若狭ネット

福井と関西を結び脱原発をめざす市民ネットワーク

大阪連絡先 dpnmz005@ kawachi.zaq.ne.jp
若狭ネット資料室(室長 長沢啓行)
e-mail: ngsw@ oboe.ocn.ne.jp
TEL/FAX 072-269-4561
〒591-8005 大阪府堺市北区新堀町2丁126-6-105
ニュース

若狭ネット第200号を発行:福井県を「核の墓場」にしないで! 乾式貯蔵反対! 原発を止め、使用済燃料をこれ以上生み出さないで! 重大事故の前に、耐震性なき六ヶ所再処理工場の閉鎖を!

第200号(2024/9/30)(一括ダウンロード5.6Mb
巻頭言–福井県を「核の墓場」にしないで! 乾式貯蔵反対!
原発を止め、使用済燃料をこれ以上生み出さないで!
重大事故の前に、耐震性なき六ヶ所再処理工場の閉鎖を!

1. 2024年8月20日「関電ロードマップ」に関する福井県原子力安全対策課との交渉報告
サヨナラ原発福井ネットワーク・若狭連帯行動ネットワーク
原安課は、関電ロードマップ破綻のリアルな実態を示されてもなお、「正式にはまだ決まっていない」、「国や事業者は努力すると約束している」との回答に終始!
福井県を「核の墓場」にしないため、関電を追及し、県政を問い質し、現世代の責任で、「乾式貯蔵はいらない」、「使用済燃料をこれ以上生み出すな」の声を!

2. 六ヶ所再処理工場は700ガルの基準地震動に対して耐震余裕はなく「2026年度内の竣工期限」も絵に描いた餅になる可能性が高い  長沢啓行(大阪府立大学名誉教授,若狭ネット資料室長)

 

2024年8月20日「関電ロードマップ」に関する福井県原子力安全対策課との交渉報告—-福井県を「核の墓場」にしないため、関電を追及し、県政を問い質し、現世代の責任で、「乾式貯蔵はいらない」、「使用済燃料をこれ以上生み出すな」の声を!

2024年8月20日「関電ロードマップ」に関する福井県原子力安全対策課との交渉報告

福井県知事への申し入れ書(pdfはこちら)
福井県交渉報告(pdfはこちら)
福井県交渉議事録(pdfはこちら)
福井県交渉資料(pdfはこちら)
若狭ネット第199号(2024/8/1)
○六ヶ所再処理工場は10%操業、40年で3,200トン処理に留まる!乾式貯蔵は老朽炉の60年運転を保障し、福井県を「核の墓場」に!
若狭ネット第197号(2024/4/1)
○乾式貯蔵施設を福井県内外のどこにも設置させるな!関電は原発サイト内設置計画を撤回せよ!
○関電の乾式貯蔵施設計画真の狙いは?! 美浜町松下照幸
○福井県下の8万世帯(全世帯の1/3強)に新聞折り込みを入れました 越前市 山崎たかとし

原安課は、関電ロードマップ破綻のリアルな実態を示されてもなお、「正式にはまだ決まっていない」、「国や事業者は努力すると約束している」との回答に終始!

福井県を「核の墓場」にしないため、関電を追及し、県政を問い質し、現世代の責任で、「乾式貯蔵はいらない」、「使用済燃料をこれ以上生み出すな」の声を!

私たち、サヨナラ原発福井ネットと若狭ネットは、連名で2024年8月20日、杉本達治福井県知事に「若狭を大量の核のゴミ捨て場にしないで下さい!」と申し入れ、関西電力の「使用済燃料対策ロードマップ」について、福井県原子力安全対策課(原安課)と質疑を交わしました。原安課側からは吉田参事と山本参事が主に回答、他1名が同席し、私たちは13名で、マスコミは福井テレビの撮影クルー、中日新聞、福井新聞、共同通信が取材、夕方にはその一部が放映されました。
私たちは、「2010年までに中間貯蔵施設が操業すれば2010年以降の使用済燃料問題は解決する」と原安課が2003年に回答した文書を示し、実際には21年間何も解決せず、当時2,600トンUだった使用済燃料が4,300トンUにも膨れ上がったことについて、県の無作為の責任を厳しく問い質しました。その上で、この核のゴミはもう行き先はなく、関電ロードマップはすでに破綻しているという事実を次のように具体的に示しました。
第1に、「中間貯蔵施設(2,000トンU規模)の2030年頃操業開始」は、むつ市中間貯蔵施設の共同利用案が青森県とむつ市からすでに拒否され、上関町中間貯蔵計画も周辺市町が反対や懸念の声を上げ、山口県も「過大な負担だ」と拒否の姿勢であり、中国電力も「設置には十数年かかる」(2023.9島根県議会防災地域建設委員会)と説明していて、わずか6年で実現する目処は全くありません。
第2に、六ヶ所再処理工場は、「2024年度上期の出来るだけ早い時期の竣工」が2026年度中へ2年半延期された(8月29日に日本原燃が青森県へ報告)ことから「2025年度から再処理開始、2026年度から使用済燃料受入れ開始」の可能性は消え失せました。竣工時期を27回も繰り返した日本原燃の技術的能力そのものが問われていて、六ヶ所再処理工場は「もはや操業できない」可能性の方が高まっているとさえ言えます。
第3に、たとえ、六ヶ所再処理工場が2027年度以降に操業開始できたとしても、高浜3・4号、伊方3号、玄海3号のプルサーマルによるプルトニウム消費の実績は高々年平均0.69トンにすぎず、六ヶ所再処理工場の800トンU/年のフル操業で回収されるプルトニウム量約6.6トン/年の10%程度にとどまります。原子力委員会は「六ヶ所再処理工場の操業はプルサーマルによるプルトニウム消費量と同程度しか認可しない」方針であり、六ヶ所再処理工場は10%程度の操業に留まらざるを得ません。使用済燃料の総処理量も40年フル操業時の10%、約3,200トンUに留まり、六ヶ所再処理工場のプールに貯蔵中の2,968トンUを250トンU超える程度に過ぎません。つまり、仮に、中間貯蔵施設や六ヶ所再処理工場へ搬出されても、そのほとんどが40~50年後に原発サイトへ送り返される運命にあるのです。
第4に、高浜3・4号のプルサーマルで発生する使用済MOX燃料は六ヶ所再処理工場の再処理対象外であり、美浜3号、高浜1・2号、大飯3・4号で使われている高燃焼度燃料(ステップ2)の使用済ウラン燃料は平均燃焼度が4.8~5.0万MWd/tUと高く、六ヶ所再処理工場の処理条件(平均4.5万MWd/tU以下)を超えていて、中間貯蔵施設や六ヶ所再処理工場へは搬出できません。しかも、これらはすでにプール貯蔵量の1/4を占め、今後はこれらの搬出できない使用済燃料がサイト内に増え続けるのです。
第5に、原発の運転中は、原子炉内の燃料体をいつでも保管できるよう、使用済燃料ピット(「プール」のこと)に1炉心分の空きを作っておくことが技術基準で義務付けられていますが、乾式貯蔵の容量は「1炉心+1取替分」相当の規模であり、1炉心分以上をピット外に設置するものと言えます。関電は、乾式貯蔵の目的は「中間貯蔵施設へのより円滑な搬出、搬出までの保管、将来の搬出への備え」だとし、「今後、原則として貯蔵容量を増加させない」としていますが、2024年6月26日の関電株主総会では「乾式貯蔵と使用済燃料ピットの貯蔵量の合計が、現在の使用済燃料ピットの貯蔵容量を超えないようにしてまいります。」と説明し、これがウソだったことが暴かれました。使用済燃料の貯蔵量の上限値は現在、「管理容量(=ピット貯蔵容量-1炉心)」ですが、乾式貯蔵量を含めた合計貯蔵量の上限値を「ピット貯蔵容量」まで、1炉心分増やすと言ったに等しいのです。その結果、美浜3号と高浜1・2号は60年運転終了まで県外へ使用済燃料を搬出する必要がなくなり、高浜3・4号と大飯3・4号も、「(ピット満杯で運転停止を余儀なくされて)日本全国のエネルギー安定供給に貢献できなくなる可能性がある場合は例外」として、乾式貯蔵を増設する余地が残されたのです。もはや、中間貯蔵施設や六ヶ所再処理工場に関係なく、乾式貯蔵ですべて解決できる環境が整えられようとしているのです。

原子力安全対策課は、リアルな実態を示されても、「国と事業者が取り組んでいくものと承知している」・・・

ところが、原安課は、21年前と変わらぬ姿勢で、「国と事業者」に全責任を転嫁し、関電が文書確約を含め「期限を切った中間貯蔵施設立地の福井県知事との約束」を4回も踏みにじり、5回目の約束(ロードマップ)も全く見通しがないこと、高速増殖炉を基軸とした核燃料サイクルがすでに破綻し、政府のエネルギー基本計画は想定通りに実施できた試しがないことを十二分に認識しながら、6月7日に福井県が行った国への重要要望の中で「国が前面に立って主体的に取り組むよう強く要請」したことを挙げ、「国と事業者が取り組んでいくものと承知している」と平然と回答し、ロードマップ破綻の現実を直視した県の施策は全く示されませんでした。
中間貯蔵施設については、「むつ市の共同利用案は国と事業者の方で取り組んでいくものと承知している」、「上関町の中間貯蔵施設は今後の推移を見守る」、「関電にはロードマップに記載の通りにして頂く必要がある」、「国には、ロードマップ実現に向けて国が前面に立って主体的に取り組み、確実に実行してもらう必要がある」と、関電・国まかせの姿勢です。
六ヶ所再処理工場の竣工時期の2年半延期については、報道を知りながら、「日本原燃の方でまだ正式に公表しているわけではない。原子力規制委員会の審査会合の状況を確認していく」と、まるで傍観者でした。
プルサーマルの実施状況から六ヶ所再処理工場が10%操業程度に留まらざるをえない問題についても、「電気事業連合会は2030年度までに少なくとも12基でのプルサーマル実施を計画している」とオウム返しに述べ、「高浜3・4号、伊方3号、玄海3号の4基以外に可能性があるのは島根2号だけで、最大のプルトニウム所有者である東電をはじめ、日本原電、中部電力では全く見通しがないではないか」と追及されても、「エネルギー政策に責任をもつ国が対応していくものと承知している」との姿勢を貫きました。
乾式貯蔵を設置しても「原則として貯蔵容量を増加させない」とするロードマップと関電株主総会での取締役発言との食い違いについて、原安課は「株主総会発言の使用済燃料ピットの貯蔵量には1炉心が含まれており、貯蔵容量は変わらない」と関電を擁護しました。しかし、①株主総会では使用済燃料の貯蔵量について議論されていて、1炉心の燃料体の話は全く出ていません。②1炉心の燃料体は運転中の14ヶ月間(調整運転1ヶ月+13ヶ月運転)は原子炉の中にあり、ピットに保管されるのは「調整運転までの定検期間の2~3ヶ月」だけで、ピットの「貯蔵量」に「普段は存在しない1炉心の燃料体」が含まれると言い張るのは無理があります。③貯蔵容量を増やさないと言うのなら、「貯蔵容量」ではなく「管理容量」を超えないと言うべきです。原安課は最後には、「そうかもしれないけど、関電が原則言っていることはそうではない」、「関電に今朝、確認した」、「関電とやりとりしてくれ」と逃げたので、「あなたは完全に関電に騙されている」と忠告して終えました。
原安課がなすべきは、このような貯蔵容量のなし崩し的増強を許さないこと、具体的には、乾式貯蔵の設置を認めないことです。美浜3号はあと4回、大飯3・4号はあと各3回、高浜1~4号はあと各2回の燃料交換でピットが満杯になり、運転停止を余儀なくされます。運転停止が目前に迫ると、関電は必ず乾式貯蔵で満杯を回避し、運転継続へと動くでしょう。これまでの歴史がそれを物語っています。乾式貯蔵が設置されれば、ロードマップは、なし崩し的に単なる紙切れにされ、福井県は「核の墓場」へ一直線に進んで行かざるを得ません。乾式貯蔵設置を許すか否か—これが今、最大の分岐点です。現世代の責任が今、問われているのです。

サヨナラ原発福井ネットワーク・若狭連帯行動ネットワーク
(連絡先:越前市不老町2-24 山崎隆敏)

若狭ネットニュース第199号を発行:立地県を「核の墓場」にする乾式貯蔵をどこにも許すな!「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料」は政府統一見解ではない!?環境省は国際核施設労働者調査INWORKSに基づき低線量被ばくの危険を認めよ!

若狭ネットニュース第199号を発行しました。

表1の高浜3号・第1サイクルの数値は0.170ではなく0.368でした。これを含めて関連数値(本文中も5カ所)を赤字で修正しました。(2024/8/19:若狭ネット資料室長)

第199号(2024/8/1)(一括ダウンロード3.5Mb
巻頭言–立地県を「核の墓場」にする乾式貯蔵をどこにも許すな!
「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料」は政府統一見解ではない!?
環境省は国際核施設労働者調査INWORKSに基づき低線量被ばくの危険を認めよ!
1. 六ヶ所再処理工場は10%操業、40年で3,200トン処理に留まる!
乾式貯蔵は老朽炉の60年運転を保障し、福井県を「核の墓場」に!
2. 「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料」は政府統一見解ではない!
改訂作業は事務局ごと業者丸投げ・・・環境省の無責任極まる!

2024年6月21日・10団体呼びかけ政府交渉の報告(2024.7.26)
低線量被ばくでも被爆者健康手帳の交付・援護をかちとってきた原爆被爆者の運動・成果と結んで福島原発事故被害者への医療費減免措置継続と健康手帳の交付を政府に迫りました
交渉報告
交渉議事録
呼びかけ10団体:脱原発福島県民会議、双葉地方原発反対同盟、福島原発事故被害から健康と暮しを守る会、フクシマ原発労働者相談センター、原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、全国被爆2世団体連絡協議会、原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、ヒバク反対キャンペーン

全国署名:「医療・介護保険料及び医療費の減免措置」見直し政府方針撤回と措置継続、国の責任で全ての福島原発事故被害者に「健康手帳」(医療費無料化等)交付を求めます
全国署名の署名用紙
pdf版
word版
呼びかけ:福島原発事故被害から健康と暮しを守る会

若狭ネット第198号を発行:「原子力避難計画」も「平均像としての地震動策定」も破綻!2024年能登半島地震から学び、原発再稼働をやめよ!「原発再稼働と石炭火力延命」のための長期脱炭素電源オークション反対!

若狭ネット第198号を発行しました。

下記からご覧ください。

第198号(2024/5/29)(一括ダウンロード5.5Mb
巻頭言–「原子力避難計画」も「平均像としての地震動策定」も破綻!2024年能登半島地震から学び、原発再稼働をやめよ!
「原発再稼働と石炭火力延命」のための長期脱炭素電源オークション反対!再エネと系統用蓄電池の拡充を急げ!
1.「原子力避難計画」も「平均像としての地震動策定」も破綻! 政府・原子力規制委・電力会社は2024年能登半島地震から学べ!
2.原発と石炭火力が再エネの出力制御を急増させている! 「原発再稼働と石炭火力延命」の長期脱炭素電源オークション反対!

チェルノブイリ事故38年を迎えて関西電力本社へ申し入れ

チェルノブイリ事故38年を迎えて、2024年4月26日、関西電力本社へ申し入れを行いました。チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西が呼びかけたもので、5団体が申し入れを行いました。関西電力はいつも通り、原子力広報が出てこず、総務課の職員が対応し、「5分間5名」の制約を一方的に強いるものでした。
最初に、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西が、4月21日の「チェルノブイリ原発事故38年の集い~地震列島に原発はいらない!参加者一同」による決議を読み上げて提出し、続いて、若狭連帯行動ネットワーク、ヒバク反対キャンペーン、地球救出アクション、原発の危険性を考える宝塚の会が申し入れました。わずか5分程度の申し入れの最中に何度も職員の携帯が鳴り、携帯に出て何事かを話しては切る動作を繰り返し、申し入れを真剣に聞き取ろうとする素振りすら見せず、形式的に聞きおくだけでした。申し入れが終わると、いそいそと職場へ戻ろうとする職員に「必ず社長へ届けてください」と念を押しておきました。とても「公益事業者」と言える対応ではありません。

2024年4月26日
関西電力株式会社取締役 代表執行役社長 森 望 様
チェルノブイリ事故38年を迎えて、関西電力への申し入れ
若狭連帯行動ネットワーク

本日4月26日は、旧ソ連のチェルノブイリ原発重大事故から38年に当たり、福島第一原発炉心溶融事故発生から13年になります。私たちは貴社に対して、一貫して「原発依存経営をやめよ!老朽原発延命路線を見直せ!」と強く申し入れてきました。フクシマや2024年能登半島地震を踏まえれば、原発重大事故は避けられません。ひとたび重大事故が起これば、事故収束は困難で、放射能を閉じ込めることなどできません。帰還困難区域など放射能で汚染された地域は、未だに高汚染で、立ち寄るのも困難です。
にもかかわらず、貴社は、老朽原発の存続で経済性を最優先し、高浜4基、大飯2基、美浜1基を動かし続けています。原発の「夜間の不要」電力を消費者に使わせようと「原発の電気をもっと使え!」と大宣伝を繰り返しています。原発重大事故を起こすまで、こんなことを繰り返すつもりでしょうか。
老朽原発を動かし続けると、膨大な量の使用済燃料=負の遺産が生み出されます。使用済燃料プールが満杯になると再稼働もできなくなります。「2023年末に使用済燃料中間貯蔵施設の立地点を県外に確定できなければ、美浜3号、高浜1・2号の運転を止める」との4度目の約束を破り、昨年10月10日には「使用済燃料対策ロードマップ」を福井県に示し、「2030年中間貯蔵施設操業開始、六ヶ所再処理工場のフル操業、仏への搬出量積増し」など実現できそうもない計画をさも代替案であるかのように示し、あろうことか、原発サイトでの乾式貯蔵の事前了解願いを提出し、福井県政の一大転換=県内での使用済燃料の積増し貯蔵を迫りました。
使用済燃料プールが満杯になると、「原発を止める」か、「乾式貯蔵を増やす」か、の2択しかないため、唯一具体化可能な乾式貯蔵で原発の延命を図ったのです。それは、老朽原発再稼働による重大事故のリスクを高め、福井県を「核の墓場」へ導くでしょう。もう、この悪循環を断ち切るべきです。
乾式キャスクからは強い放射線が出ます。伊方原発では遮蔽用建屋がなければ85m圏内が管理区域になるほどでした。高浜の場合も「事故対応時のアクセスルートに影響しないよう放射線管理区域を設定するため」、キャスク収納燃料の冷却期間を15年以上から25年以上へ引上げて、放射線量を下げざるを得ないほどです。キャスクの寿命は60年とされていますが、強い放射線と経年劣化に耐える保証はありません。
私たちは原発の再稼働そのものに反対です。フクシマを繰り返さないため、子孫に負の遺産=使用済燃料をこれ以上増やさないため、乾式貯蔵の導入をやめ、原発の再稼働を中止するよう求めます。
以上を踏まえ、次のことを強く申し入れます。
1.「使用済燃料対策ロードマップ」を撤回し、美浜・大飯・高浜原発サイト内への乾式貯蔵施設設置計画を撤回してください。
2.4度目の約束違反を真摯に反省し、約束通り、運転開始40年を超えた老朽3原発を廃炉にしてください。
3.制御棒落下、配管のひび割れ放置や蒸気発生器細管の減肉など老劣化の進む高浜3・4号と大飯3・4号を廃炉にしてください。高浜3・4号の40年超運転認可申請を取り下げてください。
4.むつ市や上関町への使用済燃料中間貯蔵押しつけを断念し、使用済燃料をこれ以上生み出さないでください。
5.プルサーマルを即刻中止してください。プルトニウム利用を断念し、これ以上、MOX燃料の発注・輸送・輸入をしないでください。
6.取替や廃炉による美浜・大飯・高浜原発の蒸気発生器33基をはじめ給水加熱器や核燃料輸送・貯蔵用キャスクなど大型放射性廃棄物の輸出、海外での溶解・再利用の計画を断念し、密閉管理し続けてください。
7.公正取引委員会の「電力分野における実態調査報告」(2024.1.17)を真摯に受け止め、「送配電会社の所有権分離」と「発電会社の所有権分離」を断行し、新電力との公平な競争環境を保障してください。
8.老朽原発の延命を断念し、原発依存の経営方針を「脱原発・脱石炭」、「再エネ拡大・優先接続・優先給電」へ大転換してください。
9.原子力発電所の廃止措置においては、放射能で汚染された原子炉建屋等施設・構造物、機器・配管等の早期の解体撤去は行わず、そのまま密閉管理し、100年程度の安全貯蔵期間をとってください。
以上
pdfはこちら

若狭ネット第197号を発行:関西電力は、福島事故と2024年能登半島地震を教訓として乾式貯蔵による老朽原発の延命策を撤回せよ!

若狭ネット第197号を発行しました。

第197号(2024/4/1)(一括ダウンロード5.5Mb
巻頭言–関西電力は、福島事故と2024年能登半島地震を教訓として乾式貯蔵による老朽原発の延命策を撤回せよ!
1.乾式貯蔵施設を福井県内外のどこにも設置させるな!関電は原発サイト内設置計画を撤回せよ!
2.関電の乾式貯蔵施設計画真の狙いは?! 美浜町松下照幸
3.福井県下の8万世帯(全世帯の1/3強)に新聞折り込みを入れました越前市山崎たかとし
4.2024年能登半島地震に被災した志賀町と志賀原発を視察して長沢啓行(若狭ネット資料室長、大阪府立大学名誉教授)

関西電力による乾式貯蔵導入反対!リーフレット(2024.3.10)
【2024年3月10日配布チラシの誤記に関するお知らせ:「仏再処理実証研究へ搬出」の時期が正しくは「2027~29年」のところ、「2026~28年」になっていました。お詫びし、訂正いたします。(上記リーフレットは訂正後のものです。)】

福井県内8万世帯への新聞折込み(2024年4月初め)サヨナラ原発福井ネットワーク

(表)―10万年先までの安全をだれも保証できぬ放射能ゴミ(使用済み核燃料)を増やさせないことが、私たち世代の子孫への責務です―
「敷地内貯蔵 」を認めれば、使用済み核燃料(現在4,312㌧!) がさらに増え続けます!!

(裏)中間貯蔵・乾式容器の寿命は たかだか50年の消耗品!!「中間」貯蔵が「永久」貯蔵となるのは自明!!
杉本知事 様! 歴代知事が認めなかった「敷地内貯蔵」を了解しないで下さい!!

2023年12月19日の10団体呼びかけによる「『医療・介護保険の保険料と窓口負担減免措置』見直しに関する厚生労働省・復興庁・環境省との交渉」および「ALPS被ばく事故と放射能汚染水海洋放出に関する厚生労働省・原子力規制庁との交渉」の報告等が出されました

呼びかけ10団体:脱原発福島県民会議、双葉地方原発反対同盟、福島原発事故被害から健康と暮しを守る会、フクシマ原発労働者相談センター、原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、全国被爆2世団体連絡協議会、原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、ヒバク反対キャンペーン

「医療・介護保険の保険料と窓口負担減免措置」見直しに関する交渉
交渉報告> <交渉議事録> <交渉資料> <公開質問状

➢「医療費等の減免措置」見直し政府方針撤回と措置継続、国の責任で全ての福島原発事故被害者に「健康手帳」(医療費無料化等)交付を求める全国署名を初めて提出(1万2,808筆)
➢国際核施設労働者調査(INWORKS)等の結果を基に、低線量・低線量率被ばくの健康リスクを政府に認めさせ、
環境省「基礎資料」を訂正させ、福島原発事故被害者の健康保障の施策につないで行きましょう

ALPS被ばく事故と放射能汚染水海洋放出に関する交渉
交渉報告> <交渉議事録> <交渉資料> <公開質問状

➢厚生労働省は、「個別・具体的なことは回答できない」、「法令違反の疑いが認められた場合に労働基準監督署で調査や指導を行う」と一般的回答に終始!
➢原子力規制委員会・規制庁は、「東京電力に保安の措置不履行という実施計画違反があった」とするだけで、「定常的なメンテナンス作業に必要な設備の実施計画記載とメンテナンスを考慮した設計」を指導しなかった責任を回避!

若狭ネット第196号を発行:2024年能登半島地震M7.6を教訓に、原発再稼働をやめ、断層連動など、原発耐震設計審査指針を根本から見直せ!東電救済の交付国債発行上限額1.9兆円引上げ反対!東電の巨額赤字を国民に転嫁するな!東電を破産処理せよ

若狭ネット第196号を発行しました。

第196号(2024/1/22)一括ダウンロード5.5Mb
巻頭言–2024年能登半島地震M7.6を教訓に、原発再稼働をやめ、断層連動など、原発耐震設計審査指針を根本から見直せ!
東電救済の交付国債発行上限額1.9兆円引上げ反対!東電の巨額赤字を国民に転嫁するな!東電を破産処理せよ
1.「2050年までに2020年比原発容量3倍化」は、フクシマを顧みず、60年超運転と設備利用率90%の強硬運転へ導く危険な宣言
2.福島損害賠償等の交付国債発行限度額1.9兆円引上げ反対!柏崎刈羽原発6・7号再稼働による「福島復興」などあり得ない!
3.上関町の財政から見えてきたこと 越前市 山崎隆敏

福井県の関西電力「使用済燃料対策ロードマップ」受入れに抗議・提出していた公開質問状への回答・説明を11月20日に受け、県原子力安全対策課を追及しました

2023年11月20日午後1時半~3時40分頃、福井県庁1階会議室で、福井県原子力安全対策課と交渉し、10月16日に提出していた公開質問状に基づき、関西電力が「2023年末までに中間貯蔵施設立地点を公表できない場合には美浜3号と高浜1・2号の運転を停止する」という約束を破ったにもかかわらず、それが4度目の約束違反であるにもかかわらず、それを容認し、3基の原発の運転停止を求めなかった福井県知事の責任を追及しました。
同交渉は、サヨナラ原発福井ネットと若狭ネットの呼びかけで、福井と関西から8名が参加し、新聞記者も数名が取材しました。
原子力安全対策課からは、吉田参事と内園主任の二人が対応し、公開質問状への回答は主に吉田参事が行い、質問項目6の関西電力による使用済燃料ピット満杯年の法令違反を前提とした過大算定については内園主任が回答しました。

「関電の『使用済燃料対策ロードマップ』受入れに関する公開質問状」に関する福井県交渉の映像(2023.11.20 福井県庁)

関電の「使用済燃料対策ロードマップ」受入れに関する公開質問状(2023年10月16日)

20231120福井県交渉資料

県原子力安全対策課の回答は、質問項目1には「国において確実に実施してもらう、国の責任で対応していくものと考える」、項目2には「仏での再処理実証計画に応じて必要があれば、積増しが検討される」、項目3には「国が前面に立って進め、関電が実行するよう指導する」、項目4には「現在も県外搬出を求めている、サイト内乾式貯蔵については事前了解願いが出れば総合的に考えていく」、項目5には「搬出量が決まっていない点は不十分だが、社長自ら先頭に立って進める、西村大臣は前面に立って進めると明言したので、全体として理解し、3基の運転継続を了解した」と、マスコミで報道された内容から一歩も出ませんでした。
項目6では、関西電力の主張をそのまま繰り返す説明に留まり、「使用済燃料プールに1炉心分の空きのない違法運転」や「廃炉になった美浜1・2号のプールの空きを美浜3号用に使う違法利用」に基づく過大算定である証拠を目の前に突きつけられ、うろたえながらも、「ご指摘の点は持ち帰って共有する」と言い逃れようとするなど、違法運転を前提とした過大算定を見抜けず、関電の説明に「納得」し「追認」してきた原子力安全対策課の責任を認めようとはしませんでした。このような姿勢で本当に職責を果たせるのでしょうか。
私たちは「2023年末までに中間貯蔵施設立地点を公表する」との関電の約束を守れない以上、3基の運転を停止すべきだと迫りましたが、聞く耳もたずでした。
質問項目1~5の内容はロードマップの実現可能性に関するものなので、その破綻は、すでにほぼ明らかではあるものの、実施できるかどうかはロードマップに記されたそれぞれの項目の期限が近づけば、一層明らかになるでしょう。私たちはこれからも追及の手を緩めず、継続して福井県の責任を追及し続けます。あわせて、質問項目6の違法運転を前提にした満杯年の過大算定についても、関西電力は元より原子力安全対策課の責任を含めて、今後も追及していきたいと思います。
交渉の最後の場面では、老人ホームからタクシーで駆けつけた参加者の一人が、「元福井県職員だから、参事や主任の立場はわかる、この場で指摘されたことを知事などに進言できるかどうかが問われている」と、自らの体験から切々と語られ、大きな拍手が起きました。
くわしくは、上の映像をご覧ください。

ALPS処理水海洋放出に関する「2023.8.7追加質問への原子力規制委員会(2023.10.17)と東京電力(2023.10.18)の回答について」の批判文書を掲載しました

2023.8.7追加質問への原子力規制委員会(2023.10.17)と東京電力(2023.10.18)の回答について

長沢啓行(若狭ネット資料室長、大阪府立大学名誉教授)

批判全文はこちら

(まえがき)トリチウム汚染水(ALPS処理水)の海洋放出が2023年8月24日から始まりました。それは政府と東京電力の強さと正しさを表わすものでは断じてなく、漁民、労働者、市民の反対運動の敗北でもありません。「関係者の理解なしに海洋放出が一方的に強行された」のであり、「廃炉作業を進めるためには避けて通れない」という政府の主張が根本的に誤っていることは、早晩、名実ともに明らかにされ、「何のための放出だったのか」が改めて問われ、「放出中止に追い込まれる」ことは必至です。数年にわたる10団体※による政府・東京電力の追及の結果がそれを示しています。10月17、18日に得た原子力規制庁と東京電力からの「8.7追加質問への回答」(7~10ページ参照)は、私たちの主張が正しかったことを極めて鮮明に裏付けてくれました。一連の交渉の司会進行役の一角を務め、追及の矢面に立ち、全力で交渉を成功に導こうと尽力してきた者の一人として、その責任を果たすため、以下にそれを整理しておきます。それは、私たちの主張に断固たる確信を与え、1日も早く海洋放出中止を勝ち取るための一助になると確信します。(2023年10月28日記)

※交渉呼びかけ10団体:脱原発福島県民会議、双葉地方原発反対同盟、福島原発事故被害から健康と暮しを守る会、フクシマ原発労働者相談センター、原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、全国被爆2世団体連絡協議会、原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、ヒバク反対キャンペーン

項目1.実施計画違反の地下水ドレン中継タンクからウェルタンクを介した2号機タービン建屋への移送について

項目2.実施計画にない「集水タンク満水時に1,500Bq/Lを超えた場合の移送先および移送ライン」について

項目3.集水タンク満水時に1,500Bq/Lを超えた場合の移送先タンク等と移送ラインの仕様不記載について

項目4.IAEAの国際安全基準、正当化、最適化、線量限度について

(参考資料)政府交渉呼びかけ10団体の追加質問への回答
2023年10月17日原子力規制庁
2023年10月18日東京電力