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ニュース

関西電力へ「美浜1・2号等廃炉に伴う費用減少分」に関する緊急申し入れを提出

関西電力は、私たちが6月22日付けで提出した公開質問状に全く応えるそぶりすら見せません。2週間以内の文書回答を求めていましたが、なしのつぶてです。
そこで、「美浜1・2号等廃炉に伴う費用減少分」に関する緊急申し入れを提出しました。新電力へ切り替えた方を含めて関電管内のすべての電力消費者へ、「美浜1・2号等廃炉に伴う費用減少分」(2年間で1,000億円相当)を還元することなく、新電力に対抗して電気料金を値下げするのは手前勝手すぎます。

2017年7月12日

関西電力株式会社 取締役社長 岩根 茂樹 様

電気料金値下げ申請時の「美浜1・2号等廃炉に伴う費用減少分」に関する緊急申し入れ

若狭連帯行動ネットワーク

(緊急申し入れのpdfはこちら)

貴社は7月6日、経済産業省へ「家庭向け3.15%、企業向け4.9%の電気料金値下げ」申請(変更届出)を行い、7月11日には経済産業大臣直属の電力・ガス取引監視等委員会料金審査専門会合で1回目の審査が行われました。しかし、その会合で示された貴社説明資料には、「(敦賀1号と美浜1・2号の)廃炉に伴う費用の減少分」に関する説明が一切ありません。
この「廃炉に伴う費用の減少分」は、前回原価2兆8,967億円(2015年6月値上げ時)と今回原価1兆9,538億円の差額9,429億円の内数に含まれているものと考えられますが、明示すべきです。前回値上げ時の「関西電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案の概要」(電気料金審査専門小委員会2015.4.21)には「関西電力からはこれらの費用の減少分を電気料金負担の軽減に活用するとの説明がなされましたが、関西電力においてはその額及び算定の根拠を明らかにした上で、費用の減少分については、その全額を電気料金の負担の軽減に活用することを求める。また、次回の料金改定に際しては、廃炉に伴う費用の減少分が原価に織り込まれていないことを厳格に確認するべきである。」と明記されています。貴社はこのとき「廃炉に伴う費用の減少分」を96億円と試算していますが、「敦賀1号の廃炉に伴う購入電力料の減少分」が84億円であり、美浜1・2号分は34億円(ここから廃炉費積立金22億円が減額される)しか含まれておらず、「※金額については、現在精査中」としていました。美浜1・2号の合計出力が敦賀1号の約2.6倍であることや美浜1・2号の年間維持管理費から見積もっても、「美浜1・2号の廃炉に伴う費用の減少分」は年間約500億円程度にはなると推測されます。敦賀1号分と合わせて600億円弱が毎年浮いてくるはずですが、2015年6月1日の値上げ以降、「廃炉に伴う費用の減少分」の精査結果は公表されず、電力消費者への還元もなされていません。
今回の値下げ申請に関する審査では、前回値上げ時の査定方針に従い、この「廃炉に伴う費用の減少分」について精査した結果を、貴職が自ら委員会へ提示し、今回の原価には織り込まれていないことを明示すべきです。新電力へ契約変更した電力消費者はその還元を受けていないのですから、その分を還元すべきです。
私たちは、この件について、6月22日付けで貴職宛に公開質問状を提出し、2週間以内の文書回答を求めましたが、なしのつぶてです。来週には2回目の審査会合が開かれますので、その会合に説明資料を提出し、「廃炉に伴う費用の減少分」の精査結果を公表するとともに、新電力へ契約変更した消費者への還元方策を説明すべきです。また、この件について、消費者に広く説明するため、公開の説明会を開くべきです。
そこで、以下の緊急申し入れを行います。

1.貴社電気料金値下げ申請に係る次の料金審査専門会合で、「敦賀1号と美浜1・2号の廃炉に伴う費用の減少分」の精査結果を明示し、新電力へ契約変更した消費者を含めて、その分の電力消費者への還元方策を示して下さい。

2.6月22日付で貴職へ提出した公開質問状に文書回答し、公開の場で説明会を開いてください。

以上

 

今ならつぶせる!「8.6兆円の託送料金への転嫁」反対署名を拡大し、経産省令案を葬り去ろう!

福島事故関連費など8.6兆円の託送料金への転嫁反対署名にかかる6.28第2回経産省交渉の報告

機構法改定は「切迫する破産」からの東電救済策だった!
8.6兆円を託送料金で回収する仕組みの作成が難航!
3.3万の反対署名を拡大し、経産省令案を葬り去ろう!

新しいリーフレットができましたこちらからダウンロードして下さい

「経産省交渉報告のまとめと交渉記録」のpdfはこちら
「経産省への緊急申し入れ」のpdfはこちら
2017年10月末締切の新しい署名用紙はこちらWord版はこちら

呼びかけ:若狭連帯行動ネットワーク(事務局)、双葉地方原発反対同盟、原発の危険性を考える宝塚の会、日本消費  者連盟関西グループ、関西よつ葉連絡会、安全な食べものネットワーク オルター、サヨナラ原発福井ネットワーク、福井  から原発を止める裁判の会、吹夢キャンプ実行委員会、福島の子供たちを守ろう関西、さよなら原発神戸アクション、 さよならウラン連絡会、おかとん原発いらん宣言2011、原発ゼロ上牧行動、STOP原子力★関電包囲行動、とめよう原発!!関西ネットワーク、さよなら原発なら県ネット、地球救出アクション97、ヒバク反対キャンペーン、さよなら原発箕面市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、環境フォーラム市民の会(豊中)、科学技術問題研究会、さかいユニオン、大阪自主労働組合、社民党福島県連合、フクシマ原発労働者相談センター、日本消費者連盟、原子力資料情報室

    今なら、経産省令改定を阻止できる!

 フクシマ事故損害賠償費の一般負担金「過去分」2.4兆円、福島原発廃炉費追加分6兆円、廃炉会計に関するコスト0.2兆円、合計8.6兆円を電気の「託送料金」に転嫁しようとする経産省に対し、私たちは6月28日、反対署名1万426筆を第三次提出しました。累計3万3,328筆に達した反対署名を背に経産省を徹底追及しました。今回は、3月の第1回交渉と資料請求の結果を踏まえ、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(以下「機構法」)改定案の5月10日国会可決を受け、焦点を絞って追及しました。(映像はこちら  https://www.youtube.com/watch?v=8yw_chGH5wA
経産省資源エネルギー庁電力・ガス事業部からは、政策課電力産業・市場室の室長補佐、電力市場整備室の室長補佐と原子力政策課の法令制度一係長の3名が出席し、市民側は19名で臨みました。

  託送料金で回収する仕組みを検討中・・・?

 今回の交渉では驚くべき事実が判明しました。
 8.6兆円を託送料金で回収することは決めたものの、それをどのように託送料金にのせて回収するのか、その仕組みがまだ決まっておらず、現在、経産省内で検討中であり、今後、具体的な制度について電力・ガス取引監視等委員会などの委員会で検討するかも知れず、検討結果をいつ出せるのか、そのメドも立たず、経産省令(案)をパブコメにかける時期も未定だというのです。つまり、経産省は、簡単に結論を出せない、何らかの矛盾に満ちた重大な課題を抱え込んでいて、廃炉会計制度を導入したときのように「スイスイと経産省令改定案を作ってパブコメにかけて終わり」というわけには行かない、極めて困難な事態に直面しているのです。
 今、徹底して闘えば、8.6兆円の託送料金への転嫁を阻止できる!その兆しが、今回の経産省回答のほころびから、垣間見えてきたと言えます。3.3万筆に達した反対署名をさらに広げ、託送料金による8.6兆円の回収の仕組みの矛盾を徹底的に追及し、経産省をさらに追い込めば、阻止できる展望が開けてきたと言えるのです。
 では、経産省はどのような矛盾を抱えているのでしょうか。交渉を通して垣間見えたのは次の点です。

一般負担金「過去分」の「回収」と「納付」の矛盾

  第1に、損害賠償費一般負担金「過去分」2.4兆円は、電力会社の送配電事業者が各電力管内の販売電力量に比例して託送料金で回収するのですが、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が各原子力事業者(電力会社等)へ割り当てる一般負担金「過去分」の納付金額は電力会社の原発容量などに基づいて決められます。託送料金単価を一律に設定すると、両者に食い違いが生じます。そのため、エリア毎に「過去分」相当の託送料金単価を変える必要が出てきます。また、「電気の託送」が複数のエリアをまたぐ場合には、食い違う「過去分」相当の託送料金単価を調整しなければなりません。通常の託送料金コス
トでは生じない問題点です。

廃炉費6兆円を回収する託送料金ルールの矛盾

第2に、福島廃炉費6兆円を東電管内の託送料金を高止まりにして回収するとして、どのレベルに高止まりにするのかが難しく、そのルール作りを間違うと、6兆円を回収できなくなります。今は超過利潤が一定の金額に達した場合や託送料金コストが5%以上削減できた場合には託送料金を下げるというルールになっていますが、単に金額や%の値を変えるだけでは対応できず、託送料金が高くなりすぎると、電力消費者へコスト削減分を還元する方針にも反することになります。おまけに、私たちが今回強調した2020年以降の送配電網更新問題(更新投資を今の5倍以上に増やさねばならない)を考慮すると、託送料金の上昇が避けられず、託送料金を低く抑えたままで廃炉費6兆円を回収するのは極めて困難だと言えます。この6兆円という金額も今夏のデブリ取り出し方針によって変わる可能性もあり、放射性廃棄物処分費を入れると何倍にも膨れあがるのは目に見えており、託送料金で回収する仕組みだけでは、早晩破綻するのは明らかです。

    電力・ガス取引監視等委員会で要検討?

 経産省は、省内だけの議論では済まず、今回の交渉では、「電力・ガス取引監視等委員会」が「8.6兆円の託送料金による回収状況の妥当性」をチェックする方針であることを認め、この電力・ガス取引監視等委員会で今後「適切な託送料金設定」の仕組みについて議論する必要性があることにも言及しました。実は、この電力・ガス取引監視等委員会ではこれまで、送配電網の新設・拡充・更新等に関するコストについては検討してきたものの、原発関連コスト8.6兆円が託送料金で回収されることについては一切検討できませんでした。原発関連コストの託送料金による回収はもっぱら、「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」や「東京電力改革・1F問題委員会」で議論され、「電力・ガス取引監視等委員会」はこの問題の検討から外されていたのです。にもかかわらず、ここに来ていきなり、「8.6兆円の託送料金による回収」を前提にして、その「仕組み」だけを議論しろというのです。普通なら、「バカにするな!自分たちで最後まで責任を持て!」と言いたいところです。経産省お抱えの委員たちはすんなり応じるのでしょうか。だとしても、今の5倍以上の増額を余儀なくされる送配電網更新費を賄いながら、6兆円からさらに膨れあがろうとする福島原発廃炉費を捻出できる「適切な託送料金設定」法などあり得ず、議論が紛糾するのは必至です。形だけの料金設定では早晩、矛盾が顕在化せざるを得ないでしょう。
 こんな姑息なやり方をやめ、「東電を破産処理せず、国民負担で東電を救済するために、託送料金で福島原発廃炉費等8.6兆円を回収する」という基本方針の妥当性をこそ議論すべきです。

    機構法改定は東電救済のためだった!

  ここまで来ると、あんなに急いだ「機構法」改定は一体何だったんだということになります。
 「8.6兆円の託送料金への転嫁」を検討していた「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」が昨年12月16日に「中間とりまとめ」の案を出し、12月19日から1か月間のパブリックコメントを開始しましたが、その結果を待つことなく、「東電救済策」を検討していた「東京電力改革・1F問題委員会」が12月20日に「東電改革提言」を出し、安倍政権が同日、それを踏まえた「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針について」を閣議決定し、2日後の12月22日には、これを踏まえた「2017年度予算案」を閣議決定して国会へ提出、今年(2017年)2月7日には機構法(原子力損害賠償・廃炉等支援機構法)の一部改定案を衆議院へ提出したのです。これらがすべて済んだ後で、今年(2017年)2月9日に「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」がパブコメ結果を踏まえて「中間とりまとめ」を確定させたのです。「国民負担を強いる東電救済策」の案に対するパブコメを行いながら、それが全く形だけだったことはこれらの経緯が如実に示しています。
 機構法改定案は与党・民進党・日本維新の会の賛成で参議院でも5月10日に可決・成立しましたが、その翌日に東京電力の「新々・総合特別事業計画(第三次計画)」が政府へ申請され、1週間後の5月18日に認可されています。フタを開けてみれば、すべてが出来レースだったのです。機構法は、東京電力が機構(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)の中に福島原発の「廃炉等積立金」を積立てることを義務づけたものですが、その原資は「託送料金による回収の仕組み」によって担保されることになっています。この仕組みを前提にして東電救済策=第三次総合特別事業計画が成り立つのであり、機構法が国会で可決されない限り、東電はそれを申請できず、政府もこれを受理し認可することもできなかったのです。つまり、東電は「巨額の損害・賠償費を認識した途端に債務超過に陥って破産する」危機にあったのです。東電を破産させず、国民に新たな負担を強いて東電を救済するため、昨年12月から極めて強引に「8.6兆円の託送料金への転嫁」政策が推し進められてきたのです。
 それが、ここに来て、その具体化の段階で本質的な矛盾を抱え、止まっています。今なら、阻止できます。機構法は「東電に廃炉費6兆円の積立を義務づけた」だけであり、「8.6兆円を託送料金で回収する仕組み」が具体化されなければ、東電は破産を余儀なくされます。しかも、この「仕組み」には重大な矛盾があり、それを突いていけば、この東電救済策を破綻に追い込むことができます。3.3万筆に達した反対署名をさらに拡大し、経産省を追い詰め、「託送料金による東電救済策」を撤回させましょう。

  一般負担金「過去分」2.4兆円で東電等を優遇

  今回の交渉では、8.6兆円を託送料金で回収する仕組みによって、東京電力と大手電力(東電以外の電力会社)の損害賠償費の負担が大きく減少し、電力消費者の負担が大きく増えることが判明しました。左図のように、東京電力は損害賠償費の負担金が2.7兆円から3.9兆円へ1.4倍強になるべきところ、1.1倍強の3.1兆円に留まったのです。大手電力では、2.7兆円から3.7兆円へ37%増のところ、15%減の2.3兆円に減額されたのです。増額すると見せかけて、実は微増ないし減額にする — こんな理不尽なことは許せません。

廃炉費6兆円は東電管内消費者に

 福島原発廃炉費6兆円も左下図のように東電が全額負担すると見せかけて、実は、託送料金高止まりで全額を東電管内の電力消費者へ転嫁しようというのです。廃炉費が6兆円からさらに増えれば、東電管内から他電力管内へも広げられるのは必至です。何しろ、東電と他電力との送配電網の共同事業体の結成が目論まれているのですから — こんな理不尽なことは許せません。

  廃炉会計0.2兆円も新電力へ

 8.6兆円を託送料金で回収する仕組みの中には廃炉原発6基分の廃炉費積立不足金等0.2兆円を新電力からも回収する仕組みが組み込まれています。金額は小さく目立ちませんが、それは廃炉になった原発が6基に限られているからです。後ろには建設中の3基を除く42基が控えています。もし、この42基が今廃炉になると、廃炉費積立不足金1.2兆円と未償却資産2.5兆円の計3.7兆円(2015年度末)が追加されます。昨年6月に見積もられた再稼働のための対策工事費3.3兆円がこれに加わり、総計7兆円が新電力を含めて託送料金から回収されることになります。もちろん、この金額は42基がいつ廃炉になるのかによりますが、いつ廃炉になっても、電力会社は電力自由化の下で競争上不利にならず、託送料金で確実に回収できるため、電力会社は原発再稼働を目指し、「安心」して1基約1,000億円もの巨額の工事費を投じられるのです — こんな理不尽なことは許せません。

  原発廃炉に伴うコスト減少分を還元しない電力

 今回の経産省交渉では、署名提出時に「関西電力による電気料金値下げ申請(7月見込)に係る緊急申し入れ」を若狭ネットで行いました。というのも、美浜1・2号の廃炉会計に関するコスト603億円を新電力を含めた電力消費者から託送料金で回収する一方、美浜1・2号の廃炉に伴うコスト減少分約500億円/年を精査して電力消費者に還元すべきところ、未だに実施せず、2015年度から2年分で1,000億円を猫ばばしたまま、新電力と対抗するため、7月にも関西電力の規制料金契約者の電気料金を値下げしようとしているからです。その原資には美浜1・2号の廃炉に伴うコスト減少分も含まれているはずです。 — こんな理不尽なことは許せません。
  敦賀1号の廃炉に伴うコスト減少分は購入電力料の減少分から少なくとも約200億円と公表されていますが、美浜1・2号の精査結果は公表されていません。同様のことは、廃炉になった島根1号、伊方1号、玄海1号でも起きているはずです。廃炉に伴うコスト減少分を電力消費者に還元せず、廃炉会計に係るコストについては新電力からも託送料金で回収する — こんな理不尽なことは許せません。

  原点に立ち返って、フクシマ事故対策を見直せ

 福島事故関連費等8.6兆円を託送料金で回収する政策は、具体化の段階でさまざまな矛盾に直面し、理不尽極まりない姿が露わになっています。これは見過ごせません。7月2日の東京都議選でも、安倍政権の開き直った横暴に国民の批判が噴出しました。これ以上の理不尽を許してはなりません。
 原点に立ち返って、東京電力と国にフクシマ事故の責任をとらせ、東電を破産処理し、株主や金融機関に債権放棄させて9兆円程度を捻出し、不足分は累進課税で対応すべきです。原発推進策を抜本的に転換し、エネルギー基本計画を根本から見直し、再生可能エネルギーの全面推進へ舵を切り替えるべきです。原発再稼働阻止、再生可能エネルギー推進の運動と連携し、8.6兆円の託送料金への転嫁反対運動を拡大しましょう。3.3万筆に達した反対署名の一層の拡大にご協力下さい。今なら経産省令改定を阻止できます。矛盾が顕在化した今だからこそ、反対署名を拡大しましょう!何としても、理不尽極まりない、この政策を皆の力で阻止しましょう!

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2017年6月28日
経済産業大臣世耕弘成様

関西電力による電気料金値下げ申請(7月見込)に係る緊急申し入れ

若狭連帯行動ネットワーク

6月20日の報道によれば、関西電力は、高浜3号が7月4日に営業運転入りした後、規制料金契約者の電気料金値下げを届け出て、8月1日から値下げしようとしています。ところが、関西電力は、2015年6月1日の電気料金値上げ実施条件の一つであった「敦賀1号、美浜1・2号の廃炉に伴うコスト減少分の精査と消費者への還元」を未だに行っていません。
貴省は2015年5月15日付査定方針の中で、「廃炉に伴う費用の減少額(96億円程度)について、新たな料金に反映する。」と指示していますが、「96億円」は2015年4月21日段階の試算値にすぎません。そこでは、「敦賀1号の廃炉に伴うコスト減少分」が84億円と試算されているのに対し、「美浜1・2号の廃炉に伴うコスト減少分」についてはわずか34億円としか試算されておらず、「※金額については、現在精査中」とされていました。関西電力は、今後「精査」の上、「お客さまの電気料金のご負担の軽減を図るべく、活用してまいりたい」と約束しましたが、未だに精査結果が公表されず、消費者への還元も行われていません。
また、貴省は、同査定方針の中で、「認可が行われた場合には、消費者をはじめとする関係する方々全てに対し、丁寧な周知・説明を求める。」と指示していますが、私たちの提出した公開質問状(別紙参照)には全く回答しようとしていません。
美浜1・2号の合計出力が敦賀1号の約2.6倍であることや美浜1・2号の年間維持管理費から見積もっても、「美浜1・2号の廃炉に伴うコスト減少分」は約500億円程度にはなると推測されます。敦賀1号分と合わせて600億円弱が毎年浮いてくるはずですが、2015年6月1日の値上げ以降、「廃炉に伴うコスト減少分」の精査結果は未だに公表されず、精査結果の電力消費者への還元も一切なされていません。
電気料金審査専門小委員会による「関西電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案の概要」(2015.4.21)には「関西電力からはこれらの費用の減少分を電気料金負担の軽減に活用するとの説明がなされましたが、関西電力においてはその額及び算定の根拠を明らかにした上で、費用の減少分については、その全額を電気料金の負担の軽減に活用することを求める。また、次回の料金改定に際しては、廃炉に伴う費用の減少分が原価に織り込まれていないことを厳格に確認するべきである。」と明記されています。
関西電力は、「美浜1・2号の廃炉に伴うコスト減少分」の精査・還元を行わず、規制料金契約者の電気料金を値下げして新電力に対抗する一方で、「美浜1・2号の廃炉時に損失計上すべきコスト603億円(廃炉費積立不足金112億円と未償却資産491億円)」を託送料金へ転嫁し、新電力へ契約変更した電力消費者からも回収しようとしています。これは理不尽極まりない行為です。
そこで、貴職に以下のことを申し入れます。真摯にご対応下さるよう、お願い申し上げます。
1.関西電力による7月電気料金値下げ申請に際しては、2015年6月1日値上げ条件の一つであった「敦賀1号および美浜1・2号の廃炉に伴うコスト減少分の精査と消費者への還元」の実施状況について、また、これに関連して「消費者をはじめとする関係する方々全てに対し、丁寧な周知・説明」をどのように行ったのかについて、関西電力から詳細に聴取し、すべてを公開して下さい。
2.関西電力による7月電気料金値下げ申請のコストには「廃炉に伴う費用の減少分が原価に織り込まれていないことを厳格に確認」して下さい。
以上

関西電力へ「電気料金値下げ申請に際して、美浜1・2号廃炉に伴うコスト減少分に関する公開質問状」を提出!

2017年6月22日
関西電力株式会社取締役社長岩根茂樹様

電気料金値下げ申請に際して、美浜1・2号廃炉に伴うコスト減少分に関する公開質問状

若狭連帯行動ネットワーク

(pdfはこちら)

6月20日の報道によれば、貴社は、高浜3号が7月4日に営業運転入りした後、電気料金の値下げを国へ届け出て、審査会合で求められる説明などに素早く対応することで、2カ月程度かかる審査期間を1ヶ月足らずへ短縮し、新電力に対抗するため、規制料金契約者の電気料金を8月1日から値下げしようとしています。
その一方では、美浜1・2号の廃炉時に損失計上すべきコスト603億円(廃炉費積立不足金112億円と未償却資産491億円)を託送料金へ転嫁し、新電力へ契約変更した消費者からも回収しようとしています。しかも、廃炉に伴うコスト減少分については、今後「精査」の上、「お客さまの電気料金のご負担の軽減を図るべく、活用してまいりたい」との約束でしたが、未だに精査結果が公表されず、消費者への還元も行われていません。
関西電力は2015年4月21日段階で、この「廃炉に伴うコスト減少分」を、96億円と試算しています。このうち「敦賀1号の廃炉に伴う購入電力料の減少分」が84億円であり、美浜1・2号分は34億円(ここから廃炉費積立金22億円が減額される)しか含まれておらず、「※金額については、現在精査中」としています。美浜1・2号の合計出力が敦賀1号の約2.6倍であることや美浜1・2号の年間維持管理費から見積もっても、「美浜1・2号の廃炉に伴うコスト減少分」は約500億円程度にはなると推測されます。敦賀1号分と合わせて600億円弱が毎年浮いてくるはずですが、2015年6月1日の値上げ以降、「廃炉に伴うコスト減少分」の精査結果は未だに公表されず、消費者への還元もなされていません。
電気料金審査専門小委員会による「関西電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案の概要」(2015.4.21)には「関西電力からはこれらの費用の減少分を電気料金負担の軽減に活用するとの説明がなされましたが、関西電力においてはその額及び算定の根拠を明らかにした上で、費用の減少分については、その全額を電気料金の負担の軽減に活用することを求める。また、次回の料金改定に際しては、廃炉に伴う費用の減少分が原価に織り込まれていないことを厳格に確認するべきである。」と明記されています。
ここに公開質問状を提出しますので、真摯にご検討の上、2週間以内に文書回答して頂くよう求めます。
<質問項目>
1.敦賀1号および美浜1・2号の廃炉に伴うコスト減少分について、貴社が2015年4月以降に精査した結果を公表してください。その上で、「その額及び算定の根拠」を明らかにし、精査した結果をどのように「還元」したのかを説明してください。
2.2015年6月1日の電気料金値上げの際、「廃炉に伴う費用の減少額(96億円程度)」については、経済産業省からの2015年5月15日の指示通り、料金に反映させたと思われますが、それに相違ありませんか。
また、同指示には、「認可が行われた場合には、消費者をはじめとする関係する方々全てに対し、丁寧な周知・説明を求める。」とありますが、私たちがこれまでに貴社へ提出した公開質問状には回答を拒否し続けています。たとえば、2015年2月12日「関西電力の電気料金値上げと原発再稼働に関する公開質問状」(賛同39団体500個人)、同年2月26日「『貴社原子力広報室による回答拒否』問題に関する緊急公開質問状」、同年3月6日「3月5日の貴社原子力広報室による電話回答に関する公開質問状」、同年3月18日「廃炉に伴う維持管理費減少に関する追加の公開質問状」(賛同43団体1,411個人)と立て続けに4回提出(詳細はこちら)しましたが、なしのつぶてでした。同年6月1日の値上げ後は、面会も拒み続けています。
今回の公開質問状へも同様に回答しないというのであれば、貴職には、7月に予定している「電気料金値下げ申請」を行う資格はないと私たちは考えますが、いかがですか。
3.貴社は、美浜1・2号の廃炉時に損失計上すべき603億円を託送料金の「コスト」に計上して、貴社から新電力へ契約変更した電力消費者からも回収しようとしていますが、値下げする余力があるのなら、撤回すべきだと私たちは考えますが、いかがですか。
以上

美浜発電所1・2号機、日本原電敦賀発電所1号機の廃炉について
平成27年4月21日 関西電力株式会社

美浜発電所1・2号機、日本原電敦賀発電所1号機の廃炉について
○美浜発電所1・2号機、日本原電敦賀発電所1号機の廃炉に伴い見込まれる費用の減少額に ついては、お客さまの電気料金のご負担の軽減を図るべく、活用してまいりたいと考えております。
○具体的な費用減少額は、96億円程度(現在精査中)であり、現行料金に含まれている当該プラントに関する費用から、廃炉後もプラントを安全に維持するために必要な費用を差引いた金額としております。

減少額とその説明
資本費・公租公課  ▲ 6億円:発電資産、核燃料等の減少による事業報酬の減少
修繕費      ▲22億円:発電資産にかかる修繕費用の減少
購入電力料    ▲84億円:日本原電敦賀発電所1号機に関する費用の減少
その他経費(消耗品費、廃棄物処理費など)▲6億円:補助ボイラ燃料費などの減少
原子力発電施設解体費  22億円:平成25年の会計制度の見直しにおいて原子力発電施設解体引当金制度を生産高比例法から定額法に変更したことに伴う増加
合 計        ▲96億円 ※金額については、現在精査中

関西電力株式会社の 供給約款変更認可申請に係る査定方針案
平成27年4月21日 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電気料金審査専門小委員会

8.美浜発電所1・2号機、日本原電敦賀発電所1号機の廃炉
検討の結果
•3月17日に美浜発電所1・2号機、日本原電敦賀発電所1号機の廃炉の意思決定がなされたことを踏まえ、 美浜発電所1・2号機の廃炉に伴い、修繕費や諸経費等の減少が見込まれ、また、日本原電敦賀発電所1号機の廃炉に伴い、購入電力料の減少が見込まれることを確認した。
•関西電力からはこれらの費用の減少分を電気料金負担の軽減に活用するとの説明がなされたが、関西電力においてはその額及び算定の根拠を明らかにした上で、費用の減少分については、その全額を電気料金の負担の軽減に活用することを求める。また、次回の料金改定に際しては、廃炉に伴う費用の減少分が原価に織り込まれていないことを厳格に確認するべきである。

関西電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針
平成27年5月15日 経済産業省

8.美浜発電所1・2号機、日本原敦賀の廃炉
3月17日に美浜発電所1・2号機、日本原電敦賀発所1号機の廃炉の意思決定がなされたことを踏まえ、美浜発電所1・2号機の廃炉に伴い、修繕費や諸経等の減少が見込まれ、また、日本原電敦賀発所 1号機の廃炉に伴い、購入電力料の減少が見込まれることを確認した。
関西電力からは第25回小委員会において、これらの費用減少分について、その全額を電気料金負担の軽減に活用すると説明があった。
関西電力は、美浜発電所 1・2号機、日本原電敦賀発所1号機の廃炉に伴う費用削減分を需要家に還元する方策を以下のとおり実施する。
なお 、次回の料金改定に際しては廃炉伴う費用減少分が原価に織り込まれいないことを厳格に確認する。
<廃炉に伴う費用の減少係る軽減措置の概要>
関西電力は、美浜発電所1・2号機、日本原電敦賀発所1号機の廃炉に伴う費用の減少額(96億円程度)について、新たな料金に反映する。

9.情報提供等
(1)認可が行われた場合には、 消費者をじめとする関係方々全て対し丁寧な周知・説明を求める。
(2)電気料金の値上げ実施時期については、6月1日とする。

6・28「経済産業省への署名提出と関連する交渉」にご参加ください!

6・28「経済産業省への署名提出と関連する交渉」にご参加ください!

経済産業省への署名提出と関連する交渉
日時:2017年6月28日(水)14:00~15:00
場所:参議院議員会館B109会議室(地下)

呼びかけ:若狭連帯行動ネットワーク(事務局)、双葉地方原発反対同盟、原発の危険性を考える宝塚の会、日本消費者連盟関西グループ、関西よつ葉連絡会、安全な食べものネットワークオルター、サヨナラ原発福井ネットワーク、福井から原発を止める裁判の会、吹夢キャンプ実行委員会、福島の子供たちを守ろう関西、さよなら原発神戸アクション、さよならウラン連絡会、おかとん原発いらん宣言2011、原発ゼロ上牧行動、STOP原子力★関電包囲行動、とめよう原発!!関西ネットワーク、さよなら原発なら県ネット、地球救出アクション97、ヒバク反対キャンペーン、さよなら原発箕面市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、環境フォーラム市民の会(豊中)、科学技術問題研究会、さかいユニオン、大阪自主労働組合、社民党福島県連合、フクシマ原発労働者相談センター、日本消費者連盟、原子力資料情報室

(呼びかけのpdfはこちら)

東京電力の「新々・総合特別事業計画」は、福島原発廃炉費6兆円と損害賠償費2.4兆円を「託送料金」(電気の送配電線利用料金)へ転嫁することを前提にしています。新電力へ契約変更した電力消費者も問答無用で払わされます。
こんな理不尽な制度を導入しなければ、東電は破産するのです。断じて許せません。
私たち29団体は3月15日、これに反対する署名2万2,906筆を経産省へ第2次提出し、追及しました。署名数は6月15日現在、3万3,002筆に達しています。
6月28日には、約1万筆超の追加署名をバックに、これまでの交渉の成果を踏まえ、経産省をさらに追い詰め、8.6兆円の「託送料金」への転嫁の撤回を迫ります。
東電に「廃炉費等積立金」の納付義務を課す法律は今国会で成立しました。その原資を生み出すための「託送料金」制度はまだ改変されていません。経産省令改定案はまだできていません。
ここに来て、経産省は「2020年実施だからまだ余裕がある」「先の見通しが立たない」とかで躊躇し、省令改定作業が止まっています。これを止めるチャンスは今です。
ぜひ、署名提出の経産省交渉へご参加下さい。

遠方からの交渉参加者に交通費の半額をめどにカンパしたく1口500円で何口でも結構ですのでカンパをお寄せ下さい。
署名集約先:〒583-0007 藤井寺市林5-8-20-401 久保方TEL 072-939-5660 dpnmz005@kawachi.zaq.ne.jp
カンパ振込先: 郵便振込口座番号00940-2-100687(加入者名:若狭ネット)

経済産業省への署名提出と関連する交渉

日時:2017年6月28日(水)14:00~15:00
場所:参議院議員会館B109会議室(地下)

(地下鉄丸ノ内線「国会議事堂駅前」下車歩5分)

参加希望者は事前に久保までご連絡下さい。当日は、参議院議員会館の荷物検査を経て、12時半頃ロビーへ集合し、事前会合(13:00~14:00)からご参加下さい。

原子力規制委員会に対する紹介議員は、社会民主党の福島みずほ参議院議員にお願いしています。

 

 

若狭ネット第166号を発行:原発コストの「託送料金」への転嫁反対運動はこれからが正念場

福島事故関連コストの「託送料金」への転嫁反対運動はこれからが正念場です!
関連の法律=「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」改正案は、5月10日に国会を通過しましたが、これは東京電力に「廃炉等積立金」を積立てることを義務づけるだけの法律であり、その原資を「託送料金」へ転嫁する仕組み=経産省令改定はこれからです!
5月末現在、署名は2万8,619筆(累計)に上ります。
6月末に経産省へ提出し、公開質問状で追及したいと思います。
お手元の署名を至急、送って下さい。

経産省は、ここに来て、なぜか、「2020年の実施まで余裕がある」「先が見通せない」と、省令改定案作成に躊躇しています。
今が攻めどきです!
経産省令の改定阻止に向け署名は続けます!
署名拡大にご協力下さい。

第166号(2017/6/2)(一括ダウンロード3.8Mb

巻頭言-福島事故関連費と原発コストを「電気の託送料金」に転嫁しないでください!
署名は5月末現在2万8,619筆に!6月末提出に向け署名を至急送って下さい
参議院は日印原子力協力協定を批准せず、廃案にせよ!
安倍政権は、東芝危機を教訓に「原発輸出」戦略を撤回し、脱原発・再生可能エネルギー推進へ転換せよ!
(1)第三次特別事業計画は、原子力被災者切り捨てと国民負担による東電救済策
経産省は、「廃炉費6兆円の託送料金への転嫁」をやめ、東電を破産処理し、原発推進策から撤退せよ!
(2)参議院は日印原子力協力協定を批准せず、廃案にせよ!
(3)安倍政権は、東芝の経営危機へのテコ入れをやめ、「原発輸出」を断念し、脱原発・再生エネ推進へ転換せよ!
(4)長期地球温暖化対策プラットフォーム報告書-我が国の地球温暖化対策の進むべき方向-(2017.4.7)
経産省はパリ協定を遵守し、国内のCO2大幅削減を妨害するな!
(5)伊方3号の運転差止仮処分申立を却下した広島地裁決定は司法の責任を回避し、「不作為の瑕疵」を容認するもの
2017年4月28日 大阪府立大学名誉教授 長沢啓行
<巻頭言>福島事故関連費と原発コストを「電気の託送料金」に転嫁しないでください!
署名は5月末現在2万8,619筆に!6月末提出に向け署名を至急送って下さい
参議院は日印原子力協力協定を批准せず、廃案にせよ!
安倍政権は、東芝危機を教訓に「原発輸出」戦略を撤回し、脱原発・再生可能エネルギー推進へ転換せよ!

経産省は「国民負担による東電救済」を進めようとしています。
①商法違反の経産省令改定を行って「過去の電気料金」に算入し損なったコスト(損害賠償費一般負担金「過去分」)2.4兆円を、40年間にわたり、電力消費者に転嫁しようとしています。
②東京電力管内の「託送料金」を高止まりにして電力消費者から福島原発廃炉費不足分6兆円を回収しようとしています。
③原発廃炉時に電力会社が損失として計上すべき「廃炉費積立不足分や減価償却できなかった残存資産」を「託送料金」へ転嫁しようとしています。
これらはすべて、「原発を持たない新電力」とは無縁のもの!にもかかわらず、新電力との契約者も負担させられるのです。
「原発の電気はいらない!」と言って新電力へ契約変更しても、原発コストを「託送料金」で払わされるのです。こんな理不尽なことがまかり通っていいのでしょうか。
まずは東電を破綻処理し、株主・金融機関に債権放棄させて約10兆円を捻出し、事故の責任をとらせるべきです。それでも足りない分は、累進課税等で富裕層や大手企業を中心に徴収すべきであり、低所得層からも広く徴収するのは間違いです。
そもそも「託送料金」というのは、「送配電網を利用するための料金」なのであり、送電コストとは無関係の「福島事故関連費や原発コスト」を「託送料金」に組み込むのは論外です。
しかし、経産省令を改定して、発送電が分離される2020年、ちょうど東京オリンピックが開催される年から、脱原発を願う電気消費者からも問答無用で、これらのコストを徴収し、子や孫、さらに玄孫(やしゃご)の世代まで負担させようというのです。
私たちは昨年11月から反対署名に取り組み、経産省と交渉してきました。
5月末現在、2万8,619筆に上ります(累計)。
5月末で第三次集約し、6月末に経産省へ提出し、公開質問状で追及したいと思います。お手元の署名を送って下さい。経産省令が改定されるまで署名は続けます。署名を拡大して下さい。

「機構法改定案」は国会で可決されたが・・・

東電救済のための法律(「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」改正案)は、5月10日に国会を通過しましたが、まだ、「廃炉費6兆円の託送料金への転嫁」の仕組みができたわけではありません。
転嫁を行うには、(1)原子力損害賠償・廃炉等支援機構が管理する「廃炉等積立金」に東電が資金を積立てる制度を法律で定めること、(2)30年間に6兆円の資金を東電が託送料金から捻出できるように経産省令を改定すること、の2段階が必要です。
(1)の法律は、社民・共産・自由党などが反対しましたが、5月10日の参議院で可決成立しました。
しかし、この法律は、東京電力が毎年決められた金額を原子力損害賠償・廃炉等支援機構の管理する「廃炉等積立金」に納付するように定めたものであり、その原資には何も触れられていません。この原資を「託送料金」高止まりで捻出するための(2)の仕組みが必要不可欠なのです。
(2)の経産省令改定案はパブリックコメントにかけられる予定ですが、5月末現在、改定案は示されていません。
2020年4月の発送電分離に合わせて実施する計画なので、まだ先のことですが、(2)を実現できなければ、託送料金から廃炉費を確実に捻出することができず、東電が経営努力で積立金を捻出しなければなりません。それは東電破産を意味します。まだ、間に合います。今進めている反対署名をさらに広げて、(2)の実現を阻止しましょう。

福島第一原発の廃炉費は、8兆円では収まらない

廃炉費6兆円というのは1979年3月、アメリカのスリーマイル島原発事故で「燃料デブリを除去して搬出する」までの約10億ドルに基づいて試算されたものです。
デブリの量から6倍、放射線量が極めて高くロボットなどの遠隔操作が必要だとしてさらに5倍、物価上昇率で2倍とみなし、計60倍したものです。
ところが、日本経済研究センターの試算では、福島第一原発1~3号から出る廃棄物はすべて放射性だとしてその処理処分費に約11兆円、トリチウム汚染水処分に約20兆円、汚染土の最終処分に約30兆円、計約61兆円としています。
汚染水については、国も東電もトリチウムを薄めて海洋放出し約20兆円を浮かそうとしていますが、許せません。論外です。汚染土の最終処分の計画は何もありません。このように、福島原発の廃炉・汚染水対策費は、6兆円に収まるどころか、さらに膨れあがるのは必至です。

国民負担で東電救済の「第三次特別事業計画」

この機構法改定案が5月10日に国会を通過したのを確認して、東京電力の再建計画を示す「新々・総合特別事業計画(第三次計画)」が5月11日、主務大臣(内閣府と経産省)に申請され、5月18日に認定されました。そこでは、送配電事業で廃炉費6兆円を捻出することが前提とされ、東電の企業価値を高めるために、早ければ2019年度から柏崎刈羽原発を7基とも順次再稼働させる計画も盛り込まれています。この再稼働を東電だけが担うと、新潟県知事をはじめ反対が強いため、東電が東北電力との共同事業体を作って、それを再稼働の先兵に仕立て上げようとしていています。東北電力は「拒否」する構えですが、中断している東電の東通原発建設工事再開を含めて、東電も経産省もやる気十分です。
経産省は東電を逆用して、「東電と電力会社の共同事業体」を作り、電力・原子力産業を再編し、懲りずに原子力推進体制を立て直そうと目論んでいます。
福島県の自治体・県民が総意で求め続けている「福島第二原発の廃炉」要求には全く応えようとしていません。とんでもない東電再建計画なのです。東電を破産処理し、東電と国のフクシマ事故の責任を明らかにすることこそが、国民負担の最も少ない、最も公正な対処法ではないでしょうか。

経産省交渉で暴かれた「あくどい手口」

私たちは3月15日に経産省交渉をもち、2万2,906筆(累計)の署名を第二次提出し、公開質問状で追及しました。時間切れのため3月24日付けで資料請求していたところ、4月6日に経産省から回答がきました。その結果、新たに次のことが判明したのです。
損害賠償費一般負担金「過去分」2.4兆円の内訳は、新電力0.24兆円、東京電力0.8兆円、大手電力1.4兆円になる。ただし、東京電力と大手電力の間の案分は1966~2010年度の累積設備容量に基づく。
この回答によると、後述の通り、東京電力の実負担額は3.9兆円から3.1兆円に減額され、大手電力の実負担額も3.7兆円から2.3兆円へ大幅減額されることになります。こんな国民だましは許せません!
損害賠償費一般負担金は原子力事業者に負担義務があり、電力消費者に負担義務はありません。
これは経産省も認めたところです。ましてや、その不足分を「過去分」として、商法に違反してまで、託送料金で回収するなどもってのほかです。
電力自由化の下では、一般負担金は過去分を含めて、原子力事業者(電力会社)が経営努力で捻出すべきです。

東芝の経営危機を教訓とし、原発輸出を断念すべき

ウェスチングハウスWH社の経営破綻により、東芝は2016年度決算(2017年3月期)で5,400億円の債務超過に陥りました。
東芝はWH社を切り離して海外原発事業から撤退する一方、優良半導体事業を2兆円超で売却することで「東証上場廃止」を回避し、国内の原子力事業を存続させようとしています。
東芝の経営危機は、安倍政権の進めてきた原発輸出戦略が破綻したことを物語っています。その失策を覆い隠すため、経産省は、産業革新機構と日本政策投資銀行を使って、東芝の原子力事業救済に奔走しています。
しかし、経産省も安倍政権も、東芝の経営危機を招いた、全世界的な原子力事業の深刻で全面的な危機を直視すべきです。
東芝の危機は、2011年フクシマ事故で世界的に波及した原子力先進諸国での原子力産業の危機を反映したものであり、仏アレバの経営危機、仏大手電力エンジーの原子力からの撤退、仏電力公社EDFの英ヒンクリーポイントC計画を巡る動揺となって顕在化し、三菱重工業や日立製作所の原発輸出計画にも深刻な影響を与えています。
東芝WH社の原発(AP1000)建設計画は、建設中の4基(ボーグル3・4号、V.C.サマー2・3号)だけでなく、計画段階の11基も、シェールガス火力への転換(2基)、計画中止(2基+2基?)、延期(2基)、運転開始時期を2030年以降にして様子見(3基)が相次いでいます。
東芝が米国で進めてきたサウステキサス・プロジェクトは炉型がABWRと異なるものの、共同企業が撤退したため、すでに得ていた設計認証更新を2016年に取り下げ、凍結(事実上撤退)しています。
東芝がイギリスで進めていたムーアサイド原発計画(AP1000が3基)も共同出資者(仏エンジー)の撤退と原発と消費地をつなぐ100マイル送電線工事の中止で事実上の撤退を余儀なくされています。
仏エンジーはムーアサイド原発計画から撤退するだけでなく、トルコのシノップ原発計画からも撤退するようです。
というのも、エンジー自身が2015年12月期に巨額赤字を出し、2008年以来の会長兼CEOが辞任、2016年5月に就任した新CEOが2018年までに150億ユーロ(1.85兆円)の資産売却と事業の軸足を再生可能エネに移すと表明しているからです。
欧州加圧水型炉EPRの2基建設工事で巨額の損失を出して経営危機に陥った仏アレバの再建計画も難航し、仏電力EDFによるアレバへの51%出資は国によるEDFへの30億ユーロ増資で何とかこぎ着けた状態で、これを契機に三菱重工業が約700億円の出資に踏み切ったのですが泥沼へ踏み込んだ感は免れません。
というのも、アレバ再建の一つの柱とされる英ヒンクリーポイントC計画(EPR2基)には、EDF取締役会でCFO等幹部が2016年に反対して辞任、10対7の僅差で決まったにすぎません。英政府が35年間、現行電気料金の2倍の約13円/kWhで購入するという契約も英国民がいつまで我慢できるか分かりません。
日立の英ウィルファ・ニューウィッド計画(ABWR、4~6基)では、英政府による電力買取価格が大幅に引き下げられる方針で、原発計画の申請や企業間協力体制は進んでいますが、肝心の共同出資者が全く現われず、「着工に向けた一歩」を進めない状態です。
これには、太陽光発電、風力、バイオマス等の再生可能エネルギ-の急速な普及が関係しています。
それは欧州で電力価格を劇的に引き下げ、米国では安価なシェールガス発電も競争に加わって、新規原発の価格競争力を奪い、ベトナム、トルコ、インドなどでも原発輸入計画が撤回、頓挫、棚上げに追い込んでいるのです。
ベトナムでは、4基の建設費が当初の約100億ドル(約1.15兆円)から約270億ドル(約3.1兆円)へ3倍近くに急騰、白紙撤回されました。
トルコでも、シノップ原発計画総事業費が三菱重工業とアレバ共同開発の「アトメア1」4基で約220億ドル(約2兆1700億円)と見込まれる一方、現在進行中の事業化可能性調査で国内の安い電気料金では原発建設は、採算ベースに乗らないとして撤退機運が広がっています。共同出資者の伊藤忠商事や仏エンジーが撤退を検討しており、計画が漂流し始めています。
インドでは、WH社が印原発公社とAP1000の6基新設計画を交渉中ですが、WHの破産申請と東芝の海外事業撤退方針で頓挫しています。
そのような中、インド政府は2017年5月17日の閣議で70万kW国産PHWRの10基建設計画(7,000億ルピー(約110億ドル))を承認し、インド国内原子力産業の再編を促す方針を明らかにしました。
これは2012~17年の第12次5カ年計画に含まれていたものですが、同計画にあるロシアAES-92や仏EPR等の原発輸入計画には一切触れず、今後のAP1000やEPR等の原発輸入についても期待しない方針へ転換したと思われます。
今国会では日印原子力協力協定が参議院で審議中ですが、核拡散を助長するものであり、「核実験即破棄」にならない協定は批准せず、破棄すべきです。
「協定批准でインドに原発輸出を!」という戦略も破綻しており、批准する意味もありません。
安倍政権は、原発輸出をアベノミクスの一つの柱にし、首相自ら原発受注に奔走してきましたが、東芝の経営破綻で原発輸出戦略が幻想にすぎなかったことが一挙に明らかにされたのです。
これ以上、原発重大事故の危険に加えて、経済的破綻というリスクも高い原発輸出からは即刻撤回すべきです。
今年は「エネルギー基本計画」を改定する年に当たります。
2030年に「原子力22~20%」という目標を破棄し、脱原発目標を掲げるべきです。
再生可能エネルギーも「22~24%」の目標に留めるのではなく、少なくとも40%程度、将来的には100%を目指すべきです。
そのため、欧米を見習って、原発全基再稼働を前提とした「接続可能量」を撤廃し、再生可能エネルギーの優先接続、優先給電を実現すべきです。

経産省から資料請求への回答がきました

経産省から資料請求への回答がきました。
以下にその内容とコメントを掲載します。(pdf版はこちら
若狭ネットで事前に評価していた内容と基本的に同じですが、今回の損害賠償費一般負担金「過去分」が新電力への新たな負担を課し、大手電力と東京電力を優遇するものであること、商法違反の後出し請求による料金徴収であることが、改めて明らかになりました。
こんな理不尽な施策は断じて許せません。
反対署名を一層拡大していきたいと思います。リーフレットを活用して署名拡大にご協力下さい。

2017年4月6日
御指摘事項について
資源エネルギー庁電力・ガス事業部電力市場整備室
1.一般負担金「過去分」2.4兆円から0.24兆円を除いた部分が東電と大手電力にそれぞれいくら割り振られているのかを示す資料

○御指摘の過去分については、電カシステム改革貫徹のための政策小委員会中聞とりまとめに示されているとおり、1966年度~2010年度までの累積設備容量を基に算出しております。
○その結果、2. 4兆円から0.24兆円を除いた部分について、東京電力分は約0.8兆円、その他大手電力分は約1.4兆円となります。

2.一般負担金「過去分」2.4兆円を託送料金で強制的に全消費者から回収するのは商法違反だと考えられ、電力システム改革貫徹のための政策小委員会財務会計ワーキンググループなど関連審議会でもその指摘がなされているところでるが、上位の法律に違反する上記料金徴収を下位の省令で義務付けることができるという法律ないし法的根拠となる資料。

○託送料金については、電気事業法上、送配電網の維持・管理にかかる費用などに加え、離島の発電費用を含むユニバーサルサービス料金など、「全ての消費者が広く公平に負担すべき費用」を含めることができる制度となっております。
○また、今回の議論は、あくまで今後の託送料金の原価にどのような費用の算入を認めるかというものであり、何らか商法上の問題が生じるとは考えておりません。

(この回答は、福島みずほ社民党参議院議員事務所を通して3月24日に提出した資料請求に対し、再三の督促の結果、ようやく4月6日深夜にFAXで回答されたものです。)

<1への回答に関するコメント>
 一般負担金「過去分」2.4兆円は、新電力を10%の0.24兆円とし、残り約2.2兆円を大手電力と東電の販売電力量で割り振るという計算法に間違いはありませんでした。経産省が用いた販売電力量は1966~2010年度の累計ですが、私たちは2015年度の販売電力量を用いています。それは、2020年度から託送料金に一般負担金「過去分」が上乗せされるとすれば、直近の販売電力量を用いるのが適切だと判断したからです。結果的には約0.1兆円の差にすぎませんので、取り立てて問題にするほどではありませんが、下記の通りです。

   表1.一般負担金「過去分」の割り振りと損害賠償費不足分の配分額との関係
┌────┬──────┬─────┬───────────────────┐
│            │若狭ネット │ 経産省     │損害賠償費不足分(5.4兆円→7.9兆円) │
│          │による試算 │による試算│に関する経産省資料による配分額 *   │
├────┼──────┼─────┼───────────────────┤
│東京電力│ 0.68兆円  │ 0.8兆円   │特別負担金0.67兆円、一般負担金0.53兆円│
├────┼──────┼─────┼───────────────────┤
│大手電力│ 1.5兆円  │ 1.4兆円   │ 一般負担金1.0兆円                      │
├────┼──────┼─────┼───────────────────┤
│ 新電力  │ 0.24兆円  │ 0.24兆円  │ 一般負担金「過去分」0.24兆円         │
└────┴──────┴─────┴───────────────────┘

*第6回東京電力改革・1F問題委員会参考資料                   

 損害賠償費が5.4兆円から7.9兆円へ増えたために生じた不足分のうち、大手電力では、負担額1.0兆円に対し一般負担金「過去分」で1.4兆円を回収できるため、0.4兆円(若狭ネット試算では0.5兆円)が減額されることになります。東京電力では、負担額1.2兆円に対し一般負担金「過去分」で0.8兆円を回収できることになり、これは一般負担金配分額0.53兆円を超え、0.3兆円(若狭ネット試算では0.2兆円)が特別負担金の減額に使われることになります。しかし、これは2020年から40年後の2060年になって結果が分かることであり、それまでは実際の販売電力量に対して一律に託送料金で回収されるため、新電力のシェアが10%に満たない当面は、大手電力と東京電力による一般負担金「過去分」の回収率が高くなります。
 損害賠償費の一般負担金と特別負担金の実際の金額は、原子力損害賠償・廃炉費等支援機構が毎年末に決定することから、現時点で確実なことは言えませんが、大手電力と東京電力の一般負担金「過去分」の回収額が表1の試算値の割合より多ければ、当面は大手電力と東京電力の負担額をより多く軽減する方向に作用する可能性があります。
 今回の資料請求への経産省の回答はそれを裏付けたものと言えます。

<2への回答に関するコメント>
 私たちは、一般負担金「過去分」という後出し請求書が商法違反にならないという法的根拠を求めているのですが、それを示せないため、「全ての消費者が広く公平に負担すべき費用」なら商法違反でも許されるという暴論を展開しています。
 一般負担金は原子力事業者に負担義務があり、電力消費者にはありませんので、一般負担金「過去分」は原子力事業者と過去に契約していた電力消費者との商取引関係であり、「全ての消費者が広く公平に負担すべき費用」とは言えません。また、過去に完了した商取引のコストを数十年後に請求できるという法的根拠もないということを認めたことになります。
(文責:若狭ネット資料室)

署名拡大用にリーフレットを作成しました。ご活用下さい!

3月15日の経済産業省交渉を踏まえ、署名を一層拡大するため、新たにリーフレットを作成しました。ご活用ください。
署名拡大用リーフレット(pdf版)

「福島事故関連費と原発コストを『電気の託送料金』に転嫁しないでください!」の署名用紙は下記にあります:
署名用紙のpdf版
署名用紙のdocx版
3月15日の交渉で明らかになった一般負担金「過去分」のカラクリ・リーフレット

第三次締切:2017年5月31日(2/8と3/15に累計2万2,906筆を提出)

●3月15日の交渉が時間切れになったため、一週間後に経済産業省へ下記の資料請求を行いましたが、回答期限の3月30日をすぎても音沙汰なし。何度か督促した末に「ちょっと待ってほしい」との一言だけの返事。1については「ご指摘の通り」の回答以外になく、2については、法律違反の省令を正当化できる法的根拠がないため「回答できない」のかも知れませんが、私たちは回答を得るまで粘り強く回答を迫ります。

<資料請求の項目>
1.3月15日の話合いの場で、職員2名は、一般負担金「過去分」2.4兆円は「東電の3.9兆円、大手電力の3.7兆円の一部に入ってくる」と回答し、2.4兆円から新電力の0.24兆円を除いた部分は「東電の+1.2兆円と大手電力の+1.0兆円の合計2.2兆円ではないのか」との問いに「計算の結果はそうなるが、そんなふうに合わせて計算しているわけではない」と回答しているところ、一般負担金「過去分」2.4兆円から新電力の0.24兆円を除いた部分が東電と大手電力にそれぞれいくらが割り振られているのかを示す資料。
ちなみに、2015年度の沖縄電力を除く販売電力量[億kWh]は、新電力444億kWh、東電2,471億kWh、大手電力5,423億kWhで計8,338億kWhであり*1、一般負担金「過去分」2.4兆円を新電力に10%、9電力に90%とし、後者を2015年度販売電力量の東電:大手電力=31.3:68.7の比で割り振ると、東電0.68兆円、大手電力1.5兆円となり(有効数字2桁で丸めている)、これらが、「東電の3.9兆円、大手電力の3.7兆円」にぞれぞれ含まれるとも考えられるが、これに相違なければ「ご指摘の通り」と回答しても良い。
*1 資源エネルギー庁:電力調査統計表,各年度分総需要電力量速報,自家用発電及びその他電力量実績

2.一般負担金「過去分」2.4兆円を託送料金で強制的に全消費者から回収するのは商法違反だと考えられ、電力システム改革貫徹のための政策小委員会財務会計ワーキンググループなど関連審議会でもその指摘がなされているところであるが、上位の法律に違反する上記料金徴収を下位の省令で義務づけることができるという法律ないし法的根拠となる資料。
以上

3・15経産省交渉で暴かれた、原子力事業者救済のあくどい手口!

福島事故関連費など原発コストの託送料金への転嫁反対署名にかかる3・15経済産業省交渉の報告

「電力消費者には一般負担金の支払義務はない」と認める!

新電力に0.24兆円の新たな負担、大手電力には0.5兆円の負担軽減という「託送料金への転嫁」のあくどい手口を許すな!

反対署名をさらに拡大し、経産省を追撃し、託送料金への転嫁を撤回させよう!

呼びかけ:若狭連帯行動ネットワーク(事務局)、双葉地方原発反対同盟、原発の危険性を考える宝塚の会、日本消費者連盟関西グループ、関西よつ葉連絡会、安全な食べものネットワークオルター、サヨナラ原発福井ネットワーク、福井から原発を止める裁判の会、吹夢キャンプ実行委員会、福島の子供たちを守ろう関西、さよなら原発神戸アクション、さよならウラン連絡会、おかとん原発いらん宣言2011、原発ゼロ上牧行動、STOP原子力★関電包囲行動、とめよう原発!!関西ネットワーク、さよなら原発なら県ネット、地球救出アクション97、ヒバク反対キャンペーン、さよなら原発箕面市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、環境フォーラム市民の会(豊中)、科学技術問題研究会、さかいユニオン、大阪自主労働組合、社民党福島県連合、フクシマ原発労働者相談センター、日本消費者連盟、原子力資料情報室

3・15経産省交渉方向のpdfはこちら:交渉記録と資料請求も掲載)

署名用紙のpdf署名用紙のdocx一般負担金「過去分」のカラクリ・リーフレット

2万2,906筆の署名をバックに経産省を追及

1月23日の質問項目提出から、経産省による2月8日のドタキャンを経て、2ヶ月がかりでようやく3月15日に経産省交渉を実現させることができました。それまで拒否されてきた画像録画・放映も今回は認めさせることができました。
これはやはり国民の多くが関心を寄せ、全国から多くの反対署名が現に寄せられていることが大きな力になったと思います。
(映像はhttps://www.youtube.com/watch?v=ithG0aPlC2o )
3月15日の交渉では、最初に「福島事故関連費と原発コストを『電気の託送料金』に転嫁しないでください!」の署名4,388筆を追加提出しました。2月8日提出分と合わせて2万2,906筆に達しました。
経産省資源エネルギー庁からは政策課電力市場整備室の室長補佐と原子力政策課の法令制度一係長の2名が出席し、市民側は25名で追及しました。
公開質問状では「1.損害賠償費一般負担金『過去分』について」、「2.福島原発廃炉費について」、「3.廃炉に関する会計制度について」の3つにわたりますが、時間の制約から、2と3については最初の回答だけに終わりました。

電力消費者には一般負担金を支払う義務はない

1の「損害賠償費一般負担金『過去分』について」では、次のことが明らかになりました。
第1に、一般負担金の支払い義務があるのは原子力事業者であり、電力消費者にはそれを支払う法的義務がないことが確認されました。
したがって、第2に、損害賠償費が5.4兆円から7.9兆円に増えても、原子力事業者の一般負担金支払額を増やせばすむ話であり、なぜ、そうせずに、一般負担金「過去分」2.4兆円と称して全電力消費者に支払わせるのか、経産省はその根拠を示すことができませんでした。
「電力消費者間の不公平性」とか、「自由化された高圧・特別高圧分野の新電力の割合は小さかった」とか、「一般負担金を皆で払うことを決めた」とか、「規制料金で原価に算入できる」とか、さまざまな「根拠にならない根拠」を次から次へと繰り出しましたが、ことごとく粉砕されたのです。

一般負担金支払いの「公平性」は最初からなかった

「根拠」の一つとして、経産省はまず、「電力自由化の下で一般負担金を払う人と払わない人が出てくる」と主張しましたが、そもそも2011年の一般負担金制度発足時点ですでに自由化されていた高圧・特別高圧分野の大企業には一般負担金の支払いが規制料金で義務づけられておらず、一般家庭にだけ義務づけられていたのです。総電力需要の1割を占める自家発電でも送電しない限り、一般負担金の支払いは義務づけられません。
これらが具体的に示されると、経産省は電力消費者間の不公平性は当初からあり、解消されておらず、今後も解消されないことを認めざるを得ませんでした。

新電力移行分が少なれば不公平にならない?

すると、経産省は「高圧・特別高圧分野で新電力へ移行した部分は1%とか、2%の世界だ」と言い出したのです。これには、「2011年当時には高圧・特別高圧分野で5%程度になっていたし、『過去分』2.4兆円の新電力負担分は10%だと言っている。
5%だと不公平にならず、10%だと不公平になるのか」と詰め寄られると、「20%になることもあり得る」と言い出す始末。
つまるところ、電力消費者間の不公平性が問題なのではなく、原子力事業者たる電力会社に一般負担金支払い義務があるにもかかわらず、新電力には支払い義務がないことが問題なのです。
それを電力消費者間の不公平性の問題にすり替えるのはとんでもないことです。

原子力事業者が自由料金の下で捻出すべき

電力自由化の下では電気料金に差が生じるのは当たり前のことであり、競争環境下で原子力事業者が自由料金の中にコストとして織り込み、自らの経営努力で一般負担金を捻出すれば良いのです。
損害賠償費5.4兆円の一般負担金においてはそのような扱いになっているのですから、損害賠償費が7.9兆円に増えたからと言って、一般負担金「過去分」2.4兆円を託送料金へ転嫁する必要など全くないのです。
ましてや、経産省の主張通りに原発が「安い」のなら、それは十分可能なはずです。しかし、事故コストを入れると原発は「高い」ため、事故コストの一部を託送料金で全電力消費者から回収することにより、この分の原発コストを事実上なきものにしようとしているのです。

「一般負担金を皆で払いましょうと仕切った」??

追い込まれた経産省は、「一般負担金を皆で払いましょうと仕切った」と言い出したのですが、私たちは即座に「それは原子力事業者の義務であって、電力消費者に支払い義務はないと最初に確認したはずだ」と切り返しました。
すると、「損害賠償費が5.4兆円から7.9兆円になって、これが減らないとすればどこかで払わないといけない」と言い出したのですが、これにも「原子力事業者が支払えば済む話だ」と反論すると、最終的に「7.9兆円へ増えていく分とは別の議論として、原子力事業者がちゃんとやっておけば良かった一般負担金『過去分』2.4兆円を規制料金(託送料金)の原価に算入しないといけない」と最初の主張に戻ったのです。
結局、「主張」そのものが「根拠」にほかならず、なぜ、「原子力事業者に義務づけられた一般負担金の支払額を増やすのではなく、一般負担金『過去分』と称して、支払い義務のない全電力消費者に2.4兆円を支払わせるのか」を説明することも、根拠を示すこともできなかったのです。

商法違反の「過去分」請求を省令で行える?

経産省は「規制料金で原価に算入できると言ったはずだ」と開き直りましたが、この場合の規制料金とは、2016年4月までは「一般家庭など低圧分野における総括原価方式の電気料金(高圧・特別高圧分野は自由料金)」であり、それ以降は「電気料金の一部を構成する託送料金」なのです。つまり、経産省は「総括原価方式の電気料金から託送料金へ切り替えるだけの話だ」というのです。
「なぜ、一般負担金『過去分』2.4兆円を託送料金へ転嫁して、全電力消費者にその回収を義務づけられるのか?」という根本問題には何も回答していません。
「そのようにできるから、そうするのだ」というだけなのです。これは明らかに商法に違反します。
商法違反の「過去分の請求」を法的には下位にある省令改訂で行えるという法的根拠が一体どこにあるのでしょうか。時間の制約から、この重要な問題については、後日、経産省へ改めて問い質すことになりました。

一般負担金「過去分」が特別負担金などに化けた?

一般負担金「過去分」をすべての電力消費者に義務づけることには法的根拠がないことを十分明らかにし、経産省が開き直る以外になくなったことを確認した上で、経産省が審議会で示した表との不整合について追及しました。
この不整合とは、表1のケースAに関する指摘です。経産省は第6回東京電力改革・1F問題委員会の資料⑩で、損害賠償費の5.4兆円からの増分を表1(a)のように、東電+1.2兆円、大手電力+1.0兆円、新電力0.24兆円の計2.5兆円(有効数字2桁への丸め誤差があり、合計は一致しない)だと説明しています。(表1、資料⑨、資料⑩はこちらを参照
一般負担金「過去分」2.4兆円はこれを賄うためのものでしたので、増加分の2.5兆円はすべて一般負担金のはずでした。
ところが、今の一般負担金1,630億円の電力各社の負担割合は、東電567億円:大手電力1,063億円=0.53:1.0ですので、大手電力が1.0兆円だとすれば東電は0.53兆円にすぎず、1.2兆円との差額0.67兆円は東電の特別負担金だということになります。
その結果、表1(b)のように、増加分2.5兆円のうち1.77兆円が一般負担金、0.67兆円が特別負担金ということになり、一般負担金「過去分」2.4兆円とは整合しないことになります。
この点を追及すると、経産省は突然、黙り込んだまま、回答できなくなったのです。「一般負担金『過去分』2.4兆円から新電力の0.24兆円を差し引いて得られる2.2兆円は資料⑩(表1の(a)に対応)のどこに書かれているのか」と追及すると、「東電の3.9兆円、大手電力の3.7兆円の一部に入ってくる」というのです。
「東電の+1.2兆円と大手電力の+1.0兆円の合計2.2兆円ではないのか」と問い質すと、「計算の結果はそうなるが、そんなふうに合わせて計算しているわけではない」というのです。経産省はそれ以上は黙して語らず、説明責任を放棄したのです。

大手電力の負担軽減のからくりが遂に判明!

ここで、時間切れになり、この件については、後日、問い質すことになりました。経産省が説明を拒んだのは何かを隠そうとしているからです。それは何かを経産相の発言を詳細に検討した結果、驚くべき「東電と大手電力の負担軽減策」が明らかになりました。それが表1のケースBです。
まず、表1(c)のように、一般負担金「過去分」2.4兆円を2015年度販売電力量に基づいて、新電力を10%、残り90%を東電と大手電力の販売電力量の比率で配分しました。
その結果、大手電力には1.5兆円が託送料金で回収されることになり、表1(a)の大手電力の増加分1.0兆円を上回ることが判明したのです。
この差(c)-(a)を求めたものが表1(d)ですが、東電が-0.5兆円、大手電力が+0.5兆円になっています。つまり、表1(e)のように、大手電力は当初の一般負担金2.7兆円が2.2兆円へ減額されています。
東電は0.5兆円の増額ですが、「東電の+1.2兆円と大手電力の+1.0兆円」は2015年度の一般負担金と特別負担金の負担比率で2.2兆円が割り振られた結果であり、+1.2兆円のうち0.67兆円が特別負担金に相当するところ、0.5兆円はこれより減額されていることになります。
つまり、新電力に0.24兆円を負担させることで、東電と大手電力はその負担額を減らしているのです。大手電力では2.7兆円が2.2兆円へ0.5兆円、18%もの大幅減額です。こんなひどいことが隠されていたのです。だから、経産省は沈黙に徹したと言えます。実にひどい!ひどすぎる!

福島原発廃炉費は託送料金の水準を維持して捻出

2の「福島原発廃炉費について」は、経産省による冒頭回答だけになりました。
「同じ(託送)料金水準を維持する限りにおいて利益がさらに出てきたというときに、廃炉に使うことを認めてあげるという例外的措置」だと強調する一方、「電力の自由化を進める上で避けがたい費用を全員で払うべきという場合は託送料金に乗っけていかないと行けない」と居直ったのです。いつの間にか、「例外的措置」が「普遍的措置」に、「東電負担」が「全員負担」にすり替えられているのです。福島原発廃炉費は東電が全額負担すべきであり、託送料金のコスト低下による超過利潤をそれに当てるのは、電力消費者に負担を転嫁するものにほかなりません。
すると、今度は「廃炉費用は、送配電事業だけでなく、他の火力発電事業、小売事業、東電ホールディングス(原発・水力・新エネ)の4社すべてで負担するので、廃炉費不足分6兆円を全部送配電事業が払うという構造にはならない」とうそぶいたのです。
これも、託送料金から国民の目をそらすための方便にほかなりません。
東電の2012年9月電気料金値上げ時の審査では、報酬の5割強が送配電事業で生み出されること、固定資本比率の高い構造から、為替や石油価格の変動とは無関係に、減価償却が進むにつれて系統的に超過利潤が安定して生み出されることから、東電の「報酬を含む利潤の6割程度が送配電事業から得られている」ことは百も承知のはずです。
だからこそ、経産省は託送料金に目を付け、国民の目を欺こうとしているのです。
福島原発廃炉費不足分6兆円を認識した途端に東電は債務超過に陥り、破産処理を免れません。だからそこ、経産省はこれを託送料金から捻出する仕組みを作り、東電救済へ動いたのです。
東電の法的整理と金融機関の債権放棄で9.8兆円を捻出できるにもかかわらず、「損害賠償債権が消えてしまうのをどう考えるか」ととぼけてみたり、「富裕層から(累進課税で徴収する)という議論は資源エネルギー庁の立場を超えてしまう」と他人事のように装うのは責任ある態度とは言えません。
挙げ句の果てには、福島事故について「政府として社会的責任は少なくともあるが、この話とは別に政府としては原子力が引き続き必要だという立場です」と結ぶに至っては無責任極まりないと言えます。

廃炉会計コストを託送料金で着実に回収

3の「廃炉に関する会計制度について」も、経産省による冒頭回答だけになりましたが、結論ありきの回答に終始しました。
この廃炉会計制度は、原発が廃炉になった時点で廃炉費積立不足金と未償却資産を特別損失として一括計上せず、廃炉後10年間で分割回収できるようにしたものです。これは、純然たる原発コストであり、総括原価方式の下では電気料金に算入されていましたが、電力自由化の下では原子力事業者が他のコストと同様に自由料金から経営努力で捻出すべきものであり、特別扱いする必要などありません。
百歩譲って、託送料金に転嫁する場合でも、原子力事業者と契約した電力消費者からのみ回収すればよいのであり、原発を持たない新電力契約者から回収する必要はありません。
にもかかわらず、「制度的にそういうことができるのか」とか、「制度の前提としてある着実な回収手段としては評価されない」と難癖を付け、「消費者を限定して回収する仕組みはなかなか難しい」と決めつけたのです。
これは、電力会社の「みなし小売」事業者にのみ特別な託送料金を設定すれば済む話であり、原子力事業者と契約した電力消費者からは着実に回収できることから何ら問題はないはずですが、それでは新電力へ契約変更する電力消費者が続出して託送単価を次々と値上げせざるを得なくなるからでしょう。だから、「消費者に広く負担をお願いする」というのです。
本末転倒ではないでしょうか。
「小さな孔」を開けて「大きく広げる」手口また、廃炉会計制度が再稼働に向けた3.3兆円もの巨額の投資を促す形になり、40年ルールによる廃炉判断をむしろ妨げているという指摘に対しては、「一般論として、再稼働投資をした費用というものがすべて廃炉会計で回収できるということにはなっていない」とするだけで、巨額の安全対策工事費に加え、原発1基当り1,000億円規模の緊急時対策所やテロ対策用特定重大事故等対処施設の設置が再稼働の前提となる中、どの費用が対象外になるのかという具体的例示は一切ありませんでした。
廃炉会計制度では、廃炉費積立不足金や廃止措置資産以外でも、経産大臣の承認を得た資産なら何でも「原子力廃止関連仮勘定」に振り替えて10年間で均等償却できるのです。
「すべてではない」という抽象論で誤魔化し、廃炉会計制度が現に巨額の再稼働投資を促し、40年ルールを破っての再稼働申請に拍車をかけている現実を横目に、ほくそ笑んでいるのではないでしょうか。
廃炉会計制度で今回、託送料金へ転嫁されるのは廃炉6基分の1,792億円だけですが、残り42基が再稼働できずに廃炉になった途端、これらの廃炉費積立不足金1.2兆円と2.5兆円の資産(いずれも2015年度末)+最大3.3兆円の再稼働投資額がその対象に入ってくるのです。まさに、最初は「小さな孔」を開けて受け入れさせ、将来、必要になれば「大きく広げる」という経産省特有の汚いやり口です。

反対署名をさらに拡大し、撤回させよう!

経産省によれば、今回の託送料金関連では、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案」が国会の経済産業委員会で審議中であり、これ以外に法律改正案は出されていないとのことです。
今後は、この機構法改正案が6月18日の会期末までに採択されるかどうかが焦点であり、その後、もしくは、これと平行して、何本もある電気事業法関連省令の改正案が作成され、1ヶ月間のパブリックコメントにかけられる予定だとのことです。つまり、この問題はそう簡単には収束させられないのです。
反対署名は3月15日現在、2万2,906筆に達しています。この署名を拡大し、国会内での動きとも連動して、波状的に国と経産省へ圧力をかけていくことが大切です。そのためにも、署名の拡大にご協力下さい。

第2次署名集約を3月末に設定していましたが、今回明らかになった法令改訂手続きのスケジュールから判断して、第3次署名集約を5月末に設定します。

今からでも遅くありません。私たちの署名は確実に効果を発揮しています。2ヶ月がかりとは言え、ドタキャンした経産省を交渉の場に引きずり出したのも署名の力であり、さまざまな消費者団体や脱原発団体からの運動の圧力があったからです。
闘えば勝てる。撤回させられる。今回の経産省交渉は、私たちに、そう確信させるのに十分でした。署名を拡大し、託送料金への転嫁を撤回させましょう。

福島事故6年を機にエネ基本計画を脱原発へ

福島事故6年を経て、福島第一原発の廃炉・汚染水対策は行き詰まり、事故の深刻さが明らかにされ、その責任が問い直されています。
福島第二原発廃炉を求める県民と国民の声は益々強まっています。
帰還困難区域以外の避難指示が「憲法違反・法律違反の20mSv/年基準」で解除され、避難者への国の支援が3月末で打ち切られようとしていますが、損害賠償裁判では東電と国の責任が認定されています。
原発再稼働反対の国民世論は6年目の今なお過半数を占め、立地点周辺市町村からは再稼働反対の決議や意思表示が相次いでいます。
原発推進体制の中でも、原子力メーカーの東芝は債務超過に陥り、海外の原発事業から撤退する方針であり、三菱重工や日立の原発輸出計画も至る所で頓挫し、撤退せざるを得ない状況です。
「もんじゅ」の運営主体を決められず、「もんじゅ」廃炉後の実証炉計画も建設主体を決められない状態で、「オールジャパン体制」そのものが内部崩壊しているのです。
安倍政権の原発回帰策を粉砕し、再処理・プルトニウム政策を撤回させ、エネルギー基本計画を脱原発へ転換させる絶好の好機です。
この闘いを託送料金への原発コスト転嫁反対の闘いと結合して脱原発へ進みましょう。
(文責:若狭ネット資料室 TEL/FAX 072-269-4561 ngsw@oboe.ocn.ne.jp)

経産省交渉が3月15日に決まりました!3・15交渉で経産省の失策・法令違反の追及を!

福島事故関連費と原発コストを「電気の託送料金」に転嫁しないでください!

経産省交渉が3月15日に決まりました!
3・15交渉で経産省の失策・法令違反の追及を!

呼びかけ:若狭連帯行動ネットワーク(事務局)、双葉地方原発反対同盟、原発の危険性を考える宝塚の会、日本消費者連盟関西グループ、関西よつ葉連絡会、安全な食べものネットワークオルター、サヨナラ原発福井ネットワーク、福井から原発を止める裁判の会、吹夢キャンプ実行委員会、福島の子供たちを守ろう関西、さよなら原発神戸アクション、さよならウラン連絡会、おかとん原発いらん宣言2011、原発ゼロ上牧行動、STOP原子力★関電包囲行動、とめよう原発!!関西ネットワーク、さよなら原発なら県ネット、地球救出アクション97、ヒバク反対キャンペーン、さよなら原発箕面市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、環境フォーラム市民の会(豊中)、科学技術問題研究会、さかいユニオン、大阪自主労働組合、社民党福島県連合、フクシマ原発労働者相談センター、日本消費者連盟、原子力資料情報室

3・15経産省交渉呼びかけ文と交渉要点のpdfはこちら

1万8,318筆の署名を2月8日提出するも経産省は質疑を拒絶

経産省は、福島事故関連費と原発コストの計8.6兆円を電気の託送料金に転嫁しようとしており、私たち29団体は、これに反対する署名18,318筆を第一次集約し、2月8日に経産省へ提出しました。
しかし、経産省は、2週間前に提出していた質問項目に基づく質疑については、直前になって拒絶してきたのです。「担当者がその時間帯には対応できない」というのが表向きの理由ですが、2日前の2月6日にはパブリックコメントへの回答を公表しており、担当者でなくとも、その説明ぐらいはできたはずです。経産官僚は、今回の件では、明らかに、言い逃れできない「失策と法令違反の瑕疵(かし)」を犯しており、無謬性と法令遵守を旨とすべき官僚にとっては、それが国民の面前で暴かれるのが最も恐ろしい。
だから、直前になって私たちとの交渉をドタキャンしたのです。
私たちは、パブコメ回答を第一次回答と見なし、それを踏まえて2月15日、新たな質問項目を「公開質問状」を経産省へ提出し、今度は経産省に日程を決めるよう求めました。
2月28日にようやく返事があり、30分短縮されましたが、下記のように3月15日に決まりましたので、ご参加ください。経産省の居直りを許さず、共に追撃しましょう。

3・5現在署名数:2万1,530筆(2・8提出からの追加:3,212筆)

署名は継続します。署名の一層の拡大にご協力下さい。今国会に関連法案が上程されており、会期は6月18日までですので、第二次集約を3月31日とし、政策の具体化に合わせて、「前文」の数値等を書き換えた署名用紙
http://wakasa-net.sakura.ne.jp/news/takuso201703.pdf
(またはワード版 /takuso201703.docx )
をお使い下さい。
署名の申入項目は一部数値を変えただけで、署名の趣旨は同じですので、以前の署名用紙も有効です。

経済産業省との署名に係る交渉
日時:2017年3月15日(水)13:30~14:30
場所:参議院議員会館102会議室(1階)
(地下鉄丸ノ内線「国会議事堂駅前」下車歩5分)

参加希望者は通行証が必要ですので、事前に久保までご連絡下さい。当日は、参議院議員会館の荷物検査を経て、12時過ぎにロビーへ集合し、事前会合(12:30~13:30)からご参加下さい。
原子力規制委員会に対する紹介議員は、社会民主党の福島みずほ参議院議員にお願いしています。
遠方からの交渉参加者には交通費の半額をめどにカンパしたく、これまでに約19万円が寄せられています。交渉成功のため一層のご協力をお願いします。1口500円で何口でも結構ですのでカンパをお寄せ下さい。

署名集約先:583-0007 藤井寺市林5-8-20-401 久保方TEL 072-939-5660 dpnmz005@kawachi.zaq.ne.jp
カンパ振込先: 郵便振込口座番号00940-2-100687(加入者名:若狭ネット)

若狭ネット第165号を発行:経産省の「このまま逃げ切り」を許すな!

若狭ネット第165号を発行しました。
経産省の「このまま逃げ切り」を許さない闘いにご協力下さい。

経産省追撃のアピールと2月15日提出公開質問状

署名用紙・ダウンロード署名用紙Word版はこちら

第165号(2017/2/22)(一括ダウンロード1.3Mb
巻頭言-福島事故関連費と原発コストを「電気の託送料金」に転嫁しないでください!
2・8経産省に1万8,318筆の反対署名を提出
しかし、経産省は交渉に応じず、パブコメ回答(2月6日発表)の説明もなし!
2月15日に公開質問状を提出!経産省の「このまま逃げ切り」は、絶対に許しません
経産省は3月上旬の都合良い日で交渉に応じよ!
アベノミクスの原発推進をつぶそう!
東芝経営破綻を踏まえ、原発輸出の中止を!
脱原発に転換し、原子力予算の大幅削減を!
(1)東芝の経営破綻を機に、「原発輸出」を中止させよう!
(2)「もんじゅ」廃炉・東芝経営破綻・東電破産状態を直視し、
原子力予算を大幅削減せよ!電源三法を廃止せよ!
(3)福島事故関連費と原発コストを「電気の託送料金」に転嫁しないでください!
経産省が直前になって、2・8交渉を拒否!
追撃の公開質問状を2月15日に提出!
経産省は逃げ回らず、質問に答えよ!
(4)経済産業省が直前に拒否した2月8日交渉に向け、2週間前に提出されていた「署名申し入れ事項に関連した質問項目」および経済産業省が2月6日に公表したパブコメ回答(「電力システム改革貫徹のための政策小委員とりまとめ」に対する意見公募の結果)

<巻頭言>福島事故関連費と原発コストを「電気の託送料金」に転嫁しないでください!
2・8経産省に1万8,318筆の反対署名を提出
しかし、経産省は交渉に応じず、パブコメ回答(2月6日発表)の説明もなし!
2月15日に公開質問状を提出!
経産省の「このまま逃げ切り」は、絶対に許しません

経産省は3月上旬の都合良い日で交渉に応じよ!
アベノミクスの原発推進をつぶそう!
東芝経営破綻を踏まえ、原発輸出の中止を!
脱原発に転換し、原子力予算の大幅削減を!

あきれかえる経産省のドタキャン!

私たち29団体は2月8日、経産省に「福島事故関連費と原発コストを『電気の託送料金』に転嫁しないでください」の1万8,318筆の署名を提出しました。
しかし、提出したのは交渉予定の会議室ではなく、午後1時半~3時の交渉予定時間帯でもなく、夕方の午後5時、参議院議員会館の福島みずほ事務所においてでした。
2週間前の1月23日に福島みずほ社民党参議院議員を通して署名提出交渉を申し出て、質問項目も同時に提出し、了承されていたにもかかわらず、経産省が直前になって突然、署名受取も質問項目に基づく交渉も拒絶してきたのです。
私たちは、経産省のこのままの逃げ切りを絶対に許しません。1週間後の2月15日には2月6日のパブコメ回答を踏まえた公開質問状を新たに作って経産省に提出し、「3月上旬で担当者出席のうえ十分質疑可能な午後1時半~3時とし、経済産業省の方で日をご指定ください。」と求めています。今度は逃がしません。国民に新たな負担を求める以上、経産省は逃げ回らず、キチンと説明すべきです。
この署名に関連する法案が今国会に提出されており、会期は6月18日まで続きますので、国会での追及も期待されます。経産省を追撃するためにも、署名を継続し、大衆的な声を結集していかねばなりません。
今なお、数千の署名が届き、署名数は2月20日現在、2万1千筆を超えています。第二次集約を3月末として署名を継続します。政策の具体化に合わせて署名用紙の前文の数値等を微修正しました。新しい署名用紙で署名を拡大して下さい。ただし、旧署名用紙も有効ですので、すでに取り組んでいる方はそのまま続けて下さい。

算定ミスと資料不整合の暴露を恐れる経産官僚

経産省は、なぜ、前代未聞のドタキャンをしたのでしょうか?それは、担当した経産官僚が重大なミスと瑕疵を犯し、それが暴かれるのを恐れたからではないかと推測されます。
経産省は福島原発事故に伴う損害賠償費の追加分2.4兆円を一般負担金「過去分」だと称して電気の託送料金(送電網使用料)のコストに上乗せし、新電力へ契約変更した電力消費者からも回収しようとしています。
しかし、第1に、一般負担金は原子力事業者が納付義務を負うものであり、電力消費者が負担すべきだとする法的根拠がないのです。
また、第2に、2010年以前の一般負担金「過去分」を正直に算定すると3.8兆円と過大になってしまうため、「過去分」に含まれていない2011~2019年度に電気料金を通して回収される一般負担金1.3兆円を「控除」して2.4兆円(丸め誤差有)にしているのですが、「控除できないものを控除する」というミスを犯しているのです。
その上、第3に、一般負担金「過去分」2.4兆円が、別の委員会に出された資料では「特別負担金と一般負担金を合計した2.5兆円(丸め誤差有)」として説明されており、不整合になっています。その結果、電力会社の負担分が新電力の負担分より軽くなるよう巧妙に細工されているのです。このようなミスと不整合を犯したまま、これを知りながら意図的に放置して、一般負担金「過去分」を託送料金に上乗せすることになれば、それは官僚が犯してはならない重大な瑕疵に転化します。
私たちが先に提出した質問項目では、この問題を含めて、経産官僚による電力消費者への不当な費用負担の転嫁を暴いており、これらを追及されるとこれまでの努力が根底から覆されてしまうため、交渉をドタキャンしたのではないかと思われます。
2月15日に提出した公開質問状では、2月6日のパブコメ回答を踏まえて一層具体的に質問していますので、対立点はより鮮明になっています。経産省はあの手この手で交渉から逃げようとするでしょうが、逃がさず徹底して追及し続けたいと思います。
2月20日現在2万1千筆を超えた署名のさらなる拡大を含めて、皆さんの一層のご支援、ご協力をお願いします。

来年度予算政府案でも国民負担による東電救済

経産省は何としても東京電力を破綻の危機から救済しようと、福島事故に伴う損害賠償費や事故対策・廃炉費の不足分を「電気の託送料金に転嫁する仕組み」作りにやっきとなっています。
原発再稼働と40年超運転のために必要な3.3兆円もの対策工事費を注ぎ込んで失敗しても廃炉後に託送料金で回収できる仕組みも導入し、電力自由化にあえぐ電力会社を支援しようとしています。
これは再稼働反対の国民の過半数の意思に背くものであり、撤回させねばなりません。
東電救済策は今国会で審議中の来年度予算政府案にも顕著に現われています。
原子力関係の来年度予算政府案は、経産省の電源開発促進勘定1,795億円と原子力損害賠償支援勘定469億円、文科省の原子力予算1,470億円の合計で3,734億円ですが、環境省の復興特会「原子力災害からの復興等」6,842億円、文科省の復興特会373億円を加えると1兆949億円にも達します。
環境省予算は福島原発事故に起因する除染・汚染廃棄物処理・中間貯蔵施設用地取得等の費用であり、2016年度補正予算までの累計で4兆124億円にもなりますが、本来、東京電力が負担すべきものです。国が負担するのであれば東電と国の責任を明らかにした上で、東電に負担させるべきはキチンと負担させてからにすべきです。
東電にはこれまで9兆円の交付国債を原資として損害賠償5.4兆円、除染2.5兆円、汚染土等中間貯蔵施設1.1兆円が資金援助されてきましたが、来年度予算から13.5兆円(損害賠償7.9兆円、除染4兆円、汚染土等中間貯蔵施設1.6兆円)に引上げられます。
うち損害賠償費の増加分2.4兆円が一般負担金「過去分」として電力消費者に転嫁されようとしているのです。除染費は当初7兆円規模と見積もられていましたが、政府は東電への除染費支援を4兆円に留める一方、それを超える数兆円の除染を国負担で2017年度から始めようとしています。
環境省復興特会に計上されている帰還困難区域の除染・解体事業事前調査費309億円がそれです。これは「帰還困難区域の除染費については東電に求償せず国負担とする」と閣議決定したことによるものです。政府は、除染費支援の4兆円分については事業終了後に東電に弁済を求める方針ですが、これを超える除染費については東電に求償しないのです。「福島復興」の名目で東電救済のために税金を使うのはやめるべきです。
東電が賄えないのなら、破産処理して東電に責任を取らせ、株主・金融機関に債権放棄させ、10兆円を吐き出させるべきです。その上で、福島事故に係る歴代政権の責任を明確にし、電気料金ではなく累進課税で賄うべきです。来年度政府予算は、なし崩し的に東電救済を図るものであり、抜本的に組み替えるべきです。
ところが、経産省のパブコメ回答では「破綻処理により資産を売却しても多額の売却益を見込めない一方、東電が将来の収益をもって責任を果たすべき廃炉・汚染水対策や賠償の費用相当が国民負担となります。
また、国が出資した東電株も無価値化するため、結果的に国民負担が増加することとなります。」と居直っています。これは国民だましもいいところです。株主や金融機関に債権放棄させれば10兆円が浮くにもかかわらずそれを隠蔽し、新潟県民や国民の声を無視して柏崎刈羽原発の再稼働によって福島第一原発事故の尻ぬぐいをさせようとしているのです。とんでもありません。
東電を破産処理すれば国民負担は減ります。
今でも、損害賠償費のほとんどが総括原価方式の下で電気料金から回収されており、電力会社は一円たりとも負担していません。
電力自由化の下では回収できない恐れがあるので、損害賠償費の増加分2.4兆円や福島原発廃炉費不足分6兆円などを託送料金に転嫁して回収しようというのです。国民負担を増やしているのは政府です。

原発輸出中止と脱原発への転換を

安倍政権は、原発輸出をアベノミクスの一つの柱にし、首相自ら原発受注に奔走してきましたが、東芝の経営破綻で原発輸出戦略が幻想にすぎなかったことが一挙に明らかにされました。これ以上、原発重大事故の危険に加えて、経済的破綻というリスクも高い原発輸出からは即刻撤退すべきです。
東芝は2016年12月末で債務超過に陥りました。
窮余の策だった半導体事業の20%未満の株売却もうまくいかず、今年3月末の債務超過も避けられず東証2部への降格がほぼ確定です。この原因は、東芝が買収したWH社による米国内原発4基の建設費高騰にあります。福島原発事故以降の規制強化で設計変更や追加工事が増えて建設費が高騰し、米国では約30年ぶりの新設で工期が大幅に遅れ、人件費が何倍もかかり、7,125億円の損失が生じたのです。今後も損失が増え続けるのは必至です。
東芝はABWR原発2基の建設計画をもっていますが、共同出資者が撤退し、着工できない状態です。
中国でもAP1000を4基建設中ですが、工期が3年遅れで建設費が高騰し、損失も増え続けています。
東芝は原発建設事業から撤退し、原発の設計・機器納入・メンテナンス・廃炉等に限定することで危機を乗り切るつもりですが、インドでの6基のAP1000計画を含めて建設工事を請負う出資者が出てくる見込みはないという泥沼状態です。東芝は、アベ政権が掲げた原発輸出で「蟻地獄」に陥っているのです。
東芝だけではありません。三菱重工は、2006年に仏アレバと業務提携し、新型PWRを共同開発、ベトナムで2基、トルコで4基の建設計画を進めていましたが、ベトナムでは白紙撤回され、トルコでも撤退機運が広がり、計画が漂流し始めています。
三菱重工自体も経営難を抱えています。米サンオノフレ原発で同社が納入した蒸気発生器で事故が起き廃炉になったことから約7千億円の損害賠償問題が起きています。係争中ですが、敗訴すれば巨額の損失が避けられません。
日立も英ウィルファ・ニューウィッド計画(ABWR、4~6基)を進めていますが、建設コストの高騰、再生エネによる発電コストが劇的に下がっていく中で、受け入れられないのではという懸念が出てきています。日立自体も新ウラン濃縮開発から撤退し、2月1日、700億円の損失を出しています。
原発建設計画を撤回・回避する動きは、米・英、ベトナム、トルコ、インドだけではありません。
台湾では2017年1月11日、「25年までに原発のない郷土をめざす」電気事業法が可決され、リトアニアでも、2012年の国民投票で原発建設反対が6割を超え、2016年11月には反原発を掲げるスクバルネリス政権が誕生し、建設は絶望的になっています。
安倍政権は、東芝の経営破綻を踏まえ、原発輸出から即刻撤退し、脱原発へ転換すべきです。

「もんじゅ」廃炉、東芝経営破綻を機に、政策転換を

福島事故から6年、改めて、事故を収束させることの困難さや、深刻さが露わになってきています。東京電力が2月に行った福島第一原発2号の原子炉格納容器内部調査は、そこに人が立ち入るとわずか1分で即死するほどの極めて高い放射線量のため、困難を極めています。福島原発廃炉費追加分が6兆円に留まらないどころか、溶融燃料のデブリを取り出す廃炉作業そのものが可能かどうかが問われる事態に陥っています。
ひとたび重大事故を起こせばどうなるか、原発再稼働を進める電力会社は改めて原発の底なしの恐ろしさを直視すべきです。
東芝の経営破綻は、重大事故のリスクに加えて、原発輸出に伴う経済的リスクの甚大さを警告しています。原発再稼働も原発輸出も断念すべきです。
原子力研究開発機構の「もんじゅ」は廃炉になりましたが、政府は高速実証炉計画を進めると主張しています。しかし、国内の「オールジャパンの高速炉推進体制」はすでに内部崩壊しており、実証炉建設主体も決められない有様です。これを機に脱原発・脱「再処理・プルトニウム利用」へ転換すべきです。
原子力機構は、「もんじゅ」だけでなく、全国88原子力施設のうち再稼働のために170億円を投じた材料試験炉JMTRを含めて42施設を廃止すると昨年10月に発表しています。負の遺産を処理しなければならない時代に突入したのです。
引き返すのは今です。