若狭ネット

福井と関西を結び脱原発をめざす市民ネットワーク

大阪連絡先 dpnmz005@ kawachi.zaq.ne.jp
若狭ネット資料室(室長 長沢啓行)
e-mail: ngsw@ oboe.ocn.ne.jp
TEL/FAX 072-269-4561
〒591-8005 大阪府堺市北区新堀町2丁126-6-105
ニュース

「トリチウム汚染水の海洋放出」の4月13日方針決定を阻止するため、緊急行動要請にご協力ください

「福島第一原発トリチウム汚染水の海洋放出」について4月13日にも廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議で方針決定すると報道されています。昨年10月下旬にも同じ動きがありましたが、断念された経緯があります。それから半年の間に反対の声は高まることはあっても収まることはありませんでした。にもかかわらず、今回は強硬する姿勢です。事態は切迫しています。

「原発のない福島を!県民大集会」が呼びかけた「トリチウム海洋放出に反対する署名」は45万筆にのぼり、海外からも太平洋諸島諸国やチェルノブイリ被災者など30カ国以上から「海洋放出」反対への支持が寄せられています。政府はこれらすべてを無視しようとしており、断じて許せません。

脱原発福島県民会議からの4月8日の緊急行動要請に応じ、若狭ネットも下記の通り、総理大臣・関係省庁大臣等へ緊急要請を提出しました。(要請書のpdfはこちら

皆さんも、ぜひ、緊急要請にご協力下さい。

<抗議先>FAX/email/facebook
○内閣総理大臣 菅 義偉
suga.yoshihide@gmail.com
議員会館 03-3597-2707
本部事務所(横浜)045-743-5296
○経済産業大臣 梶山 弘志
info@kajiyama-office.com
議員会館 03-3508-7714
本部事務所(茨城)0294-72-3383
○復興大臣・福島原発事故再生総括担当 平沢 勝栄
HP http://hirasawa.net/contact/
議員会館 03-3508-3527
○外務大臣 茂木 敏充
toshimitsu@motegi.gr.jp
議員会館 03-3508-3269
○農林水産大臣 野上浩太郎
office@kotaro.net
議員会館 03-6551-1010
○環境大臣・内閣府特命担当大臣(原子力防災)小泉進次郎
FAX記載なし
Facebook:https://www.facebook.com/shinjiro.koizumi/
MOEメール:moe@env.go.jp
○内閣官房長官 加藤 勝信
03-3508-3289
Facebook:https://www.facebook.com/katsunobu.kato.7
○経済産業省資源エネルギー庁 原子力発電所事故収束対応室
03-3580-0879

福島事故10年を迎え、原発ゼロに向けて 若狭ネット第184号を発行しました

福島事故10年を迎え、原発ゼロに向けて
若狭ネット第184号を発行しました。

10年ひと昔というが、あの生々しく痛ましい出来事を忘れない!
もう二度と痛ましい出来事を起こさないため、すべての原発を廃炉に!
脱炭素・脱原発社会は 希望にあふれる日本の姿!!

若狭ネット第184号(2021/2/26)(一括ダウンロード8.5Mb
巻頭言–「福島事故10年を迎えて」~40年闘い続けて思うこと~
大阪府藤井寺市 久保良夫
1. これ以上、使用済燃料を増やすな! もう原発を動かしてはならない
福井県武生市 山崎隆敏
2. 使用済燃料が福井県外へ搬出されても、一層危険な使用済MOX燃料、
または、再処理できずに戻されて、永久貯蔵になる
3. 福島事故10 年を迎えて~事故の原因と責任は糾明されたか~
大阪府立大学名誉教授 長沢啓行

若狭ネット第183号を発行しました

第183号(2020/10/25)(一括ダウンロード2.6Mb
巻頭言–「トリチウム汚染水の海洋投棄」絶対反対!
1. トリチウム汚染水海洋放出は「1,500Bq/L以上の地下水ドレンは希釈・排水しない」
との約束違反であり、汚染水対策の失敗を隠すものだ!
2. 再稼働と関電のコンプライアンス、ガバナンス欠如美浜町松下照幸
3.大飯3号一次系配管のひび割れ放置運転を目論み、失敗した関西電力・・・
「関電の一義的責任による新検査制度」に伴う重大事故の危険性を露呈
4.今年10月1日から託送料金で損害賠償費610億円、廃炉円滑化負担金512億円を徴収!
東電管内では2017年度から廃炉等負担金1,200億円を積立て!

10・26反原子力デーに際しての関電本社への申し入れ

対政府緊急要請「トリチウム汚染水120万m3、860兆ベクレルの前代未聞の海洋放出」を方針決定しないでください!長期貯蔵で減衰を待つ方針へ転換を!
(菅義偉内閣総理大臣、梶山弘志経産大臣、平沢勝栄復興大臣、茂木敏充外務大臣、野上浩太郎農林水産大臣、小泉進次郎環境大臣、加藤勝信官房長官、資源エネルギー庁原子力発電所事故収束対応室へ提出しました)

福島第一原発トリチウム汚染水の海洋放出の方針決定に反対する緊急要請へのご協力をお願いします

「福島第一原発トリチウム汚染水の海洋放出」について10月末にも廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議で方針決定すると報道されています。脱原発福島県民会議からの10月19日の呼びかけに応じ、若狭ネットも下記の通り、総理大臣・関係省庁大臣等へ緊急要請を出しました。皆さんも緊急要請にご協力下さい。(要請書のpdfはこちら

<抗議先>FAX/email/facebook
○内閣総理大臣 菅 義偉
suga.yoshihide@gmail.com
議員会館 03-3597-2707
本部事務所(横浜)045-743-5296
○経済産業大臣 梶山 弘志
info@kajiyama-office.com
議員会館 03-3508-7714
本部事務所(茨城)0294-72-3383
○復興大臣・福島原発事故再生総括担当 平沢 勝栄
http://hirasawa.net/contact/
議員会館 03-3508-3527
○外務大臣 茂木 敏充
toshimitsu@motegi.gr.jp
議員会館 03-3508-3269
○農林水産大臣 野上浩太郎
office@kotaro.net
議員会館 03-6551-1010
○環境大臣・内閣府特命担当大臣(原子力防災)小泉進次郎
FAX記載なし
Facebook:https://www.facebook.com/shinjiro.koizumi/
MOEメール:moe@env.go.jp
○内閣官房長官 加藤 勝信
03-3508-3289
Facebook:https://www.facebook.com/katsunobu.kato.7
○経済産業省資源エネルギー庁 原子力発電所事故収束対応室
03-3580-0879

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2020年10月20日

内閣総理大臣 菅 義偉 様

「トリチウム汚染水120万m3、860兆ベクレルの前代未聞の海洋放出」を方針決定しないでください! 長期貯蔵で減衰を待つ方針へ転換を!

福島第一原発に貯蔵された多核種除去設備ALPS処理後の汚染水(以下、「トリチウム汚染水」)120万m3(トリチウム860兆ベクレルの他にストロンチウム等を多量に含む)について、今月末にも、廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議で「海洋放出」を方針決定する予定だと報道されています。福島県内の圧倒的多数が海洋放出反対でまとまっており、全国漁業協同組合連合会も「漁業者の総意として絶対反対」との要請書を菅首相はじめ梶山経産大臣、加藤官房長官へ提出しているところです。圧倒的多数の反対の声を「重く受け止めている」としながら、意に介さず、「政府として責任を持って判断しなければならない」と結論ありきの姿勢をとるのは断じて許せません。

「トリチウム汚染水の海洋放出」の方針決定を絶対に強行しないで下さい。

このような方針決定には、「関係者の理解」など得られません。政府と東京電力が作成した「サブドレン・地下水ドレンの運用方針」(2015年9月)では、「トリチウムが1,500Bq/Lを超える場合は、希釈せずタンク等に貯蔵する」と明記されており、「ALPS処理水は関係者の理解なしには排水しない」と福島県民とりわけ県漁連と約束しています。現に、地下水ドレン約6.5万m3が、1,500Bq/Lを超えてタービン建屋等へ移送され、ALPS処理水としてタンクに貯蔵されています。トリチウム汚染水120万m3のうちの5%強が「希釈せず、排水せず、貯蔵する」と約束した汚染水です。これを希釈・放出することは、自ら作成し厳守すると約束した運用方針に明確に違反します。

このような方針決定には、「国際的な理解」も得られません。日本も締約国であるロンドン条約/議定書では「廃棄物その他の物を船舶、航空機又はプラットフォームその他の人工海洋構築物から海洋へ故意に処分すること」を禁じています。「放射性廃棄物その他の放射性物質」は禁止リスト(ブラックリスト)に入れられ、「その形態及び状態のいかんを問わない」とされ、海水で希釈してもその投棄は禁止されています。ロンドン条約事務局である国際海事機構IMOの解釈では、締約国の裁量で「その他の人工海洋構築物」にパイプラインや放流口を含めることができるとされています。また、ロンドン議定書では「締約国は、内水である海域における廃棄物その他の物の故意の処分であって、仮に当該廃棄物その他の物を海洋において処分したとするならば投棄となり得るものを管理するため、自国の裁量により、この議定書の規定を適用するか、又はその他の効果的な許可及び規制のための措置をとる。」と明記されています。ここに、「内水」とは、福島第一原発の場合、港湾内と海岸の低潮線より陸側であり、そこに設置される放流口(パイプラインも含まれる)からの放出がこの「内水での処分」に当たります。「投棄による海洋汚染を防止するために実行可能なあらゆる措置をとることを誓約」した締約国として、率先して、このような「故意の海洋処分」を禁止する措置をとるべきです。仮に、オリンピックが開催されるとしても、海外からの参加者には「アンダーコントロール」とされた汚染水が海洋放出されることを知って、菅政権への不信感を高めることは必至でしょう。

それでも方針決定を強行するとすれば、「安倍-菅政権による廃炉・汚染水対策の破綻を象徴する1,000基もの汚染水タンク群を解体し、政策破綻を隠蔽してしまいたいからだ」ということを内外に示すことになるでしょう。それは日本学術会議から推薦された6人の任命を拒否し、辺野古新基地の泥沼工事を強行し、核のゴミ最終処分場調査を札束攻勢でゴリ押しする菅政権の姿勢を改めて示すものであり、これらは「安倍前政権の前例」をしのぐ暴挙として国内外からの批判を受けることは避けられないでしょう。

若狭連帯行動ネットワーク

連絡先:〒591-8005 堺市北区新堀町2丁126-6-105 若狭ネット資料室 室長 長沢啓行(大阪府立大学名誉教授)

ngsw@oboe.ocn.ne.jp  TEL/FAX 072-269-4561 http://wakasa-net.sakura.ne.jp/www

若狭ネット第182号を発行しました

第182号(2020/7/11)(一括ダウンロード3.4Mb

巻頭言–大阪地検は大物OBに忖度せず、3,542名の告発状を受理し、刑事責任を問え!
「トリチウム汚染水の海洋放出」を許すな! 10万筆に達した反対署名の一層の拡大を!
(1)関電役員贈収賄への一次告発3,371名、追加告発2,172名!大阪地検は、元高検検事長に忖度せず、即刻強制捜査に入れ!
(2)トリチウム汚染水の海洋放出反対署名が10万名突破!全漁連が反対の特別決議、福島県19市町村も意見書決議!一層の署名拡大を!
(3)トリチウム汚染水の海洋放出はロンドン条約等国際法違反である 大阪府立大学名誉教授 長沢啓行

トリチウム汚染水の海洋放出に関する「書面による御意見の募集」に6つめの意見を出しました

トリチウム汚染水の海洋放出に関する「書面による御意見の募集」の期間が7月15日(水)まで延期(「6月15日まで」からさらに延期)されていますので、皆さんも、ふるって意見を出しましょう。

書面による御意見の募集について
(
募集期間)202046()2020715()(必着)
意見公募要領
意見様式(pdf形式
意見様式(word形式

電子政府の総合窓口(e-Gov)からでも意見を提出できます(こちら)

若狭ネット資料室長(長沢啓行)は下記の5つの意見を429日に提出しましたが、本日6つめの意見を提出しました。
皆さんも意見提出時の参考にしてください。
(提出意見のpdfはこちら:その1その2その3その4その5その6

 

「トリチウム汚染水の海洋放出反対」に関する若狭ネット号外を発行しました

号外(2020/5/27)(一括ダウンロード303kb

ロンドン条約・議定書および国連海洋法条約に違反する
高濃度トリチウム汚染水の500倍希釈・海洋放出を許すな!

東京電力と政府・経済産業省は、高濃度トリチウム汚染水119万m3( 2020年3月12日時点) 、860兆Bq(ベクレル)を海水で約500倍に薄めて海洋放出しようとしています。これが強行されれば、5.8億m3の希釈された汚染水が30年以上にわたって、毎日5万m3、1,000m3タンク50基分相当の海洋放出が毎日続くのです。このような暴挙は断じて許せません。私たちは、次の5つの観点からトリチウム汚染水の海洋放出に断固反対し、福島の運動と連帯してきました。
①これ以上の被ばく強要は許されない
②トリチウム汚染水の海洋放出は法令(告示)違反
③32万m3を固化埋設し、残りはタンク保管を
④東電と政府は事故責任と対策破綻の責任をとれ
⑤ロンドン条約と国連海洋法条約を厳守せよ
の5つです。
以下では、これらを概括しますので、福島から提起された「トリチウム汚染水の海洋放出反対」署名の拡大にご活用ください。また、経産省等は、2018年8月説明・公聴会で出された意見への2020年4月3日回答、脱原発福島県民会議やヒバク反対キャンペーンなど8団体からの質問への2020年5月13日回答、福島県いわき市議会からの再質問への2020年5月18日回答を出しており、これらに対する反論も付け加えています。その中でも、特に、ロンドン条約や国連海洋法条約に違反するとの私たちの指摘への回答の内容そのものが、条約の無理解と曲解による国際法違反であることを示したいと思います。

特別手記(書き手 久保 きよ子 & よしお)を発行しました

関西の反原発運動の一翼を 二人三脚で歩んだ40年
みなさんの温かいご支援で継続できました
-若狭ネットニュースの編集後記から見えてきた-
書き手 久保 きよ子 & よしお
一括ダウンロード2.3Mb

はじめに

2020年5月、新型コロナ肺炎の流行は、全世界を席巻し続け、全世界を恐怖におとしめて います。人類とウイルスとの総力戦を呈しており、大戦争となってきています。
そんな中、若狭ネットニュースは、30年間で181号を迎えました。コロナ禍の下では、ニ ュースを持ち込んでの小学習会もままならず、対話もはばかられる事態に遭遇しています。仲間 との会話もままならず、街頭での対面署名活動も困難な状況となっています。活動が制約されて いる今、この際、もう一度これまでの「編集後記」などで、どんな思いで、ニュースを発行して きたのか、見つめ直す作業をしてみようと考えました。
反原発の若狭ネットの取り組みと編集後記を見つめ直すことで、新たな発見があるのかどうか、 また、過去の姿から今を見つめ直す良い機会となるのではないかと思います。
20世紀末から21世紀初めは、原子力発電所についても、世界中が大きな転換点を迎え、原 発開発から手を引く動きが顕著になってきました。それは、1986年のチェルノブイリ原発後 に顕著となったのです。この事故により、ひとたび、原発事故が起こると、人類の命と健康の破 壊だけでなく、経済社会そのものが崩壊の道を歩むことになることを体験したからです。
ところが、日本は、この時代の流れに逆らうように世界一の「原発長寿国」をめざそうと、原 発推進を打ち出し続けたのです。新たなる時代へ、つまり脱原発へと転換できなかったために、 ここ20年の間、日本のエネルギー政策は、世界から大きく後退してしまいました。再生可能エ ネルギーが全世界で普及し、拡大し、原子力や石炭の衰退傾向が一層明らかになる中、よりはっ きりとそれが感じられるのです。
チェルノブイリ事故を教訓にできなかった日本では、2011年3月にフクシマ原発重大事故 を経験してしまいました。事故から10年めを迎えても、事故は収束せず、放射能汚染水が発生 し続け、燃料デブリの実際の状況さえつかめず、廃炉・汚染水対策は「絵にかいた餅」と化し、 収束の見通しすら立たない状況です。貯まり続けるトリチウム汚染水を「500倍以上に薄めて海 洋放出」すべきだとの暴挙をごり押ししようとしています。
私たち若狭ネットも、この機を利用して、フクシマ事故の前後10年の時代を振り返り、どのよ うに考え、どのような提言をしてきたのか、見直したいと思います。そして、「チェルノブイリ 事故を『経験』しながら、なぜ、フクシマ事故を未然に防げなかったのか」、「社会生活でも原 発推進では大きなひずみが現れていたにもかかわらず、大きな反原発運動へと発展させられなか ったのは、なぜなのか」、考える機会にしたいと思います。
私たちも70才を超え、老齢化を迎えています。だからこそ、どうすれば、より説得力のある ものを提示し、次の世代にバトンタッチできるのか、より明確な教訓を指し示すことができるの か、模索し続けたいと思います。私たちのたどってきた歩みの中に見える優れた点、間違ってい た点、もっと徹底すべきだった点などを包み隠さず記録として残し、反省し、あきらめずに粘り 強く闘い続けながら、次世代へ託すことが責任ある者の姿だと思うからです。
この時期にもう一度、真摯に見つめ直すことで、これまでの運動の 姿とともに、次の運動の姿が、より鮮明になればと期待するところで す。50才前後を中心にまとめてみました。読み進めていただき、忌憚のないご意見をいただければ幸いです。

あとがきにかえて

2020年新型コロナウイルスの出現で、活動が自粛されたおかげで、過去の運動から学 びなおすことができました。
フクシマ原発重大事故を起こす前から、私たちの反原発・反核燃サイクルの主張が正しか ったことを改めて確かめることができました。
これまで、私たちを支えていただいた方々 への感謝の一端となれば幸いです。
これからも、絶大なるご支援をいただけれ ば、うれしいです。
2020年5月25日 記

トリチウム汚染水の海洋放出に反対し、反対署名を広げると共に、「書面での意見公募」へ意見を出そう!

 東京電力と政府は、高濃度のトリチウム汚染水を海水で500倍に薄めて、毎日5万m3以上の規模で、30年以上にわたって海洋放出しようとしています。
 経済産業省の「廃炉・汚染水対策チーム」は、コロナ感染症が拡大しているにもかかわらず、形だけの「関係者の御意見を伺う場」で国民合意の形だけを作り、「トリチウム汚染水の海洋放出」方針を早期に決定しようとしています。
 「原発のない福島を!県民大集会」実行委員会は、福島県民の総意を結集してこれに反対し、4月15日から反対署名を始めています。この呼びかけに応じ、福島県内は元より、全国でも署名に取り組み、拡大し、全国の力を合わせて、トリチウム汚染水の海洋放出を阻止しましょう。
 この署名に加えて、国民の反対の声を直接意見として届けることも大切です。
 下記の通り、「書面による御意見の募集」が行われていますので、一人でも多くの方に提出して頂きたく、お願いします。

書面による御意見の募集について
(募集期間)2020年4月6日(月)~2020年5月15日(金)(必着:※郵送の場合、消印有効)
意見公募要領
意見様式(pdf形式
意見様式(word形式

電子政府の総合窓口(e-Gov)からでも意見を提出できます(こちら)

若狭ネット資料室長(長沢啓行)は下記の5つの意見を本日提出しました。
皆さんも意見提出時の参考にしてください。
(提出意見のpdfはこちら:その1その2その3その4その5
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「多核種除去設備等処理水の取扱い」に係る書面による意見提出(その1)

 トリチウム汚染水の海洋放出には反対です。トリチウム汚染水は、トリチウム以外の核種を現在の技術で可能な限り除去した上で、タンク貯蔵とグラウト固化埋設の併用等で陸上保管すべきです。
トリチウム汚染水の海洋放出方針が急に出てきたのは、「汚染水タンクが2022年6月にも上限に達するため今年夏までに方針を決めねばならない」という理屈によります。確かに、「2年後には137万トンのタンク」は「満杯になる」かもしれませんが、それと「海洋放出」とは関係ありません。「タンクをなぜ増設できないのか」、「米サバンナリバーで実績のあるグラウト固化埋設をなぜ採用できないのか」、「両者を併用して3割程度の高濃度汚染水をグラウト固化埋設し、空きタンク利用とタンク増設で低濃度汚染水をタンク貯蔵し続ける選択肢をなぜ検討しないのか」、これらについて納得できる説明はありません。「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会報告書」(2020.2.10)は東電の説明を鵜呑みにしただけで、これらを真剣に議論した形跡が全くありません。
東電は、福島第一原発敷地を町境で分割し、北(双葉町)側を「廃棄物処理・保管エリア」、南(大熊町)側を「汚染水タンク・使用済燃料・燃料デブリ保管エリア」と人為的に分け、南側は満杯だとし、北側の土捨場等の空地はタンク増設や固化埋設には使わないと恣意的に設定しています。「土捨場の汚染土は敷地外へ持ち出せない」とか「空地には他の用途が計画されている」とかは「できない理由」を無理に挙げたすぎません。この前提を取り去れば、「2022年6月の恣意的な期限」もなくなるのです。その意味では、タンク増設の余地はあり、真剣に考慮していないだけだと言えます。
タンク貯蔵のリスク低減のためには、高濃度トリチウム汚染水とそれ以外を分けて管理する必要があります。タンク貯留水のタンク群別東電公表データに基づけば、トリチウムの告示濃度比が20倍(120万Bq/L)以上のタンク貯留水は約32万m3で、そこに約520兆Bqが含まれます。2019年12月末時点のタンク貯留水118万m3、860兆Bqと比べると、この32万m3は、貯留水の27%にすぎず、そこにトリチウムの60%が含まれます。この高濃度タンク水をトリチウム以外の核種濃度を極限にまで減らした上で固化埋設すれば、数百年後にはほぼ無害になります。残りのタンク水86万トンに含まれるトリチウムは340兆Bq、平均40万Bq/Lであり、100年経てば、1.2兆Bqに下がり、その濃度も地下水バイパス運用目標の1,500Bq/L未満へ低下します。告示濃度限度以下の約2万m3は50年弱でこのレベルに達します。その頃には、セシウム(セシウム137の半減期は30.04年)による汚染も今より1桁程度低くなっているでしょう。廃炉・汚染水対策も大きく変わっている可能性もあり、その時点で残された汚染水をどうするかを決めても遅くはありません。トリチウム対策は12.33年の半減期による減衰を待つのを基本とすべきであり、海水で希釈して海洋投棄したり、加熱して水蒸気にして大気放出したりという安易な手段に頼るべきではありません。
固化埋設の実例は、米サバンナリバーにあり、低レベル放射性廃液を直径114m、高さ13m、容量約12万m3の巨大タンク(SDU6)で廃液7.1万m3をグラウト固化しています。サバンナリバーでの最近の実績では、1m3の廃液を固化すると1.76m3のグラウトができるとされています。通常は4m3程度になると言われていますので、極めて効率的なグラウトが開発されたのかも知れません。高濃度トリチウム汚染水32万m3をグラウト固化埋設するには、2~4倍程度と考えて、巨大タンク5~10基で十分です。設置面積は1基約1万m2ですので、5~10万m2で済みます。敷地北側の土捨場の一部を固化埋設場所とし、土を覆土に使えば、「敷地外への土壌移動」の必要もありません。小委員会試算では、80万m3の汚染水を「地下埋設」するのに28.5万m2の広さが必要で、地下埋設に約8年、監視に約76年、費用は2,431億円と見積もられていますが、半分以下の広さで済みますし、費用も1,000億円未満で済むでしょう。「トリチウム汚染水の海洋投棄ありき」で「審議」しているから、現実的な対策が見えないのです。

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「多核種除去設備等処理水の取扱い」に係る書面による意見提出(その2)

 トリチウム汚染水の海洋放出には反対です。東京電力と政府は、福島第一原発で炉心溶融事故を招いた責任をとらず、成否不明の凍土遮水壁を中心とする汚染水対策が破綻した責任をとらず、汚染水対策として福島県民に苦渋の決断を強いた地下水バイパスやサブドレン等で「希釈は行わない」とする運用基準を踏みにじり、「トリチウム汚染水(ALPS処理水)は海洋放出しない」との約束さえ反故にするものであり、絶対に許せません。トリチウム汚染水は海洋放出を断念し、トリチウム以外の核種を現在の技術で可能な限り除去した上で、タンク貯蔵とグラウト固化埋設の併用等で陸上保管すべきです。
そもそも、今日の危機を招いたのは東電と政府です。福島第一原発1~3号炉心溶融事故を引き起こした責任は東電と政府にあり、廃炉・汚染水対策の責任も東電と政府にあります。事故直後の汚染水対策として、「地下水の流れを抜本的に変える大規模な土木工事の場合は東電救済になるから資金援助できないが、成功するかどうかわからない凍土遮水壁工事なら研究開発予算を出せる」として、役に立たない凍土壁を作って汚染水を累々と貯め続けてきたのは東電と政府です。汚染水貯蔵タンクの容量は当初の80万m3(2013.5)から90万m3(2014.7)、120万m3(2016.8)、135万m3(2016.9)、136.5万m3(2019.2)となし崩し的に増やされてきました。「それが満杯になるから海洋放出以外にない」というのは自らの失策と無能を棚上げにして居直り、福島県民に一層の犠牲を強いて逃げるものです。まずは、福島事故を招いた責任を認め、汚染水対策破綻の責任を認め、放射能放出で福島県民にこれ以上犠牲を転嫁しないため、海洋放出回避策に全力で真剣に取り組むのが政府の最低限の責任です。原子力損害賠償紛争解決センターの和解案を拒否し、事故処理能力もなく、申し訳ないという反省のかけらもない東電には退場してもらう以外にはありません。
東電によるトリチウム汚染水海洋放出の検討素案(2020.3.24)は、「地下水バイパスおよびサブドレンの運用基準(1,500Bq/L)を参考に検討する」というもので、トリチウム汚染水119万m3、860兆Bqを、平均73万Bq/Lから1,500Bq/Lへ約500倍に薄めて海洋放出するというものです。ところが、「サブドレン及び地下水ドレンの運用方針」(2015.9、廃炉・汚染水対策チーム、東電福島第一廃炉推進カンパニー)には「サブドレン及び地下水ドレン以外の水は混合しない(希釈は行わない)」と明記してあり、これに違反します。また、野﨑福島県漁連会長によれば、「バイパス、サブドレンの放出に協力してきたという経緯があります。それは『ALPSを通した水は海洋投棄しない』という回答をもらったことによる決断でした。汚染された地下水を海に流さないために凍土壁や海側遮水壁をつくるための協力だったわけですから、わたしたちにとっては前向きでした。汚染水を流さないための陸上保管だったはずです。」(日々の新聞第409号, 2020.3.15) この約束さえ反故にすることになります。
2020年3月末で、地下水バイパスは316回、約54万m3、約0.076兆Bqで、サブドレンは1,227回、約88万m3、約0.58兆Bqですが、トリチウム汚染水海洋放出は、約500倍に薄めて約5.8億m3、860兆Bqと桁違いであり、地下水バイパスの1万倍以上、サブドレン等の1千倍以上になります。
2019年12月23日の東電シミュレーションでは、海洋放出しなければ2035年には183万m3に達し、トリチウム汚染水が発生しなくなる2048年頃まで100m3/日の割合で増え続けると試算しています。事故発生から10年以上経てば、溶融燃料の発熱量は2kW/tHMへ下がり、炉内構造物やコンクリートと混合した燃料デブリでは1kW/t程度と推定され、冷却水注入方式から自然空冷方式への移行を検討し、燃料デブリと接触して生じる汚染水や地下水の建屋流入量の抜本的抑制を図るべきです。東電シミュレーションはこれを全く考慮していません。「不都合な想定はモデル化しない」のは自分勝手です。苦渋の決断で協力してきた福島県民を裏切り、あらたな犠牲を強いるトリチウム汚染水の海洋放出は断念すべきです。

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「多核種除去設備等処理水の取扱い」に係る書面による意見提出(その3)

 トリチウム汚染水の海洋放出には反対です。低レベル放射性廃棄物を、陸上保管可能な対案があるにもかかわらず、意図的に海洋放出して海を汚染するのはロンドン条約違反です。海洋法に関する国際連合条約にも違反します。1993年3月30日に閣議決定した平成5年度原子力開発利用基本計画の「低レベル放射性廃棄物の海洋投棄については、関係国の懸念を無視して行わない」との方針に違反し、1993年11月2日の原子力委員会決定にある「低レベル放射性廃棄物の海洋投棄は、国際原子力機関の基準等に則って行えば、公衆の健康に特段の影響を与えるものではないと考える。しかし、・・・我が国としては、今後、低レベル放射性廃棄物の処分の方針として、海洋投棄を選択肢にしない」との方針にも違反します。トリチウム汚染水は海洋放出を断念し、トリチウム以外の核種を現在の技術で可能な限り除去した上で、タンク貯蔵とグラウト固化埋設の併用等で陸上保管すべきです。
日本政府は1980年11月14日に海洋投棄規制条約(ロンドン条約)に正式加盟し、締約国の特別な許可を得て低レベル放射性廃棄物を海洋処分しようと計画していましたが、1980年太平洋ベースン首脳会議で「投棄計画中止を要求する」共同声明が採択され、1983年第7回ロンドン条約締約国協議会議で「海洋投棄によるすべての影響が明らかにできるような研究が完了するまでは投棄を一時停止する」決議が採択され、1985年第9回同会議で、科学的検討のみならず、政治的、社会的等の検討を含む広範な調査、研究を終了するまで海洋処分を一時停止するとの決議がなされたのです。そのような中、ロシア政府が1993年4月に、かつて旧ソ連及びロシアにより日本海、オホーツク海等の極東海域及びバレンツ海等の北方海域に液体及び固体廃棄物を投棄した事実が公表され、また、同年10月のロシアによる日本海での液体放射性廃棄物の海洋投棄等が明らかになり、放射性廃棄物海洋投棄に対する国際的関心が一層高まった結果、日本政府も1993(平成5)年度原子力開発利用基本計画(1993.3.30閣議決定)で「低レベル放射性廃棄物の陸地処分については・・・処分技術の開発等を推進する。海洋処分については、関係国の懸念を無視して行わないとの考え方の下に、その実施については慎重に対処する。」とし、1993年11月2日には、「今後、低レベル放射性廃棄物の処分の方針として、海洋投棄は選択肢としない」との原子力委員会決定がなされたのです。
その10日後、同年11月12日の第16回ロンドン条約締約国協議会議では、「放射性廃棄物およびその他の放射性物質」の海洋投棄の原則禁止等の条約改定が行われました。その附属書一(投棄を検討することができる廃棄物その他の物)では、「国際原子力機関によって定義され、かつ、締約国によって採択される僅少レベル(すなわち、免除されるレベル)の濃度以上の放射能を有する」しゅんせつ物・下水汚泥・魚類残さ又は魚類の工業的加工作業から生ずる物質等8種類の物質は投棄対象として検討可能とされていますが、今回のように、「高度濃度放射性廃液を免除レベル未満へ海水で希釈すれば海洋投棄してもよい」という規定などありません。それを認めれば原則禁止が骨抜きになるからです。
低レベル放射性廃液の海洋投棄が原則禁止にされたロンドン条約の経緯や日本政府が海洋投棄を選択肢にしないと決定した経緯から判断すれば、高濃度トリチウム汚染水を大量の海水で希釈して海洋投棄するなど、到底できないはずです。海洋法に関する国際連合条約にも違反します。陸上での固化埋設とタンク貯蔵で乗り切れる選択肢があるのですから、それを真摯に検討し、海洋放出を断念すべきです。

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「多核種除去設備等処理水の取扱い」に係る書面による意見提出(その4)

 トリチウム汚染水の海洋放出には反対です。トリチウム汚染水の海洋放出は、福島事故の被災者であり、今なお放射能汚染に苦しめられている福島県民等に一層の被ばくを強要するものであり、「一般公衆の被ばく線量限度1mSv/年」を担保した法令(告示)の趣旨に違反します。福島事故前のバックグラウンド線量0.04μSv/時を基準として追加される被ばく線量を1mSv/年(屋外8時間・屋内16時間として0.19μSv/時相当)未満に抑制するため全力を尽くすことこそが、東京電力と政府の責任です。トリチウム汚染水は海洋放出を断念し、トリチウム以外の核種を現在の技術で可能な限り除去した上で、タンク貯蔵とグラウト固化埋設の併用等で陸上保管すべきです。
福島県民等は福島第一原発事故で原子力災害に見舞われた原子力被災者であり、事故直後には約8万人が強制的に避難させられ、約400万人が放射線管理区域(外部放射線量が1.3mSv/3ヶ月(0.6μSv/h)超または表面密度でα核種4kBq/m2超、その他40kBq/m2超)に相当する汚染地での生活を余儀なくされ、「一般公衆の被ばく線量限度1mSv/年」を超えて被ばくさせられました。その影響はまだ続いています。
旧避難指示区域、居住制限区域、避難指示解除準備区域では、汚染レベルが十分下がっていないのに、2014年4月の田村市を初めとして、「20mSv/年の基準(空間線量率で推定された年間積算線量が20mSv以下になること)」で避難指示が解除されてきました。避難指示解除の要件には、これ以外に、「電気、ガス、上下水道、主要交通網、通信など日常生活に必須なインフラや医療・介護・郵便などの生活関連サービスが概ね復旧すること、子どもの生活環境を中心とする除染作業が十分に進捗すること」および「県、市町村、住民との十分な協議」が挙げられていますが、除染しても1mSv/年未満には下がらず、インフラも整備できないため、住民の多くは、子どもを連れての帰還を拒否しています。ところが、住民の声は踏みにじられ、他の要件は無視され続けています。他方、避難指示解除は、避難支援打ち切りに直結しています。2017年3月末で「自主避難者」への住宅の無償提供が打ち切られ、2019年3月末には旧避難区域(南相馬市、浪江町、川俣町、葛尾村、飯舘村)からの避難者約2,200世帯への仮設・借り上げ住宅提供も打ち切られました。国民が憲法で保証されるべき基本的人権が踏みにじられているのです。
被災前の自然放射線量率0.04μSv/hを基準として、これを超える追加被ばく線量が1mSv/年(空間線量率0.19μSv/h相当)を超えないように、徹底した対策を講じることこそが、東京電力と政府の第一の義務であるはずです。「緊急時被ばく状況」(参考レベルとして20~100mSv/年を強要)や「現存被ばく状況」(1~20mSv/年の下方部分を参考レベルとし、長期的に1mSv/年を目指す)など現行法令にないものを根拠にして、「一般公衆の被ばく線量限度1mSv/年」を超える被ばくを強要することは許されません。事故時に放出された放射能で今でも福島県民等の多くが1mSv/年を超えて追加被ばくさせられて続けています。そのうえさらに「1mSv/年までの追加なら許される」と主張するのは「一般公衆の被ばく線量限度1mSv/年」を担保する法令(告示)の趣旨に反します。憲法違反です。
地下水バイパスやサブドレン・地下水ドレンの排水濃度の運用基準を準用してトリチウム汚染水の海洋放出を強行するのは、「希釈を行わない」との運用基準に違反し、「ALPS処理水は海洋放出しない」との約束に違反します。さらに、被災前の自然放射線量率0.04μSv/hを基準として追加される被ばく線量を規制し、「一般公衆の被ばく線量限度1mSv/年」を担保する法令(告示)の趣旨に違反します。

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「多核種除去設備等処理水の取扱い」に係る書面による意見提出(その5)

トリチウム汚染水の海洋放出には反対です。トリチウム汚染水にはトリチウム以外の核種が高濃度に含まれているため、これを極限にまで除去した上で、トリチウム汚染水の海洋放出を断念し、タンク貯蔵とグラウト固化埋設の併用等で陸上保管すべきです。
トリチウム汚染水(ALPS 処理水)には、表1のように、告示濃度限度が最大で2万倍にも達するトリチウム以外の核種も含まれており、これを除去するのが先決です。表1では、満水になったタンクに関する濃度分布を示していますが、トリチウム以外の62 核種の告示濃度比総和が1 未満であるタンク水は約13.7 万m3、15%にすぎません。85%のタンク水は告示濃度限度を超えています。トリチウム汚染水にはトリチウム以外の核種が大量に含まれるため、これを除去したうえで、対策を議論すべきです。

こうなった理由は、タンク汚染水のALPS 処理を急いだためです。事故直後はセシウム除去を主眼にし、濃縮塩水と呼ばれる高濃度汚染水をタンクに貯蔵していたため、タンク等からの放射線による敷地境界線量が2013 年度末で9.76mSv/年と高く、告示違反状態が続き、濃縮塩水のALPS 処理を急いだのです。
当時のALPS は処理性能が低く、吸着塔を頻繁に取り替える必要がありましたが、吸着塔交換に1 塔当り2~14 日かかるため、少しでも濃度が下がればよいとの判断で、交換頻度を下げて汚染水処理量を増やしたのです。その途上で、高濃度汚染水がクロスフローフィルターを通り抜ける事故も起き、告示濃度比が100~19,909 にもなる汚染水が6.5 万m3 も生じたのです。経産省等はこの事実に触れないまま、トリチウム汚染水(ALPS 処理水)を「トリチウム水」であるかのように振る舞っていました。「国民だましから始まったことを真摯に反省し、謝罪する」のをトリチウム汚染水対策の原点とすべきです。
追い込まれた東京電力は、ALPS または逆浸透膜装置(水以外のイオン・塩類を透過しない濾過膜)で二次処理を検討中だと弁明しましたが、更田原子力規制委員長は、二次処理は「告示濃度制限が守られる限り、絶対に必要なものという認識はない。」「科学的には、再浄化と(より多くの水と混ぜることで)希釈率を上げるのに大きな違いはない。」(10.5 記者会見、福島民友新聞2018.10.6)と発言し、トリチウム以外の核種も含めて、告示濃度限度まで薄めればよいとの認識を披露したのです。告示濃度限度の2万倍でも2 万倍に薄めればよいというのは暴論であり、告示を曲解しています。経産省はこれと一線を画すべきです。トリチウム以外の核種を技術的に可能な限り低く除去しない限り、議論できません。

コロナ感染拡大対策に関し、関西電力へ緊急申し入れを行いました

本日、4月28日午前11時半に関西電力原子力事業本部(福井県美浜町)へ、若狭ネットとして「コロナ感染拡大対策に関する関西電力への緊急申し入れ」を行いました。
この申し入れは、昨日27日に行う予定で関電原子力事業本部へ連絡したところ、「翌日にしてほしい」とのことで、1日遅れましたが、結果として、若狭ネットに加え、小浜の議員さんと他6団体(原子力発電所に反対する福井県民会議/ふるさとを守る高浜・おおいの会/原発設置反対小浜市民の会/安全なふる里を大切にする会/原発なしで暮らしたい宮津の会/避難計画を案ずる関西連絡会)の申し入れも同時に行うことになりました。
テレビ・マスコミ5社も取材に来ていました。

コロナ感染の緊急事態にもかかわらず、設置期限の迫る特別重大事故等対処施設(特重施設)工事や40年超運転のための安全対策工事に8,800人もの作業員を3密で作業させ続ける関西電力に対し、原発工事中止と原発運転中止を共に強く求めていきましょう!

2020年4月27日
関西電力株式会社取締役社長
森本孝様

コロナ感染拡大対策に関する関西電力への緊急申し入れ

若狭連帯行動ネットワーク

「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(特措法)に基づく緊急事態宣言が4月7日に出され、4月16日には対象地域が全国へ拡大され、福井県も対象に入っています。そのような中、貴社の原発では、安全対策工事や特別重大事故等対処施設(特重施設)工事のため、毎日8,800人(高浜約4.500人/日、美浜約2,800人/日、大飯約1,500人/日)が作業しており、通常の定検ピーク時の2,500人/日を超える密集状態が続いています。これらの作業員はコロナ感染の「特定警戒都道府県」からも多数来ていて、玄海原発では特重施設工事現場の大林組社員2名がコロナに感染し、2週間以上工事が中断しています。大林組は施工中断を前提に全国で4月20日から工事発注者と協議に入り、4月25日~5月10日の全社一斉休業を決めています。清水建設、熊谷組、鹿島などゼネコン各社も緊急事態宣言の全国拡大を機に一斉休業へ動いています。
 他方、高浜1・2号の安全対策工事では事故が相次いでいます。昨年9月19日には特別重大事故等対処施設(特重施設)建設用作業トンネル内で溶接作業中に協力会社作業員10名中9名がエンジン付き溶接機から発生した一酸化炭素で中毒になっています。3月13日には騒音防止の耳栓をしていたトンネル掘削作業監視員1名がバックで進入してきた資機材運搬用トラックに轢かれて死亡しました。これらを受けて、貴社は3月31日に高浜1・2号の安全対策工事竣工を3~4ヶ月延ばし、3・4号特重施設竣工も1ヶ月延ばすなど全体工程を見直しました。しかし、4月11日には、高浜1号ディーゼル発電建屋内で配管点検中の協力会社作業員が高さ1.4メートルの脚立から転落して骨盤の骨を折る重傷を負うなど事故が続いています。多少の竣工延期では作業員の安全確保は難しく、ましてやコロナ感染の危険を冒しての密集作業・密集生活では作業員の安全確保などできるはずがありません。協力会社社員は発熱があっても無理をしなくてはならず、コロナ感染の危険を冒さざるを得ないのです。何千人もの作業員が密集していれば、それだけで、無症状のままコロナ感染が拡大している可能性もあります。「人との接触を8割削減させる」努力が原発作業には適用されないという例外はあり得ません。地元商店街も、自粛・休業しようと思っても、何千もの作業員が街に出てくれば拒むことができず、感染の危険にさらされます。8,800人の作業員の中から一人でも感染者が確認されれば、その時点ではすでに遅く、感染がかなりの程度に広がっていると見なければなりません。
もちろん、貴社は特措法に基づく指定公共機関として、「電気及びガスの安定的な供給及び現場の安全の確保に万全を期す」ことを政府から要請されていますが、それは「電力の供給」であって、「原発の運転」ではありません。ましてや、安全対策工事や特重施設工事の継続が求められているのでもありません。コロナ感染のため経済活動が低下し、電力需要も低減しており、他方では、再エネが増え、石油価格も急低下している中、原発がなくても電力供給に支障が生じることなど全くあり得ません。
もし、コロナ感染が終息しない段階で稼働中の原発が重大事故を起こせば、コロナ感染のため避難計画は破綻せざるを得ないでしょう。そのリスクを冒して原発を運転し続けることは正当化できません。少なくともコロナ感染が終息するまでは原発以外の電源で電力供給義務を果たすべきです。
そこで、緊急に、以下の申し入れを行いますので、真摯にご検討ください。
1.高浜、美浜、大飯の安全対策工事と特重施設工事をコロナ感染が終息するまで停止してください。
2.高浜4号と大飯3・4号の運転を直ちに止め、コロナ感染が終息するまで停止してください。

(申し入れ文のpdfはこちら)