若狭ネット

福井と関西を結び脱原発をめざす市民ネットワーク

大阪連絡先 dpnmz005@ kawachi.zaq.ne.jp
若狭ネット資料室(室長 長沢啓行)
e-mail: ngsw@ oboe.ocn.ne.jp
TEL/FAX 072-269-4561
〒591-8005 大阪府堺市北区新堀町2丁126-6-105
ニュース

経産省へ公開質問状を提出!経産省は逃げ回らず真摯に回答せよ!

呼びかけ団体:若狭連帯行動ネットワーク(事務局)、双葉地方原発反対同盟、原発の危険性を考える宝塚の会、日本消費者連盟関西グループ、関西よつ葉連絡会、安全な食べものネットワークオルター、サヨナラ原発福井ネットワーク、福井から原発を止める裁判の会、吹夢キャンプ実行委員会、福島の子供たちを守ろう関西、さよなら原発神戸アクション、さよならウラン連絡会、おかとん原発いらん宣言2011、原発ゼロ上牧行動、STOP原子力★関電包囲行動、とめよう原発!!関西ネットワーク、さよなら原発なら県ネット、地球救出アクション97、ヒバク反対キャンペーン、さよなら原発箕面市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、環境フォーラム市民の会(豊中)、科学技術問題研究会、さかいユニオン、大阪自主労働組合、社民党福島県連合、フクシマ原発労働者相談センター、日本消費者連盟、原子力資料情報室
(事務局連絡先:〒591-8005 堺市北区新堀町2丁126-6-105 若狭ネット資料室長沢啓行ngsw@oboe.ocn.ne.jp)

私たちは、「福島事故関連費と原発コストを『電気の託送料金』に転嫁しないでください」の署名18,318筆を第一次集約し、2月8日に提出した上で質問項目について経産省の見解を問い質すつもりでしたが、経産省は直前になって話合いを拒否してきました。その理由は「予算委員会に対応しなければならない」「審議会の準備で忙しい」など転々とした上、最終的に「担当者がその時間帯には対応できない」というものでした。質問項目は2週間前の1月23日に提出しており、担当者の予定も事前に分かっていたはずですが、直前まで拒否回答はありませんでした。しかも、2月6日にはパブリックコメントへの回答をホームページへアップしており、回答できる内容は整っていて、担当者でなくても対応できたはずです。しかし、経産省は「午後1時半~3時の時間帯は担当者以外を含めて誰も対応できない。署名受け取りもその時間帯ではできない。」と言うのです。「午後5時なら参議院議員会館の福島みずほ事務所へ受け取りに行く。」との伝言がありましたので、代表2名が残り、福島みずほ議員と秘書にも立ち会って頂き、署名は提出しました。経産省は資源エネルギー庁の若手職員1名を寄こしただけで、本当に事務的な対応に終始しました。

それでも、18,318名の署名の重みは経産省に伝わったと思います。

私たちはパブコメ回答を第一次回答と見なし、それを踏まえた新たな質問項目を「公開質問状」として作成し、今度は経産省に話合いの日程を決めさせる方法で回答を求めることにしました。それが、下記の公開質問状です。
2月21日午後5時までに日程の返事をするように求めています。日程が決まりましたら案内しますので、ぜひご参加下さい。

また、署名は継続します。今国会に関連法案が上程されており、会期は6月18日までですが、第二次集約を3月31日とし、政策の具体化に合わせて、「前文」の数値等を書き換えましたので、こちらをお使い下さい。申し入れ項目は一部数値を変えただけで同じですので、以前の署名用紙も有効です。

署名用紙・ダウンロード署名用紙Word版はこちら

公開質問状のpdfはこちら

2017年2月15日
経済産業大臣世耕弘成様

福島事故関連費等の「電気の託送料金」への転嫁に関する公開質問状

私たちは、「福島事故関連費と原発コストを『電気の託送料金』に転嫁しないでください」の署名18,318筆を第一次集約し、2月8日に提出し、下記の申し入れを行いました。署名提出・申し入れ・関連質問項目は1月23日に福島みずほ参議院議員事務所を通して提出し、日時と場所も合意していたはずですが、経済産業省は直前になって「対応できない」と一方的に通告し、予定された時間内での署名の受取すら拒みました。しかも、2日前の2月6日には「電力システム改革貫徹のための政策小委員会中間とりまとめに対する意見公募の結果」(以下「パブコメ回答」)をホームページで公開しており、私たちが「今回はそれに基づいて回答可能な質問項目に限って回答すればよい」というところまで譲歩したにもかかわらず、それすら拒否したのです。挙げ句の果てには、当日の午後5時に担当外の職員1名が参議院議員会館の福嶋みずほ事務所へ署名等を受取に来るという前代未聞の対応に終始しました。これらの対応は国民への説明責任を放棄し、「国民に新たな負担を求めておきながら、国民にその説明すら行わない」という、問答無用の一層許し難いサボタージュであり、厳重に抗議します。
ここに、パブコメ回答を踏まえ、既提出の関連質問項目を書き換えた公開質問状を改めて提出いたしますので、真摯にご回答下さるよう強く要請致します。なお、ご回答いただく日時については、3月上旬で担当者出席のうえ十分質疑可能な午後1時半~3時とし、経済産業省の方で日をご指定ください。

<2月8日の申し入れ事項>
1.原発の廃炉積立不足金など原発コストおよび福島事故に関する損害賠償費(一般負担金)と事故処理・廃炉費など8.3兆円(1月末現在、8.6兆円)を「電気の託送料金」に転嫁する法令改定を行わないでください。

(1)福島事故損害賠償費一般負担金「過去分」2.4兆円を託送料金へ転嫁しないで下さい。これは原子力事業者が原子力損害賠償・廃炉等支援機構へ納付すべきものであり、原子力事業者ではない新電力に納付を義務づけるのは同機構法違反であり、新電力に0.24兆円の納付を義務づける方針は撤回して下さい。

(2)福島事故処理・廃炉費不足金6兆円を「託送料金の超過利潤積立・基金化」で賄う方針は撤回して下さい。
託送料金の超過利潤は本来、託送料金の引き下げによって電力消費者に還元されるべきです。電力消費者に福島原発廃炉費の負担を事実上転嫁するような「電気事業法等の一部を改正する法律附則第九条第一項の規定に基づき一般電気事業者が定める託送供給等約款で設定する託送供給等約款料金の算定に関する省令」等の改定および「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」等の改定を行わないで下さい。

(3)廃炉原発6基の廃炉費積立不足金と未償却資産の計0.2兆円を託送料金へ転嫁しないで下さい。現時点で曖昧にされている福島第一原発5・6号の同費用についても託送料金に転嫁するのはやめて下さい。

2.20兆円を超す福島事故関連費は東京電力と電力会社の責任で負担させてください。それが不可能なら、破産処理など東京電力等に事故の責任をとらせ、国の責任で累進課税に基づき対処してください。

(1)福島事故関連費は21.5兆円に達し、さらに膨れあがることは必至であり、東京電力の負担や電力会社の相互扶助制制度で賄える限度を超えています。この際、東京電力を破産処理し、株主や金融機関のもつ負債(社債2.9兆円、長期借入金1.9兆円、流動負債2.8兆円)を債権放棄させ、純資産2.2兆円と合わせた9.8兆円を福島事故対策に投じて下さい。不足分は、原発による最大の利益享受者である原子力メーカー・電力会社など原子力事業者、鉄鋼・金属産業の大企業メーカーや富裕層により多くの負担を求める法人税や累進課税で賄い、託送料金で低所得層にも一律に福島事故関連費を負担させるのはやめて下さい。

(2)「東電救済になる事故対策は採用できない」という制約を東電破産処理で除去し、原発推進政策で福島事故を導いた歴代政権の責任を認め、脱原発政策に転換した上で、国が前面に立って福島事故対策に当たって下さい。

2・8経産省への署名提出・交渉に参加を!

福島事故関連費と原発コストを「電気の託送料金」に転嫁しないでください!
2・8経産省への署名提出・交渉に参加を!

呼びかけ:若狭連帯行動ネットワーク(事務局)、双葉地方原発反対同盟、原発の危険性を考える宝塚の会、日本消費者連盟関西グループ、関西よつ葉連絡会、安全な食べものネットワークオルター、サヨナラ原発福井ネットワーク、福井から原発を止める裁判の会、吹夢キャンプ実行委員会、福島の子供たちを守ろう関西、さよなら原発神戸アクション、さよならウラン連絡会、おかとん原発いらん宣言2011、原発ゼロ上牧行動、STOP原子力★関電包囲行動、とめよう原発!!関西ネットワーク、さよなら原発なら県ネット、地球救出アクション97、ヒバク反対キャンペーン、さよなら原発箕面市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、環境フォーラム市民の会(豊中)、科学技術問題研究会、さかいユニオン、大阪自主労働組合、社民党福島県連合、フクシマ原発労働者相談センター、日本消費者連盟、原子力資料情報室

事務局連絡先:〒591-8005 堺市北区新堀町2丁126-6-105
若狭ネット資料室 室長 長沢啓行
TEL/FAX 072-269-4561 e-mail ngsw@oboe.ocn.ne.jp

経産省は、福島事故関連費と原発コストの計8.6兆円を電気の託送料金に転嫁しようとしており、私たち29団体は、これに反対する署名活動を呼びかけ、昨年11月中旬から展開してきました。
2ヶ月間に1万筆を超え、さらに拡がっています。
経産省は、「電力システム改革貫徹のための政策小委員会中間とりまとめ」への1ヶ月間の意見募集(パブコメ)を1月17日に締め切り、通常国会に関連法令改定案を提出しようとしています。
私たちはパブコメへの意見応募と署名拡大でこれに反対する声を高めてきました。
事態は切迫しており、2月8日に経産省への署名提出と交渉を行います。
第一次署名集約を行いますので、お手元の署名を至急、久保(送付先は下記)まで送って下さい。
できるだけ多くの署名を積み上げ、国民の強い反対の声をバックに経産省の責任を追及したいと思います。あなたもぜひ、交渉に参加して下さい。
今回の「8.6兆円の託送料金への転嫁」は、東電と電力会社が負担すべき巨額のコストを電力消費者に転嫁する極めてあくどいものです。
それは、また、「21.5兆円からさらに増え続ける福島事故関連費と数兆円もの原発廃炉コストの託送料金への全面的な転嫁」に向けた序章でもあります。
福島事故を起こした東京電力、それを支えてきた株主・金融機関等は何ら責任をとらず、救済され、政府も歴代政権の責任を棚上げにしています。
今こそ、その責任を問い、東電が費用を賄えないのなら東電を破産処理して株主と金融機関等に債権放棄を求め、国民負担を可能な限り軽減した上で、国の責任で事故処理を行うべきです。
にもかかわらず、経産省は今回の法令改定で「東電救済の底なし沼」への道をこじ開け、国民を「際限なき負担の泥沼」へ陥れようとしているのです。
消費者団体、脱原発団体、脱原発政党・議員、新電力などあらゆる力を結集して、その動きを今、食い止めなければなりません。
今なら、まだ間に合います。署名を積み上げて、共に追及しましょう。

呼びかけ文のpdfはこちら
署名用紙原版はこちら
申し入れ文のpdfはこちら

経済産業省への署名提出・交渉
日時:2017年2月8日(水)13:30~15:00
場所:参議院議員会館B105会議室(地下1階)
(地下鉄丸ノ内線「国会議事堂駅前」下車歩5分)

参加希望者は通行証が必要ですので、事前に久保までご連絡下さい。当日は、参議院議員会館の荷物検査を経て、12時過ぎにロビーへ集合し、事前会合(12:30~13:30)からご参加下さい。
原子力規制委員会に対する紹介議員は、社会民主党の福島みずほ参議院議員にお願いしています。
署名は今回第一次集約して提出しますので、至急、久保まで送って下さい。交渉当日持参される方も署名数を久保までご連絡ください。なお、この署名は今通常国会での法令改定を阻止するために継続し、3月以降に第2次提出します。
また、遠方からの交渉参加者には交通費の半額をめどにカンパしたいと思います。交渉成功のため、1口500円で何口でも結構ですのでカンパをお寄せ下さい。

署名集約先:〒583-0007 藤井寺市林5-8-20-401 久保方
TEL 072-939-5660 dpnmz005@kawachi.zaq.ne.jp
http://wakasa-net.sakura.ne.jp/www/(署名用紙原版もこのサイトにあります)

カンパ振込先: 郵便振込口座番号00940-2-100687
(加入者名:若狭ネット)

若狭ネットニュース第164号:今知らないと、将来に禍根を残す「託送料金による東電救済」の秘密

若狭ネットニュース第164号を発行しました。
いよいよ、最終決戦です!「原発コストの託送料金への転嫁」反対署名を1月29日の討論集会(大阪)で集約し、2月初めに提出しますので、最後の踏ん張りをお願いします!

第164号(2016/12/21)(一括ダウンロード2.0Mb
 巻頭言-福島事故関連費と原発コストを「電気の託送料金」に転嫁しないで!署名運動にご協力を!
(1)ママとわかさちゃんの井戸端談義
今知らないと、将来に禍根を残す「託送料金による東電救済」の秘密
(2)地震調査研究推進本部が2016年12月9日に断層モデルのレシピを再改定
レシピ改定の意義と大飯・高浜原発基準地震動への影響
大阪府立大学名誉教授長沢啓行

署名:福島事故関連費と原発コストを『電気の 託送料金』に転嫁しないでください
署名用紙・ダウンロード署名用紙Word版はこちらリーフレット・ダウンロード
署名集約先:〒583-0007 藤井寺市林5-8-20-401 久保方
TEL 072-939-5660 e-mail dpnmz005@kawachi.zaq.ne.jp

呼びかけ団体:若狭連帯行動ネットワーク(事務局)、双葉地方原発反対同盟、原発の危険性を考える宝塚の会、日本消費者連盟関西グループ、関西よつ葉連絡会、安全な食べものネットワークオルター、サヨナラ原発福井ネットワーク、福井から原発を止める裁判の会、吹夢キャンプ実行委員会、福島の子供たちを守ろう関西、さよなら原発神戸アクション、さよならウラン連絡会、おかとん原発いらん宣言2011、原発ゼロ上牧行動、STOP原子力★関電包囲行動、とめよう原発!!関西ネットワーク、さよなら原発なら県ネット、地球救出アクション97、ヒバク反対キャンペーン、さよなら原発箕面市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、環境フォーラム市民の会(豊中)、科学技術問題研究会、さかいユニオン、大阪自主労働組合、社民党福島県連合、フクシマ原発労働者相談センター、日本消費者連盟、原子力資料情報室

<巻頭言>
私たちは、多くの市民団体と力を合わせて、11月8日から街頭や職場で「電気の託送料金への転嫁」反対署名に取り組んでいます。11月19日(土)、26日(土)はJR京橋駅前で署名活動、11月27日(日)「川内原発は二度と動かさない御堂筋デモ」や12月3日(土)「もんじゅを廃炉へ全国集会」(敦賀市)に参加して署名をアピール、12月4日(日)原発ゼロ上牧行動のお世話でJR高槻前で署名活動、12月10日(土)「沖縄に基地は入らないおおさか総がかり集会in扇町公園」で署名活動、12月11日(日)チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西結成25周年集会で署名アピール、12月17日(土)阪神「尼崎駅」周辺で署名活動、12月23日(金:祝)にも11時からJR京橋駅前で年内最後の署名を予定しています。毎回、十数名で署名を行い、まずまずの反応です。「東電や電力会社が責任を持って負担すべきなのに、私たち消費者が負担させられるのはおかしい!」という怒りの声が続々と聴かれます。
全国各地からも署名が届いてきて、徐々に積み上がってきていますが、まだ数万のレベルには届いていません。来年1月末の第一次締切に向けてもう一踏ん張りしたいところです。
この問題が、もっとみんなに明らかになれば、反対署名は広がると確信しています。年末、年始にお会いする人たちにもこの問題を話していただき署名を拡げてください。
がんばりましょう。

託送料金の転嫁は8.3兆円から8.6兆円に

経済産業省は10月内部資料の段階で8.3兆円を託送料金へ転嫁しようと狙っていました。
その一部は断念されましたが、新たに付け加わったり、試算値が増えたりした結果、現時点で8.6兆円が託送料金へ転嫁されようとしています。
当初は、福島事故損害賠償費一般負担金3兆円、福島原発廃炉費4兆円、原発廃炉費積立不足金1.3兆円の計8.3兆円でした。
しかし、福島事故損害賠償費は3兆円の一般負担金の託送料金への転嫁を断念する代わりに一般負担金の「過去分」と称して2.4兆円を新たに託送料金へ転嫁して新電力にも負担させ、福島原発廃炉費は4兆円から6兆円に増え、原発廃炉費積立不足金は震災後廃炉になった原発の分0.05兆円に限定される一方、廃炉時未償却資産0.15兆円が新たに付け加えられ、結果として計8.6兆円に増えました。
今回断念された損害賠償費一般負担金3.3兆円や原発廃炉費積立不足金1.2兆円、未償却原発資産2.5兆円の計7.0兆円は「託送料金への転嫁」予備軍として残されており、今後、機を見て追加される可能性があります。
特に、未償却原発資産は再稼働のための対策工事費が最大3.3兆円も計画されていて、これらが未償却原発資産に追加されれば未償却原発資産は5.8兆円にも増え、計10.3兆円が予備軍として残ることになります。
また、福島原発廃炉費追加分6兆円は溶融燃料デブリを取り出して輸送する費用の見積もりですが、取り出せる技術的根拠もなく致死的高線量下の作業ですのでロボット開発費がかさみ、取り出したあと何十年、何百年と管理し続ける費用を考えると天井が見えないのが実態です。

2016年12月20日原子力災害対策本部決定
損害賠償費       5.4兆円→ 7.9兆円(+ 2.5兆円)
廃炉対策費       2   兆円→ 8   兆円(+ 6 兆円)
除染費             2.5兆円→ 4   兆円(+ 1.5兆円)
中間貯蔵施設費 1.1兆円→  1.6兆円(+ 0.5兆円)
合計                11 兆円→21.5兆円(+10.5兆円)
※交付国債による原賠機構から東京電力への資金援助額は廃炉対策費を除く13.5兆円(現在は9兆円)
東電を破産処理し、債権放棄で資金捻出を!

経済産業省や政府は、「東電をつぶせば損害賠償も廃炉も進まない。」「廃炉が進まないと復興が進まない。」だから、「東電をつぶさず、経営が安定するよう支える」と説明しています。東電も、福島第一原発の廃炉現場へ高校生を見学させた際、「もし、東電が破産したら廃炉事業はどうなるんですか?」と質問する高校生に、「廃炉が進まないと、復興は進まない。東電を潰せばいいと言う人がいるが、東電がやらなくてはほかの誰が(廃炉を)やるのか。そのために3万3千人の社員ががんばっている」(日本経済新聞11月28日)と、得々と答えています。それは間違っています。
そうではありません!
東電を破産処理すれば、私たち電力消費者と国民の負担はずっと軽くなります。
福島事故を起こしたのは東京電力です。東京電力に事故の責任があります。
福島原発でボロ儲けをしてきた東電役員、株主、金融機関は、事故の責任を取らされないまま、すでに5年9か月が過ぎてしまいました。損害賠償費や汚染水対策・廃炉費が膨れあがった今こそ、その責任をキチンと問うべきです。
株主や金融機関のもつ負債、2.9兆円の社債、1.9兆円の長期借入金、流動負債2.8兆円を債権放棄させ、純資産2.2兆円を合わせれば9.8兆円もの資金を生み出せます。これを損害賠償費や廃炉費に投じ、それでも足りない分は、累進課税の税金や大企業の法人税で補填すべきではないでしょうか。
もちろん、その前提として、重大事故の可能性を前提とした原発再稼働を止め、再処理・プルトニウム利用政策を断念すべきです。

損害賠償費一般負担金「過去分」2.4兆円の怪

損害賠償費一般負担金は原子力事業者による相互扶助制度でお金を出し合う形になっているにもかかわらず、自分の利益からは1円も出さず、すべて電気料金のコストに転嫁して回収しています。
にもかかわらず、電力小売の全面自由化が始まると、電気料金が下がって回収できなくなるのを恐れて、規制料金制度が残る「託送料金」にそのまま転嫁して新電力からも回収しようとしているのです。
経産省の説明では「原発重大事故による損害賠償費は原子力発電が始まった約50年前から用意しておくべきだったが、2011年より前には今の相互扶助制度はなかった。この分を『過去分』と呼び、これについては原発を持たない新電力も含めて幅広くすべての電力消費者に支払ってもらう。『過去』には原発による“安い電気”の恩恵を受けたんだから当然だ」と。
全くおかしな話です。もともと、経産省も大手電力も「原発は絶対に重大事故は起こしません」と宣伝し、さらに「原発の電気は安い」と、ウソを言い続けてきたではありませんか。その人たちが、福島事故の責任を棚上げにして、恥じ知らずにも、このような屁理屈をとくとくと述べ、「託送料金」を通して損害賠償費一般負担金の「過去分」の支払いを強要するのです。
絶対に許せません。
経産省がまず一番にやるべきことは、原発重大事故がもたらす甚大な被害を考えれば、「原発を重要なベースロード電源と位置付けたエネルギー基本計画」そのものを撤回することです。
「損害賠償費や福島廃炉費などを電気の託送料金に転嫁する仕組み」を作り上げることではなく、東電を破産処理し、株主や金融機関に債権放棄させて資金を生み出し、事故の責任を明らかにし、責任を取らせたうえで、できる限り国民負担を軽減しながら、国の責任で原子力被災者を全面的に救済し、福島原発廃炉に全力を注ぐことなのです。原発にしがみつき、原発の再稼働をもくろむことではありません。

廃炉費追加分6兆円を「託送料金」へ潜り込ませる

最も膨れ上がったのが、これまで2兆円と見積もられていた廃炉・汚染水対策費です。経産省は8兆円という数値を出していますが、これは、原賠機構(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)が有識者からヒアリングした結果に基づく数値であり、スリーマイル島原発事故の約1,000億円をベースとしてその60倍とみて推定した試算にすぎません。
福島の場合はスリーマイル島原発とは異なり、致死的な放射線量のため近づくことすらできず、デブリがどこにどのように存在しているのかさえ分からないのです。
30~40年で回収するとしていますが、実際のところ、技術的な見通しが全くたたないのです。8兆円という数値は天井知らずに上昇する可能性があるのです。
経産省は、この廃炉費を東京電力管内の「託送料金」を高いままに据え置き、得られた利益を消費者に還元せず、原賠機構に預けて「廃炉基金」にするという方法を編み出しました。この方法が導入されると、電力消費者の知らない間に「託送料金」から廃炉費が回収され、8兆円からさらに膨れあがってもドンドン回収されることになってしまいます。
東京電力管内だけでは資金不足ということになれば、全国の託送料金へ広げられていくことでしょう。それも経産省令を少し修正すれば済むようになってしまうのです。実に巧妙で、国民だましの恐るべき方法です。
今は、「託送料金」の利益が貯まりすぎたり、コスト削減率が5%を超えると託送料金を下げることになっていますので、これを高止まりにできるよう法令を改定しようとしているのです。本来下がるはずの託送料金が高止まりするのですから、電力消費者が知らぬ間に負担させられることになるのです。

世耕経産大臣は「原発は安い」というが、それなら・・・

経済産業省の東京電力改革・F1問題委員会は12月9日、福島原発事故関連費が21.5兆円になるとの試算を示し、その大半を託送料金に転嫁し、新電力を含めて回収する方向性を打ち出しましたが、その3日前に世耕経産大臣は「原発は安い」との発言をくりかえしました。しかし、「安い」のなら原発コストを託送料金に転嫁する必要などないはずです。
立命館大学の大島堅一教授によれば、有価証券報告書に記載された実際の原発コストと今回の21.5兆円の事故コストから計算し直した原発コストは13.1円/kWhになり、火力の9.9円より3円以上高くなったといいます。
つまり、国民にとって、原発は高くつくのです。それが、電力会社にとって安くなるのは、21.5兆円の事故コストを電力消費者や国民に転嫁できるからです。
電力会社の実際の負担にならない限り、原発のコストが高くても、電力会社にとってのコストにはならないのですから。
重大事故を起こした東電と原発を推進する電力会社を救済するため、経産省は「福島事故関連費や原発コストを託送料金へ転嫁する仕組み」作りに躍起となっています。
今、その動きを止めなければ大変なことになります。30年、40年と続く「最悪の国民への負担転嫁プログラム」が作られ、動き始めようとしているのですから。
この動きを押しとどめ、明るい社会を子や孫にバトンタッチするためにも「電気の託送料金に転嫁しないでください」の署名に全力を挙げましょう。
2017年1月末が署名の第一次締切です。2月初めに経産省へ提出し、追及します。
そのための署名集約討論会を1月29日に開きます。
ぜひご参加下さい。署名へのみなさんの一層のご支援をお願いします。

「電気の託送料金」への原発コスト転嫁反対署名にご協力ください!

呼びかけ団体:若狭連帯行動ネットワーク(事務局)、双葉地方原発反対同盟、原発の危険性を考える宝塚の会、日本消費者連盟関西グループ、関西よつ葉連絡会、安全な食べものネットワークオルター、サヨナラ原発福井ネットワーク、福井から原発を止める裁判の会、吹夢キャンプ実行委員会、福島の子供たちを守ろう関西、さよなら原発神戸アクション、さよならウラン連絡会、おかとん原発いらん宣言2011、原発ゼロ上牧行動、STOP原子力★関電包囲行動、とめよう原発!!関西ネットワーク、さよなら原発なら県ネット、地球救出アクション97、ヒバク反対キャンペーン、さよなら原発箕面市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、環境フォーラム市民の会(豊中)、科学技術問題研究会、さかいユニオン、大阪自主労働組合、社民党福島県連合、フクシマ原発労働者相談センター、日本消費者連盟、原子力資料情報室(呼びかけ団体に「さかいユニオン」と「日本消費者連盟」が2016年11月8日夜に加わりました。「大阪自主労働組合」が2016年11月16日に加わりました。「社民党福島県連合」、「フクシマ原発労働者相談センター」が2016年11月20日に加わりました。)

署名集約先:〒583-0007 藤井寺市林5-8-20-401 久保方
TEL 072-939-5660 e-mail dpnmz005@kawachi.zaq.ne.jp

第164号(2016/12/21)
巻頭言-福島事故関連費と原発コストを「電気の託送料金」に転嫁しないで!署名運動にご協力を!
ママとわかさちゃんの井戸端談義
今知らないと、将来に禍根を残す「託送料金による東電救済」の秘密

福島廃炉費等の託送料金への転嫁反対署名第一次集約・討論集会
第1次署名を集約し、経産省への2月申し入れを検討します。
日時:2017年1月29日(日)午後1時半~4時半
場所:大阪府谷町福祉センター第3会議室
(地下鉄谷町線「谷町6丁目」駅6番出口から徒歩5分)

私たちは、経産大臣宛の署名「福島事故関連費と原発コストを『電気の 託送料金』に転嫁しないでください」を始めました。
第一次締切は2017年1月31日で、2017年初の通常国会会期中に提出します。
政府と電力会社の理不尽な横暴を止めるため、ぜひ、ご協力ください。

福島事故関連費と原発コストを『電気の 託送料金』に転嫁しないでください

署名用紙・ダウンロード署名用紙Word版はこちらリーフレット・ダウンロード(呼びかけ団体に「さかいユニオン」と「日本消費者連盟」が2016年11月8日夜に加わりました。「大阪自主労働組合」が2016年11月16日に加わりました。。「社民党福島県連合」、「フクシマ原発労働者相談センター」が2016年11月20日に加わりました。)

政府と九電力会社・電気事業連合会は、原発の廃炉積立不足金1.3兆円、福島事故損害賠償費(一般負担金)3兆円、福島事故処理・廃炉費4兆円の計8.3兆円を「電気の託送料金」に転嫁し、新電力契約者を含めたすべての電力消費者に負担を義務づけようとしています。
2017年初の通常国会で、そのための法令整備を行い、費用が増えても自動的に負担額を増やせるようにしようとしています。
私たちはこれに反対します。
この8.3兆円は本来、福島事故に責任をもつべき東京電力や原発を有する九電力会社が自らの経営努力で負担すべきものであり、原発を持たない新電力から競争力を不当に奪い、電力自由化の趣旨に反します。
東京電力にはすでに9兆円(損害賠償費5.4兆円、除染費2.5兆円、中間貯蔵施設1.1兆円)の資金援助が進められていますが、東京電力と電気事業連合会は、これでも損害賠償費2.6兆円、除染費4.5兆円の計7.1兆円が不足するとして、国にさらなる支援を求めています。
福島事故処理・廃炉費についても、東電の経営努力で2兆円が準備されていますが、4兆円が不足すると東電は主張し、これに対しても国に支援を求めています。
これらを合わせると、福島事故関連費は22.1兆円に達し、さらに増えることは避けられません。
事故を起こした東京電力とそれを支え、共に推進してきた電力会社、株主、銀行・金融機関そして歴代政権は、事故の責任を何ら明らかにせず、責任をとらず、とろうともしていません。
そのようなままで、なし崩し的に電力消費者や国民に20兆円を超えるツケを回すのは許せません。
「電力自由化を機に新電力に切り替え、原発の電力を使わない選択をした電力消費者」に原発コストの負担を義務づけるのはもってのほかです。
経産省は新電力や消費者団体に反対され、ごまかすための策を弄していますが、原点に立ち返るべきです。
私たちは福島事故関連費や原発コストを電気の託送料金に転嫁して電力消費者に負担を義務づけることに反対し、次のことを求めます。
1.原発の廃炉積立不足金など原発コストおよび福島事故に関する損害賠償費(一般負担金)と事故処理・廃炉費など8.3兆円を「電気の託送料金」に転嫁する法改正を行わないでください。
2.20兆円を超す福島事故関連費は東京電力と電力会社の責任で負担させてください。それが不可能なら、破産処理など東京電力等に事故の責任をとらせ、国の責任で累進課税に基づき対処してください。

若狭ネットニュース第163号を発行しました

若狭ネットニュース第163号を発行しました。

第163号(2016/11/8)(一括ダウンロード4.5M
巻頭言-どうして8.3兆円を電気の託送料金へ転嫁するの? おかしいよ!
電力消費者に負担を押しつけないで!
「電気の託送料金」への原発コスト転嫁反対署名を拡げよう!
(1)生物多様性アクション大賞 「たべよう」部門 優秀賞受賞
(株)森と暮らすどんぐり倶楽部 代表 松下 照幸
(2)島崎氏による問題提起の顛末 — 「結論ありき」で情報操作 を行う原子力規制庁とそれを見抜けない原子力規制委員会
大阪府立大学名誉教授 長沢啓行 (生産管理システム)

<巻頭言>

「電気の託送料金」への原発コスト転嫁反対署名を拡げよう!

私たちは、24の呼びかけ団体(11月16日現在25団体になっています)で、経産大臣宛の 下記署名「福島事故関連費と原発コストを『電気の 託送料金』に転嫁しないでください」を始めました。

福島事故関連費と原発コストを『電気の 託送料金』に転嫁しないでください

署名用紙・ダウンロード署名用紙Word版はこちらリーフレット・ダウンロード(呼びかけ団体に「さかいユニオン」と「日本消費者連盟」が2016年11月8日夜に加わりました。「大阪自主労働組合」が2016年11月16日に加わりました。。「社民党福島県連合」、「フクシマ原発労働者相談センター」が2016年11月20日に加わりました。)
政府と九電力会社・電気事業連合会は、原発の廃炉積立不足金1.3兆円、福島事故損害賠償費(一般負担金)3兆円、福島事故処理・廃炉費4兆円の計8.3兆円を「電気の託送料金」に転嫁し、新電力契約者を含めたすべての電力消費者に負担を義務づけようとしています。
2017年初の通常国会で、そのための法令整備を行い、費用が増えても自動的に負担額を増やせるようにしようとしています。
私たちはこれに反対します。
この8.3兆円は本来、福島事故に責任をもつべき東京電力や原発を有する九電力会社が自らの経営努力で負担すべきものであり、原発を持たない新電力から競争力を不当に奪い、電力自由化の趣旨に反します。
東京電力にはすでに9兆円(損害賠償費5.4兆円、除染費2.5兆円、中間貯蔵施設1.1兆円)の資金援助が進められていますが、東京電力と電気事業連合会は、これでも損害賠償費2.6兆円、除染費4.5兆円の計7.1兆円が不足するとして、国にさらなる支援を求めています。
福島事故処理・廃炉費についても、東電の経営努力で2兆円が準備されていますが、4兆円が不足すると東電は主張し、これに対しても国に支援を求めています。
これらを合わせると、福島事故関連費は22.1兆円に達し、さらに増えることは避けられません。
事故を起こした東京電力とそれを支え、共に推進してきた電力会社、株主、銀行・金融機関そして歴代政権は、事故の責任を何ら明らかにせず、責任をとらず、とろうともしていません。
そのようなままで、なし崩し的に電力消費者や国民に20兆円を超えるツケを回すのは許せません。
「電力自由化を機に新電力に切り替え、原発の電力を使わない選択をした電力消費者」に原発コストの負担を義務づけるのはもってのほかです。
経産省は新電力や消費者団体に反対され、ごまかすための策を弄していますが、原点に立ち返るべきです。
私たちは福島事故関連費や原発コストを電気の託送料金に転嫁して電力消費者に負担を義務づけることに反対し、次のことを求めます。
1.原発の廃炉積立不足金など原発コストおよび福島事故に関する損害賠償費(一般負担金)と事故処理・廃炉費など8.3兆円を「電気の託送料金」に転嫁する法改正を行わないでください。
2.20兆円を超す福島事故関連費は東京電力と電力会社の責任で負担させてください。それが不可能なら、破産処理など東京電力等に事故の責任をとらせ、国の責任で累進課税に基づき対処してください。

電気の「託送料金」とは?
新電力などの小売事業者が電気を家庭に売るためには送電線を使って電気を送る必要があります。
その送電線使用料が「託送料金」で、電気代に含まれます。
電力会社の送配電事業者が経産省の審査を受けて、「託送料金」が決められますが、地 域ごとに異なり、家庭等の低圧電力では、東京で8.57円/kWh、関西で7.81円/kWhです。
原発を持た ない新電力の電気代には原発コストは入っていませんが、今回の「8.3兆円の原発コストの託送料金への転嫁」が決められると、新電力へ切替えたとしても、原発コストを負担させられることになってしまうのです。
それは、原発を持たない新電力から競争力を不当に奪うことになります。
今回の法令改定でその枠組みが決められるた め、今後も増え続ける福島事故関連費が、知らぬ 間に、どんどん託送料金へ上乗せされていく恐れ があります。
2005年10月に再処理積立金制度が改 定された際、それまでの使用済核燃料分については「例外的に15年間に限り託送料金に上乗せして回収する」ことになりましたが、今回の「託送料金への原発コスト転嫁」制度によって、これが恒常化し、電力会社の廃炉費等だけでなく、再処理費、高レベル放射性廃棄物処分費などの原発コストも次々と転嫁されていくことになります。このような原発優遇の理不尽な転嫁は断じて許せません

この署名は来年の通常国会会期中に提出するため、第一次締め切りを1月31日としています。状況によってはそれ以降も続けますが、予断を許しません。
一人でも多くの声を政府に届け、電気の託送料金への原発コスト転嫁をやめさせるため、署名の拡大にご協力ください。

年内とりまとめ、来年通常国会で法令改定

経済産業省は今、「東京電力改革・1F問題委員会」で「東電救済と言われない事実上の救済策」を検討し、「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」の下に「財務会計ワーキンググループ」と「市場整備ワーキンググループ」の2つを設けて「福島原発事故処理・廃炉・汚染水対策費や損害賠償費などを巧みに託送料金へ転嫁して事実上東電を救済する仕組み」を検討しています。
このドサクサに紛れて、九電力会社の原発コスト(廃炉費積立不足金や未償却資産の廃炉後回収)を託送料金へ転嫁しようとしています。年内には報告書をとりまとめ、来年早々の通常国会で法令改定を行い、「東電救済・電力会社優遇の託送料金」を実現させようとしています。
しかし、新電力や消費者団体などから反対の声が強く、経済産業省の思惑通りには進んでいません。
「原則として東京電力や電力会社の負担とし、新電力には負担させない」と報道させる一方、「廃炉になった原発は特例にする」とか、「損害賠償費(一般負担金)については今後、新電力にも一定の負担を求める」とか、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構に基金を設けて東電1社に積み立てさせ、託送料金で巨額の利益が出ても利用者へ還元せず基金へ回させ、足りない分は機構が一時的に立て替え、後で返済させる」とか、託送料金への転嫁の仕組みがどうなるのかが非常に見えにくく、わかりにくい議論が進められつつあります。これは経済産業省の得意な、国民だましのあくどいやり方です。
いずれにせよ、福島事故関連費と原発コストの計8.3兆円を託送料金に転嫁しないと、東電は破産し、電力会社も電力自由化の下で危機に瀕することだけは確かです。だから、必死なのです。経済産業省の巧妙な手口にだまされず、東電救済と電力会社優遇の託送料金への改定を許さないため、署名拡大にご協力ください。
11月23日(水:祝日)にはそのための討論集会を開きます。ふるってご参加ください。

これ以上の東電救済は許せない!

今回の「託送料金」制度の見直しは、東電救済策と不可分です。これを検討する「東京電力改革・1F問題委員会」では、福島原発事故関連費について①国が肩代わりして東電は現状維持、②公的資金を投入して東電は長期公的管理、③国が東電を放置して東電は法的整理、④国が必要な対応を行って東電は改革を実行、という4つのシナリオのうち、最初から④以外の選択肢を排除した上で、④の改革の方針を検討しているのです。③ のシナリオで明らかなように「このまま放置すれば東電は破綻する」のであり、これを選択肢から外して「東電を破綻処理しない」ことを最初に確認しているのです。
また、福島原発事故関連費を「国が肩代わり」したり「公的資金を投入する」ことには国民の理解が得られないことから、①②の選択肢を外し、東電が自力で費用負担するかように見せかけて費用を捻出するための「国の対応」を検討し、それに合わせた改革を東電が実行するという④の選択肢を検討しているのです。
その柱が「託送料金」制度の見直しであり、柏崎刈羽原発の再稼働で東電の経営を立て直すことなのです。何のことはない、東電の事故責任を棚上げにして、託送料金を通して電力消費者にわからないよう8.3兆円の費用を吸い上げ、東電が原発を動かせるように条件整備を行うことが「東京電力改革・1F問題委員会」の任務になっているのです。
柏崎刈羽原発を東電が動かすことへの反対は、新潟県知事選で明らかなように地元でも根強く、運転主体を東電以外の別会社にする以外にありません。そのために考案されたのが「原子力事業の別会社への分離」案ですが、同じ沸騰水型原発を有し今後連携を求められる東北電力と北陸電力は二の足を踏んでいます。日本原子力発電は生き残りをかけてこれにのる可能性がなきにしもあらずですが、株主の九電力会社は自社原発の再稼働に手を取られている状況で、火中の栗である連携をすんなり受け入れるかどうは不明です。

託送料金への原発コスト転嫁反対署名の拡大を!

フクシマ事故が5年半を経た今なお、原発再稼働に反対する国民の声は過半数を占め、鹿児島県と新潟県での相次ぐ原発再稼働慎重派知事の誕生、再稼働を認めない判決や仮処分決定など、多くの人々の「脱原発への願い」が結実してきています。
国民の脱原発への努力は「節電」にも現れ、猛暑や厳寒の中でも電力需要は減少し、電力がだぶついています。再稼働を強行した九州電力は、川内原発の電力が余ったため「オール電化の宣伝」を強め電力消費を促しています。何のための再稼働だったのかは明らかです。電力不足とは無関係で、電力会社の利潤追求のためなのです。その利潤も福島原発事故関連費や廃炉費などの負担がかさむと帳消しになるため、託送料金制度で電力消費者に転嫁しようとしているのです。こんなことは許せません。
これ以上の東電救済を許さず、東電を破産処理し、東電をはじめ電力会社、株主、銀行・金融機関そして歴代政権の責任を明確にした上で、国の責任で累進課税に基づき対処すべきです。ドイツ、台湾に続き、脱原発の方針を明確に打ち出すべきです。
そのためにも、今回の「託送料金」制度の改悪を阻止しましょう。そのため、署名拡大にご協力下さい。

原発は「安かった」はずでは?
原発の発電コストについて、経産省は、相変わらず「2014年に1キロワット時当たり10.1円と、他の電源に比べて安いと試算し、原発事故対応費用が1兆円増えても発電コストに与える影響は同0.1円以下にとどまり、原発の優位性は保たれる。」と公言しています。
「安い」というのは、机上の空論です。原発が重大事故を起こさず、年70%稼働すると仮定しての試算であり、フクシマ原発事故以降の稼働率はゼロまたはゼロに近いのです。経産省の役人も「稼働率をどう置くのかは難しい」と認めています。
安いどころか、フクシマ事故以降は原発の維持・管理費すら工面できず、電気料金値上げでしのいできたのです。美浜1・2号や敦賀1号の廃炉で原発の維持・管理費が浮き、電気料金をその分下げられるようになった事実(関電はサボタージュ)を見れば明らかなように、「原発を廃炉にすれば安くつく」状態になっているのです。
では、どうして「原発は安い」と「ウソ」をつくのでしょうか。それは、原発が事故を起こさず、40年以上高稼働率で運転し、巨額の廃炉積立不足金や廃炉時点で減価償却の済んでいない原発資産、使用済核燃料の再処理費、高レベル放射性廃棄物処分費を電気料金に転嫁して回収できれば、「電力会社にとっては安く」つくからです。
しかし、福島第一原発事故では、東電や電事連の試算でも事故処理・廃炉費や損害賠償・除染費は20兆円を超えるとされており、これを東京電力や九電力会社だけで負担するとなれば「電力会社にとって安い」とはとても言えません。
また、40年で廃炉になってしまうと、廃炉費積立金すら賄えません。何となれば、原発の「安い」コストは、原発重大事故を起こさず、40年以上、70%以上の設備利用率で稼働することが前提だからです。フクシマ事故以降は、その前提が崩れているのです。
ところが、フクシマ事故処理・廃炉・損害賠償費や廃炉費などを「電気の託送料金」に転嫁して原発の稼働とは無関係にこれらを回収できれば、新電力との競争力も回復して、原発は息を吹き返し、「電力消費者にとっては高くても、電力会社にとっては安く」なり、電力会社が原発で儲けられるようになるのです。
これは、原発コストを電力消費者に強制的に転嫁して初めて得られる「電力会社の利益」です。私たち電力消費者は、こんな理不尽な原発コストの転嫁を許せるでしょうか。
フクシマ事故が繰り返されても、電力会社の負担できない事故処理費などを私たち消費者が全面的に引き受ける前例を作ることになってしまいます。
それは原発再稼働を促し、重大事故を顧みない電力会社のモラルハザードを一層高めてしまうでしょう。

「パリ協定」の即時批准、再生可能エネ大幅増と原発ゼロを求める対政府交渉にご参加下さい

呼びかけ:地球救出アクション97、若狭連帯行動ネットワーク、原発の危険性を考える宝塚の会、奈良脱原発ネットワーク、ヒバク反対キャンペーン、科学技術問題研究会、原子力資料情報室
賛同団体:日本山妙法寺、長崎県退職女性教職員の会、さかいユニオン、国際女性年連帯委員会、戦争!あかん尼崎女たちの会、双葉地方原発反対同盟、 原発はごめんだヒロシマ市民の会、みどり奈良(2016年5月22日現在)

私たちは、内閣総理大臣、環境大臣、経済産業大臣宛の署名—「パリ協定」の即時批准、再エネ大幅増と原発ゼロを要求する署名(署名用紙はこちら)—を呼びかけ、下記の内容を政府に求めてきました。

1 「パリ協定」の即時批准、大幅な炭素税の導入など国内対策の整備
2 原発ゼロ・脱石炭火力、再生可能エネルギー40%以上への「エネルギー基本計画」の作り直し
3 日本の約束草案の「2030 年にCO2 排出40%以上削減(1990 年比)」への作り直し
4 再生可能エネルギー固定価格買取制度の継続と優先接続、及び電力送配電網の国による整備と公有化

10月25日午後1時から参議院議員会館にて、この署名を提出し、別紙公開質問状(公開質問状はこちら)に基づいて政府の責任を追及したいと思います。

経産省に対しては、原発費用の電気託送料金への上乗せ、福島事故除染の公共事業化問題を追及したいと考えています。

環境省には署名提出(第1回は経産省に提出)とパリ協定批准の遅れ、石炭火力問題を問いたいと思います。

福島みずほ社民党参議院議員に紹介議員になって頂いています。

あなたも、ぜひ、ご参加下さい。なお、署名された署名用紙をお持ちの方は10月24日必着で送って頂くか、当日、参議院議員会館へお持ち下さい。

sangiin場所:参議院議員会館地下1階 B108
日時:2016年10月25日(火)午後1時~4時
(参加される方は12時30分に参議院議員会館玄関ロビーへ集合してください)
交渉時間予定:
13時00分~14時30分 経産省
14時45分~15時45分 環境省 署名提出
15時45分~16時00分 まとめ

連絡 地球救出アクション97 稲岡美奈子 072-336-7201
当日(13時まで) 090-7090-1857

若狭ネットニュース第162号を発行しました

若狭ネットニュース第162号を発行しました。

第162号(2016/9/24)(一括ダウンロード1.6M
巻頭言-これ以上、東電を救済するな!原発コストの託送料金繰入=新電力への転嫁反対!東電を破産処理し、国の責任で廃炉・汚染水対策を!原子力被災者への賠償を原発再稼働で賄うな!柏崎刈羽原発再稼働反対!福島第二原発廃炉!東電が弁済すべき除染費を公共事業費で代替するな!
「もんじゅ」即刻廃炉!プルトニウム利用政策を転換し、再処理工場の閉鎖を!電源三法を廃止し、原子力予算を大幅に削減せよ!
【若狭ネット結成25周年特別企画2016.9.4】福井と関西から25年の運動を振り返り、脱原発を展望する 
(1)若狭ネット25年の闘い 報告若狭ネット久保良夫
(2)福井からの報告 山崎隆敏(武生市)田代牧夫(敦賀市)松下照幸(美浜町)石地優(若狭町)

<巻頭言>
これ以上、東電を救済するな!原発コストの託送料金繰入=新電力への転嫁反対!東電を破産処理し、国の責任で廃炉・汚染水対策を!原子力被災者への賠償を原発再稼働で賄うな!柏崎刈羽原発再稼働反対!福島第二原発廃炉!東電が弁済すべき除染費を公共事業費で代替するな!
「もんじゅ」即刻廃炉!プルトニウム利用政策を転換し、再処理工場の閉鎖を!電源三法を廃止し、原子力予算を大幅に削減せよ!

資金援助がなければ、すでに破産状態の東京電力

今から、3年前の2013年12月20日、安倍政権は閣議決定で、東京電力への資金援助のための交付国債を5兆円から9兆円へ引上げました。その内訳は、損害賠償費5.4兆円(個人・会社等への損害賠償)、除染費2.5兆円(帰還困難区域の除染費を除く)、中間貯蔵施設1.1兆円でした。ところが、図1のように、2016年3月に認定された「新・総合特別事業計画」では、損害賠償額は6.44兆円にのぼり、すでに1兆円を超えています。除染費は1.22兆円しか計上されていませんが、これは閣議決定の除染費で見積もっている「計画分」以外は払わないと東電が主張しているからです。実際には、国・自治体の前払い除染費は
約1.8兆円に達し、うち約7千億円が東電へ請求されていますが、東電は4,800億円しか払っていません。
住宅近くの森林をキチンと除染したり、帰還困難区域の除染が始まると除染費は大きく膨らみます。
また、先の閣議決定では福島第一原発の廃炉・汚染対策費は東電負担とされ、東電が資産売却やコスト削減で2兆円を捻出することになっていましたが、それでも足りず、さらに4兆円が必要だと見積られています。実際には廃炉法も未定で見積は不可能です。
これらを考慮すれば、東電の当面の資金不足額は5兆円を超え、今後の損害賠償・除染・廃炉・汚染水対策次第で、その2倍以上に膨れあがる可能性があります。東電はすでに破産状態にあると言っても過言ではありません。現に、石油価格下落で一時的に黒字へ転化したとは言え、東電の株価は図2のように事故直前の1/5の水準に留まったままであり、電力小売自由化の下で下落傾向にあります。このまま放置すれば、破産するのは時間の問題でしょう。
広瀬直己東電社長は9月20日、炉心溶融隠蔽問題等で福島県庁に呼び出され、県や周辺13市町村からの申し入れを受けた際、「東電は福島への責任を果たすため破綻を免れ、存続が許された会社だ。」(福島民報2016.9.21)と述べたそうですが、これ以上の「存続」は許されません。新たな救済策を国が行わなければ、早晩、破産処理を余儀なくされるのです。なぜ、今、東電を救済し、被災者や国民に一層の負担を強いることが許されるのでしょうか。
今こそ、東電を破産処理し、東電と東電を支援した株主・金融機関に事故責任を取らせ、原発推進政策をとり続けたためにフクシマ事故を導いた国の責任を明確にし、二度とフクシマを繰り返さないことを誓った上で、国の責任で、すべての被災者に手厚い損害賠償を行い、生活圏では1mSv/年未満となるまでの十分な除染を行い、国が前面に立って「東電救済」の枠にとらわれない形での廃炉・汚染水対策を進めるべきです。

東電救済などもってのほか!
原発コストの新電力契約者への転嫁は許せない

にもかかわらず、東電の要請を受けて、国民負担による3つの東電救済策が検討され始めました。
その第1は、東電が負担すべき4兆円の追加廃炉費を電力消費者に転嫁し、電気料金で徴収することです。あろうことか、これを電気料金の3~4割を占める送配電使用料=「託送料金」の一部に加算することで、新電力と契約した電力消費者からも徴収することが目論まれています。そのついでに、今は原発のコストに繰り入れて電力会社が電気料金で回収している廃炉積立不足金1.3兆円と損害賠償費の一般負担金3兆円を「託送料金」に加算し、新電力と契約した電力消費者からもこれらの原発コストを徴収しようとしているのです。原発を止めるために九電力から新電力へ契約を替えても、その意思は無視され、原発のコストを払わされるのです。
その分だけ新電力に対する原発の競争力が高まるという仕掛けです。しかも、合計8.3兆円にのぼるこれら費用が今後さらに増えても、自動的に託送料金へ組込まれる仕組が導入されようとしているのです。
経済産業省は「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」を設置し、9月27日初会合から年内に最終提言をまとめさせ、来年の通常国会で法制度改正を行おうとしています。これに平行して「東京電力改革・1F問題委員会(通称・東電委員会)」を設置し、福島第一原発廃炉費負担や東電経営改革の在り方を検討し、年内に提言の原案、年度内に最終提言をまとめさせ、法制度改正案に反映させようとしています。経済産業大臣が行う「市場の制度づくり」に「意見・建議」を行う「電力・ガス取引監視等委員会」でも、制度設計専門会合の下に「送配電網の維持・運用費用の負担の在り方検討ワーキング・グループ」が設置され、9月16日から検討が始まりました。こちらは年度内に基本方針、2017年度詳細設計、2020年度施行を目指していますが、当然、本来は電気料金で徴収すべきコストが託送料金に繰り入れられることの是非が徹底討議されるべきでしょう。

2.5兆円を超える除染費は公共事業で国が負担

第2に、2.5兆円を超える計画外の除染費について、国は東電救済のため、福島復興の公共事業として来年度予算に計上しようとしています。概算要求段階では、自民党内で意見対立が表面化し、河野太郎議員など複数の自民党議員がこれに反対して東電負担を求めため、「要求項目」だけが計上されていますが、政府予算段階で金額が計上されるのではないかと危惧されます。実際、その後の与党第6次提言を受けて、原子力災害対策本部復興推進会議が8月31日に決定した「帰還困難区域の取扱いに関する考え方」では「帰還困難区域のうち、5年を目途に、線量の低下状況も踏まえて避難指示を解除し、居住を可能とすることを目指す『復興拠点』を、各市町村の実情に応じて適切な範囲で設定し、整備する。」「整備にあたっては、除染とインフラ整備を一体的かつ効率的に行う。」とあります。
復興の名の下に国民の税金で東電救済が公然と行われようとしているのです。しかも、政府は「効率的でない除染」はほどほどにして、20mSv/年未満なら帰還させる政策を強行し、汚染度が高いまま住民を帰還させ、損害賠償費を打ち切ろうとしているのです。
被災者に精神的・経済的苦痛を強い、低線量被曝の危険にさらすような住民帰還政策は被災者に寄り添ったものでは到底ありません。ましてや、それが東電救済と一体のものとして進められるのは我慢できません。

原子力被災者に原発で賠償するのは許せない

第3に、5.4兆円を超えて増え続ける損害賠償費を賄い、業績改善で東電株を引上げて3.5兆円の株売却益が上がるようにするため、東京電力は柏崎刈羽原発を再稼働させようと必至になっています。柏崎刈羽6・7号は135.6kWのABWRであり、これらを再稼働すれば1基で1千億円/年の収支改善効果があると見なしているのです。泉田知事を立候補撤回に追い込んだ「影の力」はここにあるのです。
東京電力は破産寸前であり、破産を免れるために一層の支援を国に要請し、損害賠償費を稼ぐために原発を再稼働させるなどもってのほかです。何より、東電には原発を運転する資格などありません。震災前に15.7mの津波を東電社内で試算しながら防潮堤等が高くつくという理由から対策をとらないまま炉心溶融事故を招き、炉心が溶融しているとわかっていても「炉心溶融」を隠蔽し続けました。炉心溶融の社内判断基準があるにも関わらず、「基準は存在しない」と嘘をつき、現場では「炉心損傷度合」だけを報告させるマニュアルを徹底させ、「炉心溶融」を隠蔽し続けたのです。震災後は福島県の意向に逆らって福島第二原発の廃炉を先送りにし、福島第一原発の廃炉・汚染水対策がうまくいっていないにもかかわらず、柏崎刈羽原発の再稼働を狙うなどもってのほかです。原子力規制委員会ですら、福島第二原発の警報器を「意図的に停止」させていた核物質防護規定違反では、9月12日に「組織的な管理機能が低下している」と指摘しているほどです。
東電を存続させたままでは廃炉・汚染水対策もうまくいきません。今や破綻が明白になった凍土遮水壁も、地下水の流れを変える通常の土木工事では「東電救済」になるため、「成功するかどうか不明な研究開発なら国費を投入できる」という理由で選択されたものです。案の定、凍結開始から5ヶ月経っても遮水できないばかりか、台風で雨量が増えると凍結箇所が部分的に溶け、すだれ状態になっています。8月末から9月中旬の地下水の建屋流入量は400トン/日、地下水ドレンからの建屋移送量も400トン/日で、合計800トン/日になり、1年前に逆戻りです。345億円の税金が無駄になり、2,200人の作業者が平均15.3mSv、合計33.7人Sv(3名が将来ガン・白血病死する被曝量)も不要な被曝を強いられたのです。
もはや東電を生かしておく理由は何もありません。
これ以上の「東電救済」は容認できません。今こそ、国は東電を破産処理し、被災者救済と廃炉・汚染水対策に全力を注ぐべきです。「20mSv/年未満なら帰還させる」方針を撤回し、被災者への手厚い賠償と健康手帳交付による医療・生活保障を行うべきです。

「もんじゅ」廃炉からプルトニウム利用政策転換へ

政府は9月21日、原子力関係閣僚会議を開き、「今後の高速炉開発の進め方について」を決定しました。「『もんじゅ』については、廃炉を含め抜本的な見直しを行うこととし、その取り扱いに関する政府方針を、高速炉開発の方針と併せて、本年中に原子力関係閣僚会議で決定する」というものです。遂に、1.2兆円をつぎ込んだ「もんじゅ」に終止符が打たれようとしています。「もんじゅ」の再稼働に6,000億円がつぎ込まれずにすんだこと、軽水炉原発を遙かに超える高速増殖炉による重大事故の危険から解放されたことは実に喜ばしいことです。1997年に福井で「もんじゅを動かさないでください」との22万人の県民署名が集約されてから19年目、2003年に名古屋高裁金沢支部で「もんじゅ」の設置許可処分無効確認判決が出されてから13年目の勝利です。
政府は「高速炉開発を取り巻く環境について、近年、大きな情勢の変化があった」としていますが、「もんじゅ」廃炉の直接的な契機は、「オールジャパンの推進体制が内部崩壊していた」ことです。電力会社やメーカーは高速増殖炉には実用化・ビジネス化の見通しがなく、フクシマ事故と電力自由化で自らの足下すら危ういことから、日本原子力研究開発機構に替わる運営主体への参加を拒否したのです。政府は「国内の高速炉開発の司令塔機能を担うものとして、新たに『高速炉開発会議(仮称)』を設置する」としていますが、形式的なものに終わらざるを得ないでしょう。政府はあくまでも、「核燃料サイクルを推進するとともに、高速炉の研究開発に取り組むとの方針を堅持する。」としていますが、技術的にも財政的にも行き詰まっているのは明白です。
東京新聞(2016.9.22)によれば、「もんじゅ」を中心とした核燃料サイクルに少なくとも12.2兆円がつぎ込まれましたが、これを機にプルトニウム利用政策を転換させ、原子力予算を大幅削減すべきです。その財源となってきた電源三法交付金制度を廃止し、東電を破産処理した上で、福島第一原発の廃炉・汚染水対策に振り替えるべきです。

10.26反原子力デーを全国一斉に闘おう

破産寸前の東京電力にとどめをさすため、また、「もんじゅ」廃炉方針決定を機に原発・核燃料サイクル政策を抜本的に転換させるため、東電救済策の導入反対!東電を破産処理し国の責任で被災者救済と事故処理を!『もんじゅ』即刻廃炉!プルトニウム利用政策転換と原子力予算大幅削減!を掲げ、国会に働きかけ、電力会社・政府と対決しましょう。
若狭ネットは今年9月に結成25年を迎えました。
25年間の運動の成果がようやく見える形になってきたように思えます。25年間を振り返り、反省し、今後につなげていきたい。フクシマを繰り返す前に何としても脱原発を実現したい。私たちも、10.26反原子力デーの一環として関西電力本社への申し入れ行動を行います。ふるってご参加ください。できれば申し入れ文を持ってきてください。一緒に提出しましょう。

<コラム>東電が払うべき損害賠償額は「一般負担金」で電力消費者に転嫁されている!

9兆円の交付国債の回収は、次のように行われる。損害賠償額5.4兆円は電気料金で毎年1,630億円(一般消費者から徴収するため「一般負担金」と呼ばれる)と500億円(東電から徴する「特別負担金」)の合計2,130億円を回収し続ける。除染費2.5兆円は東電株売却益で賄う。中間貯蔵施設1.1兆円は電源開発促進税で一旦賄い事業終了後に東電に求償する。2015年3月に会計検査院が、この資金回収計画を検討し、東電の株価次第で、電力消費者の負担が増えることを示唆し警告している。
フクシマ事故後、国が約33.3億株を1兆円で買い取り、東電を事実上国有化したが、当時の株価は約300円、これを売却して2.5兆円の売却益を得るには株価が1,050円になる必要がある。しかし、図2の通り、事故後はこの水準に一度も届かず、2016年9月21日現在430円にすぎない。そこで、会計検査院は株売却益を1.5兆円、2.5兆円、3.5兆円の3通りを検討し、特別負担金を毎年500億円とした場合に、一般負担金はそれぞれ5.0兆円(~2034年度)、4.4兆円(~2038年度)、3.7兆円(~2044年度)になるとしている。2016年度末までに徴収される一般負担金は8,343億円になるとみられ、2017年度以降の残高はそれぞれ4.2兆円、3.6兆円、2.9兆円になる。したがって、経済産業省が託送料金へ繰り入れようとしている損害賠償の一般負担金3兆円は株売却益が3.5兆円相当になることを仮定したものである。
現に、2013年閣議決定後の東電の「新・特別事業計画」では、「2020年代初頭までに年間1,000億円規模の利益を創出し、2030年代前半までに年間3,000億円規模の利益を創出し、4.5兆円を上回る規模の株式価値を実現」するとしているが、これは株売却益3.5兆円、すなわち、平均株価が現在の3倍以上の1,350円に上がることが前提になっている。
また、フクシマ事故に責任を有する金融機関は、交付国債を現金化する際に資金貸付で儲けている。会計検査院によれば、金融機関は上記の各場合で、1,032億円、1,127億円、1,264億円の利息を稼ぐことになるが、これは一般会計から国民の税金で払われる。実に理不尽ではないか。

若狭ネット第161号を発行しました。8/1号外もあります。

2016年8月1日若狭ネット号外(第161号抜粋プラス)
島崎氏の問題提起に揺れ動く原子力規制委・規制庁に追撃を!

若狭ネット第161号(2016/7/7)(一括ダウンロード9.3Mb
巻頭言-熊本地震は警告–原子力規制委員会は原発の基準地震動を見直せ!
島崎氏の問題提起と新レシピ適用で、大飯・伊方原発の地震動評価はクリフエッジを超え再稼働できない!
(1)「もんじゅ」を安全に運転できる「運営主体」などあり得ない! 将来展望なく、毎日5千万円を浪費する「もんじゅ」を今こそ廃炉に!
(2)島崎邦彦氏の問題提起と2016 年6 月改訂新レシピは原発基準地震動の根本改定を求めている 大阪府立大学名誉教授 長沢啓行(2016年7月4日)

「熊本地震は警告しています!」リーフレット(2016年7月7日発行)

巻頭言-熊本地震は警告–原子力規制委員会は原発の基準地震動を見直せ!
島崎氏の問題提起と新レシピ適用で、大飯・伊方原発の地震動評価はクリフエッジを超え再稼働できない!

地震動見直しで、大飯原発は動かせない!

前原子力規制委員長代理の島崎邦彦さんは退職後、国内の学会で「活断層の地震規模が小さく計算されているため地震動が過小評価されている可能性がある」と4回続けて発表しています。これを受けて6月16日、原子力規制委員長等と島崎さんとの話し合いがもたれました。島崎さんは、「実際熊本地震が起きて、現地に行った結果、やはり入倉・三宅式を適用すると震源の大きさが小さくなる。間違いないことであることを確認しました。これはかなり深刻な問題である、十分考慮すべき問題ではないか。是非前向きに検討していただきたい。」と注文をつけました。そして6月20日、原子力規制委員会は、大飯原発について、入倉式ではなく他の式を使って地震動評価をやり直すよう、原子力規制庁に指示しました。
この動きと並んで6月10日、地震調査研究推進本部は「震源断層を特定した地震の強震動予測手法(レシピ)」を改訂しています。関西電力は入倉式で地震規模を小さく見積もるだけでなく、大飯原発で63.4km長の断層を「長大な断層」と勝手に見なし、地震動を左右する「応力降下量」(断層面の固着の強さを表す)を小さく設定しています。今回改訂された新レシピでは「おおむね80kmを超える長大な断層」でなければこのようにしてはダメと明記したのです。
地震調査研究推進本部が活断層の長期評価で用いている方法(断層長さから松田式で地震規模を求め断層長さと幅を少し広げる「修正レシピ」)による私たちの評価では、大飯原発では63.4km長の「FO-A~FO-B~熊川断層」の断層モデルによる地震動評価が1.5倍強になり、1,260ガルのクリフエッジ(炉心溶融事故に至るギリギリの地震動)を超える可能性が高く、再稼働できなくなります。
伊方原発でも、敷地前面海域の54km長の断層の地震動評価が1.6倍強、69km長の断層では2.0倍以上になり、855ガルのクリフエッジを超える可能性が高く、再稼働できません。
高浜原発では、地震動評価が1.5倍強になり、基準地震動Ss-1を一部の周期帯で超えるため、基準地震動の見直しが避けられません。
島根原発では、旧原子力安全委員会による断層幅だけを拡張する修正レシピを用いると、25km長の宍道断層の地震動評価は1.5倍強になり、1,014ガルのクリフエッジを超える可能性が高く、再稼働できません。
川内原発では、島根原発と同様に修正レシピを断層幅の拡大に限定して適用すれば、約25km長の市来断層帯市来区間の地震動評価は約1.6倍になり、基準地震動Ss-1を一部の周期帯で超えるため、基準地震動の見直しは避けられません。
どの原発においても、断層モデルによる地震動評価見直しで、耐専スペクトルとの大きな差が消え失せます。これが今回の見直しの核心です。耐専スペクトルと断層モデルの差がなくなった今、(1)これらの手法による地震動の平均像には最近の地震観測記録が反映されていないこと、(2)平均像の2倍以上になるバラツキ(偶然的不確実さ)を考慮する必要があること、(3)活断層として地表に現われないM65.の伏在断層による1,340ガルの地震動が起こりうること、の3つが残された課題として浮上してくるのです。
とくに(3)については、2016年熊本地震が裏付けており、自然による人間への警告となっています。

M6.5の直下地震が川内原発を襲えば、重大事故は避けられない! 川内原発を即刻止めよ!

4月14日、M6.5の地震による震度7の激震で熊本地震が始まりました。2ヶ月後の6月12日にも震度5弱の余震が続き、累計1,723回に達しています。
国土交通省によれば、4月17日までの3日間で熊本、宮崎、大分、佐賀の4県で土砂災害が57カ所、熊本県南阿蘇村では大規模な地滑りなどが20カ所にのぼり、九州新幹線は脱線・高架のひび割れで不通になり、熊本空港はターミナルビルが被災し、JR九州は一部を除き18日も熊本県内での在来線の運転を見合わせ、熊本県内と各地を結ぶ高速バスも高速道路不通のため運転を見合わせている、等々。ここに原発重大事故が重なっておれば、どれだけ悲惨な結果になったことか。しかし、原子力規制委員会は熊本地震から何も学ぼうとせず、川内原発の運転中止を勧告も要請もしませんでした。

熊本地震から学ぶべき!原発の基準地震動の見直しを!

4月14日の熊本地震の前震は、M6.5のどこでも起こりうる、ごくありふれた小さな地震でしたが、震度7の激震を起こし、益城(ましき)町の多くの家屋を倒壊させました。益城町には地震観測点があり、地表だけでなく地下でも地震データが記録されました。それはM6.5の直下地震で1,000ガル以上の強い地震動が起きること、原発の基準地震動が過小評価であることを明らかにしたのです。
私たちは5月12日、原子力規制庁に「2016年熊本地震を踏まえた川内原発の基準地震動に関する公開質問状」(5月24日現在86団体、777個人が賛同)を提出し、5月23日の原子力規制庁(職員2名)との話合いの場で口頭回答を受けました。
原子力規制庁は、私たちの主張を、事実として認めざるを得ず、知見の一つとして検討するとしました。
①熊本地震のM6.5の地震(前震)で1,000ガル超(はぎとり波換算)の地震動が起きた可能性がある。
②益城観測点の地下地震観測記録が川内1・2号の基準地震動を超えた可能性がある。
③地震動評価手法の一つである耐専スペクトルが大幅な過小評価である可能性がある。
そして、原子力規制庁は、「熊本地震についてはきちんと情報収集をしていく」と弁解し、M6.5の地震の益城観測点での地震観測記録を「震源を特定せず策定する地震動」に組み入れることについても「まさに今調査をやっているところであり、その位置づけについても検討していきたい。」と回答しました。
しかし、原子力規制庁は、炉規法上の「法的権限で認められている範囲内であれば原発を止める権限はある」としながらも、「現時点で止めましょうというそこまでの権限を我々は有していない。」「川内の原発の直下で同じような地震がもし起これば、仮に1,000ガルを超えるかも知れないとして、九州電力に停止命令を出せる権限ではない。」と居直っています。
フクシマを繰り返さないため、手遅れにならないため、私たちは、今回の交渉成果を踏まえ、島崎氏の問題提起と新レシピによる地震動見直しとを絡めて、川内原発の運転中止と全原発の再稼働中止を原子力規制委員会に強く求めていきたいと思います。

文科省は「もんじゅ」を延命せず、廃炉にせよ!

原子力規制委員会は昨年11月、「もんじゅ」を安全に運転する資質がないなどとして日本原子力研究開発機構に代わる新たな運営主体を示すよう勧告していましたが、文部科学省は半年後も運営主体を示せず、参議院選挙後の8月に機構の運転管理部門を切り離して特殊法人化し、「オールジャパン」体制の運営主体を作ると弁明しました。しかし、機構による最重要機器の点検ミスや数千点の機器の重要度分類ミスなど目も当てられない安全管理能力のなさは旧動燃に始まり、歴史的に形成されたものなのです。その無気力・無能力の根本原因は、高速増殖炉の実用化が全く見えず、「もんじゅ」の目的もコロコロ変わり、意義を見いだせない仕事に優秀な人材(後継者)も集まらず、電力・メーカーの「オールジャパン」体制そのものが内部崩壊していることにあるのです。このまま、看板かけ替えの特殊法人で無責任体制をでっち上げ、「もんじゅ」を強硬運転するようなことがあれば、重大事故は避けられません。政府内や与党内からも不信と動揺の声が上がっています。いまこそ、「もんじゅ」を廃炉にし、再処理・プルトニウム利用路線から撤退すべきです。そして脱原発への道筋をはっきりさせるべきです。

四半世紀を迎えた若狭ネットの活動を踏まえて

私たち若狭ネットは、はや結成25年を迎えました。
若狭の原発を一日も早く止めていく運動を中心に活動し続けてきました。特に1995年1月17日の阪神・淡路大震災を体験したことで「地震と原発」問題をとりあげ、安全規制当局や関西電力の責任を粘り強く追及してきました。その成果の一つが今回の島崎氏の問題提起につながったことは喜ばしいことです。
9月4日には、若狭ネット結成25周年特別企画をもちます。これまでの25年とこれからの見通しについて、皆さんと共に話し合いたいと思います。ぜひ、ご参加下さい。

5月23日の原子力規制委員会との交渉を踏まえ、緊急申し入れを行いました

5月23日の原子力規制委員会との交渉を踏まえて、下記の緊急申し入れを行いました。

呼びかけ団体:川内原発建設反対連絡協議会、川内つゆくさ会、反原発・かごしまネット、まちづくり県民会議、川内原発活断層研究会、さよなら原発:アクションいぶすき、原発ゼロをめざす鹿児島県民の会、かごしま反原発連合有志、原子力資料情報室、若狭連帯行動ネットワーク(事務局担当)

賛同団体・個人(5月24日現在86団体、777個人)

2016年5月31日
原子力規制委員会委員長 田中俊一様

5月23日の話合いを踏まえた、熊本地震と川内原発に関する緊急申し入れ

(「緊急申し入れ」のpdfはこちら)

私たちは5月12日、貴職に「2016年熊本地震を踏まえた川内原発の基準地震動に関する公開質問状」を提出し、5月23日の原子力規制庁(職員2名)との話合いの場で口頭回答を受けました。
その中で、原子力規制庁は「現時点で、川内原発の基準地震動の見直しを働きかける、ないし、運転停止命令を出すというところにはない」と説明されましたが、熊本地震と川内原発に関する私たちの主張、すなわち、①熊本地震の前震であるM6.5の地震で1,000ガル超(はぎとり波換算)の地震動が起きた可能性、②益城観測点の地下地震観測記録が川内1・2号の基準地震動を超えた可能性、③地震動評価手法の一つである耐専スペクトルが大幅な過小評価である可能性については、事実として認めざるを得ませんでした。
そして、原子力規制庁は、「今回の地震の観測記録について、きちんと分析すべきということで・・・規制委員会として大きな地震があった後にですね、きちんと情報収集をしていくという姿勢自体はそれはそう思っております。」と説明し、「熊本地震はまさに今調査をやっているところでございますので、そういう知見を踏まえて、その位置づけ(今回のM6.5の地震の益城観測点での地震観測記録を「震源を特定せず策定する地震動」に組み入れること)についても検討していきたいと思います。」と回答されました。また、「現時点で詳細はぎとり波解析をやるというところまで、まだ、我々の知見収集も至っていないので、そこの必要姓があってやっていくということになれば、それは規制委員会、規制庁、旧JNESのグループもありますので、そういった中で解析なんかは当然やっていくことになりますけども。・・・現時点ではあくまで仮定の話なので、ここで詳細はぎとり解
析をやりますというふうに私が何か宣言するようなことはできません。」と言い訳をされました。2016年熊本地震では横ずれ断層によるM6.5の地震で震度7の激震観測記録が益城観測点で採れており、これを詳細に分析し、基準地震動の策定に反映させることは原子力規制委員会の義務だと私たちは考えます。
さらに、原子力規制庁は、炉規法上の「法的権限で認められている範囲内であれば止める権限はある」としながら、「現時点で、何かこの概算のはぎとリ波で、Ss-1を比較上超えているので、現時点で止めましょうというそこまでの権限を我々は有していない。」「ある種概算で、もしかしたら、川内の原発の直下で同じような地震がもし起これば、仮に1,000ガルを超えるかも知れない、その段階で、九州電力に対して停止命令を出せる、そこまでの権限ではない。」と居直っています。「地下地震観測記録を2倍にするはぎとり波の概算」で私たちが示した上記の①~③の知見に基づき、更なる詳細なはぎとり解析を行って基準地震動に反映させるのは当然のことですが、フクシマを繰り返さないため、手遅れにならないため、少なくとも解析を終えるまでの間、川内原発の運転を停止させ、再稼働審査を凍結させるのが、原子力規制委員会の義務だと私たちは考えます。
このような観点から、以下のことを緊急に申し入れますので、真摯にご検討下さり、速やかに対応して下さるよう強く求めます。

1.4月14日のM6.5の地震では震源断層近くで1,000ガル超の地震動(はぎとり波換算)が発生した可能性が高く、至急、再現モデルを構築して地震動解析を行ってください。また、得られた知見を基準地震動に反映させて下さい。

2.4月14日のM6.5の地震に関する益城観測点での地震観測記録を詳細にはぎとり解析し、これを「震源を特定せず策定する地震動」に位置づけ、基準地震動に反映させて下さい。

3.2の詳細解析によるはぎとり波を川内原発の市来断層帯市来区間M7.2の耐専スペクトルと比較し、耐専スペクトルが大幅な過小評価になっていることを確認し、耐専スペクトルを抜本的に改定してください。

4.上記解析を行う間、川内原発の運転を停止させ、再稼働のための適合性審査をすべて凍結して下さい。
以上

(「5・23交渉のまとめ」のpdfはこちら)
(「5・23交渉の記録」のpdfはこちら)

5・23原子力規制委交渉の成果を踏まえ、
川内1・2号運転中止、再稼働認可取り消し、
基準地震動見直しを原子力規制委に求めよう!

呼びかけ: 川内原発建設反対連絡協議会、川内つゆくさ会、反原発・かごしまネット、まちづくり県民会議、川内原発活断層研究会、さよなら原発:アクションいぶすき、原発ゼロをめざす鹿児島県民の会、かごしま反原発連合有志、原子力資料情報室、若狭連帯行動ネットワーク(事務局担当)

2016年熊本地震の余震が継続し、震源の不気味な広がりを危惧しながら、私たちは5月23日、原子力規制委員会・原子力規制庁と交渉し、川内1・2号の運転停止、再稼働認可取り消し、基準地震動の見直しを強く求めました。公開質問状への賛同は86団体・777個人(5月24日現在)に達し、市民側参加者35名で原子力規制庁の安全管理調査官ら2名を1時間半にわたり厳しく追及しました。
原子力規制庁は「現時点で、川内原発の基準地震動の見直しを働きかける、ないし、運転停止命令を出すというところにはない」と居直りました。しかし、熊本地震と川内原発に関する私たちの主張そのものについては、「現時点では即対応すべきとは考えていない。」「現時点で、詳細はぎとり波解析をやるというところまで知見収集も至っていない。」としながらも、事実上、①熊本地震の前震であるM6.5の地震で1,000ガル超(はぎとり波換算)の地震動が起きた可能性、②益城観測点の地下地震観測記録が川内1・2号の基準地震動を超えた可能性、③地震動評価手法の一つである耐専スペクトルが大幅な過小評価である可能性については、事実として認めざるを得ませんでした。その概要は以下の通りです。

熊本地震による重大な警告を直視せよ!

私たちは、2016年熊本地震において、4月14日に震度7の激震をもたらしたM6.5の益城(ましき)観測点での観測記録から、次のことが言えると主張しました。

(1)原子力安全基盤機構JNES(現在は原子力規制庁へ統合)による地震動解析結果との比較から、4月14日のM6.5の震源近傍では1,000ガルを超える地震動が襲った可能性が高い。(図1と図2参照)

(2)同地震の益城観測点での地下地震観測記録はぎとり波は川内原発の基準地震動を応答スペクトルの一部で超えている。(図3参照)

(3)同はぎとり波の応答スペクトルはM7.3の市来断層帯市来区間(等価震源距離はほぼ同じ約14km)の耐専スペクトルを超えており、耐専スペクトルでは過小にすぎる。また、断層モデルによる地震動解析結果は耐専スペクトルの1/2~1/3にすぎず、大幅な過小評価になっている。(図3参照)

1,000ガル超の可能性があることは認める

原子力規制庁は、JNESの最大加速度分布図に益城観測点のデータを載せた図2について、益城観測点の地下地震観測記録(NSで237ガル、これを2倍にした簡易はぎとり波の最大加速度470ガル)のほうが少し大きめですが、JNESの最大加速度分布図に良く合うこと、M6.5の震源断層により近いところに地震計があれば1,000ガル超(1,500ガル程度の可能性すらある)の地震動が観測されていた可能性があるとの指摘については否定しませんでした。その代わりに、JNESの断層モデルは「どの程度の年超過確率となるのかを確認する目的でパラメータをいじって評価するものであり、基準地震動と対比させて議論するようなものではない」と逃げたのです。しかし、この議論は過去2回の議論ですでに破綻しており、年超過確率を議論するためにも正確な地震動評価ができていなければ、得られた年超過確率自身が無意味になるのです。しかも、昨年1月の交渉時には、「JNESの解析結果は北海道留萌支庁南部地震の地震観測記録にも良く合う」ことを私たちから示され、原子力規制庁は、それまで主張していた「厳しいパラメータ設定だ」との主張を撤回した上で「専門家を含めて再現性について改めて検討すべき」と認めていたのです。この経緯を詳しく説明すると、原子力規制庁は沈黙せざるを得ませんでした。
検討をサボタージュしてきたのは原子力規制庁なのですから当然です。沈黙の末に、「今回の地震の観測記録について、きちんと分析すべきということで、規制委員会としては、我々審査する側もさることながら、旧JNESが統合した系列基盤グループもありますので、規制委員会として大きな地震があった後にですね、きちんと情報収集をしていくという姿勢自体はそれはそう思っております。」といいながら、「現時点で即対応すべき点があるかというご質問であれば、現時点ではまだそういうふうに考えていない」と逃げたのです。

「震源を特定せず策定する地震動」に加えるべき

その次に持ち出したのは、今回のM6.5の地震は「起こるべきところで起こった」日奈久断層帯での地震であり、「震源を特定せず策定する地震動」ではなく、「震源を特定して策定する地震動として評価すべきではないか」という主張です。しかし、M6.5の地震は地表に痕跡が残らないため、地表をいくら精査してもわかりません。川内原発の直下でM6.5の地震が起きる可能性を否定できないため、「震源を特定せず策定する地震動」が考慮され、留萌支庁南部地震の観測記録(はぎとり波)が基準地震動として採用されているのです。今回のM6.5の地震が既知の活断層による地震活動の一部として起きたとは言え、横ずれ断層によるM6.5の地震の激震記録が初めて採れたのですから、それを基準地震動に反映させるのは当然だと言えます。M6.5の地震が既知の活断層で起ころうが、活断層のないところで起ころうが、その地震動に本質的な違いはないはずです。
活断層のないところで同様の記録が採れるまで待つという悠長な姿勢では、フクシマの二の舞になってしまいます。原子力規制庁は、私たちの厳しい追及にたまらず、「熊本地震はまさに今調査をやっているところでございますので、そういう知見を踏まえて、その位置づけについても検討していきたいと思います。」と引き取らざるを得ませんでした。益城観測点の地震観測記録を基準地震動に反映させることができるかどうかは今後の運動にかかっていると言えます。

詳細はぎとり波解析を行う義務がある

3番目に持ち出したのは益城観測点の地下地震観測記録を2倍にしたものは「はぎとり波」ではないという主張です。確かに、図4左のとおり、地下地震計の地震観測記録は入射波E’と地表から反射して戻ってくる反射波F’が重なっており、後者を取り除いた上で、上部地層をはぎとった表面に地震計を置いたと仮定して得られる入射波E(この仮想表面では反射波は入射波に等しい)を2倍にして「はぎとり波」を作成しなければなりません。そのためには、正確な地盤データを用いた地表・地下の地震観測記録の突き合わせ解析が必要です。その前段として、まず、地下地震観測記録を2倍にして大きさを概算評価するという手法がとられており、北海道泊原発の審査でも行われています。原子力規制庁も「2倍化する方法自体は先ほど説明頂いた泊の審査でもスクリーニングの過程では当然使っています」と認めましたが、それを基準地震動等と直接比較して「この周期帯で超えたといって、そういった比較ができるものではない」と主張し、図3のような比較はできないと言い張りました。
ところが、詳細解析を行っても短周期側では高々10~20%程度の差にしかならないはずです。図3の基準地震動に対しては、0.2~0.3秒の周期帯で益城観測点での「地震観測記録を2倍にした概算はぎとり波」が1.5倍程度に超えており、市来断層帯市来区間M7.2の耐専スペクトルに対しても周期0.1秒以上で2倍程度になっているのです。つまり、この事実を認めるのであれば、詳細はぎとり波解析を行って、より正確に確認すべきです。そして、原子力規制庁も遂に、「地盤モデルとかもないし、実際の解析もできないので、どのぐらい下がるのか、定量的には言えない」と逃げ、「現時点で詳細はぎとり波解析をやるというところまで、まだ、我々の知見収集も至っていないので、そこの必要姓があってやっていくということになれば、それは規制委員会、規制庁、旧JNESのグループもありますので、そういった中で解析なんかは当然やっていくことになりますけども。ただ、すみません、現時点ではあくまで仮定の話なので、ここで詳細はぎとり解析をやりますというふうに私が何か宣言するようなことはできません。」「詳細解析を金輪際やりませんと申し上げているわけではなくて」と言い訳をしたのです。

現時点で川内原発を止める権限はない

益城観測点での地震観測記録を2倍にした概算はぎとり波に基づいて川内1・2号の運転中止を求めた点については、炉規法上の「法的権限で認められている範囲内であれば止める権限はある」としながら、「現時点で、何かこの概算のはぎとリ波で、Ss-1を比較上超えているので、なので現時点で止めましょうというそこまでの権限を我々は有していないです。」「ある種概算で、もしかしたら、川内の原発の直下で同じような地震がもし起これば、仮に1,000ガルを超えるかも知れない、その段階で、九州電力に対して停止命令を出せる、そこまでの権限ではない。」と居直りました。つまり、私たちの主張した内容については事実としてそうなっているということを確認しながら、事態の緊急性を認めようとしなかったのです。
「川内原発の直下でM6.5の地震が起きてからでは遅い」「フクシマを繰り返すな」という私たちの声を原子力規制庁は踏みにじり、「必要があれば、そういったはぎとり解析とか数値検証とか当然やっていくべき話でありますけど、現時点でそういったものを見立てて、直ちに川内原子力発電所を停止すべきと、そういうような、止めるのか止めないのか、止めるべきかどうかという議論をするような知見の状態では今ないということを申し上げている。」と平然と居直ったのです。

九州電力による説明は誤りと認める

最後に、適合性審査の事業者ヒアリングで九州電力が原子力規制庁に行った説明が根本的に誤っており、原子力規制庁はその誤りに気付かないという重大な過誤をおかしたのではないかという点を問い質しました。これは断層モデルによる短周期側の地震動評価で、九州電力が「応力降下量を15.9MPaから25.1MPaへ引上げても地震動解析結果は変わらない」と主張していたものです。
原子力規制庁は結局、九州電力によるこの説明が誤っていること、原子力規制庁がその説明を聞いて誤りを指摘しなかったことについては認めました。
しかし、原子力規制庁は「間違いに気付かなかったというか、必要ないというふうに考えてました。」と論点をすり替えてきました。「九州電力に対してこれでは説明になってないですよという指摘をしておけば良かったのかというと、それはそういうことなんですかね。ただ、実際、その短周期側については先ほどから申し上げているように、改めての資料とかはいらないので、この資料について九州電力に対してここはおかしいよとヒアリングの場では言ってない」というのです。私たちは、原子力規制庁側から短周期側でも地震動解析を行うようにと指示されなければ、九州電力がわざわざこのような資料を準備して説明することもなかったはずだと詰め寄りましたが、原子力規制庁は、そもそも必要なかったととぼけ続けたのです。水掛け論になってしまいましたので、議論を打ち切りましたが、九州電力がとんでもない誤りを冒したことだけは確かであり、原子力規制庁もその誤りを認めたのですから、九州電力の誤りを今後追及することが課題になります。もし、この短周期地震動解析を行っていたら、基準地震動を超えていた可能性があり、適合性審査がいかにずさんなものであるかが明らかになるからです。

大衆運動の力で規制委員会の姿勢を転換させよう

熊本地震は「原発はM6.5の直下地震に耐えられない」ことを事実で示しています。益城観測点における地下地震観測記録はそれを如実に示しています。原子力規制委員会・原子力規制庁は見て見ぬ振りを決め込んでいますが、大衆的な運動の力でそのような姿勢を転換させる必要があります。
熊本地震は、どこで起きても不思議ではないM6.5の小さな地震で1,000ガル超の大きな地震動が起きた可能性があること、益城観測点の地震観測記録は川内原発の基準地震動を超えた可能性が高く、耐専スペクトルの大幅な過小評価を暴いていることを明らかにしました。これらの事実そのものを原子力規制庁は否定できませんでした。これらを広く伝え、原子力規制委員会に川内原発の即時運転中止と再稼働認可取り消しを求め、基準地震動の抜本的見直しを求めていきましょう。

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図1.2016 年熊本地震の前震M6.5、本震7.3と余震分布(震央分布,KiK-net 観測点▲を追記)

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図2: 原子力安全基盤機構JNESによるM6.5の左横ずれ断層による地震基盤表面(Vs=2600m/s) での加速度分布図(水平方向,最大値1340.4cm/s2)(右横ずれの場合には上下を反転させた分布図になるため,図1 における震央距離約6kmの益城観測点KMMH16はこの図で震源断層の右斜め下300~400ガルの▲の地点に相当する)

 

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図3.益城観測点KMMH16の地下地震観測記録のはぎとり波(2倍化)の擬似加速度応答スペクトルと川内1・2号の基準地震動Ss-1および耐専スペクトル(水平方向)の比較(防災研データから長沢が作成)

 

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図4.はぎとり波の概念図(東京電力:柏崎刈羽原子力発電所6号炉及び7号炉敷地における地震波の増幅特性についてコメント回答,第246回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合,資料3 (2015.7.3))

5・23(月)原子力規制委交渉に賛同・参加を!

5・23(月)原子力規制委交渉に賛同・参加を!
2016年熊本地震を踏まえ、川内1・2号の運転を中止し、再稼働認可を取り消せ!

呼びかけ: 川内原発建設反対連絡協議会、川内つゆくさ会、反原発・かごしまネット、まちづくり県民会議、川内原発活断層研究会、さよなら原発:アクションいぶすき、原発ゼロをめざす鹿児島県民の会、かごしま反原発連合有志、原子力資料情報室、若狭連帯行動ネットワーク(事務局担当)
(pdfはこちら:呼びかけ 公開質問状

2016年熊本地震は震度7の激震を2度もたらし、震源が南方へも拡大し、川内原発に近づいています。
私たちは、2016年熊本地震を踏まえ、原子力規制委員会に、川内1・2号の運転中止、再稼働認可(設置変更許可)の取り消し、地震動評価手法の根本的改定、基準地震動の作成やり直しを求めます。
4月14日に震度7の激震をもたらしたM6.5の震源断層は地表からは発見できず、川内原発直下でいつ起きても不思議ではありません。また、このM6.5の地震の益(まし)城(き)観測点での観測記録から、次のことが言えます。
(1)原子力安全基盤機構JNES(現在は原子力規制庁へ統合)による地震動解析結果との比較から、4月14日のM6.5の震源近傍では1,000ガルを超える地震動が襲った可能性が高い。
(2)同地震の益城観測点での地下地震観測記録はぎとり波は川内原発の基準地震動を応答スペクトルの一部で超えている。
(3)同はぎとり波の応答スペクトルはM7.3の市来断層帯市来区間(等価震源距離はほぼ同じ約14km)の耐専スペクトルを超えており、耐専スペクトルでは過小にすぎる。また、断層モデルによる地震動解析結果は耐専スペクトルの1/2~1/3にすぎず、大幅な過小評価になっている。
私たちはこれまで、JNESの解析結果に基づき、川内原発で、M6.5の直下地震が起これば、1,340ガルの地震動に襲われ、炉心溶融事故は避けられないと主張してきました。恐ろしいことではありますが、2016年熊本地震はその正しさを裏付けてくれたのです。
私たちは、これまでの原子力規制委員会との交渉の成果を引き継ぎ、2016年熊本地震を踏まえて、5月12日に公開質問状を提出し、5月23日に追及します。ぜひご参加下さい。賛同は22日夕方まで受け付けます。

sangiin原子力規制委員会・原子力規制庁との交渉
日時:2016年5月23日(月)13:30~15:00
場所:参議院議員会館 B104会議室
 (地下鉄丸ノ内線「国会議事堂駅前」下車歩5分)
参加希望者は通行証が必要ですので、事前に久保までご連絡下さい。当日は、参議院議員会館の荷物検査を経て、12時過ぎにロビーへ集合し、事前会合(12:30~13:30)からご参加下さい。

原子力規制委員会に対する紹介議員は、社会民主党の福島みずほ参議院議員にお願いしています。

  公開質問状は5月12日に提出しましたが、賛同団体・個人は5月22日夕方まで引き続き受け付けます。遠方からの参加者には交通費半額をめどに補助したいと思いますので、1口500円で何口でも結構ですのでカンパをお寄せ下さい。

連絡先:〒583-0007 藤井寺市林5-8-20-401 久保方
TEL 072-939-5660  dpnmz005@kawachi.zaq.ne.jp
または 〒591-8005 堺市北区新堀町2丁126-6-105
若狭ネット資料室(長沢啓行室長)
TEL 072-269-4561  ngsw@oboe.ocn.ne.jp  
http://wakasa-net.sakura.ne.jp/www/

カンパ振込先: 郵便振込口座番号00940-2-100687
(加入者名:若狭ネット)