な決定をしてしまった『現在世代の責任』を真摯に反省することが必要である。」と断じています。この責任を少しでも感じているのであれば、使用済み核燃料をこれ以上増やさず、原発再稼働を撤回すべきではありませんか。
  電力自由化対策として、送配電網を分離し、公共化を図るべき
 原発に頼る余り、非効率な老朽石油火力をそのまま温存させ、高効率火力への設備更新を怠り、再生可能エネルギーの普及を妨害してきました。2016年から始まる電力自由化に向け、誰でもが送配電網を共有化でき、発電事業に参入できるように公平化を図るべきだと考えます。
 私たちは、貴社に対し、以下のことを強く要求します。
(1) 日本原電と北陸電力との電力購入基本契約を改訂し、3年以上続く「受電なき電力購入費」を撤廃してください。これに相当する分の電気料金を引き下げてください。
(2) 40年超運転の美浜1・2号、2016年7月に40年超運転と見なされる高浜1・2号、2016年度に40年超運転となる美浜3号、35年超運転で老朽化した大飯1・2号を即刻廃炉にしてください。これによって浮いてくる原発の維持・管理費相当分の電気料金を引き下げてください。
(3) 貴社の原発の基準地震動に「M6.5の直下地震による1340ガルの地震動」を取り入れ、これに沿った耐震安全性を確保できない限り運転を再開しないでください。
(4) 「現在世代で解決困難な不可逆的な決定をしてしまった『現在世代の責任』を真摯に反省」し、これ以上使用済核燃料を生み出さないでください。使用済核燃料中間貯蔵施設立地計画を中止し、再処理・プルサーマル計画を中止してください。
(5) 電力自由化の下での「基準価格」導入など原発優遇策を求めるのはやめてください。
(6) 発送電分離と送配電網の公的管理に応じ、再生可能エネルギーの普及=接続量拡大に協力してください。
以上

若狭ネットニュース第151号を発行しました

若狭ネットニュース第151号(2014/10/13)を発行しました一括ダウンロード2.89Mb

10月24日(金)に予定していた「反原子力デー 関西電力へ申し入れ行動」は、関西電力との折衝の結果、「10月28日(火)午後4時30分から」へ変更になりました。

巻頭言-九電の川内原発再稼働反対!地震と火山の審査をやり直せ!関電の高浜・大飯原発再稼働反対!現地の闘いと連帯して、1基たりとも再稼働を許すな!

(1)川内原発の地震と火山の審査をやり直せ!

<巻頭言>
川内原発の審査は終わっていない

川内原発の審査はまだ終わっていません。原子力規制委員会は9月10日に川内原発の審査書を確定させましたが、地震と火山の未解決問題が急浮上しています。

M6.5の直下地震で1340ガルの地震動が

地震問題では、この3月に原子力規制庁へ統合された原子力安全基盤機構が「M6.5の直下地震で1340ガルの地震動が原発を襲う」ことを2004年に報告しており、これを基準地震動に取り入れるかどうかが問われています。「1340ガルの地震動」は、川内原発で炉心溶融事故に至るギリギリの地震動=クリフエッジ(川内1号で1004ガル、2号で1020ガル)を超えます。従って、これを基準地震動に取り入れれば、川内原発は再稼働どころか廃炉を余儀なくされるでしょう。川内原発だけでなく全国のほとんどの原発がそうなるでしょう。ことの重大さに気付いた原子力規制庁は「仮想のモデルによる計算値だ」とか、「1340ガルの地震動は実際にはまだ観測記録として存在しない」とか、「1340ガルの地震動が川内原発を襲う確率は小さい」とかの理屈をつけて無視しようとしています。これでは、福島第一原発で15.7mの津波の可能性を計算しながら、全く同じ理由で無視した東京電力幹部やそれを容認した原子力安全・保安院と同じではないでしょうか。福島第一原発重大事故の教訓を踏みにじるのでしょうか。断じて許せません。

大飯3・4号運転差し止め訴訟の福井地裁判決(2014年5月21日)では、「大きな自然災害や戦争以外で、この根源的な権利(人格権)が極めて広汎に奪われるという事態を招く可能性があるのは原子力発電所の事故のほかは想定し難い。かような危険を抽象的にでもはらむ経済活動は、その存在自体が憲法上容認できないというのが極論にすぎるとしても、少なくともかような事態を招く具体的危険性が万が一でもあれば、その差止めが認められるのは当然である。」と断じています。「確率が小さいから人格権を侵害しても良い」という論理は成立たないのです。

姶良カルデラ噴火で川内原発は「立地不適」

火山問題では、「姶良(あいら)カルデラ噴火の予兆を捉えてから原子炉を止め核燃料を運び出す準備を始める」という九州電力の方針が妥当かどうかが問われています。その具体的内容が保安規定に記載される必要があり、田中俊一原子力規制委員長は10月1日の記者会見で「公開の場で議論されるよう」検討すると約束しています。川内1号の保安規定は10月8日に提出されましたが、2号の保安規定はまだ未提出で、10月中の予定です。その公開審査はこれからであり、福島第一原発事故をはるかに超える破局的な原子力災害が予想されるため、地元は元より国民的レベルでの公開討論会や公開説明会の開催が不可欠です。

御嶽山では、予知できないまま、9月27日正午前に突然、水蒸気噴火が起こり、登山者55名が死亡、69名が負傷、10月10日現在なお8名が行方不明です。菅官房長官は「今回は水蒸気(噴火)であるので、その予測は極めて難しい」(9月29日)と発表しましたが、マグマ噴火でも国内経験では早くて数日前にしか分からず、それも観測体制を整備して火山ごとに噴火情報を蓄積しない限り不可能なのが実態です。破局的なカルデラ噴火の場合には2~3ヶ月前から小規模噴火や火山性地震などの予兆が観測された例はありますが、5年以上も前に予兆を検出できた例はありません。この「5年」というのは、「原子炉を停止した後も核燃料を冷やし続ける必要があり、崩壊熱が十分下がり放射線量が少なくなり、輸送容器に入れて運び出せるようになるまでに5年以上が必要だ」ということです。

川内原発から約40kmの姶良カルデラが破局的噴火を起こせば、5~20分で川内原発に500℃程度の高温火砕流が層厚50cm以上で流れ込み、運転員は全員即死、原子炉や使用済核燃料貯蔵プールはコントロール不能に陥り、数日後にはチェルノブイリ事故をはるかに超える厖大な放射能が放出され、日本全国に極めて深刻な放射能災害がもたらされます。九州電力の「予兆を検出してから核燃料の搬出準備を始める」という方針では、姶良カルデラ噴火に対応できません。「5年以上前に予兆を検出できる」という科学的・現実的根拠がない以上、川内原発は「立地不適」にすべきです。

原子力規制庁に迫る住民の再稼働反対の声

鹿児島県では、10月9日から川内原発30km圏内の5会場(薩摩川内市9日、日置市10日、阿久根市14日、さつま町15日、いちき串木野市20日)で原子力規制庁による説明会が開かれています。鹿児島県は当初、薩摩川内市で2回、いちき串木野市で1回の計3回、人数限定で終えようとしましたが、鹿児島市長、日置市長、阿久根市議会が地元開催の要望書を提出し、5会場へ広げられた経緯があります。
これは、姶良市議会の「県民の安全が担保されない拙速な川内原発1・2号機の再稼働を認めない」決議(昨年10月)、出水市議会の「再稼働への対応は慎重に行うべきである」との県知事への意見書採択(昨年11月)、垂水・阿久根両市議会でも同様の決議が続き、今年9月末には日置(ひおき)・いちき串木野両市議会が再稼働の同意が必要な「地元扱い」を求める意見書を可決、出水市が周辺6市町首長による「地元」の範囲に関する協議を呼び掛けるなど隣接市町での活発な動きを反映しています。また、「実効性のある避難計画がない中での再稼働は反対」とする署名が6月末に15,464筆、いちき串木野市民の過半数に達するなど住民の反対の声も高まっています。

10月9日、10日の説明会では、「リスクをゼロにすることはできない」とする原子力規制庁に「住民は絶対の安全を求める」と迫るなど、本質的な問いかけが行われています。主催者の鹿児島県(9日のみ薩摩川内市も共催)は映像中継を拒み(後日録画公開)、9日の参加者を抽選で決め(1,345名の希望者から302名が外れる)、質問時間を30分延長しただけで打ち切るなどひどい運営をしました。残る3会場でも住民による再稼働反対の声は一層大きくなるでしょう。
川内原発の審査は終わっていません。火山モニタリングに関する保安規定の公開審議を契機に、公開討論会や公開説明会の開催を求め、地震と火山の審査をやり直すよう原子力規制委員会に求めていきましょう。

再生可能エネルギーの接続を拒否し原発再稼働?

九州電力は9月25日から太陽光発電など再生可能エネルギーの送電網への接続を数ヶ月間中断すると発表しました。太陽光発電設備認定容量が今年5月末に1,782万kWに達し、今年7月末時点で接続済が約390万kW、接続申請中が約870万kW、残り約520万kWは未申請です。接続申請をすべて認めると約1260万kWになり、低需要期のピーク需要約800万kWを超え、今後申請される未申請分も加えると昨年夏期ピーク需要約1,600kWすら超えるためというのが「理由」です。発電容量に対する実際の出力率は3割程度なので、太陽光発電だけでピーク需要を超えるという主張はオーバーですが、九州電力管内では太陽光発電認定容量が関東の1,934万kWに次いで多いのは事実であり、関西(519万kW)の3倍以上です(スマートジャパン2014.9.25)。送電網を独占管理している九州電力は、本来、自主的に再生可能エネルギーの接続条件を整備すべきところ、それを怠り、送電網への接続を拒否するというあってはならない手段で自社の利益を守ろうとしているのです。再生可能エネルギーが急増すれば、電力供給過剰になり、原発再稼働を急ぐ根拠もなくなります。九州電力にとっては、それが一番怖いのでしょう。

この問題を解決するには、発送電分離と送電網の公的管理が不可欠です。そうすれば、原発を接続する余地はなくなるのですから。

原発なしの今夏、電力供給は、全く支障なし

電気事業連合会の10月10日発表によれば、今年上半期(4~9月)の発受電電力量(速報)は電力10社で前年同期比3.9%減、東日本大震災以降4年連続で前年実績を下回り、10社ともマイナスでした。気温低下もありますが、一番の理由は節電が深く浸透していることです。

関西電力の今夏需給実績報告では、7月1日~8月22日を2010年と比べれば、平均で約310万kW、約12%も減っています。最大電力需要は2,670万kWでした。夏前の5月16日時点での関電予想は2,873万kWでしたので、約200万kW減でした。

原発を再稼働しなくても電力を安定供給できることは明らかです。関電の高い電気料金に対抗して、企業や自治体が、関電との契約を打ち切り、新電力に切り替える動きも加速しています。たとえば、今年4月1日からの4カ月間で1,598件、約33万kWが契約解除されています。

他方では、電力全面自由化を目前にして電力会社間での競争が激化しています。関西電力は、東京電力に対抗して、首都圏での電力販売を拡大しようとしています。宮城県仙台市に約300億円をかけて石炭火力11.2万kWを新設し、2017年運転開始をめざしています。また、マンション向け中央電力と資本提携し、首都圏でオフィスビル向けなど大口顧客に電力を販売しようとしています。これらの電気料金は原発を抱える関西電力自身の電気料金より「安い」のです。また、「原発の発電単価は安い」と言いながら、電力自由化の下では、原発は生き残れないので高めの「基準価格」で買い取るよう要求しています。
何という矛盾でしょうか。

停止原発の維持・管理費がかさみ、3年連続赤字

フクシマ事故が起こるまでには、1兆4900億円あった関西電力の純資産は、3年間で8100億円にまで減少しました。そのなかには、将来の利益を見越して計上している繰延税金資産が5000億円含まれており、実質的な純資産は3100億円程度にとどまると見られます。つまり、実質的な純資産はすでに資本金(4900億円)を下回るレベルにまで毀損しているのであり、このままの状況が続けば、4年連続赤字になり、債務超過も視野に入れざるをえない状況です。

こうなった原因は原発にあります。関西電力は原発比率が高いため、停止原発の維持・管理費がかさむのです。そのため、関西電力は「再度の値上げか、原発再稼働か」というあり得ない対比で電力消費者に恫喝をかけようとしています。

私たちは、電力再値上げも、原発再稼働も拒否します。すべての原発を廃炉にし、再処理をやめ、電気料金を下げるべきです。原発を再稼働させるために9電力と日本原電を合わせると、原発の安全対策費に2兆2千億円以上、停止原発の維持・管理費に年間約1兆5千億円、電源開発促進税に年間約3,500億円、止まったままの原発に投入し続けているのです。無駄以外の何物でもありません。

さらに、関西電力は、日本原電と北陸電力に運転停止中の敦賀原発と志賀原発に対する「電気料金」を受電していないのに3年以上支払い続けています。この「受電なき電力購入費」は日本原電に対して3年間で1千億円近くになります。しかし、敦賀2号は、原子力規制委員会が直下に活断層があると判断しており、それが確定すれば、このような支払いは根拠を失います。

美浜1~3号、大飯1・2号、高浜1・2号を廃炉に!

9月6日の新聞は「美浜2基廃炉検討」と大きく報じました。原子力規制委員会の規制基準では、原則40年運転で廃炉になります。特例として20年間延長が認められるためには、原子炉圧力容器などの「特別点検」や大規模改修など数千億円規模のコストがかかります。老朽炉は出力が小さく、投資に見合う利益が得られないため、関西電力は地元に配慮し、言葉を濁しながら様子を見ています。

たとえば、岩根茂樹関電副社長は9月8日、福井県庁で会見し、「美浜1、2号機のように運転開始から40年以上たつ原発の運転期間を延長する場合、審査申請期限が2015年4~7月に迫っている。申請前に特別点検をするということもあり、どういう対応をしていくか検討している段階。」「万が一廃炉になった場合、地域の経済雇用に影響を与えないように、例えば(国の)交付金がどうあるべきかということを含め、われわれも汗をかいていきたい」と述べています。

私たちは、美浜1~3号は元より、老朽化した高浜3・4号、大飯3・4号についても即刻廃炉を求めます。

川内原発の審査書で浮上した地震と火山の問題はすべての原発に共通した重要課題です。姶良カルデラ噴火による川内原発破壊の危険は国民的課題だとも言えます。川内原発再稼働阻止の現地の闘いと固く結びつき、高浜3・4号や大飯3・4号をはじめ全国の原発再稼働阻止の闘いと結合して、脱原発へ進みましょう。

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川内原発再稼働反対!原子力規制委員会・規制庁に説明会で問いただそう

 原子力規制委員会・規制庁に説明会で問いただそう

(pdfリーフレットはこちら)

問①「規制基準を満たしていても安全は保証できない」、「重大事故の発生を前提に自分たちの責任で原発再稼働の是非を判断しろ」と?

原子力規制委員長は「世界最高水準の規制基準を満たしているが、安全は保証できない」と言います。原発の再稼働は、皆が重大事故の発生をリスクとして受け入れることが条件になっているのです。

問②規制庁報告にある「M6.5の直下地震による1340ガルの地震動」を取り入れないのは「15.7mの津波を仮想の計算」だと無視したのと同じでは?

原子力規制庁は自分たちが試算した「1340ガルの地震動」を「仮想の計算値であり、まだ観測されていない」から無視すると主張しています。福島の教訓を自ら踏みにじり、同じ過ちを冒すのでしょうか。

問③「耐専スペクトル」は近距離で地震動を過小評価する欠陥があり、日本電気協会で見直し中なのに、古いまま適用していいの?

原子力規制庁は、川内原発の基準地震動を定めるための「耐専スペクトル」が近距離では過小評価になることを認め、見直し中だと言っています。過小評価の古い手法をそのまま使うのは許せません。

問④九州電力による「断層モデル」を使った地震動評価では、耐専スペクトルの1/2~1/3で使い物になりません。このまま使っていいの?

九州電力が用いた断層モデルでは耐専スペクトルの1/2~1/3の地震動評価になっていますが、原子力規制庁は、「手法が違うからいい」と言います。これほど違っても「いい」というのは非常識です。

問⑤姶良カルデラの噴火は事前にわかるの? たとえ、事前に分かって私たちは避難できても、原発や使用済核燃料はすぐには避難できないじゃない! 火砕流で炉心溶融事故が起き、避難先で放射能災害に見舞われたり、ふる里がひどく汚染されて立ち入れなくなったりするんじゃない?

原子力規制庁は、カルデラ噴火にモニタリングで対処できると言いますが、「できない」方法で「できる」と言うのは無責任。核燃料は5年ほど冷やさないと熱が冷めず容器に入れて運び出すのは無理。

問⑥福島では3年半後も、溶融燃料塊から放射能が溶けだし、年に15万トンも汚染水が出続けています。いつになったら、皆が「ヒバクのない普通の生活」に戻れるの? 川内原発でひとたび重大事故が起きたら、避難途中や避難先でヒバクし、結局、ふる里に戻れないんじゃないの? 「その危険を覚悟して再稼働を認めろ」って、ひどすぎない?

原子力規制庁は「重大事故のリスクを覚悟して再稼働を認めるかどうかは自分たちで判断しなさい」と!しかも、250km圏まで被災するのに、隣接住民でさえ「判断に参加できない」なんてひどすぎる。
原発がなくても電気は余っています。電力会社など自分たちの私利私欲のため、不要な原発を無理矢理動かそうとするのは許せません。川内原発の再稼働をやめさせ、命と健康とふる里を売り渡さず、子や孫に誇れる「安全で普通の生活」を引き継ぎましょう。

川内原発の再稼働反対!地震動は過小評価されている - 直下の「見えない伏在断層」が動けば、炉心溶融事故は避けられない!

 

川内原発の再稼働などもってのほかです。九州電力の設定した基準地震動は甘すぎ、原子力規制委員会・原子力規制庁の審査はズサンすぎます。
「見えない伏在断層」が川内原発の直下で動けば、炉心溶融事故が避けられません。
原子力安全基盤機構JNESは10年前にそれを裏付ける報告を出していました。すなわち、「M6.5の直下地震が起こると震源近傍で1340ガルもの地震動」がもたらされ、川内原発で炉心溶融事故に至るギリギリの地震動=クリフエッジ(1号:1004ガル、2号:1020ガル)を超えるというのです。

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JNESは今年3月に原子力規制庁へ統合されましたので、規制庁もこのことはよく知っています。ところが、規制庁はこれを基準地震動に反映させようとはしていません。「仮想の計算値だ」と無視しようとしています。
これでは福島第一原発事故から何も学ばなかったことになります。事故前に15.7mの津波を評価した際、東京電力幹部らは「仮想の計算値だ」と無視しました。これと同じ過ちを繰り返すのでしょうか。

「見える活断層」による地震動=市来断層帯市来区間M7.2の地震動も正しく評価すれば、クリフエッジを超える!

「見えない伏在断層」に加え、「見える活断層」による地震動についても過小評価されています。たとえば、川内原発の南にある市来断層帯市来区間M7.2による地震動を正しく評価すれば、クリフエッジを超えることは明らかです。
実は、地震動を評価する手法には、「耐専スペクトル」と「断層モデル」の2通りがあり、いずれにも問題があります。
耐専スペクトルは、日本国内で観測された地震データに基づいて平均的な応答スペクトルを求めるものです。しかし、地下岩盤の地震計で1078ガル(上部地層をはぎとる基準地震動の考え方で評価すると約2000ガルに相当)の地震動を記録した2008年岩手・宮城内陸地震など最近20年間のデータが反映されていません。原子力規制庁によれば、耐専スペクトルを作った日本電気協会で現在、見直し作業が進められているといいます。
今の耐専スペクトルは古すぎるのです。
急いで、耐専スペクトルを作り直し、最新の方法で地震動を評価し直すべきでしょう。
また、耐専スペクトルは平均的な地震動を求めるものであり、実際には、図2のように、2倍以上のバラツキがあります。これも地震学界の常識です。新しい耐専スペクトルで評価し直し、2倍のバラツキを考慮すれば、図3のように、「クリフエッジを超える地震動が川内原発を襲う」と言えるのです。原子力規制庁は、これをなぜ直視しないのでしょうか。

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断層モデルによる地震動評価は耐専スペクトルの1/2~1/3にすぎない!欠陥だらけの断層モデルを根本的に見直すべき!

断層モデルによる地震動評価は、コンピュータ計算によるものですが、震源断層の特性を正しくモデルに組み込まないと過小評価になります。
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実際、市来断層帯市来区間M7.2の場合には、図4のように、断層モデルによる地震動は耐専スペクトルの1/2~1/3にすぎません。原子力規制庁は「評価手法が違うから違ってもいい」と言いますが、これでは使い物にならないでしょう。
地震動は震源断層の固着域の特性値(「応力降下量」という)が大きいと大きくなります。九州電力はこれを小さく設定して地震動を過小評価しているのです。私たちがこのことを指摘すると、原子力規制庁は、「非公開のヒアリングで応力降下量を大きくした結果も評価している」と回答しました。そこで、資料請求したところ、図5が出されたのですが、肝心の「固有周期の短い領域での地震動評価結果」が描かれていません。規制庁は「先の発言は間違いだった」と言い訳をしましたが、こんなずさんな審査でいいのでしょうか。

 

川内原発審査書案に関する資料請求へ審査書決定直前に回答

7月29日に行われた川内原発に関する原子力規制委員会との交渉で、「事業者ヒアリングにおいて応力降下量を25.1MPaに引き上げた地震動評価を短周期側でもやっている」との発言を受けて資料請求したところ、下記の資料が提出されました

九州電力株式会社「川内原子力発電所 基準地震動の策定について(補足提出データ・資料)」,川内発電所1、2号機の地震等に係る新基準適合性審査に関する事業者ヒアリング(35),資料番号TC-C-064(2014.6.4)(pdfはこちら

ところが、これには短周期側の地震動評価結果がなく、長周期側の地震動評価結果しか掲載されていませんでした。しかも、短周期側では応力降下量を引き上げても地震動評価結果は変わらないという、とんでもない九州電力の主張が載っており、これを原子力規制庁がその間違いに気付かず、了承していたのではないかとの疑惑が持ち上がり、改めて追加の資料請求を8月12日付けで行いました。ところが、再三督促しても回答が引き延ばされ、ようやく提出されたのは9月9日、川内原発の審査書を了承した原子力規制委員会の会議の前日でした。あまりにひどい対応に唖然とします。下記に追加資料請求の内容原子力規制庁の回答回答へのコメントを記しておきます。

追加資料請求1.6月4日事業者ヒアリング(35)の九州電力資料TC-C-064(pdfはこちら)のp.17-18 で「短周期側領域では地震モーメントが変わっても、地震動評価結果は変わらない」としているが、これは、1997年5月13日鹿児島県北西部地震の本震地震動についてであって、検討用地震の地震動については当てはまらない。このような誤った九州電力の主張をヒアリングの場で原子力規制庁が「妥当と判断したのか、検討用地震については妥当でないと主張したのか」が議事概要からは読み取れない。いずれの判断をしたのかを明らかにされたい。また、妥当だと判断したのであれば、その科学的根拠を提出して頂きたい。

(説明)6月4日事業者ヒアリング(35)の九州電力資料TC-C-064のp.17には「要素地震と検討用地震の震源スペクトルの相対関係(イメージ)」図が描かれているが、この要素地震(1984年九州西側海域の地震)は元々 the Global CMT project の地震モーメント1.02×1017Nmを用いてアスペリティ応力降下量を21.02MPaとしており、菊地・山中(1997)とは無関係である。検討用地震の地震モーメントや応力降下量が1.58倍になったからといって、この要素地震の地震モーメントや応力降下量が1.58倍になることはありえない。確かに、1997年5月13日鹿児島県北西部地震の本震・余震の相対関係からアスペリティの応力降下量を導出しており、3つの余震のうちの一つを要素地震として本震の地震波形再現解析をしているため、本震の地震モーメントや応力降下量には無関係に地震波形が求められる。しかし、これは当該余震を要素地震とした場合の話であり、この本震・余震の相対関係は、市来断層帯市来区間など検討用地震とその要素地震(1984年九州西側海域の地震)の間には成立たない。にもかかわらず、検討用地震の応力降下量が1.58倍(15.9→25.1MPa)になったからと言って要素地震の応力降下量も1.58倍(21.02→33.2MPa)になるという必然性はない。

(原子力規制庁の回答)ご指摘の6月4日の九州電力資料TC-C-064で示されている、要素地震のパラメータを1.58倍にするという九州電力の考え方について事業者より説明を受けていますが、原子力規制庁としては、菊地・山中(1997)の地震モーメントを用いて設定したパラメータに基づく経験的グリーン関数法による評価結果が観測記録と概ね整合することから、菊地・山中(1997)の地震モーメントを用いた評価が妥当であると判断しています。
 Ss-1については、応答スペクトルに基づく地震動評価と断層モデルに基づく地震勤評価を行い、それらを包絡するように策定しており、その結果、Ss-1に対して短周期側は応答スペクトルによるものが、長周期側は理論的手法を併用した断層モデルによるものが支配的な影響であったことから、念のためthe Global CMT projectによる地震モーメントを用いて長周期側の影響について評価し、Ss-Lと同等レベルであることを確認しています。
 なお、短周期側の影響については、1997年5月13日鹿児島県北西部地震が2つの破壊領域を持つ地震であったことから、震源過程を詳しく解析した菊地・山中(1997)の地震モーメントの値に信頼性があり、the Global CMT projectのように1つの震源を想定して求めた地震モーメントの値で評価するのは適切ではないと考えております。

回答へのコメント:予想されたことだが、九州電力の説明を是としたのか非としたのかについては、やはり、無回答でした。しかし、「応力降下量を15.9MPaから25.1MPaへ引き上げても地震動評価結果は変わらない」という九州電力の主張は間違いであることを事実上認めたことになります。それにしても、なぜ、正面から間違いだと認めなかったのでしょうか?たぶん、事業者ヒアリングでは間違いに気付かなかったからではないかと推測されます。「念のためthe Global CMT project」による地震モーメントを用いて長周期側の影響について評価」したのであれば、なぜ、「念のため短周期側についても評価」しなかったのでしょうか?それをやると、まずいことになるからでしょうが、支離滅裂です。また、「短周期側の影響については・・適切ではない」というのであれば「長周期側でも適切ではない」とすべきではないでしょうか?首尾一貫しない回答です。この「回答」は個人が書いたものではなく、原子力規制庁の中で「整合性のある回答」になるよう良く議論して決めたものですが、「規制の虜」の状態から脱しえていないのではないでしょうか?

追加資料請求2.7月29日の市民団体との話し合いの場で、原子力規制庁は検討用地震のアスペリティ応力降下量を25.1MPaとした場合の短周期側地震動について、長周期側と同様に計算してSs-1およびSs-Lより下にあることを確認していると回答したが、短周期側の地震動評価結果は6月4日事業者ヒアリング(35)の九州電力資料TC-C-064には存在しない。原子力規制庁が確認したと主張する地震動評価結果は実際には存在せず、間違った回答をしたのか、それとも、他に存在するのか。存在するのであれば、それを提出して頂きたい。

(原子力規制庁の回答)7月29日の会合において、短周期側についてもthe Global CMT project の地震モーメントに基づく地震動評価を行ったという趣旨の発言を原子力規制庁の担当者が行ったことについては、間違った回答であり、上記のとおり訂正させていただきます。

回答へのコメント:1への回答に合わせて、「間違った回答」だったと認め、発言を「訂正」しています。前半は正直で良いのですが、後半の「訂正」は、長周期側だけ「念のため」に地震モーメントを大きくして影響を評価し、短周期側は「適切ではない」という意味が不明です。

原子力規制委員会に1340ガルの地震動を取り入れさせよう

 7月29日の原子力規制委員会交渉を踏まえ、
「震源を特定せず策定する地震動」として1340ガルの地震動を取り入れさせよう!
地震動評価手法の抜本的再構築を求め川内原発の審査やり直しを求めよう!

呼びかけ: 川内原発建設反対連絡協議会、川内つゆくさ会、反原発・かごしまネット、まちづくり県民会議、川内原発活断層研究会、東電福島原発事故から3年-語る会、さよなら原発:アクションいぶすき、原発ゼロをめざす鹿児島県民の会、かごしま反原発連合有志、原子力発電に反対する福井県民会議、サヨナラ原発福井ネットワーク、原子力資料情報室、若狭連帯行動ネットワーク(事務局担当)

原子力規制委員会は7月16日、川内1・2号の審査書(案)を決定し、8月15日までの「科学的・技術的意見募集」を行っています。私たちは適合性審査をやり直し、川内原発の基準地震動を2倍以上へ大幅に引き上げるよう求めます。(pdfはこちら)

私たちは全国から賛同を集めて3月18日に原子力規制委員会と交渉しましたが、その後、「あれ以上の回答はできない」「審査中の内容については回答できない」との理由で2度も継続交渉を拒否されました。審査書(案)ができた段階で、ようやく、7月29日に約1時間の限定で交渉が実現したのです。公開質問状には100団体483個人の賛同を得、紹介議員である福島みずほ社民党参議院議員をはじめ、鹿児島、福井、静岡、新潟、関西、関東から40数名が参加し、原子力規制庁3名を追及しました。

原子力規制委員会(原子力規制庁)との交渉記録(pdfはこちら)

7月29日の話し合いを踏まえた川内1・2号審査書案に関する緊急申し入れ(pdfはこちら)

1340ガルの地震動を採用せよ

最大の争点になったのは、原子力安全基盤機構JNESが2001~2009年の報告書で算出していた地震動=「M6.5の横ずれ断層による震源近傍で1340ガルの地震動」(図1参照)を「震源を特定せず策定する地震動」として採用させるという点でした。
この1340ガルの地震動は川内原発の基準地震動620ガルの2倍以上であり、川内1・2号のクリフエッジ(炉心溶融事故へ至るギリギリの地震動:1号は1004ガル、2号は1020ガル(2014.8.6に「1220ガル」から修正))をはるかに超えます。これが「震源を特定せず策定する地震動」として採用されれば、川内原発は再稼働できないどころか、廃炉に追い込まれます。しかも、S波速度Vs=2600m/sという非常に固い地震基盤表面での地震動なので、川内原発の解放基盤表面(Vs=1500m/s)に換算すると更に大きくなるのです。しかも、これが「震源を特定せず策定する地震動」として採用されれば、全国一律に適用されるため、ほとんどの原発が「即アウト」になるでしょう。

注:川内2号のクリフエッジは元の基準地震動540ガルの1.89倍(1020ガル)でした。九州電力の資料からの転記ミスでした。謹んでお詫びし、訂正致します(2014年8月6日 若狭ネット資料室長 長沢啓行)

図1.横ずれ断層モデルM6.5による地震動評価結果(Vs=2600m/sの地震基盤表面上に設定した231評価点における各周期ごとに求めた地震動応答スペクトルの平均値,標準偏差,最大・最小値であり,特定の評価点での応答スペクトルではない.「最大値」は,「実効応力大」,「高周波遮断特性平均+標準偏差」の場合である)

だから、原子力規制庁もこれを採用しないための「理由」を探し出すのに必死でした。

最初に持ち出した理由は「(1)JNESの報告書は年超過確率曲線を求めるためのものであり、仮想の地盤での仮想の地震発生による地震動評価だ」という主張です。私たちは、「地震動評価結果が仮想のもので使い物にならないのであれば、その結果として得られる超過確率も役に立たないではないか」と批判しました。これには面食らったようです。

すると、規制庁は第2の理由を持ち出し、「(2)実効応力が大、高周波遮断特性が平均+標準偏差というかなり起こりにくいものを想定している」と難癖を付けました。そこで、私たちは「北海道留萌支庁南部地震M6.1の地震観測記録(図2参照)は、縦ずれ断層でM6.0の地震動の『最大値』でないと合わないが、留萌の地震はかなり起こりにくい地震動だと言うのか。」と反論しました。すると、見るからに動揺して「JNESの断層モデルが過小評価かも知れない」と言い出し、ついには「低い確率ではこういう地震も考えられる」と認めざるを得ませんでした。

ところが、第3の理由「(3)実際に起こった地震の観測記録についてはそれぞれのサイトの特性を踏まえたうえで、取り込む必要があるものについては取り込む。」とし、「M6.5で1340ガルの地震動は実際にはまだ起きていない」からと、取り込みを拒んだのです。私たちは「地震観測記録が不足しているからそれを補うためにJNESが断層モデルを使って地震動評価を行ったのであり、その結果、M6.5の震源近傍で1340ガルの地震動が発生すると分かったのだから採用すべきだ」と批判しました。結局、規制庁は実際に1340ガルの地震が起きない限り採用しないという態度を改めませんでした。福島第一原発重大事故の教訓を何ら真摯に受け止めようとしていないのです。これでは、「自然の後追い」です。これまで基準地震動が5回も乗り越えられましたが、自然が新たな基準地震動を乗り越えるのは時間の問題でしょう。それでは遅いのです。

図2.北海道留萌支庁南部地震M6.1に基づく川内原発の解放基盤表面はぎとり波および耐専スペクトル(内陸補正後、図中では「スペクトル距離減衰式(2002)」と記載)と縦ずれ断層モデル(地震発生層3~20km)による地震動評価結果の比較(M6.0)

原子力規制委員会・規制庁は「新しい知見をどんどん取り入れていく」とうそぶいていますが、すでにある知見=JNESの報告書(JNESが規制庁に統合された今では規制庁の報告書)を取り入れようとしていません。M6.5の横ずれ断層が川内原発の極近傍で発生すれば1340ガルの地震動が襲う可能性があります。活断層とは違って、地表に姿を現さない、これほど小さな地震については事前に予測するのは不可能です。M6.5の見えない小さな地震による1340ガルもの地震動の発生を警告する評価結果が規制庁の手元にあるのに、それを無視しようとしているのです。こんな理不尽なことは許せません。

1340ガルの地震が原発直下で発生することを想定し、サイトの特性を考慮して解放基盤表面はぎとり波に換算するのは容易です。「震源を特定して策定する地震動」では活断層から震源断層を仮想して断層モデルで地震動評価が行われ、基準地震動が策定されています。これとM6.5の1340ガルの地震動評価との間に、一体どのような差があるというのでしょうか。「震源を特定せず策定する地震動」として1340ガルの地震動を取り入れさせましょう。

アスペリティ応力降下量25.1MPaで審査していた

第2の論点は、断層モデルによる地震動の過小評価でした。実は、1340ガルの地震動を算出したJNESの断層モデルは通常のレシピとは異なり、地震動評価結果を左右するパラメータの値が通常より2~3割大きく設定されていたのです。これは国内の地震データを重視した結果でしたが、規制庁は、基本的なところを理解できないまま、とんちんかんな回答に終始しました。この論点については、時間がなくて追及できませんでしたが、九州電力の断層モデルについて、ひとつ重要なことが判明しました。

私たちは、九州電力が設定した「1997年5月13日鹿児島県北西部地震のアスペリティ平均応力降下量15.9MPa」は小さすぎ、これをそのままM7.2~7.5の活断層による地震動評価に用いるのは過小評価だと批判し、図3のように断層モデルによる地震動評価結果が耐専スペクトルの1/2~1/3に留まっているのはそのためであり、25.1MPaに設定し直すべきだと主張してきました。規制庁は表向き、これを全面拒否してきたのですが、実は、ヒアリングという裏の審査でこっそり、アスペリティ平均応力降下量を25.1MPaにして計算させていたのです。しかも、長周期側だけを重視し、甑断層帯甑区間や市来断層帯甑海峡中央区間などを対象にしており、図3の市来断層帯市来区間は対象外だと思われます。その結果、基準地震動Ss-1やSs-Lより小さいことをヒアリングで確認したと主張しているのですが、とんでもありません。私たちは、アスペリティ応力降下量を25.1MPaとした断層モデルを「基本モデル」として、そこから不確実さを考慮して、応力降下量の1.5倍化も検討すべきだと主張してきたのです。「15.9MPaの基本モデル」のままで、その不確実さの考慮として25.1MPaを検討せよと主張したのではありません。

25.1MPaの地震動評価結果を公表させ、市来断層帯市來区間についても25.1MPaで地震動を計算させ、これを基本モデルとして地震動評価をやり直すように求めましょう。そうすれば、断層モデルによる地震動評価結果も耐専スペクトルに接近し、0.1秒付近など一部では、基準地震動Ss-1を超えることは間違いないでしょう。

図3.市来断層帯市来区間の耐専スペクトルと断層モデルによる地震動評価結果の比較

耐専スペクトルは震源近傍では過小評価

第3の論点は、耐専スペクトルが震源近傍で過小評価になっていることについてです。JNESは2ページ目の図2を示し、縦ずれ断層による地震動評価結果を耐専スペクトルと比較して、等価震源距離で20km程度離れた「平均値」ではほぼ同等だとする一方、震源近傍では耐専スペクトルは断層モデルの1/2~1/5にすぎず、過小評価になっていることを示唆していたのです。規制庁もこれを認め、耐専スペクトルを作った日本電気協会が見直しを進めていることを明らかにしました。また、JNESを統合した規制庁でも、研究部門で地震動の研究を引き続き続けたいとの意向を表明しています。
つまり、耐専スペクトルは震源近傍ないし、等価震源距離10km程度の近距離では地震動を過小評価することを規制庁自身が認めているのです。そうであるなら、最近20年間の地震観測記録を取り込むと同時に、JNES報告書などに基づき、断層モデルによる地震動評価結果で震源近傍の観測記録の不足を補い、耐専スペクトルを再構築すべきです。そうすれば、川内原発の市来断層帯市来区間(M7.2、等価震源距離14.29km)の耐専スペクトルも、より大きくなるのは必至です。また、耐専スペクトルには図4のように「倍半分」の偶然変動によるバラツキがありますので、「余裕」を持たせるため、さらに2倍に引き上げるべきです。そうすれば、川内原発の基準地震動は現在の2倍以上、1000ガル以上へ大幅に引き上げざるを得ないでしょう。

図4.国内外の内陸地殻内地震による震源近傍の観測記録(M6.0~8.1, Xeq=6~33km, 水平51記録, 上下14記録)の耐専スペクトル(内陸補正有)との残差(バラツキ) (細線:各地震観測記録に対する残渣,太い赤実線:残差の平均,やや太い青実線:平均からの「倍半分」の差)

事故が起こる可能性は否定しない

最後の論点は、川内原発の安全は担保されていないという点です。田中委員長は「安全とは申し上げない」と何度も公言し、規制庁も「事故が起こる可能性は否定しない」と回答しています。鹿児島からの参加者は「安全を保証できないのにどうして地元自治体に報告できるのか」と規制庁に迫りました。また、規制庁は「安全目標をクリアできているかどうかは審査しておらず確認していない」としていますが、「鹿児島県知事は住民への避難説明会で、100万炉年に1回の安全目標があるという資料を示しており、おかしい」と指摘しています。原子力規制委員会は「安全」を保証せず、事業者に安全の第一義的責任を転嫁し、政府は「安全のお墨付き」を原子力規制委員会に求め、自らは再稼働の判断をしない。九州電力は国に「再稼働の合意形成」を求める。こんな無責任な原発再稼働は断固として阻止しましょう。

緊急のお願いに応えていただき、ご協力ありがとうございました。
公開質問状への賛同団体・個人は 100団体、483個人
たった 1週間で 運動カンパが約19万円集まりました。
7月29日の交渉に参加された鹿児島、新潟、福井、関西からの参加者の交通費半額程度に約11万円、印刷・郵送代(2回)に約9万円で不足分は若狭ネットで負担しました。「原子力規制庁は地震動を過小評価するな!原発再稼働阻止!」の声を届け、脱原発の運動をさらに力強く盛り上げていきましょう!お互いがんばっていきましょう! (若狭ネット 久保)

反原発学習会「川内原発の再稼働を阻止するために」のご案内(pdfはこちら)
日時:8月23日(土) 午後1時半~4時半
場所:市民交流センターひがしよどがわ(JR新大阪駅下車、北西へ5分)
主催:若狭連帯行動ネットワーク

 

8月1日に原子力規制委員会へ緊急申し入れを提出

2014年8月1日
原子力規制委員会委員長
田中 俊一 様

7月29日の話し合いを踏まえた川内1・2号審査書案に関する緊急申し入れ
(pdfはこちら)

原子力規制委員会・規制庁と私たちとの7月29日の話し合いは非常に実り大きいものでした。そこで明らかになったことを踏まえ、緊急に以下の内容を申入れます。真摯にご検討くださるようお願い申し上げます。

1.原子力安全基盤機構JNESが2001~2009年の報告書で算出していた地震動=「M6.5の横ずれ断層による震源近傍で1340ガルの地震動」(図1参照)を「震源を特定せず策定する地震動」として取り入れてください。

(説明) JNESの報告書は、2006年の耐震指針改定時に「震源を特定せず策定する地震動」として採用された加藤ら(2004)の「上限レベル」における元データが極めて少なく、他の地震データを除外した「予め予測できる」とする根拠も薄弱であったことから、地震観測記録の不足を断層モデルによる地震動評価で補充するため、また、参照すべき年超過確率曲線(ハザード曲線)を導出するために行われたものでした。規制庁は当初、「仮想の地盤での仮想の地震発生による地震動評価」だと主張していましたが、その地震動評価が仮想のもので使い物にならないのであれば、その結果として得られる超過確率も使えないことになり、矛盾します。また、アスペリティ応力降下量と高周波遮断特性について「平均±σ」のバラツキを考慮していますが、これはごく普通に起こりうる範囲内のゆらぎにすぎず、「極めて起こりにくい特殊な例」ということにはなりません。規制庁も、最後には「低い確率ではこういう地震も考えられる」と認められました。ところが、「この地震動は実際にはまだ起きていない」という理由で取り込みを拒む一方、「実際に起こった地震の観測記録についてはそれぞれのサイトの特性を踏まえたうえで、取り込む必要があるものについては取り込む。」とされました。これでは、「自然の後追い」です。これまで基準地震動が5回も乗り越えられましたが、自然が新たな基準地震 動を乗り越えるのは時間の問題でしょう。それでは遅いのです。福島第一原発重大事故の教訓を何ら真摯に受け止めようとしない姿勢です。M6.5の見えない小さな地震による1340ガルもの地震動の発生を警告する評価結果が規制庁の手元にあるのですから、それを無視しないでください。「震源を特定して策定する地震動」でも、実際には起きていない仮想の地震について地震動評価をしているのですから、同様に扱うべきです。

図1.横ずれ断層モデルM6.5による地震動評価結果(Vs=2600m/sの地震基盤表面上に設定した231評価点における各周期ごとに求めた地震動応答スペクトルの平均値,標準偏差,最大・最小値であり,特定の評価点での応答スペクトルではない.「最大値」は,アスペリティ実効応力「大」,高周波遮断特性「平均+標準偏差」の場合である)

2.川内1・2号の周辺活断層による地震動評価について、「アスペリティ平均応力降下量25.1MPa」を「基本ケース」とし、その上で、断層上端や応力降下量などの不確かさを考慮するようにやり直してください。

(説明) 九州電力は1997年5月13日鹿児島県北西部地震の地震モーメントを数ある数値の中で最も小さい値にしてアスペリティ平均応力降下量を15.9MPaと設定しています。しかも、この未飽和断層に対する評価結果をそのままM7.2~7.5の飽和断層に用いています。その結果、図2のように断層モデルによる地震動評価結果が耐専スペクトルの1/2~1/3に留まっています。私たちは、要素地震の地震モーメントにthe Global CMT project の値を採用しているのだから、1997年5月13日鹿児島県北西部地震の地震モーメントにも同機関による値を採用し、アスペリティ平均応力降下量を25.1MPaに設定すべきだと主張してきました。規制庁は表向き、これを全面拒否しながら、ヒアリングの場でこっそり、25.1MPaのケースを計算させていました。規制庁は長周期側の地震動の確認だと主張していますが、このような姑息な対応をやめ、アスペリティ応力降下量を25.1MPとする断層モデルを「基本ケース」として、さらに不確実さを考慮するように地震動評価をやり直してください。

図2.市来断層帯市来区間の耐専スペクトルと断層モデルによる地震動評価結果の比較

3.耐専スペクトルを早急に再構築し、新たな耐専スペクトルで地震動評価をやり直してください。

(説明) JNESは図3のように、縦ずれ断層による地震動評価結果を耐専スペクトルと比較して、等価震源距離で20km程度離れた「平均値」ではほぼ同等だとする一方、震源近傍(図3の「最大値」)では耐専スペクトルは断層モデルの1/2~1/5にすぎないことを示しています。規制庁もこれを認め、耐専スペクトルを作った日本電気協会が見直しを進めていることを明らかにしました。JNESを統合した規制庁でも、研究部門で地震動の研究を引き続き続ける意向です。そうであればなおさら、最近20年間の震源近傍の地震観測記録を取り込み、JNES報告書などで震源近傍での観測記録の不足を補い、耐専スペクトルを再構築し、審査をやり直すべきです。その際、耐専スペクトルには「倍半分」の偶然変動によるバラツキを考慮して、2倍の「余裕」を持たせるべきです。

図3.北海道留萌支庁南部地震M6.1に基づく川内原発の解放基盤表面はぎとり波および耐専スペクトル(内陸補正後、図中では「スペクトル距離減衰式(2002)」と記載)と縦ずれ断層モデル(地震発生層3~20km)による地震動評価結果の比較(M6.0)

4.田中委員長が鹿児島県民や薩摩川内市民に直接、審査書案を説明し、地元住民の声を聞いてください。

(説明) 田中委員長は「安全とは申し上げない」と何度も公言し、規制庁も「事故が起こる可能性は否定しない」と回答しています。9月29日の話し合いに鹿児島から参加した方は「安全を保証できないのにどうして地元自治体に報告できるのか」と規制庁に迫りました。また、規制庁は「安全目標をクリアできているかどうかは審査しておらず確認していない」としていますが、「鹿児島県知事は住民への避難説明会で、100万炉年に1回の安全目標があるという資料を示しており、おかしい」と指摘しています。原子力規制委員会は「安全」を保証せず、事業者に安全の第一義的責任を転嫁し、政府は「安全のお墨付き」を原子力規制委員会に求め、自らは再稼働の判断をしません。九州電力は国に「再稼働の合意形成」を求めています。こんな無責任な状態で川内原発が再稼働へ突き進むのは誰もがおかしいと疑問を呈しています。川内原発の審査書案を決定した最高責任者として、田中委員長自ら地元へ説明に出向き、地元住民の声を聞き、直接対話すべきです。
以上

添付資料:原子力規制委員会(原子力規制庁)との交渉記録(pdfはこちら)

呼びかけ団体:川内原発建設反対連絡協議会、川内つゆくさ会、反原発・かごしまネット、まちづくり県民会議、川内原発活断層研究会、東電福島原発事故から3年-語る会、さよなら原発:アクションいぶすき、原発ゼロをめざす鹿児島県民の会、かごしま反原発連合有志、原子力発電に反対する福井県民会議、サヨナラ原発福井ネットワーク、原子力資料情報室、若狭連帯行動ネットワーク(事務局担当)

賛同団体・個人(2014.7.28現在100団体、483個人)

原子力規制委員会との7/29交渉にご参加ください

交渉の記録とまとめはこちらをご覧ください

川内1・2号の審査書案をぶっつぶせ!
7月29日(火)午後1時から参議院議員会館で
原子力規制委員会との緊急交渉に参加を!

呼びかけ: 川内原発建設反対連絡協議会、川内つゆくさ会、反原発・かごしまネット、まちづくり県民会議、川内原発活断層研究会、東電福島原発事故から3年-語る会、さよなら原発:アクションいぶすき、原発ゼロをめざす鹿児島県民の会、かごしま反原発連合有志、原子力発電に反対する福井県民会議、サヨナラ原発福井ネットワーク、原子力資料情報室、若狭連帯行動ネットワーク(事務局担当)

原子力規制委員会は7月16日、川内1・2号の審査書(案)を決定し、8月15日まで科学的・技術的意見を募集しています。田中委員長は「新基準への適合はみているが、安全とは私は申し上げないと何度も言ってきた。」と記者会見!実際に、地震動は過小評価され、川内1・2号の耐震安全性は全く保証されていません。
ところが、原子力規制委員会・規制庁は私たちとの3月18日の交渉で「沈黙」したあげく、その後は「審査中の内容については答えられない」と逃げ回っています。規制基準の審査ガイドで参照するよう指示されている原子力安全基盤機構の報告書では1340ガル、川内1・2号の基準地震動620ガルの2倍以上の地震動が算定されています。これを基準地震動に組み込むよう求めましょう。この報告書に関する質問なら規制庁も回答せざるを得ません。何しろ、原子力安全基盤機構はこの3月に原子力規制庁へ統合されたのですから。このままでは地震で炉心溶融事故が再び起きる恐れがあります。私たちは、3月18日の交渉を継続・発展させ、3月24日の要請書、福井地裁判決を受けた5月23日の緊急公開質問状に続き、地震動評価手法の抜本的見直しを原子力規制委員会に求めます。ぜひ、公開質問状への賛同団体・個人の拡大に協力してください。そして、交渉に参加して下さい。

原子力規制委員会・原子力規制庁との交渉
日時:2014年7月29日(火)13:00~14:00
場所:参議院議員会館102会議室
(地下鉄丸ノ内線「国会議事堂駅前」下車歩5分)(地図はこちら)

参加希望者は通行証が必要ですので、事前に久保までご連絡下さい。当日は、参議院議員会館の荷物検査を経て、12時過ぎにロビーへ集合し、事前会合(12:20~12:50)からご参加下さい。

原子力規制委員会に対する紹介議員は、社会民主党の福島みずほ参議院議員にお願いしています。

交渉参加呼びかけ文pdfはこちら
川内1・2号の審査書案を受けた地震動評価等に関する公開質問状pdfはこちら
参考資料:「1000ガル超の「震源を特定せず策定する地震動」がなぜ採用されないのか」大阪府立大学名誉教授 長沢啓行pdfはこちら

公開質問状は7月22日に提出しましたが、7月28日正午まで賛同団体・個人の募集を継続し、29日の交渉当日に改めて提出します。公開質問状への賛同団体・個人を広げて下さい。そして、7月29日の原子力規制委員会との交渉に参加して下さい。遠方からの交渉参加者には交通費の半額をめどにカンパしたいと思っています。交渉を成功させるため、1口500円で何口でも結構ですので引き続きカンパをお寄せ下さい(なお、「3・18交渉で頂いたカンパ」の残額約4万円とその後に頂いたカンパ約10万円は今回の交渉で使わせて頂きます)。

公開質問状への賛同団体・個人を募集中:最終締め切りは2014年7月28日正午

連絡先:〒583-0007 藤井寺市林5-8-20-401 久保方TEL 072-939-5660 dpnmz005@kawachi.zaq.ne.jp
または〒591-8005 堺市北区新堀町2丁126-6-105 若狭ネット資料室(長沢啓行室長)
TEL 072-269-4561 ngsw@oboe.ocn.ne.jp http://wakasa-net.sakura.ne.jp/www/

カンパ振込先: 郵便振込口座番号00940-2-100687(加入者名:若狭ネット)

 

若狭ネットニュース第150号を発行しました

若狭ネットニュース第150号(2014/7/12)を発行しました一括ダウンロード30.9Mb

巻頭言-大飯3・4号運転差止め「福井地裁判決」を全国へ!川内1・2号をはじめ全原発の再稼働を阻止しよう!
関西電力は「原発依存による3年連続赤字」=経営失敗を深く反省しろ! 原発再稼働を断念し、脱原発へ転換し、電気料金を下げよ!

(1)電力会社の経営危機は「原発依存」の結果にすぎない!「原発再稼働」や「電気料金値上げ」なんて、とんでもない!

(2)電力全面自由化に向け、電気事業法は改正されたけれど・・・電力独占・政府一体になった「原発優遇策」を許すな!電力独占を解体し、発送電分離を!

(3)1000 ガル超の「震源を特定せず策定する地震動」がなぜ採用されないのか
大阪府立大学名誉教授 長沢啓行

注:川内2号のクリフエッジは1,220ガルではなく1,020ガルでした。読者の方のご指摘で、原典からの転記ミスであることが判明しました。謹んでお詫びし、訂正致します。ニュース小論も訂正しております。(2014.8.6若狭ネット資料室長 長沢啓行)

大飯3・4号の運転差し止めを命じる福井地裁判決を受け、原子力規制委員会に緊急要請文を提出

福井地裁は5月21日、関西電力に対し大飯3・4号の運転差し止めを命じる判決を言い渡しました。

憲法上の権利である人格権に基づく司法判断であり、たとえ、その下位にある原子炉等規制法や原子力規制委員会による規制基準・審査ガイドなどが満たされていても、人格権を広汎に奪うことになる原発事故の具体的危険性が万が一にもあれば、運転差し止めが認められるという画期的なものです。

原子力規制委員会による「規制基準」は「原発重大事故は起こりうる」との大前提に立っており、30km圏内をUPZに指定するなど何十万人、何百万人もの国民の命を危険にさらし、人格権を奪う可能性を前提にしています。

原子力規制委員会で現在審査中の原発では、電力会社は「電力会社の経済的利益」を人格権より優先させ、経済的に成立つ範囲内での耐震性の確保で済ませるため、基準地震動を過小に設定しようとしています。

そこで、私たちは、福井判決を受け、5月23日、原子力規制委員会に緊急要請文を提出しました。

呼びかけ団体: 川内原発建設反対連絡協議会、川内つゆくさ会、反原発・かごしまネット、まちづくり県民会議、川内原発活断層研究会、東電福島原発事故から3年-語る会、さよなら原発:アクションいぶすき、原発ゼロをめざす鹿児島県民の会、かごしま反原発連合有志、原子力発電に反対する福井県民会議、サヨナラ原発福井ネットワーク、原子力資料情報室、若狭連帯行動ネットワーク(事務局担当)
賛同団体・個人: 2014.5.23現在 88団体、416個人(「5月15日付緊急公開質問状(5月23日一部修正)」に記載)

緊急要請文はこちら 緊急公開質問状はこちら 呼びかけはこちら
(なお、5月15日に提出した公開質問状には一部誤りがありましたので修正しました。その説明はこちら

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2014年5月23日
原子力規制委員会委員長
田中 俊一 様

大飯3・4号運転差し止めの5.21福井地裁判決を受け、川内1・2号等の地震動評価やり直しと公開質問状への至急回答を求めます

福井地裁は5月21日の判決で、大飯3・4号の運転差し止めを命じました。同判決ではこれまでに安全規制当局の定めた基準地震動を超える地震動が4原発で5回も相次いだ事実を重視し、「過去における地震の記録と周辺の活断層の調査分析という手法に基づきなされたにもかかわらず、被告の本件原発の地震想定だけが信頼に値するという根拠は見いだせない」と指弾しています。さらに「新規制基準への適合性や原子力規制委員会による新規制基準への適合性の審査の適否という観点からではなく、(1)の理に基づく裁判所の判断が及ぼされるべきこととなる。」つまり、「人格権は憲法上の権利であり、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。」「大きな自然災害や戦争以外で、この根源的な権利が極めて広汎に奪われるという事態を招く可能性があるのは原子力発電所の事故のほかは想定し難い。かような危険が抽象的にでもはらむ経済活動は、その存在自体が憲法上容認できないというのが極論にすぎるとしても、少なくともかような事態を招く具体的危険が万が一にでもあれば、その差し止めが認められるのは当然である。」と断じているのです。原子力規制委員会としてはこの判決を重く受け止めるべきであり、あらゆる可能性を考慮して、考え得る限りの最大規模の地震・津波を想定すべきところ、地震動評価については、私たちが公開質問状で何度も提起しているように、最近20年間の地震観測記録があるにもかかわらず、電力会社の経済的利害に基づく「理屈」によって、過小に設定されています。
従来の原発推進機関から独立した原子力規制委員会として、今回の判決を受けて襟を正し、私たちの緊急公開質問状に誠意ある回答を求めます。とくに、川内1・2号については、「基準地震動は策定済み」であるかのように報道されていますが、下記の緊急要請項目にあるとおり、過小設定になっています。5月15日付「川内1・2号の地震動評価等に関する緊急公開質問状」(5月23日一部修正)と合わせて、至急回答の場を設定して頂くよう強く求めます。

(1) 川内1・2号で活断層による地震の震源パラメータを設定する際、九州電力は1997年5月13日鹿児島県北西部地震の地震モーメントとして菊地・山中(1997)による 0.90×10^18Nm(MW5.9) を用いていますが、原子力規制庁がすでに資料収集しているように、the Global CMT project は1.42×10^18Nm(MW6.0)、九州大学理学部島原地震火山観測所(1997)は1.2×10^18Nm(MW6.0)、F-Netは1.22×1018Nm(MW6.0)、さらに、気象庁CMT解では2.17×10^18Nm(MW6.2)となっており、九州電力はこのうち一番小さい値を用いていることを確認して下さい。
なお、菊地・山中(19979)による地震モーメントの値は2つの断層による地震モーメントの総和であることを元データに基づいて確認しましたので、5月19日付で先に提出した緊急要請書の(1)を上記のとおり修正いたします。

(2) 川内1・2号の断層モデル(経験的グリーン関数法)による地震動評価に際して、九州電力は、要素地震の応力降下量21.02MPaを the Global CMT project による地震モーメントで算出しており、1997年5月13日鹿児島県北西部地震の応力降下量についても、過小評価を避けるため the Global CMT project による地震モーメントを用いれば、今の15.9MPaから25.1MPaへ約1.6倍になることを確認して下さい。

(3) 周辺活断層の震源パラメータにおけるアスペリティ平均応力降下量を少なくとも25.1MPaに設定し直して、川内1・2号の断層モデルによる地震動評価を一からやり直してください。

(4) 5月21日の福井地裁判決を真摯に受け止め、本緊急要請項目および5月15日付緊急公開質問状への回答を受ける交渉の場を可能な限り速やかに設定して下さい。