若狭ネット

福井と関西を結び脱原発をめざす市民ネットワーク

大阪連絡先 dpnmz005@ kawachi.zaq.ne.jp
若狭ネット資料室(室長 長沢啓行)
e-mail: ngsw@ oboe.ocn.ne.jp
TEL/FAX 072-269-4561
〒591-8005 大阪府堺市北区新堀町2丁126-6-105
ニュース

4月3日「チェルノブイリ30年・フクシマ5年・国際シンポジウム」への賛同と参加のお願い

今年は、チェルノブイリ原発事故から30年、フクシマ(福島第一)原発事故から5年の節目の年にあたります。原発再稼働に突っ走る安倍政権の動きを止めるべく、原発事故による放射能災害の実態を直視することの重要さが改めて増しています。
若狭ネットは、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西やヒバク反対キャンペーンなどとともに、実行委員会を作り、4月3日に下記の国際シンポジウムを開きます。
国際シンポジウムへの皆さんの賛同(団体・個人)と参加をよろしくお願いいたします。

チェルノブイリ30年・フクシマ5年・国際シンポジウム
チェルノブイリ・フクシマを繰り返すな
事故被害者の補償と人権の確立に向けて
フクシマを核時代の終わりの始まりに
国際シンポジウム開催へのご協力とご参加をお願いします。

チェルノブイリ30年・フクシマ5年・国際シンポジウム

(pdf版はこちらからダウンロードしてください)

 日時:2016年4月3日(日)午前10時~午後4時30分  
 場所:大阪府教育会館(たかつガーデン)8Fたかつ(東中)
 近鉄上本町駅から徒歩3分(TEL 06-6768-3911)

プログラム
I部 チェルノブイリとフクシマを結んで:午前10時~
<基調報告>
シンポジウム実行委員会 振津かつみ

<チェルノブイリからの報告>
ジャンナ・フィロメンコ さん 「移住者の会」代表(ペラルーシ)
パーベル・ブドビチェンコ さん「ラディミチ~チェルノブイリの子どもたちのために」元代表(ロシア)

 (昼食休憩:午後1時半再開)

<フクシマからの報告>
 馬場 有 さん 福島県浪江町町長
 秋葉 信夫 さん 「フクシマ原発労働者相談センター」事務局長(いわき)

<討論(シンポジウム形式)>

II部 チェルノブイリ・フクシマを繰り返させないために:午後3時半~
<特別報告>
広島、長崎、福井から

<討論>
<シンポジウム・アピール提案、討論、採択>

主催:「チェルノブイリ30年・フクシマ5年—国際シンポジウム実行委員会」
[実行委員会構成団体:チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西/ヒバク反対キャンペーン/ 若狭連帯行動ネットワーク/原発の危険性を考える宝塚の会/地球救出アクション97/科学技術問題研究会]

賛同カンパにご協力下さい!

賛同カンパ:個人一口1,000円、団体一口2,000円
(複数口大歓迎)
カンパ振込先:郵便振替:00910−2—32752
口座名:チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西
「チェルノブイリ30年・フクシマ5年・国際シンポ、賛同カンパ」と明記して下さい。

連絡先:「チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西」事務局
〒591-8021 堺市北区新金岡町1-3-15-102 猪又方
TEL:072-253-4644, E-mail:cherno-kansai@titan.ocn.ne.jp

<呼びかけ>
まもなくチェルノブイリ事故30年・フクシマ事故5年を迎えます。チェルノブイリとフクシマの原発重大事故は、国境を越える広範な地域を放射能で汚染し、何百万人もの市民と労働者に被ばくを強いています。事故の被害は長期にわたり、人々の命や健康のみならず、生活全体、さらに社会・経済・文化等にも及び、生命権・健康権、生活権をはじめ様々な「人権」が侵害されています。

フクシマ事故は世界に大きな衝撃を与えました。核と人類は共存できないことをあらためてしめしました。事故後、ドイツをはじめ多くの国々は脱原発と再生可能エネルギーの推進へと政策を転換しました。しかし、日本政府と電力・原子力産業は、脱原発に向かう世界の流れに逆行し、重大事故が起こることを前提に全国の原発再稼働を強行し、また原発輸出を進めようとしています。

原発重大事故を、これ以上繰り返させてはなりません!日本の原発再稼働をやめさせ、脱原発、再生可能エネルギーへの転換を政府に要求します。そして、東電はもちろんのこと、国策として原発を推進し重大事故を招いた国の責任を厳しく問い、事故被害者への補償と人権の回復・確立に向けて進まなければなりません。さらに、核のない未来を目指し行動を強めなければなりません。

このような思いを同じくする皆さんとともに、私たちは「チェルノブイリ30年、フクシマ5年」の節目に、「国際シンポジウム」を大阪で開催します。

「国際シンポジウム」では、チェルノブイリとフクシマの被災地からゲストを迎え、チェルノブイリ事故30年とフクシマ事故5年の被害者の体験に学び、「重大事故をこれ以上繰り返させてはならない」という思いをより多くの人々に伝えていきたいと思います。さらに、ふたつの事故とその被害の普遍性と、歴史的・社会的背景による特殊性を理解し被害者の補償と人権の確立・回復をめざす運動の前進に繋いでいきたいと考えます。また、ふたつの原発重大事故の被害者どうしが出会い、交流と連帯を深めるきっかけにしたいと思います。

「国際シンポジウム」では、原発重大事故をこれ以上繰り返させないために、脱原発と再生可能エネルギーへの転換、ヒバク反対、被害者支援等に具体的に取り組んでいる、各地の皆さんからの報告やアピールも受け、連帯を深め、運動を強め拡げていきたいと思います。そして「フクシマを核時代の終わりの始まりに」することをめざし、さらに進んでいきましょう。

私たちは「3.11」以降、「フクシマを核時代の終わりの始まりに」を合い言葉に、多くの皆さんとともに、脱原発・再稼働反対、住民や労働者への被ばくの強要反対、フクシマ原発事故被害者との連帯・支援に、全力で取り組んできました。同時に、「脱原発から非核未来を探る」「核被害者の人権の確立・回復をめざす」、「フクシマとヒロシマ・ナガサキを結び、非核・放射線教育、平和・人権教育を進める」等々をテーマに、シンポジウムや学習会にも取り組んできました。これまでの運動の経験とネットワークをこれからの運動に活かすためです。ヒロシマ・ナガサキ70年から、チェルノブイリ30年・フクシマ5年に当り、このような活動と議論をさらに深め、これからの運動の力にしていきたいと思います。

「国際シンポジウム」開催に、ぜひご協力、ご参加下さい!

ジャンナ・フィロメンコさんのプロフィール

  image4 「移住者の会」代表(ペラルーシ)
チェルノブイリ原発から北西40kmのベラルーシ共和国ゴメリ州ナローブリア出身。事故当時、夫と幼い二人の息子と暮らしていた。ナローブリアは高汚染地(福島の「避難区域」と同レベル)だったが、ソ連政府は一般市民も「生涯350ミリシーベルトまでは許容される」(注)との施策をとり、人々は住み続けた。住民運動の結果、「チェルノブイリ法」(1991年)が制定され、同地区は「移住対象地域」となり、首都ミンスクの集合住宅の権利を得て家族で移住。慣れない都会で「ゼロからのスタート」だった。同じような境遇の人々が次第に連絡を取り合い「移住者の会」を結成。
「事故15周年」(2001年)に「救援関西」の招聘で来日。欧州各地でも体験を語り「核はコントロールできず、使ってはならない。誤りを繰り返さないで」と訴えている。

[注:国際放射線防護委員会(ICRP)の当時の一般公衆の被ばく限度が年5ミリシーベルトで、その70年分で「生涯350ミリシーベルト」とされた。]

パーベル・ブドビチェンコ さんのプロフィール

image1「ラディミチ~チェルノブイリの子どもたちのために」元代表(ロシア)
チェルノブイリ原発から北東170km離れたロシア共和国の高汚染地、ブリヤンスク州ノボツィプコフ市在住。人口約4万人の同市は、「チェルノブイリ法」(1991年)制定後も、財政的理由などから移住政策が進まず、住民の多くは汚染地に住み続ける選択を強いられた。1987年、当時、教鞭を取っていた学校の生徒たちと共に、高齢者や障がい者の支援ボランティア活動を始めた。それが基になり、NGO「ラディミチ—チェルノブイリの子どもたちのために」を創設。「ラディミチ」は、子どもたちの保養キャンプ、甲状腺検診、住民に放射線リスクを知らせる「チェルノブイリ情報センター」など、10以上のプログラムに取り組んでいる。
「事故25周年」(2011年4月)に原水禁の招聘で来日。「人類は、チェルノブィリとフクシマの共通の経験から出発し、新しい目で世界を見直さなければならない」と、各地で訴えた。

馬場 有 さんのプロフィール

image2福島県浪江町町長
浪江町議、町議会議長、福島県議を経て、2007年12月より現職。「協働のまちづくり」の理念の下、町民が主体的に参画するまちづくりを本格的にスタートさせようとした矢先に東日本大震災が発生。直後から対策本部を設置し、その後町役場津島支所、二本松市役所東和支所、福島県男女共生センターと、次々と事務所の移動を強いられる中、一貫して事務スペースで職員と寝食をともにし、捜索や避難の対応にあたる。現在もなお続く避難指示の中、「どこに住んでいても浪江町民」を実現すべく、避難生活支援やふるさとの再生のため陣頭指揮にあたっている。また「未曾有の原発災害の被害者となった浪江だから訴えることができる『原発エネルギーに依存しない社会』を体現する町づくりを先陣切って世界に示したい」とメッセージを発信。
浪江町は現在、二本松市内の仮設庁舎に大部分の機能を移転中だが、2013年4月より浪江町本庁舎での一部業務を再開。町内の道路・上下水道などインフラ復旧、また復興公営住宅や医療施設、教育機関などの整備を進め、帰町に備えている。また、町民の健康診断と甲状腺検診、内部被ばく検査を毎年実施し、「放射線健康管理手帳」を全町民に交付(2012年)。「東京電力福島第一原発事故の賠償・責任の当事者である国に対し、原発事故被災者の医療費の恒久的な無料化」を要求。

秋葉 信夫 さんのプロフィール

image3「フクシマ原発労働者相談センター」事務局長(いわき)
フクシマ原発事故は、未だ収束していない。30~40年とも言われる廃炉作業に携わる労働者は、80万人を動員したチェルノブイリ事故を遥かに凌ぐと言われ、将来的な労働力不足、過酷な労働条件と被ばく労働による健康被害が懸念されている。雇用形態、労働条件、被ばくと健康管理など、様々な問題が生じているが、収束・廃炉・除染作業に従事する労働者は、解雇や不利益を恐れてどこにも相談できずに悶々としている。そのような労働者に寄り添う「かけこみ寺」をつくろうと、2015年2月に、いわき市で「フクシマ原発事故労働者相談センター」が設立された。センターでは、相談事業、企業、行政・国への要請や交渉などに取り組むと同時に、福島第二第原発廃炉を求め、脱原発を目指している。
秋葉さんは、元自治労いわき市職労委員長。センターの事務局長を勤め、労働者からの相談に対応している。

若狭ネットニュース第158号を発行しました

第158号(2015/12/24)(一括ダウンロード2.45Mb
巻頭言-高浜3・4号運転差止命令撤回に厳重抗議!原発再稼働阻止と使用済核燃料貯蔵施設立地反対を結合して闘おう!もんじゅ廃炉!原子力政府予算大幅削減!
(1)原子力政府予算を大幅削減せよ!電源三法廃止!「もんじゅ」廃炉!日本原子力研究開発機構を解体せよ!
(2)高レベル放射性廃棄物の地層処分反対!「総量管理」を!原発再稼働をやめ、これ以上使用済核燃料を生み出すな!
(3)関西電力の主張を丸呑みし、誤認した「高浜3・4号運転差止命令撤回」決定 大阪府立大学名誉教授長沢啓行

関西電力本社へ「10・26反原子力デーに際しての申し入れ」を提出

10・26反原子力デーの一環として、私たちは10月23日(金)午後4時から関西電力本社へ申し入れ行動を行いました。市民側参加者は14名で、関西電力広報部は1名が出てきましたが、一方的に「5名で5分以内」との条件を付け、警備員3名が少し離れて警戒する中、ロビーで私たちの申し入れを受け取りました。前回までは、「広報部ではなく庶務から1名が出てきて対応する」という異常事態でしたが、今回は広報部が出てこざるを得なくなったのでしょう。しかし、「5名で5分以内」の一方的な条件を押しつけて、部屋を取らずにロビーで申し入れを受け取り、回答もしないという、公益事業を担う電力会社とは到底思えない異常な対応でした。申し入れは、若狭ネットに続き、チェルノブイリ救援関西とヒバク反対キャンペーンが行いました。

2015年10月23日
関西電力株式会社 取締役社長 八木 誠様

10・26反原子力デーに際しての申し入れ(pdfはこちら

若狭連帯行動ネットワーク

貴社は、電気料金値上げに関する私たちとの話し合いを8ヶ月以上拒み続けてきました。 しかし、貴社の「関西電力グループレポート2015」(CSR行動原則「企業の社会的責任」)を見れば、貴社の社会的責任を高々に謳っています。言っていることと、実際にやっていることが明らかに矛盾しています。
私たちは2015年2月12日に賛同39団体500個人で「関西電力の電気料金値上げと原発再稼働に関する公開質問状」を提出しました。賛同は52団体、5,265個人に増えています。社会的責任を謳うのであるならば、面談も回答も8か月以上拒否したままであることを謝罪し、公開質問状に改めて真摯に回答すべきです。
フクシマ事故以降、貴社の経営は、原発依存の経営を頑強に続けたため、4年連続赤字になりました。私たちが警鐘してきた通りになったのです。にもかかわらず、赤字のツケを電力消費者に転嫁するのは間違いです。原発に頼った経営失敗であり貴職はまずその責任をとるべきではないでしょうか。
「原発をやめれば、年間3600億円の原発の維持管理費が浮いて電気料金を下げられる」という私たちの主張の正しさは、美浜1・2号と敦賀1号の廃炉でコストを実際に削減できたという事実で証明されました。「廃炉に伴うコスト削減額を消費者に還元する」ことを条件として電気料金値上げが承認され、貴社も「精査し消費者に還元する」と約束していたにもかかわらず、いまだにコスト削減額を明らかにせず、還元もしていません。共同通信によれば、2014年度には「電力9社が、稼働している原発がなかったのに、原発の維持、管理のため計約1兆4千億円を使っていた」と報じられています。金食い虫の原発を廃炉にすれば、それに応じて電気料金を値下げできるのです。
原発再稼働は「2030年に総発電電力量の22~20%の原発比率達成」を掲げる政府のエネルギー計画の一環ですが、これは、老朽原発の40年超運転を増やし、オンライン検査で定期検査期間を短縮させ、原発の長期連続運転で平均設備利用率を90%以上へ引き上げる政策と一体のものです。経済産業省は、米国でスリーマイル島原発炉心溶融事故の後、米原子力規制委員会NRCが規制緩和をして原発の平均設備利用率を90%以上へ引き上げを日本でも導入しようと目論んでいます。フクシマ事故を顧みない、このような無謀な原発再稼働と強硬運転は断じて容認できません。
原発を再稼働すれば、使用済核燃料が生み出されます。使用済核燃料中間貯蔵施設は、問題を先送りするだけであり、根本解決にはなりません。これ以上の使用済核燃料を生み出さないことが最も重要であり、使用済核燃料中間貯蔵施設計画そのものも、撤回すべきです。
昨年5月21日の大飯3・4号運転差止判決に続き、福井地裁は今年4月14日、高浜3・4号の運転差止仮処分命令を出しました。貴社は異議申立をしていますが、企業の社会的責任を謳うのであれば、仮処分命令に真摯に従い、原発再稼働を断念すべきです。
貴社は、省エネと再生可能エネルギー中心の未来型電力会社に転換すべきです。原発の再稼働を断念し、全原発を即刻廃炉にし、来年度からの電力小売り全面自由化に備えるべきです。発送電分離を早め、送配電網の全国的統合・公的管理化に協力し送配電網整備・再生可能エネルギーの優先拡大を図るべきです。
10・26反原子力デーに際して、以下の項目を改めて申入れます。貴社が本来あるべき社会的責任を果たすため、真摯に回答されるよう強く求めます。
1.美浜1・2号だけでなく、2016年7月に40年超運転と見なされる高浜1・2号、2016年12月に40年運転の美浜3号、35年超運転で老朽化した大飯1・2号を即刻廃炉にしてください。
2.福井地裁による昨年5月の大飯3・4号運転差止判決および今年4月の高浜3・4号の運転差止仮処分命令に従い、高浜3・4号炉と大飯3・4号炉の再稼働を断念し、再稼働申請を撤回して下さい。
3.美浜1・2号と敦賀1号の廃炉に伴うコスト削減額を明らかにし、電気料金を値下げして下さい。
4.使用済核燃料中間貯蔵施設の立地計画を撤回して下さい。プルサーマルなど再処理・プルトニウム利用計画から全面的に撤退して下さい。
5.発送電分離と送電網の全国的統合・公的管理化に協力し、省エネと再生可能エネルギー中心の未来型電力会社に転換して下さい。
以上

若狭ネットニュース第157号を発行しました

第157号(2015/10/16)一括ダウンロード14.5Mb
巻頭言-憲法違反の原発再稼働反対!戦争法撤回!これからが正念場、徹底して闘おう
(1)東電救済のための国費投入を許すな!東電を解体し、抜本的な事故対策を!原発再稼働と使用済核燃料貯蔵能力拡大のための自治体買収拡充を許すな!もんじゅ廃炉!RETF解体!プルトニウム利用政策維持予算を全面削減せよ!
(2)高浜・大飯仮処分審尋で裁判官に地震動過小評価を説得して 大阪府立大学名誉教授 長沢啓行

労働者の緊急時被ばく限度引き上げ反対!7月30日放射線審議会答申に対する緊急声明

2015年7月31日

7月30日放射線審議会答申に対する緊急声明(pdfはこちら)

双葉地方原発反対同盟、フクシマ原発労働者相談センター、原水爆禁止日本国民会議、全国被爆2世団体連絡協議会、原子力資料情報室、川内原発建設反対連絡協議会、島根原発増設反対運動、原発いらん!山口ネットワーク、原発さよなら四国ネットワーク、原発はごめんだヒロシマ市民の会、反原子力茨城共同行動、若狭連帯行動ネットワーク、I女性会議、原子力行政を問い直す宗教者の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、ヒバク反対キャンペーン

政府は、「国策として原発を推進し福島原発事故を招いた責任」を省みず、重大事故が起きることを前提に原発の再稼動を進めようとしています。川内原発等の再稼働準備の一環として、原子力規制委員会・原子力規制庁、厚生労働省、人事院は、原発重大事故発生時の緊急時作業被ばく限度を現行の100ミリシーベルト(mSv)から250mSvに引き上げる法令改定作業を進めています。
諮問を受けた放射線審議会は7月30日、「この法令改定は妥当である」との答申を行いました。これは、原発再稼働を優先させ、憲法に保障された労働者の人権、労働者保護の法体系、「放射線障害防止の技術的基準に関する法律」第3条のすべてを無視・蹂躙するものであり、絶対に認めることができません。
被爆70周年の今日、被爆者と被爆地の体験を共有し、将来世代に継承することの重要性が国際的にも認められつつあります。答申は広島・長崎の「被爆の実相」を無視するものです。政府の機関である放射線審議会が被爆の実相を無視することは、被ばくを繰り返してはならないとの被爆者の思いを踏みにじるだけではなく、この国際的な流れにも反し、決して許されない事です。
私たちは、以下の5点から今回の答申を認めることはできません。放射線審議会はただちに答申を撤回すべきです。
私たちは、現在取り組んでいる「緊急時作業被ばく限度引き上げ中止と原発再稼働中止を求める全国署名」をさらに全国に拡大し、法令改定作業の中止を求めます。第2次集約までの署名4322筆は6月30日に提出しました。次の署名集約は、第3次8月末です。原発再稼働中止の闘いや「戦争法案」廃案の闘いと結合して署名運動を広げ、法令改定中止の声を政府に突きつけましょう。署名運動はその後も継続します(第4次10月末)。全国の皆様、ご協力よろしくお願いします。

署名呼びかけ(pdfはこちら) 署名用紙(pdfはこちら)

1.被爆の実相を無視し、「放射線障害防止の技術的基準に関する法律」第3条に反する
250mSvは広島原爆の爆心から1.7キロ付近での遮へい無し直接被ばくに相当します。このような大量の放射線被ばくは、急性障害を引き起こし、がん・白血病や晩発性の様々な疾病のリスクを増大させます。1.7㌔付近の被爆者には下痢、出血斑、脱毛等の急性症状が生じました。この被爆の実相から、250mSvへの引き上げが、緊急時作業従事者に障害を及ぼすおそれがあることは明らかです。
ところが、250mSvの被ばくが及ぼす健康影響について、厚生労働省は「ヒトに関する急性被ばくによる健康影響に関する文献からは、リンパ球数減少のしきい値は250 ミリグレイ程度から500~600 ミリグレイ程度の間にあると考えられるが、この間のデータ数が少ないため、しきい値を明確に決めることは難しい。このため、緊急作業中のリンパ球数の減少による免疫機能の低下を確実に予防するという観点から、東電福島第一原発事故時に、しきい値を確実に下回る250 mSvを緊急被ばく限度として採用したことは、保守的ではあるが妥当といえる。」(注1)としており、放射線審議会はこれを「妥当」と判断しました。
これは被爆の実相に反するばかりか、放射線被ばく事故等から得られている事実にも反します。厚生労働省自身も認めているとおり、精子数減少は100~150mSvで生じます。「イリジウム被ばく事故(1971年、千葉市)」では、250mSv以下でも、骨髄低形成、白血球、リンパ球の減少等の急性症状が造血系に生じたことが、被ばく者を収容し診察・治療・調査にあたった放射線医学総合研究所スタッフから学術論文として4回にわたって報告されています。(注2)こうした報告を全く無視して250mSvが「保守的」と断定することは不当です
放射線審議会が立脚する「放射線障害防止の技術的基準に関する法律」第3条では、「放射線障害の防止に関する技術的基準を策定するに当たっては、放射線を発生する物を取り扱う従業者及び一般国民の受ける放射線の線量をこれらの者に障害を及ぼすおそれのない線量以下とすることをもって、その基本方針としなければならない」とされています。
250mSvへの引き上げを「妥当」としたことは「放射線障害防止の技術的基準に関する法律」第3条を無視するもので不当です。

2.緊急時作業被ばく限度の250mSvへの引き上げは、労働者の人権を蹂躙し、労働者保護の労働安全衛生法の法体系を破壊し、憲法違反である。
原子力規制委員会・原子力規制庁は、「重大事故による破滅的状況の回避のために、労働者の健康リスクと周辺住民の生命・財産を守る利益を比較衡量する」と、被ばく限度の250mSvへの引き上げは正当化できるとしています。厚生労働省は当初、緊急時被ばく限度の250mSvへの引き上げは「労働者保護の観点からは逆行する」と認めていましたが、最終的には原子力規制委員会と同じ立場に立っています。放射線審議会もこれを妥当と判断しました。これは労働者の人権を蹂躙するものです。
急性・晩発性の放射線障害をもたらす「特例緊急被ばく限度」250mSvを導入することは労働者保護、労働災害防止の労働安全衛生法の法体系を破壊するもので、憲法(13条、25条、27条)、なかでも生命権について「国政の上で、最大の尊重」を要請した13条違反であり、決して許されません。

3.重大事故を前提とする原発の再稼働をしなければ、緊急時被ばく限度の引き上げの必要はない
国民の多数が反対しているにもかかわらず、政府は重大事故を前提とした原発の再稼働を行おうとしています。
平成26年7月30日の原子力規制委員会で、田中委員長は、緊急時作業の被ばく限度の引き上げ等の検討の提案に際し、「それ(現行の緊急時被ばく限度100mSv)を超えるような事故が起こる可能性を完全に否定することはできないというのが私どもの考え方です。」と述べています。
重大事故を前提とする原発の再稼働のために労働者の命と健康が犠牲に供されようとしているのです。
原発を再稼働しなければ、重大事故による破滅的な状況の回避の為に、労働者が250mSvも被ばくすることなど必要ありません。

4.原発優先で労働者の人権とすべての法体系を無視する「運用」=「法令上は限度とするが、参考レベルという考えも考慮した運用」は、250mSvをさらに超える被ばくを「容認」し、許されない
原子力規制委員会は250mSvについて、「法令上は限度とするが、参考レベルという考えも考慮して運用する」と表明し、審議会はこれを了承しました。「250mSvをさらに超えた被ばくをも容認する運用」など絶対に認められません。

5.生涯1000mSvの大量被ばく容認ではなく、被ばく労働以外の職場・生活を保障すべき
原子力規制委員会と厚生労働省から、緊急時被ばく限度引き上げに関連して、緊急時作業で大量被ばくした労働者に、さらに通常被ばくとの合計で生涯線量として1000mSvまで被ばくさせても良いとするなどの「事後の放射線管理」が示され、審議会は了承しました。
これは来年4月から、福島第一原発の緊急作業従事者に適用されます。緊急時作業で200mSvを超えた労働者さえも被ばく労働に従事させられます。また、福島原発事故の緊急作業で100mSvを超えた労働者は5年間「通常」の放射線業務従事を認められませんでした。しかし今後はそれも撤回され、重大事故発生による緊急時作業従事者には、続いて年5mSvの「通常」被ばくが容認されます。このように、「事後の放射線管理」は「5年で100mSv」の労働者の通常被ばく限度を事実上取り払うものです。
累積1000mSvもの高線量の被ばくは、ガン・白血病に限った場合でもそのリスクは、一般の人の2倍以上にも激増します。心臓・循環器系やその他の疾患による死亡のリスクも非常に高くなります。このように放射線被ばくの犠牲を強要する生涯1000mSvを基準とした「事後の放射線管理」は一切認めることができません。
このような、緊急時作業で大量被ばくした労働者へのさらなる大量被ばくの強要は、緊急作業従事者の基本的人権(憲法13条、25条)を侵害し、許せません。政府は、福島原発緊急時作業従事者に被ばく労働を強要するのではなく、被ばく労働以外の職場・生活の保障をすべきです。

(注1)厚生労働大臣「電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令案及び関係告示に係る放射線障害の防止に関する技術的基準の改正等について(諮問)」,「技術的基準の説明」p.1(2015.7.17)および「東電福島第一原発作業員の長期健康管理等に関する検討会報告書」p.21(2015.5.1)
(注2)厚生労働省の報告書には引用されていません。厚生労働省は、引用しなかった理由を、私たちとの交渉(2015年6月9日)で「点線源からの被ばくで線量推定などの信頼性が低い」と説明しています。

以上

【参考1】7月23日の放射線審議会の配布資料等
【参考2】7月30日の放射線審議会の配布資料等
【参考3】原子力規制委員会記者会見録:平成27年7月29日

連絡先・署名集約先:
原子力資料情報室 東京都新宿区住吉町8-5曙橋コーポ2階B Tel:03-3357-3800
ヒバク反対キャンペーン 兵庫県姫路市安富町皆河1074 建部暹 Tel&Fax:0790-66-3084

若狭ネットニュース第156号を発行しました

第156号(2015/7/27)(一括ダウンロード1.6Mb
巻頭言-原発重大事故の発生を前提とした
川内1・2号の8月再稼働を許すな!緊急時被ばく限度の引き上げ反対!
安倍政権による「憲法違反の戦争法案・原発再稼働」を阻止しよう!
(1)「戦争法案」反対集会に参加し、「緊急時被ばく限度引き上げ・再稼働反対全国署名」をとりました 原発重大事故を前提とした再稼働は許せません!
若狭ネット久保きよ子
(2)40年超運転・老朽原発を増やし、設備利用率90%で酷使する「長期エネルギー需給見通し」=ベストミックスを撤回せよ!
太陽光と風力の「接続可能量」を撤回し、再生エネを40%に!
発送電分離を早め、送電網の公的管理を!

緊急時作業被ばく限度引き上げ中止と原発再稼働中止を求める全国署名
署名呼びかけpdfはこちら署名用紙pdfはこちら)

政府は、「国策として原発を推進し福島原発事故を招いた責任」を省みず、重大事故が起きることを
前提に原発の再稼動を進めようとしています。
川内原発1・2 号機の審査書(案)作成後の昨年7月30 日、田中俊一原子力規制委員長は突然、「現
在、緊急作業時の被ばく線量限度を100 ミリシーベルトとして規制を行っているが、それを超えるよ
うな事故が起こる可能性を完全に否定することはできない」と被ばく限度引き上げをはじめ緊急時作業
に関する「見直し・検討」を提案しました。厚生労働省は5 月15 日から、原子力規制委員会は5 月21
日から、「緊急時に被ばく限度を250 ミリシーベルトに引き上げるための法令改定案」のパブコメを開
始し、原発再稼働を見込んで事態は急展開しています。
原発重大事故が起きれば、通常作業とはけた違いの被ばくが強要されます。緊急時作業被ばく限度の
250 ミリシーベルトへの引き上げは労働者の安全と健康を一層危険にさらします。原発労働者は「重大
事故を前提とする原発再稼働・原発維持の犠牲」に供されようとしています。これは労働者の人権蹂躙
であり、労働安全衛生法の労働者保護の法体系を破壊するものです。原発を再稼働しなければ、「重大
事故による破滅的な状況の回避のために高線量被ばくが必要になる」ことなどありません。
厚生労働省の検討会報告書では、福島原発事故の緊急作業で大量被ばくしその後通常被ばく業務から
離れている労働者について、2016 年4 月から通常被ばく業務従事を認め、合計して生涯1000 ミリシー
ベルトを超えないよう被ばく管理するとしています。大量被ばくした労働者に更なる被ばくを強要する
のではなく、被ばく労働以外の職場・生活を保障すべきです。
現在、福島原発では毎日7000 人もの労働者が動員され、被ばくが増え続けています。作業の安全確
保、被ばく低減、健康管理・生活保障、雇用条件の監視・是正指導を行うべきです。
申し入れ事項
1.緊急時被ばく限度を引き上げないこと。関連する法令改定作業を中止すること。
2.緊急時被ばくと通常被ばくによる、生涯1000 ミリシーベルト容認を撤回すること。福島原発事故
の緊急時作業で大量被ばくした労働者に被ばく労働以外の職場・生活を保障すること。
3.福島原発被ばく労働者の作業の安全確保、被ばく低減、健康管理・生活保障、雇用条件監視・是正
指導を行うこと。
4.原発を再稼働しないこと。再稼働認可を撤回し、適合性審査を中止すること。

署名呼び掛け:双葉地方原発反対同盟、フクシマ原発労働者相談センター、原水爆禁止日本国民会議、全国被爆2世団体連絡協議会、原子力資料情報室、川内原発建設反対連絡協議会、島根原発増設反対運動、原発いらん!山口ネットワーク、原発さよなら四国ネットワーク、原発はごめんだヒロシマ市民の会、反原子力茨城共同行動、若狭連帯行動ネットワーク、I 女性会議、原子力行政を問い直す宗教者の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、ヒバク反対キャンペーン

<巻頭言>
原発重大事故の発生を前提とした
川内1・2号の8月再稼働を許すな!緊急時被ばく限度の引き上げ反対!
安倍政権による「憲法違反の戦争法案・原発再稼働」を阻止しよう!

安倍政権は、集団的自衛権行使のための戦争法案を衆議院で7月16日強行採決し、原発重大事故の発生を前提とした川内1・2号の再稼働を8月10日にも強行しようとしています。いずれも憲法違反の暴挙であり、安倍政権の暴走を許してはなりません。
戦争法案は、集団的自衛権による戦争行為を行うための法案であり、日本国憲法にある「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」との前文に違反し、第九条の「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」との条項に違反します。今年は、敗戦70年、被爆70年です。日本軍国主義による侵略戦争と植民地支配を深く反省し、原爆投下を招いた国家の責任を認め、二度と再び同じ過ちを繰り返さないための措置を講じるべきときです。にもかかわらず、新たな戦争への道を掃き清めるための戦争法案を強行採決することは断じて許せません。参議院審議を大衆行動で包囲し、廃案に追い込みましょう。
原発再稼働は、重大事故の発生を前提としており、人格権を万が一にも侵害する可能性があり、憲法違反です。福井地裁による2014年5月の大飯3・4号運転差止判決や2015年4月の高浜3・4号運転差止仮処分判決では、「人格権は憲法上の権利であり、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。」「これを侵害する具体的危険が万が一でもあれば原発の運転の差し止めが認められる」と明確に断言しています。国内の原発はすべて止まったままであり、節電が進み電力不足が生じることはなく、7月の世論調査でも国民の過半数が再稼働に反対しています。にもかかわらず、重大事故の発生を前提として原発を再稼働させることは、万が一にも人格権を侵害する可能性のある憲法違反行為です。原子力規制委員会は川内1・2号、高浜3・4号、伊方3号の再稼働を認可していますが、いつどこで起きても不思議でないM6.5の直下地震による1,340ガルの地震動には耐えられないことを認めながら、それを基準地震動に取り入れようとはしていません。憲法違反の川内1・2号再稼働を即刻中止すべきです。
安倍政権による暴走を許さず、憲法違反の戦争法案と原発再稼働を共に葬り去りましょう。これらはいずれも根は一つです。戦争法案反対の街頭行動は若者による新たなうねりをもたらしています。再稼働反対の闘いをこのうねりと結びつけ、安倍政権の暴挙を阻止する闘いとして拡大させましょう。

侵略戦争・原爆災害とフクシマ事故を反省せよ

広島・長崎の原爆被害者は、自らの辛い体験に基づいて、核の非人道性を世界に訴え、「過去の補償・現在の保障・未来の保証」を求め、原爆医療法(1957年)による被爆者健康手帳の交付を皮切りに被爆者の健康・生活保障を一歩一歩勝ち取って来ました。村山政権下で「被爆者援護法」(1995年)を勝ち取りましたが、被爆70年の今なお放射線障害をはじめ肉体的・精神的苦痛に苛まれて続けています。原爆症認定の壁は依然として高く、健康手帳保持者18.4万人(2015.3)中、認定・手当受給者は5%に満たないのが現状です。侵略戦争が招いた原爆投下であるにもかかわらず、日本政府は今なお国家補償に基づく被爆者援護をしていません。侵略戦争の責任と原爆災害を招いた責任を反省し、すべての被爆者を全面救済し、被爆国として核の非人道性を世界に訴え、核廃絶に向かって核軍縮を求める諸国の先頭に立つべきです。被爆70年の今が、その最後のチャンスかもしれません。集団的自衛権行使に踏み込むなどもってのほかであり、戦争法案を直ちに廃案にし、平和憲法に立ち返るべきです。
フクシマ事故被災者は、極度に放射能汚染された古里から避難を余儀なくされ、4年後の今なお11万人強の福島県民が県内外で仮の生活を強いられています。震災関連死は1,942人(2015.7)に上り、直接死1,604人を超え増え続けています。原爆症認定基準では「爆心から約3.5km以内(約1mSv以上の被ばく)でガン・白血病・副甲状腺機能亢進症が認定」されることになっていますが、フクシマでは「20mSv/年以下なら帰還すべき」という方針が「福島復興」の名の下に進められようとしています。政府の原子力災害対策本部は6月12日、帰還困難区域(50mSv/年以上)を除き、居住制限区域(20~50mSv/年)を含めて2017年3月までに避難指示を解除し、「帰還」と「支援打切」をセットで強行しようとしています。一層のヒバクを強要する「帰還」政策は撤回し、自主避難者を含めて被災者支援を拡充すべきです。
福島県による「県民健康調査」で子どもの甲状腺検査が進められ、すでに15人がガンまたは疑い有(うち5人が手術を受けがんと確定)と診断されています。さらに、1300人を超える子どもたちが、半年または1年後に保険診療による経過観察が必要と診断されています。これまで自費だった19歳以上の甲状腺ガン治療費は、運動の成果として国費でまかなわれるようになりましたが、健康手帳の交付など将来の健康保障は手つかずのままです。フクシマ事故をもたらした責任は東京電力とそれを支えた株主・金融資本にあり、原発を推進してきた政府にあります。その責任をとらせるため東電を破産処理し、国の責任で被災者の健康・生活保障を行うべきです。

労働者の緊急時被ばく限度引き上げを許すな

川内1・2号の運転再開は原発重大事故の発生を前提にしています。2014年7月に川内1・2号の審査書が確定(再稼働認可)した直後に労働者の緊急時被ばく限度を100mSvから250mSvへ引き上げる検討が開始されました。フクシマ事故を「教訓」に、重大事故発生現場へ突入させる被曝要員を事前に確保し、どこまで被曝させてもよいかを決めておこうというのです。何という「教訓」なのでしょう。本来ならフクシマ事故を繰り返さないため再稼働を認めないことが最大の教訓なのではないでしょうか。250mSvの放射線被曝は広島原爆の爆心から1.7kmの直爆線量であり、急性放射線障害が免れません。厚生労働省は「重篤な、または永久に続く急性放射線障害でなければよい」というとんでもない立場に立とうとしています。労働安全衛生法では「労働災害」を防ぐことを目的としており、「重篤でない労働災害は許される」という特例を設けるのは法律違反であり、憲法第二十五条に保障された「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を侵害し、憲法違反です。このような特例を設けなければ成り立たない労働現場は認めないという立場を打ち出すべきです。
川内1・2号の再稼働と同様に、緊急時被ばく限度引き上げも切迫しています。この秋までに改定法令を公布し、来年4月施行が目論まれています。16団体の呼びかけで5月末から「緊急時作業被ばく限度引き上げ中止と原発再稼働中止を求める全国署名」を展開しており、6月30日には4,322筆の署名を提出し、111団体連名による再申し入れを行い、政府を追及しました。8月末には第3次集約を行い、署名をバックに緊急時被ばく線量の引き上げ・再稼働中止を迫りたいと思います。戦争法案廃案・原発再稼働中止の闘いと結合して、ご協力をお願いします。

原発再稼働を中止しベストミックスを撤回せよ

安倍政権は、長期エネルギー需給見通し=2030年のエネルギー・ベストミックスを確定させました。そこでは、電源構成比を「原発22~20%」「再生可能エネルギー22~24%」とし、「再生可能エネルギーの最大限の拡大」等により、原発については「可能な限り依存度を低減することを見込む」としています。
しかし、実際には震災前の原発44基(福島第一・第二原発10基を除き、廃炉5基を含む)と建設中3基が震災前30年の平均設備利用率で動くことを想定した原発容量の枠取りを行い、その上で太陽光・風力発電の「接続可能量」を設定し、これを超える太陽光等の接続は認めるが「無制限の出力制限」を課すというとんでもない法令が今年1月に施行されています
これでは、原発の「最大限の拡大」と再生可能エネルギーの「可能な限りの抑制」ではないでしょうか
しかも、「原発22~20%」は40年超運転の老朽原発をできるだけ増やし、これを中心に設備利用率を90%に引き上げて酷使するという、恐るべき原発強硬運転が想定されているのです。そのため、米原子力規制委員会NRCが1979年のスリーマイル島原発重大事故の後で実施し、当時50~60%に低迷していた設備利用率を90%以上へ引き上げた例にならい、日本でも安全目標を導入し確率論的リスク評価を適合性審査の中へ正式に取り込み、大胆な規制緩和を図ろうとしています。原子力規制委員会の「発足3年以内の見直し」を今年9月に控え、これを利用して規制委を内閣府へ移管させ、原子力規制行政への政権の影響力を強めようと画策しています。これでは、フクシマ事故再発の危険が一層高まります。
ベストミックスの危険な原発推進策を暴露し、川内1・2号、高浜3・4号、伊方3号と相次ぐ原発再稼働の動きを阻止し、ベストミックスを撤回させましょう。そのため、戦争法案廃案の闘いと原発再稼働阻止・緊急時被ばく限度引き上げ中止の闘いを結合して進め、安倍政権による憲法違反の暴走を食い止めましょう。

電力自由化に向けた原発優遇策の導入反対

来年(2016年)度から電力の小売りが自由化され、一般家庭でも自由に電力会社を選択できるようになります。しかし、再生可能エネルギーは「接続可能量」で抑制され、2020年の発送電分離までは送電網は電力会社に有利に運用されます。それでも、原発は電力自由化の下では生き残るのが困難なため、政府と電力会社は一体となって原発優遇策を導入してきました。原発廃炉時に計上すべき電力会社の特別損失を廃炉後に電気料金から回収できる廃炉会計制度がそれです。さらに、今年度内に、①再処理事業の認可法人化、②原子力損害賠償制度の有限責任化、③廃炉会計制度による電気料金の託送料金化、④「基準価格」による原発用「固定価格買取制度」の導入など、とんでもない原発優遇策が目白押しです。このような原発優遇策の導入には断固反対しましょう。再生可能エネルギーの拡充を図るには、「接続可能量」を全面撤回させ、発送電分離を早めさせ、送電網の全国統一の中立的な公的管理を実現させねばなりません。これらを原発再稼働反対、緊急時被ばく限度引き上げ中止の闘いと結合して求めていきましょう。

5/20 脱原発・温暖化防止政府交渉 報告を掲載しました

遅くなりましたが、5/20 脱原発・温暖化防止政府交渉 の結果を報告します。(PDFはこちら

政府の温暖化防止約束草案要綱案提出が5月末に迫る中で、5団体の呼びかけ27団体の賛同で、川内原発再稼働中止など当面の要求5 項目を加えさらに追加の質問書を出して、経産省・環境省交渉を行いました。原発反対と温暖化対策を合わせて政府に迫る重要な行動でした。紹介は福島みずほ議員です。当日の市民側参加者は19人でした。
○経済産業省に対する要望事項に関連した追加の質問(PDFはこちら)
○環境省に対する要望事項に関連した追加の質問(PDFはこちら
○交渉速記録(経済産業省はこちら)(環境省はこちら

要求
大飯原発判決と高浜原発仮処分命令を受け、全原発の再稼働を止め、原発ゼロ、脱石炭火力、再生可能エネルギー40%以上への拡大、省エネの推進によって2030年に40%以上のCO2排出削減(1990年比)を行う日本の温暖化防止の約束草案(INDC)を提出してください。

呼びかけ団体:地球救出アクション97、若狭連帯行動ネットワーク、ヒバク反対キャンペーン、科学技術問題研究会、原発の危険性を考える宝塚の会

賛同団体:非特定営利法人安全な食べものネットワーク オルタ―、真宗遺族会広島地方支部、京都原発研究会、災害避難者の人権ネットワーク、日本山妙法寺、島根原発増設反対運動、原発いらん!山口ネットワーク、神戸ネットワーク、日本消費者連盟反原発部会、奈良脱原発ネットワーク、さよなら原発北葛の会、食と農をむすぶ会、国際女性年連帯委員会、環境フォーラム市民の会(豊中) 、原子力資料情報室、高尾山の自然を守る市民の会、リニア市民ネット大阪(春日直樹) 、まちづくり県民会議(鹿児島)、川内原発活断層研究会、川内つゆくさ会、神戸学生青年センター、脱原発で生きたい女たち・豊中、原発はごめんだヒロシマ市民の会、双葉地方原発反対同盟、I 女性会議なら、青谷反原発共有地の会

<経産省交渉のまとめ>
対応者:産業技術環境局(地球環境対策室係長)中谷絵里、(環境経済室係長)関根悠介、資源エネルギー庁(総合政策課戦略企画室室長補佐)森本要、(省エネルギー新エネルギー部政策課課長補佐)野崎開太、(省エネルギー対策課課長補佐)北島明文、(電気ガス事業部電力基盤整備課係長)秋間雄太、(原子力立地対策・広報室補佐)山岸航、(原子力政策課補佐)出光啓祐、以上の方々。

エネルギー・ミックスについて

「エネルギー・ミックス(長期エネルギー見通し)は電源構成だけでなく、エネルギーの需要と供給、両方で示している。4月28日に提出したミックスの基本方針の1 は3E+S。安全性を大前提に、エネルギーの安定供給・経済効率性・環境適合を実現する、すなわち自給率25%以上、電力コストを現状より引き下げる、CO2 削減に貢献することを目標にしている。それぞれトレードオフの関係にあるがバランスを取り最大限同時達成する。基本方針の2 は原発依存度を可能な限り低減させていく。原発を安定的な再エネで代替し省エネと火力の効率化で原発を引き下げていく。その結果が原発比率22-20%である。」

エネルギーミックスのそれぞれの電源について―原発再稼働を重点的に追及

(1) 原発再稼働中止、原発ゼロについて、すべて「電気事業者の判断」で逃げる
①再稼働は事業者の判断だ。
エネルギー基本計画に基づいて原発再稼働に対応する。経産省には権限がない。規制委員会によって適合性が認められた場合、再稼働の判断は個々の電力事業者が行う。福井、鹿児島地裁判決については、当事者でないのでコメントは控える。事業者の対応を注視する。
②原発新増設は2030 年まで想定していない。
国権の最高機関である国会で大臣が何度も答弁している。福島議員の『上関では建設策動中』には、上関原発の調査を止めよという権限は経産省にない。事業者の判断だ。設置許可申請は事業者が規制委員会に行うもの。原発ゼロには3E の観点からもできない。
③原発20-22%は全炉60 年運転か?に対し、制度があるので事業者の判断だ。稼働率が
90%のように高ければ、全炉60 年運転でなくても達成可能だ。
④再稼働するとプールが満杯になる、川内で市民の理解は無い、に対して、川内に関しては九電がきちんとする。事業者の判断だ。政府としては安全対策も含めて事業者に対して指導していく。使用済燃料についてはドライキャスクに入れるやり方も国として推進する。最終処分については、国が適地を示す、この方針を閣議決定しようとしている。
⑤原発の安全性への国の責任を何度も追及したがついに答えはなかった。「原子力の必要性等々については国民のみなさまにしっかりと広報していく。原子力発電、放射線に関する知識など、広報という形で予算をつけ、講師派遣も行っている。」
⑥「原発維持のための電気料金値上げだ」には、新設原発のコストが低いことだけ述べた。

(2)石炭火力は進める。再エネを補完する。石炭はコストが低いので、効率の高いものを建設する
「石炭火力では、増設もあれば廃止もある。26%は発電電力量で、設備容量ではない。石炭火力の増設分が全部稼働するわけではない。火力は再エネを補完するものだ。最良の技術を導入する。効率の低い設置申請についてどうするか経産省の中で検討を進めている。」(CO2 排出の高い石炭火力の廃止、輸出の中止を迫ったが、「ドイツも使っている」との答え。石炭がベースロードでLNG がミドルの理由に、石炭は安くLNG は高い。CO2 排
出削減は無視である。)
注:ドイツの石炭はベースロードではなく、調整電源。

(3)過大な需要見込み、省エネは可能性を積み上げただけ。再エネは低く設定し大幅拡大策なし。
①「総発電量、需要ベース9880 億キロワット時は微増である。審議会で低すぎるという議論が主だった。何とか抑えた。省エネは原油換算で5000万キロリットルを積み上げた。実現は容易でないが、政府一丸となって政策を動員していく。」 人口減少も織り込まず経済成長率1.7%/年の問題点を追及したが回答なし。(「現状ではなく、あるべき姿を想定」、人口は減らず、経済成長するらしい。現実には需要はずっと縮小できるはず。)
②「再エネは、認定した太陽光発電の4 割程度が事業化しないと見込んでいる。接続の停止はない。」(増加の対策なし)。発送電分離の法によって、送電の公益での運営機関が4 月にできた。今後の(送電網)建設もすぐに作るところまでは至らないが、建設の是非を費用対効果で公益運営機関を中心にやっていく。蓄電池はまだコストが高く、技術開発が課題。原発をベースロードにしているので再エネが増加できないではないかの追及には答えず。

(4) 電力自由化への対応は電力業界の「自主的取組」で
電力自由化の中で電力業界をコントロールする大枠の政策が局長級とりまとめ(5月24日去年?)で決められた。電力業界全体を見ていくための自主的な枠組みを作る。今年3月にこの構築に向けた議論が開始され、電力業界も検討を始めている。自主的だが、整合性を国が見ていく。(「自主的取組」で、CO2削減が進んでいないことの反省はない!)

約束草案要綱案は、国際的にそん色のない野心的なものだ。公聴会の予定なし。

4月30日に示した。エネルギー・ミックスと整合させたので、裏付けのある対策、施策、技術の積み上げによる実現可能なものである。パブリックコメントにかけ、地球温暖化対策本部で決定して国連に提出する。(2013 年比26%減と、ごまかしの数字だけ)。

<環境省交渉のまとめ>
対応者:総合環境政策局(環境経済課課長補佐)岡﨑雄太、(環境影響評価課指導係長)中村 祥、地球環境局(地球温暖化対策課市場メカニズム室室長補佐)飯野暁、の方々。

約束草案に関する要求・質問に対する答え

①草案の要綱では国内の、排出削減・吸収量の確保により、2030 年度に2013 年度比26%減の目標を掲げている。日本と他の締約国との間で協力して削減するJCM(2030 年までに5000 万トン~1 億トン)は入っていない。森林吸収は条約に従って2%入っている。
②電源構成。原発の比率は3E のバランスで決まった。原発再稼働の規制委員会の審査等
を予断するものではない。新増設のないことを前提にした数字である。環境省の外局に原子力規制庁があり、予断を与えるような方針は差し控える。
③石炭火力。他の電源、燃料源と比べてCO2が非常に多い。各社が石炭火力の新設や増設を計画しており、そのうちの相当な部分で発電所の環境影響評価の手続きが始まっている。
CO2 の削減と矛盾することは事実。最終的なCO2 削減の我が国の目標が決まったら、それと整合する電力供給全体のCO2 を削減する枠組みを(経産省に)作っていただくことになっている。石炭や天然ガス、再エネの総和として電力供給のCO2 の量が目標に整合するようにする。
④再エネ。固定価格買取制度の費用が電力のコストに与える影響等も勘案して再エネの比率を決定した。再エネの出力抑制について、そうならないように経産省がルールを設定運用することが進められている。その検討に協力したい。
⑤省エネ。省エネ機器の導入、運用の改善など考えられる対策を細かく積み上げて5000
万キロリットルの目標にしている。
⑥炭素税などの対策。現行の地球温暖化対策税が来年4 月から最終第3 段階になり、炭素トン当たり189 円となる。北欧の温暖化対策先進国と比べると低い。長期的取組の中で国民の方々の理解を得ながら炭素税など税の仕組みを活用していきたい。住宅建設物に断熱の義務付け、自動車の排ガス規制のような法改正も必要である。

討論の中での追及の結果

①2030 年までの削減目標低すぎる!
2013 年比26%削減は、1990 年比18%減である。GDP 当たりではEU と、一人当たりでは米国とそん色ないと主張。先進国の2050 年までに80%削減もできる!と、根拠のない主張を変えず。
②森林吸収2%は根拠がない!
林業は衰退し伐採もできず植林も進まない。吸収よりも生物や環境を守る森林の保全をやるべき。放置された畑に太陽光発電設置などの対策を行うべきと追及。努力したいと答え。
③環境省は再エネ35%できると言ったはず!
再エネ24%は確かに低すぎる。35%を撤回したのではなく議論の結果こうなった。
④石炭火力をどう止めるのか!
電力の1 次エネルギーに占める割合は20数%に対しCO2 の排出量は約40%、石炭ではなくLNG にせよと追及したが、発電コストの議論で石炭火力26%になったとの答え。電力自由化で石炭火力がどんどん建設されるのをどう止めるのかには、まず利用可能な最大限の技術を使うことで環境影響評価し、CO2 について全体としてコントロールされるように評価する。評価の対象でない小規模のものは先進事例を示して自治体と連携しながら見ていく。水銀その他について運転中も大気汚染防止法などで規制すると回答。自由化の中で石炭火力の増加を止められるかとなおも追及。電力業界全体での総括削減を行うというが、火力発電の建設計画も大規模以外はつかみ切れていないとのこと。(環境省の対策は後日明らかになった。下の記事を見てください。)
⑤意見を聞くのはパブコメだけか!
COP15 の時は、公聴会をやって、広く討論を行ったではないか。人類の未来の問題ではないかに対しては、「プロセスの検討の中で参考にします」。
⑥原発比率20~22%に根拠がない!
環境省は減らせと言えないのか。事故が起きたらどうするのか。再エネの接続可能量は、原発を全部動かすことを前提に決定した、それを超えて接続したら出力制御だと脅しているではないかと追及したが、答えず。

まとめ

原発再稼働は再エネ大幅導入の障害であることをはっきりさせました。経産省と環境省合同の審議会では、とにかくCO2 削減の高い数字を出すことだけが目指され、原発の電力源比率に何の根拠もないことも明らかになりました。
原発と石炭火力推進、電気のコスト引き下げを主張する経産省に押し切られた結果とみられます。世界の要求に対立する「約束草案」の案です。私達は前回と今回の交渉で、これに異議申し立てを行いました。大きくはありませんが、一打を撃ちました。
6月になって、環境省は石炭火力を何とか増加させない動きに出ました。環境影響評価の環境大臣意見です。石炭火力反対の運動を強めましょう。
環境相、宇部の大型石炭火力を環境影響評価法に基づき拒否この建設を認めると石炭火力比率が要綱の26%を超えるとの理由で、経産相に意見提出した(拒否の権限はないが)。島根、愛媛、千葉、愛知の各県にも大型石炭火力の計画がある。環境省はさらに、電力業界全体が参加するCO2 削減行動計画の早期策定を求めるとともに、強制力を持って石炭火力の発電総量を抑制する地球温暖化対策推進法の改正も検討する。(日経6/12による)石炭火力反対、原発再稼働反対をパブコメでも、行動でも!
パブコメは7月2日まで。同封の用紙でFAX しましょう。最後の意見の部分にこの記事の初めの「要求」の内容を書きましょう。「原発ゼロにしてください。石炭火力を建設しないでください」でもOK。
詳しく見たい人は、インターネットで「内閣官房」を検索、ホームページの「パブリックコメント等」をクリックしてください。エネルギーミックスへのパブコメ(7/1 まで)もできます。
私たちは、公聴会や討論型公聴会を要求しますが、パブコメも出そうと思います。

関西電力本社へ「電気料金再値上げ」に際しての申し入れを提出しました

関西電力は6月1日、2年前に続き電気料金の再値上げを断行しました。私たちは2月12日に公開質問状を提出し、公聴会での八木社長との直接対峙を含めて、何度も回答を求めましたが、拒否され続けました。その経緯は以下の通りです。関西電力が回答を拒否し、面談(交渉)を拒否するたびに公開質問状への賛同団体個人は当初の39団体、500個人から増え続け、52団体、5,265個人(6月3日現在)に達しています。
私たちは、電気料金再値上げを受けて、6月5日、関西電力に「電気料金再値上げ」に際しての申し入れを提出しました。
関西電力原子力広報部社員が本社ロビーで受け取りはしましたが、申し入れ文の読み上げは拒否し、「会議がある」と言ってすごすごと立ち去ったのです。まともに申し入れを聞こうともしない、この対応に、関西電力の電力消費者への基本的な姿勢が集約されています。このような状態では来年度からの小売り電力自由化に関西電力は生き残れないでしょう。

<これまでの経緯>
2015年2月12日 関西電力宛「関西電力の電気料金値上げと原発再稼働に関する公開質問状」(賛同39団体500個人)を提出
2月13日 関西電力原子力広報室から「公開質問状への回答も面談も拒否する」との電話連絡:理由は「昨年2月若狭ネットとの面談の際、インターネット中継をした者がいた。昨年10月の申し入れで申入時間と人数を守らなかった」というもの
2月16日「電気料金値上げと原発再稼働の関する公開質問状」への回答拒否についてFAXで関電広報室へ問い合せ
2月17日 関西電力原子力広報室から「回答も面談も拒否する」との電話連絡
2月26日 「『貴社原子力広報室による回答拒否』問題に関する緊急公開質問状」を提出(pdfはこちら
3月3日 電気料金値上げ審査に係る公聴会で意見陳述人として意見を述べ、公開質問状への回答を八木社長に直接迫る(経産省による「公聴会の議事録」はこちら
3月5日 関西電力原子力広報室から回答・面談拒否の電話連絡
3月6日 「3月5日の貴社原子力広報室による電話回答に関する公開質問状」を提出(pdfはこちら
3月6日 電気料金審査専門小委員会委員長へ申し入れ(公開質問状賛同42団体871個人(3月3日現在))(pdfはこちら
3月13日 関西電力原子力広報室から回答・面談拒否の電話連絡
3月16日 若狭ネットニュース第154号を発行(一括ダウンロード4.5Mb)
原発再稼働・電気料金再値上げ反対!関西電力は質問状から逃げず、回答せよ!公開質問状への賛同拡大のお願い
3月17日 関西電力が取締役会で美浜1・2号の廃炉を決定
3月18日 「関西電力の電気料金値上げと原発再稼働に関する追加の公開質問状」を提出(賛同43団体1,411個人(3月16日現在))(pdfはこちら
3月18日 電気料金審査専門小委員会委員長へ追加の申し入れ(pdfはこちら
4月14日 福井地裁が高浜3・4号の運転差止仮処分命令を決定
4月19日「電力自由化と脱原発を考えるつどい」で決議文「関西電力は、仮処分命令に従い、高浜3・4号をはじめ全原発を廃炉にし、電気料金を引き下げよ! 発送電を分離し、送電網を公的管理に委ね、再生可能エネルギー推進に協力せよ!」を採択(決議文のpdfはこちら
4月20日 決議文を関西電力本社へ提出
4月21日 電気料金審査専門小委員会で「関西電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案」が確定:関西電力は、美浜1・2号と敦賀1号の廃炉による「費用減少額は96億円程度(現在精査中)」になり、「電気料金のご負担の軽減を図るべく、活用してまいりたい」と説明
5月11日 「チェルノブイリ重大事故から29年に際しての申し入れ」を提出
5月16日 若狭ネットニュース第155号を発行(一括ダウンロード10.3Mb)リーフレット(ダウンロード0.8Mb
廃炉で電気料金は下がる!美浜1・2号と敦賀1号の廃炉で明らか!原発再稼働阻止! 電気料金再値上げ反対!政府と電力は大飯判決と高浜仮処分命令を尊重せよ!
6月1日 関西電力が電気料金を再値上げ
6月5日 関西電力へ「電気料金再値上げ」に際しての申し入れを提出(pdfはこちら: リーフレットはこちら
2015年2月12日提出の関西電力宛「関西電力の電気料金値上げと原発再稼働に関する公開質問状」(賛同団体・個人:52団体5,265個人(2015年6月3日現在))
2015年3月18日提出の関西電力宛「関西電力の電気料金値上げと原発再稼働に関する追加の公開質問状」(賛同団体・個人:43団体1,411個人(2015年3月16日現在))
関西電力株式会社による電気料金値上げ申請に係る公聴会(平成27年3月3日)
議事録(経産省から3月20日までに議事録素案をチェックするようにとの依頼があったにもかかわらず、公表されたのは電気料金値上げが実施された後の6月3日だった!)
配布資料資料6 陳述人から提出された意見の概要
2015年6月5日
関西電力株式会社 取締役社長 八木 誠様
「電気料金再値上げ」に際しての申し入れpdfはこちら
若狭連帯行動ネットワーク
貴社は2年前に続き6月1日から電気料金を再値上げしました。私たちは、中小企業や家庭を苦しめる今回の値上げに強く抗議すると共に、2月12日に賛同39団体500個人で提出した「関西電力の電気料金値上げと原発再稼働に関する公開質問状」に面談も回答も拒否したままであることに満身の怒りを込めて厳重抗議します。「原発を廃炉にすれば年間3600億円の維持管理費が浮いて電気料金を下げられる」という私たちの主張の正しさは、美浜1・2号と敦賀1号の廃炉でコストを実際に削減できたという事実で証明されました。しかし、敦賀1号廃炉に伴う「84億円削減」は、敦賀1・2号を合わせた「受電なき電力購入費」288億円の3割弱にすぎず、少なすぎます。美浜1・2号廃炉に伴うコスト削減も34億円にすぎず、500億円程度の維持管理費の1割にも満たず、少なすぎます。また、本来貴社が負うべき「特別損失」を電力消費者へ全額転嫁する会計制度を使って「廃炉費積立不足金22億円」を新たに計上しています。電気料金を再値上げしながら、廃炉に伴うコスト削減額を消費者に還元するどころか、コスト削減額を過小に見積もって赤字補填に回し、特別損失を電力消費者に全額転嫁する貴社の自社利益優先の姿勢は断じて許せません。
貴社がいくら逃げ回っても、逃げ切ることはできません。私たちは、貴社の回答拒否を受けて2月26日には緊急公開質問状を提出し、3月3日には経産省主催の公聴会で意見陳述の上、貴職に公開質問状への回答を直接求めましたが、貴職は「検討する」と約束しながら踏みにじりました。私たちは屈せず、4月20日には「電力自由化と脱原発を考えるつどい」の決議文を提出、5月11日には「チェルノブイリ事故から29年に際しての申し入れ」を提出し、電話、FAX、手紙などあらゆる手段を駆使して何度も何度も貴社に回答を求めました。しかし、貴社はいまだに回答せず、電気料金再値上げの「お知らせ」を一方的に全戸配布したのです。しかも、「電気料金の内訳」には、「再生エネ発電促進賦課金」を記載しながら、風力発電は元より太陽光発電単価でさえ貴社の電気料金より安くなっているという事実には一言も触れず、「廃炉に伴うコスト削減額を消費者に還元する」との経産省との約束を明記してもいません。廃炉による貴社の特別損失を消費者に全額転嫁する事実も伏せたままです。都合の悪いことは隠し、「原発が動かないから値上げする」というウソをつき続けています。傲慢な姿勢、ここに極まれりです。こうした貴社の余りにもひどい消費者軽視の姿勢に怒った市民が、次々と私たちの公開質問状に賛同の声を寄せてくださっています。2月中旬から毎週のように賛同が増え続け、6月3日現在、52団体、5,265個人に達しています。貴社が自らの経営責任を棚上げにし、責任を取らず、逃げ回れば逃げ回るほど賛同の輪が広がったのです。貴職はこの現実を直視し深刻に受け止めるべきです。
貴社の家庭用電気料金は、風力発電の買取価格23.76円/kWh(税込)をはるかに超え、太陽光発電の新固定買取価格(7月以降、非住宅用10kW以上税込29.16円/kWh)より高いのです。原発をきっぱりとやめ、再生可能エネルギーの優先接続・優先給電に転換すべきです。再処理・プルトニウム利用をやめ、使用済燃料再処理等積立金(うち20数%が関西電力)を取り崩せば、脱原発・再生可能エネルギー普及費を捻出できます。原発を廃炉にし、再生可能エネルギーを普及させれば、電気料金値下げは可能です。発送電分離を早め、送配電網の全国的統合・公的管理で送配電網整備・再生可能エネルギーの優先拡大を図るべきです。
昨年5月21日の大飯3・4号運転差止判決に続き、福井地裁は今年4月14日、高浜3・4号の運転差止仮処分命令を出しました。貴社の仮処分停止要請は却下されました。これらの判決を前にして、貴社は襟を正し、これまでの経営方針を転換すべきです。原発依存の経営から省エネと再生可能エネルギー中心の未来型電力会社に転換すべきです。高浜3・4号の再稼働を断念し、全原発を即刻廃炉にし、来年度からの電力小売り全面自由化に備えるべきです。そうしない限り、電力消費者にそっぽを向かれ、貴社に未来はないでしょう。
改めて申入れます。原発再稼働を断念し、全原発を廃炉にし、電気料金を値下げしてください。

若狭ネットニュース第155号を発行しました

第155号(2015/5/16)(一括ダウンロード10.3Mbリーフレットダウンロード0.8Mb
巻頭言-廃炉で電気料金は下がる!美浜1・2号と敦賀1号の廃炉で明らか!
原発再稼働阻止! 電気料金再値上げ反対!
政府と電力は大飯判決と高浜仮処分命令を尊重せよ!
(1)チェルノブイリ重大事故から29年に際しての申し入れ
(2)「使用済核燃料暫定保管」の日本学術会議提言は再稼働の歯止めにならず、無責任!
(3)高浜3・4号と川内1・2号の真逆の仮処分決定が意味するもの 大阪府立大学名誉教授 長沢啓行

「高浜3・4号と川内1・2号の真逆の仮処分決定が意味するもの」から抜粋

真逆の仮処分決定
関西電力の高浜原発3·4号では2015年4月14日,福井地裁が運転差止仮処分命令を決定し,九州電力の川内1·2号では2015 年4月22日,鹿児島地裁が運転差止仮処分申請を却下した.いずれも,原子力規制委員会による規制基準適合性審査に合格し,工事計画と保安規定の審査段階に移行していた.まさに再稼働に向けた準備が進められていた段階での決定であり,高浜3·4号は原子炉を起動させての試験すらできなくなった.福井地裁の決定は,2014年5月21日に大飯3·4 号の運転差止判決を下した樋口英明裁判長であったことから,基本的な判断の方向は変わらず,運転差止命令が出ることが予想されてはいたが,大飯判決の場合は控訴されたため実効性はなく,高浜原発の場合は仮処分が即日実施されるため,大飯判決のとき以上に「事実誤認」の大合唱が展開されている.
では,高浜3·4号の決定は本当に「事実誤認に基づくとんでもない決定」なのであろうか.川内1·2 号の申請却下に「とんでもない事実誤認」はないのであろうか.ここでは,最も重要だと思われる,(1) 運転差止命令を出す判断基準の違い,(2)原子力規制委員会による新規制基準と適合性判断に関する評価の違い,(3) 基準地震動と耐震性に関する評価の違いの3 点に絞って検討する

1 運転差止命令を出す判断基準
2 新規制基準と適合性判断の評価
3 基準地震動と耐震性の評価
3.1 地震動の「平均像」と偶然変動
3.2 断層モデル設定における地震動過小評価
3.3 「余裕の確保」は「余裕の欠如」
3.4 震源を特定せず策定する地震動
3.5 大飯・高浜判決は事実誤認か
フクシマ事故4年と反原発40 年を振り返って
から40 年前,大学院生だった私は久米三四郎氏と市川定夫氏の協力を得て,米国からアーサー・R・タンプリン博士を大阪大学の集会に招き,バスをチャーターして国内初の対関電反原発デモを組織した.あれから40 年,反原発を唱道して闘い続け,ようやく今は原発が1 基も動いていない日本に居る.それはフクシマ事故があったからだ.運動の力ではフクシマ事故を防げなかった.その悔いが反原発運動の中には深く染み込んでいる.しかし,今は「反原発」は多数派だ.フクシマ事故から4 年を経た今でも,世論調査のどれを見ても,国民の多数は原発の再稼働に反対であり,「再稼働すれば原発重大事故は避けられない」と考えている.国民の判断は正しい.事実誤認をしているのは誰か.それは今では明白である.しかし,問題は,事実誤認をしている少数者が権力を握り,原発を再稼働させようとしていることだ.利権に群がる古い勢力がうごめき,反省しない御用学者達がそれににじり寄っている.国民の人格権を電力会社の経済的自由権より劣位に置かせてはならない.フクシマ事故の前と後では原発を巡る状況は全く違う.「原発さえなければ」と書き残したフクシマの犠牲者たちを「無駄死に」させてはならない.フクシマで日々苦しんでいる人々を放置してはならない.その現実を直視し,良識ある者たちよ,どんな形でもいいから立ち上がれ.あきらめることは最大の敵だ.司法もその重い腰を上げ始めた.大飯・高浜判決を錦の御旗として掲げ,多数者の声を中央政界に届け,圧倒しなければならない.そうしなければ,日本の明日はない.

大飯原発判決と高浜原発仮処分命令を受け、全原発の再稼働中止を求める対政府交渉に参加を!

大飯原発判決と高浜原発仮処分命令を受け、全原発の再稼働を止め、
原発ゼロ、脱石炭火力、再生可能エネルギー40%以上への拡大、省エネの推進によって
2030年に40%以上のCO2排出削減(1990年比)を行う
日本の温暖化防止の約束草案(INDC)を提出してください。

当面の要求
(1)川内原発再稼働を止めてください。
(2)関西電力・神戸製鋼による石炭火力発電、関電・東燃ゼネラル石油による東京湾岸石炭火力発電など
大規模石炭火力発電を認可しないでください。
(3)「接続可能量」を撤回し、再生可能エネルギーの優先接続・優先給電・優先融通を実施してください。
(4)エネルギー基本計画のベースロード電源から原子力と石炭火力を削除してください。
(5)炭素税の高い設定など、CO2排出を抑える抜本的な対策を行ってください。

呼びかけ団体:地球救出アクション97、若狭連帯行動ネットワーク
ヒバク反対キャンペーン、科学技術問題研究会、原発の危険性を考える宝塚の会

全国のみなさま

大飯3・4号基運転差し止め判決に引き続き、高浜3・4号運転差し止め仮処分決定が行われました。原発運転によって住民の生命と生活に危険が及び人格権が侵害される、原子力規制委員会の基準では重大事故が起こりうるとされました。フクシマを繰り返してはなりません。川内原発では運転差止仮処分申請が退けられましたが、反対の運動を強めて再稼働を止めなければなりません。世論の過半数が脱原発です。

福島事故の後も、安倍政権は原発の再稼働を進め、原発維持を図ろうとしています。2014年4月に閣議決定したエネルギー基本計画では、原子力・石炭火力・地熱・水力をベースロード電源と位置づけ、このもとで、エネルギーミックスの検討を行っています。電力会社の要求に応えて原発の運転を前提に、再生可能エネルギーの接続可能量を低く決定し、太陽光発電などの新たな拡大を困難にしました。原発は再生可能エネルギーの増加と対立しています。

一方、政府はCO2を大量に排出する石炭火力を燃料費が安く中東依存のない電源として推進しようとしています。たとえ高効率の石炭火力であっても、石油・天然ガスに比べてもCO2排出は多量です。いま石炭火力を建設してしまえば、2030年どころか、2050年を超えてCO2を出し続けることになります。世界のCO2排出削減努力に対立するものです。石炭火力は水銀や他の大気汚染物質も多く排出し地域の環境汚染を引き起こします。

今年11月末から始まる温暖化防止条約パリ会議では、2030年をめざした世界の温室効果ガス排出削減策が決定されなければなりません。すでにEU、スイス、米国などの先進国、中国も野心的な削減計画(約束草案)を提出しています。温室効果ガス排出削減の必要性、衡平性、能力から日本には2030年までに1990年比40~50%の削減が求められています。

安倍政権は6月初めの先進国首脳会議までに約束草案を作るとし、4月に「2013年比20%削減(実は1990年比10%削減)」なる案をリークしました。このような案は世界の温暖化防止の努力に水をかけ、日本の省エネや新しい技術への挑戦も止めてしまいます。地球温暖化を2℃未満(産業革命前と比べて)に抑えるような衡平で野心的な削減目標と必要な対策・政策を要求しましょう。

私たちは3月25日に経済産業省と環境省と交渉を行いました。そこで明らかになったのは、2014年閣議決定の原発・石炭火力をベースロード電源とするエネルギー基本計画に縛られて、電力会社の利益を優先し世界の温暖化防止努力に対立するだけの政府の姿でした。

まずは、抜本的な変更を政府に迫りましょう。抗議を直接伝えましょう。団体賛同お願いします。

政府交渉
日時:5月20日(水)13時~14時30分(対経済産業省)
        14時45分~15時45分(対環境省)
場所:参議院議員会館 B105室
(12時40分 参議院議員会館ロビー集合・打合せ)
参加予定の方は、ご連絡ください。090-7090-1857 イナオカ
中継放送はご遠慮ください。

2015年5月20日

内閣総理大臣 安倍 晋三 様
経済産業大臣 宮沢 洋一 様
環境大臣   望月 義夫 様

呼びかけ団体:地球救出アクション97、若狭連帯行動ネットワーク
ヒバク反対キャンペーン、科学技術問題研究会、原発の危険性を考える宝塚の会

大飯原発判決と高浜原発仮処分命令を受け、全原発の再稼働を止め、
原発ゼロ、脱石炭火力、再生可能エネルギー40%以上への拡大、省エネの推進によって
2030年に40%以上のCO2排出削減(1990年比)を行う
日本の温暖化防止の約束草案(INDC)を提出してください。

当面の要求
(1)川内原発再稼働を止めてください。
(2)関西電力・神戸製鋼による石炭火力発電、関電・東燃ゼネラル石油による東京湾岸石炭火力発電など
大規模石炭火力発電を認可しないでください。
(3)「接続可能量」を撤回し、再生可能エネルギーの優先接続・優先給電・優先融通を実施してください。
(4)エネルギー基本計画のベースロード電源から原子力と石炭火力を削除してください。
(5)炭素税の高い設定など、CO2排出を抑える抜本的な対策を行ってください。

上の要望の賛同団体になってください。この用紙でお知らせくださいpdfはこちら
団体名のみ公表します。連絡方法はご都合の良いものを記入してください。
団体名:
連絡先:
Eメール:
携帯のメール:
FAX.
TEL.

第1回期限は、5月19日です。緊急です。12月まで運動を継続します。よろしくお願いします。
賛同用紙の送り先:
FAX 072-339-2871(専用)
郵送:地球救出アクション97  580-0003大阪府松原市一津屋4-9-6 稲岡美奈子
Eメール:minako-i@estate.ocn.ne.jp  
お問合せ:072-336-7201 稲岡
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政府交渉に向けた学習会 案内のpdfはこちら

政府は40%以上(1990年比)のCO2排出削減政策をつくれ!
温暖化防止パリ会議で、2030年までの衡平で野心的な枠組み決定を!
原発ゼロ、脱石炭火力、再生可能エネルギーを電源の40%以上へ
尾崎 一彦さん「地球温暖化の実態とパリ会議への世界の動き」
中西 克至さん「政府の温暖化防止対策、エネルギー政策批判」

日時:5月16日(土)18時~20時30分
場所:市民交流センター東淀川 305号室
(夜です。ご注意ください) (新大阪駅、東出口北側歩5分)
主催:地球救出アクション97 問い合わせ:072-336-7201 イナオカ 参加自由、資料代500円

大飯3・4号基運転差し止め判決に引き続き高浜3・4号裁判においても、運転差し止め仮処分決定が行われました。原発運転によって住民の生命に危険が及び人格権が侵害される、原子力規制委員会の基準では重大事故が起こりうるとされました。フクシマを繰り返してはなりません。川内原発では運転差止が退けられましたが、反対の運動を強めて再稼働を止めなければなりません。世論の過半数が脱原発です。

福島事故の後でも安倍政権は原発の再稼働を進めています。2014年4月に閣議決定したエネルギー基本計画で原子力・石炭火力・地熱・水力をベースロード電源とし、このもとで、エネルギーミックスの検討を行っています。電力会社の要求に応えて原発を運転することを前提に、再生可能エネルギー接続可能量を低く決定し、太陽光発電などの新たな参入を困難にしました。原発は再生可能エネルギーの増加と対立しています。

一方、政府はCO2を大量に排出する石炭火力を燃料費が安く中東依存のない電源として推進しようとしています。たとえ高効率の石炭火力であっても、石油・天然ガスに比べてもCO2排出は多量です。いま石炭火力を建設してしまえば、2030年どころか、2050年を超えてCO2を出し続けることになります。世界のCO2排出努力に対立するものです。石炭火力は水銀や他の大気汚染物質も多く排出し地域の環境問題も引き起こします。

今年11月末からの温暖化防止条約パリ会議では2030年をめざした世界の温室効果ガス排出削減策が決定されなければなりません。すでにEU、スイス、米国などの先進国、中国も野心的な削減計画(約束草案)を提出しています。安倍政権は6月初めの先進国首脳会議までに約束草案を作るとし、4月に「2013年比20%削減(実は1990年比10%増)」なる案をリークしました。このような案は世界の温暖化防止の努力に水をかけ、日本の省エネや新しい技術への挑戦も止めてしまいます。地球温暖化を2℃未満(産業革命前と比べて)に抑えるような衡平で野心的な削減目標と必要な対策・政策を要求しましょう。

私たちは3月25日に経済産業省と環境省に対して交渉を行いました。そこで明らかになったのは、2014年閣議決定の原発・石炭火力をベースロード電源とするエネルギー基本計画に縛られて、電力会社の利益を優先し世界の温暖化防止努力に対立するだけの政府の姿です。

まずは、根底からの変更を政府に迫りましょう。
まずは、学習から!
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新放射線副読本作り直し要求署名提出と文科省交渉(2015 年3 月25 日)報告

2015年4月
地球救出アクション97、若狭連帯行動ネットワーク、ヒバク反対キャンペーン、科学技術問題研究会
報告pdfはこちら
速記録pdfはこちら
<署名提出>
回収を待って3 月25 日に提出し、福島みずほ参議院議員の紹介で文科省交渉を行いました。
はじめに、地球救出アクション97(三田さん)と生協自然派(黒河内さん)が署名を窓口担当者に提出しました。署名数は8823 筆でした。署名にはいくつかの教職員組合、労組、生協、労働・平和団体が組織として取り組んでくれました。そして、全国のたくさんの個人や市民団体が集めてくれました。カンパも約13 万円届きました。それは署名とニュースの印刷・発送費と提出・交渉参加の旅費の補助に使わせていただきました。
署名運動は2014 年5 月に始め、7 月に第1 回文科省交渉を行い、原水禁大会はじめ、原発再稼働反対行動や教職員の集会、市民・労働団体の集会などで宣伝を行い、学習会も行いました。
<交渉の結果>
今回の署名提出・交渉で、副読本を新しく作り直す予定は現在のところない、そして副読本指導参考資料DVD が3 月末にすべての学校に教育委員会を通じて送られることがわかりました。私たちが批判した副読本の被ばくに関する記述は、環境省「放射線の健康・環境影響に関する統一基礎資料」(環境省HP)に基づいていることがわかりました。これが政府の統一見解と考えられます。
一方、文科省はグローバー勧告、子ども被災者支援法の教育への要求を知っており、被ばくの危険性や子どもの人権の教育に理科、社会などの教科や総合学習、特別活動などで取り組むことを推奨するとしました。内容は大綱を定めた学習指導要領と学校の裁量によるとし、そのなかで原発に反対する意見が出されても文科省がとやかく言うものではないとしました。
福島県など放射線の高い地域の子どもを守る対策では、文科省独自にできることはないという答弁でした。
<これからの活動>
*署名運動は終了します。文科省が原発推進教育を行わないよう監視を続けます。
*原発について考える教材を作ります。内容と教え方の議論を進めます。
*伝統となっている平和教育、人権教育と結び付け、脱原発・非核教育を拡げる活動を行います。
*学校現場では、子どもたちに原発について考える教育を進めましょう。保護者や地域も要求しましょう。
*初等中等局版放射線副読本の指導参考資料DVD をチェックしましょう。
*2015 年度小学校社会科の福島事故の記述、5 月末開示の2016 年度からの中学校教科書(理科、社会科など)をチェックしましょう。
*環境省「放射線の健康・環境影響に関する統一基礎資料」を検討し、批判しましょう。

3 月25 日、文科省交渉の後、温暖化対策に関する交渉(要望と質問書は前号に)を経産省、環境省と行いました。
報告pdfはこちら

参加者は約20 人。原発再稼働と石炭火力推進を厳しく追及しました。
すでにEU、スイス、米国、中国などが約束草案を提出しているにもかかわらず、日本は6 月の首脳サミットまでとし、エネルギーミックスをどうするか、審議会で検討中という遅さ。しかも、原発と石炭火力をベースロード電源とするエネルギー基本計画(昨年閣議決定済み)に縛られ、温暖化防止へ世界の要請に応えることができない状況です。
運動の強化が求められています!! 政府の状況がわかるようにまとめました。まずは、読んでください。