若狭ネット

福井と関西を結び脱原発をめざす市民ネットワーク

大阪連絡先 dpnmz005@ kawachi.zaq.ne.jp
若狭ネット資料室(室長 長沢啓行)
e-mail: ngsw@ oboe.ocn.ne.jp
TEL/FAX 072-269-4561
〒591-8005 大阪府堺市北区新堀町2丁126-6-105
ニュース

トリチウム汚染水の海洋放出に関する「書面による御意見の募集」に6つめの意見を出しました

トリチウム汚染水の海洋放出に関する「書面による御意見の募集」の期間が7月15日(水)まで延期(「6月15日まで」からさらに延期)されていますので、皆さんも、ふるって意見を出しましょう。

書面による御意見の募集について
(
募集期間)202046()2020715()(必着)
意見公募要領
意見様式(pdf形式
意見様式(word形式

電子政府の総合窓口(e-Gov)からでも意見を提出できます(こちら)

若狭ネット資料室長(長沢啓行)は下記の5つの意見を429日に提出しましたが、本日6つめの意見を提出しました。
皆さんも意見提出時の参考にしてください。
(提出意見のpdfはこちら:その1その2その3その4その5その6

 

「トリチウム汚染水の海洋放出反対」に関する若狭ネット号外を発行しました

号外(2020/5/27)(一括ダウンロード303kb

ロンドン条約・議定書および国連海洋法条約に違反する
高濃度トリチウム汚染水の500倍希釈・海洋放出を許すな!

東京電力と政府・経済産業省は、高濃度トリチウム汚染水119万m3( 2020年3月12日時点) 、860兆Bq(ベクレル)を海水で約500倍に薄めて海洋放出しようとしています。これが強行されれば、5.8億m3の希釈された汚染水が30年以上にわたって、毎日5万m3、1,000m3タンク50基分相当の海洋放出が毎日続くのです。このような暴挙は断じて許せません。私たちは、次の5つの観点からトリチウム汚染水の海洋放出に断固反対し、福島の運動と連帯してきました。
①これ以上の被ばく強要は許されない
②トリチウム汚染水の海洋放出は法令(告示)違反
③32万m3を固化埋設し、残りはタンク保管を
④東電と政府は事故責任と対策破綻の責任をとれ
⑤ロンドン条約と国連海洋法条約を厳守せよ
の5つです。
以下では、これらを概括しますので、福島から提起された「トリチウム汚染水の海洋放出反対」署名の拡大にご活用ください。また、経産省等は、2018年8月説明・公聴会で出された意見への2020年4月3日回答、脱原発福島県民会議やヒバク反対キャンペーンなど8団体からの質問への2020年5月13日回答、福島県いわき市議会からの再質問への2020年5月18日回答を出しており、これらに対する反論も付け加えています。その中でも、特に、ロンドン条約や国連海洋法条約に違反するとの私たちの指摘への回答の内容そのものが、条約の無理解と曲解による国際法違反であることを示したいと思います。

特別手記(書き手 久保 きよ子 & よしお)を発行しました

関西の反原発運動の一翼を 二人三脚で歩んだ40年
みなさんの温かいご支援で継続できました
-若狭ネットニュースの編集後記から見えてきた-
書き手 久保 きよ子 & よしお
一括ダウンロード2.3Mb

はじめに

2020年5月、新型コロナ肺炎の流行は、全世界を席巻し続け、全世界を恐怖におとしめて います。人類とウイルスとの総力戦を呈しており、大戦争となってきています。
そんな中、若狭ネットニュースは、30年間で181号を迎えました。コロナ禍の下では、ニ ュースを持ち込んでの小学習会もままならず、対話もはばかられる事態に遭遇しています。仲間 との会話もままならず、街頭での対面署名活動も困難な状況となっています。活動が制約されて いる今、この際、もう一度これまでの「編集後記」などで、どんな思いで、ニュースを発行して きたのか、見つめ直す作業をしてみようと考えました。
反原発の若狭ネットの取り組みと編集後記を見つめ直すことで、新たな発見があるのかどうか、 また、過去の姿から今を見つめ直す良い機会となるのではないかと思います。
20世紀末から21世紀初めは、原子力発電所についても、世界中が大きな転換点を迎え、原 発開発から手を引く動きが顕著になってきました。それは、1986年のチェルノブイリ原発後 に顕著となったのです。この事故により、ひとたび、原発事故が起こると、人類の命と健康の破 壊だけでなく、経済社会そのものが崩壊の道を歩むことになることを体験したからです。
ところが、日本は、この時代の流れに逆らうように世界一の「原発長寿国」をめざそうと、原 発推進を打ち出し続けたのです。新たなる時代へ、つまり脱原発へと転換できなかったために、 ここ20年の間、日本のエネルギー政策は、世界から大きく後退してしまいました。再生可能エ ネルギーが全世界で普及し、拡大し、原子力や石炭の衰退傾向が一層明らかになる中、よりはっ きりとそれが感じられるのです。
チェルノブイリ事故を教訓にできなかった日本では、2011年3月にフクシマ原発重大事故 を経験してしまいました。事故から10年めを迎えても、事故は収束せず、放射能汚染水が発生 し続け、燃料デブリの実際の状況さえつかめず、廃炉・汚染水対策は「絵にかいた餅」と化し、 収束の見通しすら立たない状況です。貯まり続けるトリチウム汚染水を「500倍以上に薄めて海 洋放出」すべきだとの暴挙をごり押ししようとしています。
私たち若狭ネットも、この機を利用して、フクシマ事故の前後10年の時代を振り返り、どのよ うに考え、どのような提言をしてきたのか、見直したいと思います。そして、「チェルノブイリ 事故を『経験』しながら、なぜ、フクシマ事故を未然に防げなかったのか」、「社会生活でも原 発推進では大きなひずみが現れていたにもかかわらず、大きな反原発運動へと発展させられなか ったのは、なぜなのか」、考える機会にしたいと思います。
私たちも70才を超え、老齢化を迎えています。だからこそ、どうすれば、より説得力のある ものを提示し、次の世代にバトンタッチできるのか、より明確な教訓を指し示すことができるの か、模索し続けたいと思います。私たちのたどってきた歩みの中に見える優れた点、間違ってい た点、もっと徹底すべきだった点などを包み隠さず記録として残し、反省し、あきらめずに粘り 強く闘い続けながら、次世代へ託すことが責任ある者の姿だと思うからです。
この時期にもう一度、真摯に見つめ直すことで、これまでの運動の 姿とともに、次の運動の姿が、より鮮明になればと期待するところで す。50才前後を中心にまとめてみました。読み進めていただき、忌憚のないご意見をいただければ幸いです。

あとがきにかえて

2020年新型コロナウイルスの出現で、活動が自粛されたおかげで、過去の運動から学 びなおすことができました。
フクシマ原発重大事故を起こす前から、私たちの反原発・反核燃サイクルの主張が正しか ったことを改めて確かめることができました。
これまで、私たちを支えていただいた方々 への感謝の一端となれば幸いです。
これからも、絶大なるご支援をいただけれ ば、うれしいです。
2020年5月25日 記

トリチウム汚染水の海洋放出に反対し、反対署名を広げると共に、「書面での意見公募」へ意見を出そう!

 東京電力と政府は、高濃度のトリチウム汚染水を海水で500倍に薄めて、毎日5万m3以上の規模で、30年以上にわたって海洋放出しようとしています。
 経済産業省の「廃炉・汚染水対策チーム」は、コロナ感染症が拡大しているにもかかわらず、形だけの「関係者の御意見を伺う場」で国民合意の形だけを作り、「トリチウム汚染水の海洋放出」方針を早期に決定しようとしています。
 「原発のない福島を!県民大集会」実行委員会は、福島県民の総意を結集してこれに反対し、4月15日から反対署名を始めています。この呼びかけに応じ、福島県内は元より、全国でも署名に取り組み、拡大し、全国の力を合わせて、トリチウム汚染水の海洋放出を阻止しましょう。
 この署名に加えて、国民の反対の声を直接意見として届けることも大切です。
 下記の通り、「書面による御意見の募集」が行われていますので、一人でも多くの方に提出して頂きたく、お願いします。

書面による御意見の募集について
(募集期間)2020年4月6日(月)~2020年5月15日(金)(必着:※郵送の場合、消印有効)
意見公募要領
意見様式(pdf形式
意見様式(word形式

電子政府の総合窓口(e-Gov)からでも意見を提出できます(こちら)

若狭ネット資料室長(長沢啓行)は下記の5つの意見を本日提出しました。
皆さんも意見提出時の参考にしてください。
(提出意見のpdfはこちら:その1その2その3その4その5
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「多核種除去設備等処理水の取扱い」に係る書面による意見提出(その1)

 トリチウム汚染水の海洋放出には反対です。トリチウム汚染水は、トリチウム以外の核種を現在の技術で可能な限り除去した上で、タンク貯蔵とグラウト固化埋設の併用等で陸上保管すべきです。
トリチウム汚染水の海洋放出方針が急に出てきたのは、「汚染水タンクが2022年6月にも上限に達するため今年夏までに方針を決めねばならない」という理屈によります。確かに、「2年後には137万トンのタンク」は「満杯になる」かもしれませんが、それと「海洋放出」とは関係ありません。「タンクをなぜ増設できないのか」、「米サバンナリバーで実績のあるグラウト固化埋設をなぜ採用できないのか」、「両者を併用して3割程度の高濃度汚染水をグラウト固化埋設し、空きタンク利用とタンク増設で低濃度汚染水をタンク貯蔵し続ける選択肢をなぜ検討しないのか」、これらについて納得できる説明はありません。「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会報告書」(2020.2.10)は東電の説明を鵜呑みにしただけで、これらを真剣に議論した形跡が全くありません。
東電は、福島第一原発敷地を町境で分割し、北(双葉町)側を「廃棄物処理・保管エリア」、南(大熊町)側を「汚染水タンク・使用済燃料・燃料デブリ保管エリア」と人為的に分け、南側は満杯だとし、北側の土捨場等の空地はタンク増設や固化埋設には使わないと恣意的に設定しています。「土捨場の汚染土は敷地外へ持ち出せない」とか「空地には他の用途が計画されている」とかは「できない理由」を無理に挙げたすぎません。この前提を取り去れば、「2022年6月の恣意的な期限」もなくなるのです。その意味では、タンク増設の余地はあり、真剣に考慮していないだけだと言えます。
タンク貯蔵のリスク低減のためには、高濃度トリチウム汚染水とそれ以外を分けて管理する必要があります。タンク貯留水のタンク群別東電公表データに基づけば、トリチウムの告示濃度比が20倍(120万Bq/L)以上のタンク貯留水は約32万m3で、そこに約520兆Bqが含まれます。2019年12月末時点のタンク貯留水118万m3、860兆Bqと比べると、この32万m3は、貯留水の27%にすぎず、そこにトリチウムの60%が含まれます。この高濃度タンク水をトリチウム以外の核種濃度を極限にまで減らした上で固化埋設すれば、数百年後にはほぼ無害になります。残りのタンク水86万トンに含まれるトリチウムは340兆Bq、平均40万Bq/Lであり、100年経てば、1.2兆Bqに下がり、その濃度も地下水バイパス運用目標の1,500Bq/L未満へ低下します。告示濃度限度以下の約2万m3は50年弱でこのレベルに達します。その頃には、セシウム(セシウム137の半減期は30.04年)による汚染も今より1桁程度低くなっているでしょう。廃炉・汚染水対策も大きく変わっている可能性もあり、その時点で残された汚染水をどうするかを決めても遅くはありません。トリチウム対策は12.33年の半減期による減衰を待つのを基本とすべきであり、海水で希釈して海洋投棄したり、加熱して水蒸気にして大気放出したりという安易な手段に頼るべきではありません。
固化埋設の実例は、米サバンナリバーにあり、低レベル放射性廃液を直径114m、高さ13m、容量約12万m3の巨大タンク(SDU6)で廃液7.1万m3をグラウト固化しています。サバンナリバーでの最近の実績では、1m3の廃液を固化すると1.76m3のグラウトができるとされています。通常は4m3程度になると言われていますので、極めて効率的なグラウトが開発されたのかも知れません。高濃度トリチウム汚染水32万m3をグラウト固化埋設するには、2~4倍程度と考えて、巨大タンク5~10基で十分です。設置面積は1基約1万m2ですので、5~10万m2で済みます。敷地北側の土捨場の一部を固化埋設場所とし、土を覆土に使えば、「敷地外への土壌移動」の必要もありません。小委員会試算では、80万m3の汚染水を「地下埋設」するのに28.5万m2の広さが必要で、地下埋設に約8年、監視に約76年、費用は2,431億円と見積もられていますが、半分以下の広さで済みますし、費用も1,000億円未満で済むでしょう。「トリチウム汚染水の海洋投棄ありき」で「審議」しているから、現実的な対策が見えないのです。

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「多核種除去設備等処理水の取扱い」に係る書面による意見提出(その2)

 トリチウム汚染水の海洋放出には反対です。東京電力と政府は、福島第一原発で炉心溶融事故を招いた責任をとらず、成否不明の凍土遮水壁を中心とする汚染水対策が破綻した責任をとらず、汚染水対策として福島県民に苦渋の決断を強いた地下水バイパスやサブドレン等で「希釈は行わない」とする運用基準を踏みにじり、「トリチウム汚染水(ALPS処理水)は海洋放出しない」との約束さえ反故にするものであり、絶対に許せません。トリチウム汚染水は海洋放出を断念し、トリチウム以外の核種を現在の技術で可能な限り除去した上で、タンク貯蔵とグラウト固化埋設の併用等で陸上保管すべきです。
そもそも、今日の危機を招いたのは東電と政府です。福島第一原発1~3号炉心溶融事故を引き起こした責任は東電と政府にあり、廃炉・汚染水対策の責任も東電と政府にあります。事故直後の汚染水対策として、「地下水の流れを抜本的に変える大規模な土木工事の場合は東電救済になるから資金援助できないが、成功するかどうかわからない凍土遮水壁工事なら研究開発予算を出せる」として、役に立たない凍土壁を作って汚染水を累々と貯め続けてきたのは東電と政府です。汚染水貯蔵タンクの容量は当初の80万m3(2013.5)から90万m3(2014.7)、120万m3(2016.8)、135万m3(2016.9)、136.5万m3(2019.2)となし崩し的に増やされてきました。「それが満杯になるから海洋放出以外にない」というのは自らの失策と無能を棚上げにして居直り、福島県民に一層の犠牲を強いて逃げるものです。まずは、福島事故を招いた責任を認め、汚染水対策破綻の責任を認め、放射能放出で福島県民にこれ以上犠牲を転嫁しないため、海洋放出回避策に全力で真剣に取り組むのが政府の最低限の責任です。原子力損害賠償紛争解決センターの和解案を拒否し、事故処理能力もなく、申し訳ないという反省のかけらもない東電には退場してもらう以外にはありません。
東電によるトリチウム汚染水海洋放出の検討素案(2020.3.24)は、「地下水バイパスおよびサブドレンの運用基準(1,500Bq/L)を参考に検討する」というもので、トリチウム汚染水119万m3、860兆Bqを、平均73万Bq/Lから1,500Bq/Lへ約500倍に薄めて海洋放出するというものです。ところが、「サブドレン及び地下水ドレンの運用方針」(2015.9、廃炉・汚染水対策チーム、東電福島第一廃炉推進カンパニー)には「サブドレン及び地下水ドレン以外の水は混合しない(希釈は行わない)」と明記してあり、これに違反します。また、野﨑福島県漁連会長によれば、「バイパス、サブドレンの放出に協力してきたという経緯があります。それは『ALPSを通した水は海洋投棄しない』という回答をもらったことによる決断でした。汚染された地下水を海に流さないために凍土壁や海側遮水壁をつくるための協力だったわけですから、わたしたちにとっては前向きでした。汚染水を流さないための陸上保管だったはずです。」(日々の新聞第409号, 2020.3.15) この約束さえ反故にすることになります。
2020年3月末で、地下水バイパスは316回、約54万m3、約0.076兆Bqで、サブドレンは1,227回、約88万m3、約0.58兆Bqですが、トリチウム汚染水海洋放出は、約500倍に薄めて約5.8億m3、860兆Bqと桁違いであり、地下水バイパスの1万倍以上、サブドレン等の1千倍以上になります。
2019年12月23日の東電シミュレーションでは、海洋放出しなければ2035年には183万m3に達し、トリチウム汚染水が発生しなくなる2048年頃まで100m3/日の割合で増え続けると試算しています。事故発生から10年以上経てば、溶融燃料の発熱量は2kW/tHMへ下がり、炉内構造物やコンクリートと混合した燃料デブリでは1kW/t程度と推定され、冷却水注入方式から自然空冷方式への移行を検討し、燃料デブリと接触して生じる汚染水や地下水の建屋流入量の抜本的抑制を図るべきです。東電シミュレーションはこれを全く考慮していません。「不都合な想定はモデル化しない」のは自分勝手です。苦渋の決断で協力してきた福島県民を裏切り、あらたな犠牲を強いるトリチウム汚染水の海洋放出は断念すべきです。

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「多核種除去設備等処理水の取扱い」に係る書面による意見提出(その3)

 トリチウム汚染水の海洋放出には反対です。低レベル放射性廃棄物を、陸上保管可能な対案があるにもかかわらず、意図的に海洋放出して海を汚染するのはロンドン条約違反です。海洋法に関する国際連合条約にも違反します。1993年3月30日に閣議決定した平成5年度原子力開発利用基本計画の「低レベル放射性廃棄物の海洋投棄については、関係国の懸念を無視して行わない」との方針に違反し、1993年11月2日の原子力委員会決定にある「低レベル放射性廃棄物の海洋投棄は、国際原子力機関の基準等に則って行えば、公衆の健康に特段の影響を与えるものではないと考える。しかし、・・・我が国としては、今後、低レベル放射性廃棄物の処分の方針として、海洋投棄を選択肢にしない」との方針にも違反します。トリチウム汚染水は海洋放出を断念し、トリチウム以外の核種を現在の技術で可能な限り除去した上で、タンク貯蔵とグラウト固化埋設の併用等で陸上保管すべきです。
日本政府は1980年11月14日に海洋投棄規制条約(ロンドン条約)に正式加盟し、締約国の特別な許可を得て低レベル放射性廃棄物を海洋処分しようと計画していましたが、1980年太平洋ベースン首脳会議で「投棄計画中止を要求する」共同声明が採択され、1983年第7回ロンドン条約締約国協議会議で「海洋投棄によるすべての影響が明らかにできるような研究が完了するまでは投棄を一時停止する」決議が採択され、1985年第9回同会議で、科学的検討のみならず、政治的、社会的等の検討を含む広範な調査、研究を終了するまで海洋処分を一時停止するとの決議がなされたのです。そのような中、ロシア政府が1993年4月に、かつて旧ソ連及びロシアにより日本海、オホーツク海等の極東海域及びバレンツ海等の北方海域に液体及び固体廃棄物を投棄した事実が公表され、また、同年10月のロシアによる日本海での液体放射性廃棄物の海洋投棄等が明らかになり、放射性廃棄物海洋投棄に対する国際的関心が一層高まった結果、日本政府も1993(平成5)年度原子力開発利用基本計画(1993.3.30閣議決定)で「低レベル放射性廃棄物の陸地処分については・・・処分技術の開発等を推進する。海洋処分については、関係国の懸念を無視して行わないとの考え方の下に、その実施については慎重に対処する。」とし、1993年11月2日には、「今後、低レベル放射性廃棄物の処分の方針として、海洋投棄は選択肢としない」との原子力委員会決定がなされたのです。
その10日後、同年11月12日の第16回ロンドン条約締約国協議会議では、「放射性廃棄物およびその他の放射性物質」の海洋投棄の原則禁止等の条約改定が行われました。その附属書一(投棄を検討することができる廃棄物その他の物)では、「国際原子力機関によって定義され、かつ、締約国によって採択される僅少レベル(すなわち、免除されるレベル)の濃度以上の放射能を有する」しゅんせつ物・下水汚泥・魚類残さ又は魚類の工業的加工作業から生ずる物質等8種類の物質は投棄対象として検討可能とされていますが、今回のように、「高度濃度放射性廃液を免除レベル未満へ海水で希釈すれば海洋投棄してもよい」という規定などありません。それを認めれば原則禁止が骨抜きになるからです。
低レベル放射性廃液の海洋投棄が原則禁止にされたロンドン条約の経緯や日本政府が海洋投棄を選択肢にしないと決定した経緯から判断すれば、高濃度トリチウム汚染水を大量の海水で希釈して海洋投棄するなど、到底できないはずです。海洋法に関する国際連合条約にも違反します。陸上での固化埋設とタンク貯蔵で乗り切れる選択肢があるのですから、それを真摯に検討し、海洋放出を断念すべきです。

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「多核種除去設備等処理水の取扱い」に係る書面による意見提出(その4)

 トリチウム汚染水の海洋放出には反対です。トリチウム汚染水の海洋放出は、福島事故の被災者であり、今なお放射能汚染に苦しめられている福島県民等に一層の被ばくを強要するものであり、「一般公衆の被ばく線量限度1mSv/年」を担保した法令(告示)の趣旨に違反します。福島事故前のバックグラウンド線量0.04μSv/時を基準として追加される被ばく線量を1mSv/年(屋外8時間・屋内16時間として0.19μSv/時相当)未満に抑制するため全力を尽くすことこそが、東京電力と政府の責任です。トリチウム汚染水は海洋放出を断念し、トリチウム以外の核種を現在の技術で可能な限り除去した上で、タンク貯蔵とグラウト固化埋設の併用等で陸上保管すべきです。
福島県民等は福島第一原発事故で原子力災害に見舞われた原子力被災者であり、事故直後には約8万人が強制的に避難させられ、約400万人が放射線管理区域(外部放射線量が1.3mSv/3ヶ月(0.6μSv/h)超または表面密度でα核種4kBq/m2超、その他40kBq/m2超)に相当する汚染地での生活を余儀なくされ、「一般公衆の被ばく線量限度1mSv/年」を超えて被ばくさせられました。その影響はまだ続いています。
旧避難指示区域、居住制限区域、避難指示解除準備区域では、汚染レベルが十分下がっていないのに、2014年4月の田村市を初めとして、「20mSv/年の基準(空間線量率で推定された年間積算線量が20mSv以下になること)」で避難指示が解除されてきました。避難指示解除の要件には、これ以外に、「電気、ガス、上下水道、主要交通網、通信など日常生活に必須なインフラや医療・介護・郵便などの生活関連サービスが概ね復旧すること、子どもの生活環境を中心とする除染作業が十分に進捗すること」および「県、市町村、住民との十分な協議」が挙げられていますが、除染しても1mSv/年未満には下がらず、インフラも整備できないため、住民の多くは、子どもを連れての帰還を拒否しています。ところが、住民の声は踏みにじられ、他の要件は無視され続けています。他方、避難指示解除は、避難支援打ち切りに直結しています。2017年3月末で「自主避難者」への住宅の無償提供が打ち切られ、2019年3月末には旧避難区域(南相馬市、浪江町、川俣町、葛尾村、飯舘村)からの避難者約2,200世帯への仮設・借り上げ住宅提供も打ち切られました。国民が憲法で保証されるべき基本的人権が踏みにじられているのです。
被災前の自然放射線量率0.04μSv/hを基準として、これを超える追加被ばく線量が1mSv/年(空間線量率0.19μSv/h相当)を超えないように、徹底した対策を講じることこそが、東京電力と政府の第一の義務であるはずです。「緊急時被ばく状況」(参考レベルとして20~100mSv/年を強要)や「現存被ばく状況」(1~20mSv/年の下方部分を参考レベルとし、長期的に1mSv/年を目指す)など現行法令にないものを根拠にして、「一般公衆の被ばく線量限度1mSv/年」を超える被ばくを強要することは許されません。事故時に放出された放射能で今でも福島県民等の多くが1mSv/年を超えて追加被ばくさせられて続けています。そのうえさらに「1mSv/年までの追加なら許される」と主張するのは「一般公衆の被ばく線量限度1mSv/年」を担保する法令(告示)の趣旨に反します。憲法違反です。
地下水バイパスやサブドレン・地下水ドレンの排水濃度の運用基準を準用してトリチウム汚染水の海洋放出を強行するのは、「希釈を行わない」との運用基準に違反し、「ALPS処理水は海洋放出しない」との約束に違反します。さらに、被災前の自然放射線量率0.04μSv/hを基準として追加される被ばく線量を規制し、「一般公衆の被ばく線量限度1mSv/年」を担保する法令(告示)の趣旨に違反します。

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「多核種除去設備等処理水の取扱い」に係る書面による意見提出(その5)

トリチウム汚染水の海洋放出には反対です。トリチウム汚染水にはトリチウム以外の核種が高濃度に含まれているため、これを極限にまで除去した上で、トリチウム汚染水の海洋放出を断念し、タンク貯蔵とグラウト固化埋設の併用等で陸上保管すべきです。
トリチウム汚染水(ALPS 処理水)には、表1のように、告示濃度限度が最大で2万倍にも達するトリチウム以外の核種も含まれており、これを除去するのが先決です。表1では、満水になったタンクに関する濃度分布を示していますが、トリチウム以外の62 核種の告示濃度比総和が1 未満であるタンク水は約13.7 万m3、15%にすぎません。85%のタンク水は告示濃度限度を超えています。トリチウム汚染水にはトリチウム以外の核種が大量に含まれるため、これを除去したうえで、対策を議論すべきです。

こうなった理由は、タンク汚染水のALPS 処理を急いだためです。事故直後はセシウム除去を主眼にし、濃縮塩水と呼ばれる高濃度汚染水をタンクに貯蔵していたため、タンク等からの放射線による敷地境界線量が2013 年度末で9.76mSv/年と高く、告示違反状態が続き、濃縮塩水のALPS 処理を急いだのです。
当時のALPS は処理性能が低く、吸着塔を頻繁に取り替える必要がありましたが、吸着塔交換に1 塔当り2~14 日かかるため、少しでも濃度が下がればよいとの判断で、交換頻度を下げて汚染水処理量を増やしたのです。その途上で、高濃度汚染水がクロスフローフィルターを通り抜ける事故も起き、告示濃度比が100~19,909 にもなる汚染水が6.5 万m3 も生じたのです。経産省等はこの事実に触れないまま、トリチウム汚染水(ALPS 処理水)を「トリチウム水」であるかのように振る舞っていました。「国民だましから始まったことを真摯に反省し、謝罪する」のをトリチウム汚染水対策の原点とすべきです。
追い込まれた東京電力は、ALPS または逆浸透膜装置(水以外のイオン・塩類を透過しない濾過膜)で二次処理を検討中だと弁明しましたが、更田原子力規制委員長は、二次処理は「告示濃度制限が守られる限り、絶対に必要なものという認識はない。」「科学的には、再浄化と(より多くの水と混ぜることで)希釈率を上げるのに大きな違いはない。」(10.5 記者会見、福島民友新聞2018.10.6)と発言し、トリチウム以外の核種も含めて、告示濃度限度まで薄めればよいとの認識を披露したのです。告示濃度限度の2万倍でも2 万倍に薄めればよいというのは暴論であり、告示を曲解しています。経産省はこれと一線を画すべきです。トリチウム以外の核種を技術的に可能な限り低く除去しない限り、議論できません。

コロナ感染拡大対策に関し、関西電力へ緊急申し入れを行いました

本日、4月28日午前11時半に関西電力原子力事業本部(福井県美浜町)へ、若狭ネットとして「コロナ感染拡大対策に関する関西電力への緊急申し入れ」を行いました。
この申し入れは、昨日27日に行う予定で関電原子力事業本部へ連絡したところ、「翌日にしてほしい」とのことで、1日遅れましたが、結果として、若狭ネットに加え、小浜の議員さんと他6団体(原子力発電所に反対する福井県民会議/ふるさとを守る高浜・おおいの会/原発設置反対小浜市民の会/安全なふる里を大切にする会/原発なしで暮らしたい宮津の会/避難計画を案ずる関西連絡会)の申し入れも同時に行うことになりました。
テレビ・マスコミ5社も取材に来ていました。

コロナ感染の緊急事態にもかかわらず、設置期限の迫る特別重大事故等対処施設(特重施設)工事や40年超運転のための安全対策工事に8,800人もの作業員を3密で作業させ続ける関西電力に対し、原発工事中止と原発運転中止を共に強く求めていきましょう!

2020年4月27日
関西電力株式会社取締役社長
森本孝様

コロナ感染拡大対策に関する関西電力への緊急申し入れ

若狭連帯行動ネットワーク

「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(特措法)に基づく緊急事態宣言が4月7日に出され、4月16日には対象地域が全国へ拡大され、福井県も対象に入っています。そのような中、貴社の原発では、安全対策工事や特別重大事故等対処施設(特重施設)工事のため、毎日8,800人(高浜約4.500人/日、美浜約2,800人/日、大飯約1,500人/日)が作業しており、通常の定検ピーク時の2,500人/日を超える密集状態が続いています。これらの作業員はコロナ感染の「特定警戒都道府県」からも多数来ていて、玄海原発では特重施設工事現場の大林組社員2名がコロナに感染し、2週間以上工事が中断しています。大林組は施工中断を前提に全国で4月20日から工事発注者と協議に入り、4月25日~5月10日の全社一斉休業を決めています。清水建設、熊谷組、鹿島などゼネコン各社も緊急事態宣言の全国拡大を機に一斉休業へ動いています。
 他方、高浜1・2号の安全対策工事では事故が相次いでいます。昨年9月19日には特別重大事故等対処施設(特重施設)建設用作業トンネル内で溶接作業中に協力会社作業員10名中9名がエンジン付き溶接機から発生した一酸化炭素で中毒になっています。3月13日には騒音防止の耳栓をしていたトンネル掘削作業監視員1名がバックで進入してきた資機材運搬用トラックに轢かれて死亡しました。これらを受けて、貴社は3月31日に高浜1・2号の安全対策工事竣工を3~4ヶ月延ばし、3・4号特重施設竣工も1ヶ月延ばすなど全体工程を見直しました。しかし、4月11日には、高浜1号ディーゼル発電建屋内で配管点検中の協力会社作業員が高さ1.4メートルの脚立から転落して骨盤の骨を折る重傷を負うなど事故が続いています。多少の竣工延期では作業員の安全確保は難しく、ましてやコロナ感染の危険を冒しての密集作業・密集生活では作業員の安全確保などできるはずがありません。協力会社社員は発熱があっても無理をしなくてはならず、コロナ感染の危険を冒さざるを得ないのです。何千人もの作業員が密集していれば、それだけで、無症状のままコロナ感染が拡大している可能性もあります。「人との接触を8割削減させる」努力が原発作業には適用されないという例外はあり得ません。地元商店街も、自粛・休業しようと思っても、何千もの作業員が街に出てくれば拒むことができず、感染の危険にさらされます。8,800人の作業員の中から一人でも感染者が確認されれば、その時点ではすでに遅く、感染がかなりの程度に広がっていると見なければなりません。
もちろん、貴社は特措法に基づく指定公共機関として、「電気及びガスの安定的な供給及び現場の安全の確保に万全を期す」ことを政府から要請されていますが、それは「電力の供給」であって、「原発の運転」ではありません。ましてや、安全対策工事や特重施設工事の継続が求められているのでもありません。コロナ感染のため経済活動が低下し、電力需要も低減しており、他方では、再エネが増え、石油価格も急低下している中、原発がなくても電力供給に支障が生じることなど全くあり得ません。
もし、コロナ感染が終息しない段階で稼働中の原発が重大事故を起こせば、コロナ感染のため避難計画は破綻せざるを得ないでしょう。そのリスクを冒して原発を運転し続けることは正当化できません。少なくともコロナ感染が終息するまでは原発以外の電源で電力供給義務を果たすべきです。
そこで、緊急に、以下の申し入れを行いますので、真摯にご検討ください。
1.高浜、美浜、大飯の安全対策工事と特重施設工事をコロナ感染が終息するまで停止してください。
2.高浜4号と大飯3・4号の運転を直ちに止め、コロナ感染が終息するまで停止してください。

(申し入れ文のpdfはこちら)

若狭ネット第181号を発行しました

第181号(2020/4/24)(一括ダウンロード1.9Mb
巻頭言–福島と全国の連帯した力でトリチウム汚染水の海洋放出を阻止しよう!反対署名の拡大を!
1. 福島からの呼びかけに応じ、トリチウム汚染水の海洋放出反対署名に取り組もう!
2. 放射性廃棄物の規制免除基準=クリアランスレベルを1/10へ引き下げよ!
国内保管中の放射能汚染金属約500トンの米への輸出・溶解・再利用反対!
3. 「原子力・石炭優先の電力システム改革」から脱原発・再エネ優先へ転換せよ!

東京電力と経済産業省は、トリチウム汚染水119万m3(2020年3月12日時点)、860兆Bq(ベクレル)を海水で約500倍に薄めて海洋放出しようとしています。
「原発のない福島を!県民大集会」実行委員会は、福島県民の総意を結集してこれに反対し、4月15日から反対署名を始めています。この呼びかけに応じ、福島県内は元より、全国でも署名に取り組み、拡大し、全国の力を合わせて、トリチウム汚染水の海洋放出を阻止しましょう。

トリチウム汚染水の海洋放出に反対する署名用紙

取り扱い団体記載可署名用紙(Word)

トリチウム汚染水の海洋放出反対リーフレット

福島からの呼びかけに応じ、「トリチウム汚染水の海洋放出に反対する署名」に取り組もう!

東京電力と経済産業省は、トリチウム汚染水119万m3(2020年3月12日時点)、860兆Bq(ベクレル)を海水で約500倍に薄めて海洋放出しようとしています。「原発のない福島を!県民大集会」実行委員会は、福島県民の総意を結集してこれに反対し、4月15日から反対署名を始めています。この呼びかけに応じ、福島県内は元より、全国でも署名に取り組み、拡大し、全国の力を合わせて、トリチウム汚染水の海洋放出を阻止しましょう。

「トリチウム汚染水の海洋放出に反対する署名」への賛同をお願いします

原発のない福島を!県民大集会実行委員会

東京電力福島第一原発内で貯まり続ける多核種除去設備(ALPS)処理水の処分について、経産省「トリチウム等を含むALPS処理水の処分に関する小委員会」(小委員会)は2月、「水蒸気放出及び海洋放出が現実的な選択肢」とする報告書を正式にまとめ公表しました。国は、小委員会の報告書に基づき、ALPS処理水の処分について早急に結論を出し、実行に移すべく、意見聴取会等を開催し、一部の関係者の意見聴取を進めています。
「原発のない福島を!県民大集会」実行委員会は、このトリチウム等を含む汚染水の海洋放出及び大気放出に絶対反対です。このような汚染水放出は、生活再建、風評被害からの脱却に向けて取り組んできたこれまでの努力が、振り出しに戻ってしまう大問題であり、原発事故によって被害を受けた福島県民が、新たな被害を被るものです。
「原発のない福島を!県民大集会」に参加している生産者団体・組織からは、「小委員会の報告については、容認しがたい。反対である。」との見解が出されています。また、原発事故を起こした国及び東京電力が、第一原発敷地内の「ALPS処理水の貯蔵が限界に達する」という無責任な理由で、放射性物質を意図的に放出処分するというのは、「これまで生産者が放射能の低減の取り組みやモニタリング調査を重ね、安全性と信頼の回復に努力してきたことを、根底から覆す行為であり、風評再発の問題のみならず、故意の加害行為による生産者の損失は免れない」との意見を述べています。とりわけ、漁業関係者は、「海に県境はない。全国に及ぶ問題であり、国民的課題として透明性を持った説明を行い、生業を立てる生活者の立場から考えていただきたい。」「トリチウム処理水の海洋放出には絶対反対である」と訴えています。
「トリチウム汚染水の海洋放出に反対する署名」を通して、県民の生業と生活を守り、海洋放出等に反対する県民世論をつくり、全国の人々とも繋がって、国の関係省庁に強く要請をしたいと思います。

多くの皆様の署名へのご賛同をお願いします。

トリチウム汚染水の海洋放出に反対する署名用紙

取り扱い団体記載可署名用紙(Word)

原発のない福島を!県民大集会実行委員会
<署名実施期間>
第1次集約2020年6月末
第2次集約2020年8月末(最終集約)
<署名の集約先>
「原発のない福島を!県民大集会」実行委員会事務局
〒960-8105 福島県福島市仲間町4-8 ラコパふくしま4階
福島県平和フォーラム内
TEL024-522-6101
FAX 024-522-5580
E-mail fh-forum@gaea.ocn.ne.jp

若狭ネット第180号とトリチウム汚染水海洋放出反対のリーフレットを発行しました

第180号(2020/3/24)(一括ダウンロード3.2Mb
巻頭言–関電第三者委員会が「金品授受に関する」調査報告書を3月14日岩根社長へ提出
関西電力は、美浜1号燃料棒破損事故の3年半以上隠蔽で地元の信頼を完全に失い、森山氏を地元有力者に仕立て上げ高浜3・4号増設に奔走!
賄賂への国税局追加徴税分も、役員減俸分も、退職後に隠れ補填=腐敗の極致!
金まみれの原発利権構造を徹底解明し、関電の企業犯罪を問い質そう!
いよいよ出番だ!大阪地検は、今すぐ告発状を受理し、強制捜査に入れ!
(1)大阪地検は3,371名による告発を受理し、即刻強制捜査に入れ!
(2)電力会社から独立した公的機関で送配電網の全国統一管理・運営を!
欧州並みの再エネ優先接続・優先給電を求め、再エネ拡大・地域分散エネルギーシステム構築へ前進しよう!

トリチウム汚染水の海洋放出反対リーフレット

若狭ネット第179号を発行しました

第179号(2020/2/12)(一括ダウンロード3.0Mb
巻頭言–高濃度トリチウム汚染水を「大量の海水で薄めて海へ流す」なんて、とんでもない! 一般公衆の被ばく線量限度1mSv/年を遵守し、一部固化埋設、他は陸上保管を!
原発利権構造づくりの関西電力に自浄能力なし!大阪地検は、今すぐ告発状を受理し、強制捜査せよ!4月新検査制度導入反対、こんな関電に定検は任せられない!
(1)トリチウム汚染水の希釈・海洋放出反対!蒸発・大気放出反対! 東京電力と国は、一般公衆の被ばく線量限度1mSv/年を遵守せよ!
(2)金品授受・不正隠蔽の関西電力が、高浜3号で新検査制度を全国初適用—「電力会社の一義的責任」任せの新検査制度、4月1日施行反対!

2019年12月14日 原子力発電所の廃炉問題に関する提言(ダウンロード1.8Mb
原子力発電所の廃炉問題に関する検討委員会(原子力発電に反対する福井県民会議)

「原子力発電所の廃炉問題に関する提言」が出されました

原子力発電に反対する福井県民会議が今年4月に「原子力発電所の廃炉問題に関する検討委員会」を立ち上げ、12月14日の第5回会合で下記の提言が出されました。

原子力発電所の廃炉問題に関する提言(pdfはこちら
2019年12月14日
原子力発電に反対する福井県民会議
原子力発電所の廃炉問題に関する検討委員会

—-<提言p.1より>—————————-
2019年12月14日

原子力発電所の廃炉問題に関する提言

原子力発電所の廃炉問題に関する検討委員会

「原発15基体制」にあった福井県では7基で廃炉が決められ、「数十年で解体・撤去」の廃止措置が進められつつあります。全国でも福島事故以降、21基の軽水炉が廃炉になり、廃炉問題が全国課題になっています。そのような中、「原子力発電に反対する福井県民会議」の委嘱を受け、「原子力発電所の廃炉問題に関する検討委員会」が2019年4月に発足し、廃炉問題を①原子炉建屋の解体撤去問題、②使用済燃料の取扱問題、③廃炉段階の地域経済問題の3つに分けて議論してきました。4月末から8月末までの4回の会合をすべて公開し、福井県民会議や一般の参加者からも広く意見を求め、それを積極的に取り入れ、参加者と認識を共有し、一致させながら、本提言を取りまとめてきました。
廃炉は原発再稼働と密接に絡んでおり、切り離せません。使用済燃料の乾式貯蔵への移行は再稼働のためプールを空けることにつながり、原発重大事故やプールでの溶融事故の危険を高め、使用済燃料を生み出し続けることになります。廃炉後の地域経済を所内他号機再稼働やリプレースなどに頼るのは、すでに破綻した「原発依存による地域振興」の失敗を繰り返すだけです。巨額の対策費回収のための利益優先の強硬運転を招き、機器にひび割れなどの異常が見つかってもそのまま最大24ヶ月までの運転継続を可能にする新検査制度の来年4月施行とも相まって、重大事故の危険を高めることにつながります。
ドイツでは、福島事故を機に倫理委員会が設けられ、「将来の世代に未解決の問題を残す原発は倫理に反する」、「再エネへの投資は子どもの教育への投資のようなもの」、「リスクのより小さい代替手段がある以上、脱原発は可能だ」と結論づけています。「原発がなければ暗闇の世界」、「原発は安価、安定で安全」というかつての主張は真っ赤な大ウソでした。原発ゼロでも電力は余り、再エネだけで電力を賄える時代に入っています。今や原発は再エネ普及を妨害し、倫理に反する存在にほかなりません。
このような認識のもと、検討委員会として、次のように提言します。

提言1:「廃炉」にされた原子力発電所の廃止措置においては、放射能で汚染された原子炉建屋等施設・構造物、機器・配管等の早期の解体撤去は行わず、そのまま密閉管理し、少なくとも100年程度の安全貯蔵期間をとるべきです。

提言2:福島事故を繰り返さないため、また、放射能汚染の危険が何万年も続く使用済燃料をこれ以上生み出さないため、原発の運転を止めるべきです。廃炉原発の使用済燃料乾式貯蔵は、運転中の原発のプールを空けるために利用されようとしており、福井県内・県外のどこにも立地を許すべきではありません。すでに生み出された使用済燃料は、再処理も、深地層処分も行うべきではなく、見える形で超長期に密閉管理すべきです。しかし、その具体的な方法については脱原発の下でしか国民的合意が得られないことを認識しなければなりません。

提言3:廃炉ビジネスは幻想です。廃炉後の地域経済を展望するためには、所内他号機の再稼働や増設などをあてにした原発依存体制と発想を転換し、住民自らが「廃炉を求め、原発依存の現状を打破する」姿勢に転じることが不可欠です。廃炉をチャンスと見なし、地域に根ざした地消地産の地域分散型エネルギー社会に基礎を置く地方分権型社会をめざすべきです。農林水産業の持続可能な「第六次産業化」で地域の雇用と収益を確保し、観光需要や農漁山村体験需要を地域へ呼び込むなど、力を合わせて、ハコモノ行政と原発依存社会からの抜本的脱却を図っていきましょう。

各提言には、なぜ、このような提言をするのか、その根拠は何かという素直な疑問に答えるため、それぞれに詳細な理由を付けています。そちらも合わせてご覧頂き、御意見をお寄せ頂ければ幸いです。

最後のページに下記の「声明」もついております:
2019年12月14日
関西電力による金品授受問題に関する声明
原子力発電所の廃炉問題に関する検討委員会